文化祭終了後、材木座のクラスは大騒ぎになっていた。
クラスの陽キャたちは全員停学、他校の不良達も処罰を受けたらしい。
被害者の相模は暴力に負けずエンディングセレモニーをきちんとこなしたということで株が上がっていた。
しかし材木座のことは材木座自身が面倒になるのを恐れて関係者に口止めを行ったので広まることはなかったのである。
実際今回の事件の功労者ということで皆に紹介するから文化祭の打ち上げに参加してと相模からお願いされたが。
「我のような者が行っても疎外感を得るだけよ、いつかの時のように『あの人だれー?』『キモーイ』とか言われてな」
そう言って材木座は断り相模は以前屋上で初めて材木座に言った言葉を思い出して
「う・・・ゴメン・・・」
と言って黙り込むしかなかったのだ。
でも打ち上げにいかなくていいからせめてLINEで拡散すべきと提案をするのだが。
「大体、大げさな口上を述べたくせに結局ボコボコにされただけだけではないか、格好が悪い、恥ずかしい」
ということでその提案も却下
そこまで言われたので相模は諦めたようだが、それとは別に相模から毎晩頻繁にLINEが来るようになっていた。
ただその内容は友人間の愚痴やバイト先での愚痴ばかりである。
「委員長殿もリア充と思いきや苦労されている様だのう」
問題は女子の友達間でも話せないとかで見ているこっちも気が滅入りそうな話題ばかりなところ
「リア充もリア充なりに大変の様だ、やはりボッチが一番であるな!」
といいつつも漫画やラノベ片手にあちこちから名言を引用しては律義に返信する材木座であった。
文化祭が終わり結局屋上は閉鎖になってしまった
「一人飯をするところが減ってしまったな」
あとは新館の辺りになるのだが・・・とパンとコーヒー牛乳を片手に目的地へとたどり着く
この辺は静かで誰も来ないのだ、ベンチはないが雑草が芝生のようになっており座るのにちょうどいい
「よし、誰もおらぬな」
材木座は木陰に腰を下ろすと
「ちょっといい?」
ふいに後ろから声をかけられびくっとなる、振り返るとどこかで見たポニーテールの女子
「え?えええ!い、いったいどこから・・・はっ!まさか組織の!貴様何奴!」
狼狽する材木座
「何言ってんの?普通にそこの木の影だよ、あんたとは前屋上で会ったよね?忘れた?」
「屋上・・・ああ!あの黒レースの!」
「あんた本当にぶつよ?」
と川崎は怖い顔で材木座を睨む
「ヒッヒー!この度はご無礼申し訳ありませんでした!」
ビビった材木座はその場で土下座
「ちょっとあんた!殴るってのは冗談だから顔上げてよ・・・」
いきなり土下座されて狼狽する川崎
「冗談でしたか・・・」
と材木座はほっとして顔を上げる
「して何故こちらにいるのだ?」
「どっかのバカのせいで屋上には入れなくなったんでね」
今回は睨んではいなかったのだが川崎の目つきが元々きつい為かまたも睨まれたと思い更に土下座する材木座
「この度は誠に申し訳ございませんでした!」
「ちょっと!あんたなんかやったの?他校のバカのせいだって聞いてるんだけど?もうやめて、顔を上げてよ・・・」
と川崎は材木座の前にしゃがむがそれがいけなかった。
「い、いやその件についてはだな・・・あ」
と顔を上げた先にはしゃがんだおかげでスカートがめくりあがり丸出しになった黒レースの下着
「成程、貴女はよほど黒のレースがお気に入りと見える」
下着を凝視しながらつい口に出す材木座だったが、川崎の顔が見る間に真っ赤に染まる、それに気が付いた材木座は狼狽し言い訳をするのだが
「は!いやちょっとタイム!今のなし、我何にも見ておらぬ!」
「死ね!」
怒りと恥ずかしさで感情的になった川崎は顔面に正拳付きを食らわせた。
余計な事言わなきゃよかった
薄れゆく意識の中、材木座はぼーっとそれだけを考えていた。
材木座は頭がとても柔らかいものに包まれてる感触で意識を取り戻す、懐かしいような感じがして気持ちがいい、しかもいいにおいがする
「これはもしや幼少の時の記憶か・・・あの頃は幸せであった・・・」
とても気持ちがいいのでその感触をもっと得ようと体を反転させ柔らかいものに顔をうずめるのだが
「ちょっと!この変態!あんた!起きてるんならどいて!」
聞き覚えのある声とともに材木座の顔は地面に放り出される
「ぶべら!」
「ホントにもう信じらんない!」
「む?我の記憶は?そしてここはどこ?」
目が覚めて狼狽する材木座、顔をあげると川崎がスカートの裾を抑えながら正座し顔を赤らめている。
「本当にあんたは・・・あんたが気絶してから10分もたってないよ」
その声で完全に目が覚めた
「一体先ほどの感触は・・・」
「いいから忘れて!」
「は、はぁ」
材木座は何が起きているのかよくわからなかったが一人静かに食事をとる雰囲気ではないということは理解できた。
「で、では我はこれで・・・」
と材木座はその場から立ち去ろうとしたが
「ちょっと待って!」
「ひぃ!お、お金はありませぬ!」
「違うから、アンタに相談があるんだけど」
「相談?ハテ?」
川崎は自分の隣に座るように言う
「ム、隣に?」
流石に女子の隣に座るのには抵抗がある
「何意識してんの?」
しかしまたも睨まれたため材木座はしぶしぶと隣に座りパンをかじり始める
「して、相談とは?」
と材木座が聞くと
「あんた比企谷と仲良かったよね?」
「うむ、奴とは盟友の間柄であるが・・・奴がどうした?」
「じ、じつは・・・」
と川崎は先ほどまでの威勢はどこへやら突然もじもじとし始める
「文化祭の最終日にあいつなんか急いでたみたいで、屋上の開け方を教えたらあいつがあたしに愛してるって・・・」
「んなもん冗談に決まっておる、我もたまに言われておるしな」
二次元ならバッチリフラグが立つのだがここは現実世界、現実はどうやろうとフラグなんか立たないクソゲーだと材木座は知っていた。
「多分そうだと思う、でもあいつは以前あたしにスカラシップのこと教えて助けてくれたし・・・」
スカラシップ?もしや以前の奉仕部の依頼の奴か?
なんかラーメン食って帰ったら、次の日スカラシップのこと教えて解決したと言われたことを思い出した。
ついでに名前も思い出した、確か川崎とか言ってたような気がする。
「あの日からあいつの事本当に意識しちゃって・・・もしかしてって思っちゃってさ」
「それで我にどうせいと」
「わかんない」
「は?」
「どうしよう、全然わかんない・・・」
川崎は両手で顔を抑えて頭を振っている
「・・・では我が折を見て八幡におぬしの事どう思っているか聞いておいてやろうか?」
「え?ちょっと!それは・・・恥ずかしい・・・」
「我もお主のこと依頼で知ってるわけだし何気なく聞くだけだから何も問題なかろう?」
「そりゃそうかもだけど・・・」
材木座は残ったコーヒー牛乳を一気に飲むと
「この剣豪将軍に全て任されよ!」
とコートをバサッと翻しその場を立ち去ることにした。