「やっべぇ……」
ヴェルフは顔を真っ青にしていた。
いつも勝気な態度を崩さない彼には珍しい、絶望的な表情を晒しているのには理由がある。
始まりはベルが受けていた
ヴェルフの打つ新たな防具のために、
ベルは探索の準備のために【ミアハ・ファミリア】を訪れ、そのことを話すとついでにブルー・パピリオの翅も集めてほしいと
片手間にやれるなら問題ないだろうと了承したベルだったが、問題は無事に依頼を完遂し、後は報酬をもらうだけという時に事件は起きた。……正確には発覚した。
結論から言ってしまえば、今までベルが買っていた
平謝りするミアハに、頭を押さえつけられて一緒に謝罪するナァーザの説明によると、【ミアハ・ファミリア】の財政は火の車であり、今月の借金の支払いすら危ういのだとか。
そこに借金を取り立てに来たディアンケヒトがやって来て、今月の分の支払いが出来なければホームを差し押さえると言い出してさあ、大変。
今まで助けられたわけだからと言うベルの協力によって、新商品開発のための手伝いを行いにベルのパーティーたちは来ていたのだが。
「これ……ブラッドサウルスの卵だよな」
現在ヴェルフはパーティーとはぐれ、一人でセオロの密林立ち尽くしていた。
ぐちゃぐちゃになった卵だったものの前で、ズボンについた卵の中身を拭いながら。
無残な姿になり果てた依頼品を前に、ヴェルフはリリのお叱りを幻聴するのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
セオロの密林。
迷宮都市オラリオの市壁付近に存在する緑の王国が今回の目的地だった。
基本的にオラリオに在籍するファミリアは、壁外への移動は制限を受けている。
多くの上級冒険者を抱えるオラリオの戦力を外に流出させないためと言う理由が一つ。後は、壁外で万が一にもファミリアの主神が事故で送還されることを防ぐためだ。
例えば神ロキや神フレイヤが、オラリオの誰も関知していない所で突然送還されたなら、それだけでオラリオの戦力が何割減ることか。
いや、二大巨頭のような力を持たない中堅派閥であっても問題だ。ダンジョンと言う特大の危険地帯に日々潜る冒険者は言い方は悪いが消耗品。どれだけいても不足しているのだ。
だからこそギルドはオラリオのファミリアが減ることを警戒している。
とは言え、しっかりとした手続きを行えば、それほど都市から出ることは困難ではない。
どんなに神々にとってオラリオが特別とは言え、基本的に風船にジェット機能でも付けているのかと言うほど自由気質な神を完全に縛り付けるなど不可能だ。
故にギルドは本音はどうあれ、眷属や神の都市外での活動を認めているのである。
……まあ、そんな手続き無視して砂漠に護衛なしで突撃した女神さまもいたようだが。
「ブラッドサウルスは本当にダンジョンにいるほどの力はないんですよね」
「うん。ずっとオラリオ暮らしなリリルカには信じられない話だろうけど」
ダンジョンの外にいるモンスターは全て、太古の時代に地上世界に進出したモンスターの子孫だ。壁から生まれるモンスターの子孫と言うのは実に奇妙だが、モンスターにも交尾と言う概念はあるらしい。
体内の魔石を削っているので、個体の力は年々減少気味だが。
今回の目的である『ブラッドサウルスの卵』は、そんなダンジョンではお目にかかれない素材。
リリはブラッドサウルスと聞いて下層に出てくる恐竜を連想して焦っていたが、地上の個体はそこまでの力はない。精々オークより強い程度。
インファント・ドラゴンを討伐したベルの敵ではない。
「ゴブリンやインプみたいな小型と違って産卵は少ないから、セオロの密林にも卵は殆どないかも……下手したら一か所にしかない、なんてこともありうる」
「うへぇ……それは大変そうだなぁ」
元来怠け者なヘスティアが怠そうな顔で呟く。
後のヴェルフへの死刑宣告になる訳だが、この時ヴェルフはジャガ丸くん(幻ではない)を食いながら右から左へ聞き流していた。
「レベル2の私とベルが行けば確実にあいつらは殲滅できるけど……ゴメン、私は戦えないから」
「
「ありが……え? なにしてるの……」
ナァーザはベルの言葉に礼を言おうとするが、
忘れてはいけないが、インファント・ドラゴンは上層における階層主ポジションである。
気軽に単独撃破とかしてはいけない。
「おっ、そうだ! ベル、今日はこれを使って見てくれよ!」
「これって……
「ああ、MK-Ⅲだ。ようやく完成したからな。初お披露目が中層じゃないのは残念だが、まずは確実に安全なここで試そうぜ」
渡された木箱の中身を早速確認するベル。
前の
「前作より装甲は厚めにしてある。だから装備すると少し違和感があるかもしれねぇ。そうだったら、遠慮なく俺に教えてくれ」
「そうなんですね、そんなに重さは感じませんけど。ありがとうございます。クロッゾさん」
「……あー、ベル?そのクロッゾってのは止めてくれ。家名、嫌いなんだ」
「えーと……ヴェ、ヴェルフさん?」
「……まぁ、今はいいか」
ヴェルフの様子に怪訝そうな反応を返すベルだが、当のヴェルフは気にしないでくれ、と手を振った。
やがて馬車から降りたベルたちは密林の中に足を踏み入れる。
装備を身につけたベルは早速ひみつ道具を具現化した。
「迷子探し機「ごはんだよ~」~」
煙突の生えた一軒家のようなミニチュアが光と共に出現する。
それを見たミアハとナァーザは、事前に聞いていたとはいえ驚きを隠せない。
「これがベルのスキルか……やはり
「魔力を感じない。どこかから取り出してるわけでもなさそうだし、どうなっているんだろう?」
今回の
リリはあんなこともあったのだから教えるべきではないと反対したが、もっと普段から腹を割って話せていたら、こうはならなかったのではないかと言うベルが意見を押し通した形だ。
リリは不満げだったが「仕方ないですね、ベル様ですから」と最終的には納得とまでは行かないが、譲歩した。とは言っても、きちんと契約書を書かせて、口外した場合は【ディアンケヒト・ファミリア】の借金がかわいく思えるような罰則を設けていたが。
一堂に見守られる中、迷子探し機「ごはんだよ~」は煙突からモクモクと煙を出す。
同時に、あたり一面に香ばしい香りが充満した。
「これでモンスターが寄ってくるのでしょうか?」
「うん。鳥とかが集まったってドラえもんさんは言っていたから、モンスターも集まるんじゃないかな? エイナさんも、遠征とかだとパーティーの炊き出しとかの臭いでモンスターが集まることがあるって言っていたし」
ブラッドサウルスの卵は希少。つまりブラッドサウルスは卵を狙うものがいたら、それはもうお怒りになることは間違いない。
子供に手を出された生き物が手強いのはモンスターであろうと同じこと。
つまりベルたちは二手に分かれて、親をおびき寄せる者とその隙に卵を確保する者で班を作る。
事前の打ち合わせで、囮班がベル・ヴェルフ。残りの者は卵の改修に当たることになっていた。
当初、ブラッドサウルスをおびき寄せるために
それは貧乏ファミリアたる【ヘスティア・ファミリア】と【ミアハ・ファミリア】には無視できない負担だ。だから、ベルのひみつ道具で有用そうなものが現れた時、その使用に踏み切ったのである。
やがて、レベル2となり強化されたベルの聴覚が超大型のモンスターの足音を捉えた。
同じくレベル2のナァーザも同時に気づき、シュタッと手を上げた。
「じゃあ、後よろしく」
そういうや否や、非戦闘員たちを連れてあっという間に離脱する。
流石はレベル2ともいうべき速さ。
店番をしているところしか知らなかったベルの目が点になった。
「……戦闘職じゃなくてもあれだけ動けるのか」
「ランクアップってすごいからね。普通のステイタス更新とは別格に強くなる……あ、すいません」
「いや、もっと言葉使いを崩していってくれ。前から距離感があるって思っていたんだ」
その方が楽だろう? と笑いかけるヴェルフ。
そんな彼の言葉にベルは迷いながらも頷いた。
「えっと、善処します……」
「おう」
会話しながらも互いの武器を構える。
既に
目を細めて戦闘態勢に入り、腰を低く落とす両者。
やがて、咆哮。
「オオオオオオオオオオオオオオオオッッ‼」
「いくぞ!」
同時にヴェルフの声が耳に届き、弾かれるように疾走する。
見た目は30階層から出現する強大なモンスター。
怯みそうになる心を抑えて、地面を蹴った。
ブラッドの名の通り、血に濡れたかのような紅き体を凝視する。
敵は5匹。個体数が少ないと言うナァーザの話から考えて、この数は近辺に生息するモノが全て集まった可能性がある。
「ふっ‼」
「ギャガッ!?」
まずは先頭の一体の目を切り裂く。
耳が割れるような絶叫と共に倒れるブラッドサウルス。
更にベルは着地と同時に二体目のブラッドサウルスの足を回し蹴りで引っ掛けた。
常人の蹴りならばビクともしないであろう、丸太のような分厚い脚だがベルの【力】のアビリティは規格外。あっさりとバランスを崩して、先に倒れていたブラッドサウルスと頭と頭がぶつかり合う。
「「ギギャア!?」」
この一度の交戦で理解した。
やはりここではベルが一番強い。
5体だろうが10体だろうが、ベルならば問題なく倒せるはずだ。
しかし、ヴェルフはそう簡単に終わらないことを理解していた。
(こいつら声がうるさすぎる。これは密林中のモンスターがやってくるぞ)
3体程度ならそこまで問題ではなかったが、5体ともなると密林中に咆哮が響いている。
つまり、ヘルハウンド等のモンスターも寄ってくるのだ。
「こりゃ速攻でひみつ道具を使ったほうがいいな……ベル‼【ばくはつコショウ】を使うぞ‼」
「分かった‼」
名前からしてどう考えても火薬。
ならば
ヴェルフの意図を正しく理解したベルは同族を倒されて興奮しているブラッドサウルスを一蹴。後方にいたヴェルフとポジションを交換する。
「おらああああっ‼」
裂帛と共に大刀を振るヴェルフ。
ヴェルフは己の武器に名前は付けない。
だが、自作の武器は上層ならば問題なく通用するほどの業物だ。
5
並走していたブラッドサウルスが唖然とした目で見つめてくるが、当のヴェルフに余裕はない。
大刀の隙は大きい。
こんなに良い一撃が入るのは、警戒が少ない
後は、大きな隙を見せないように立ち回るしかできないが。
「ばくはつコショウ~」
それでいい。それがいい。
ヴェルフが足を止めて立ち回ることで、樹木の海から湧き出るモンスターたちが一か所に集まる。つまりは、爆発で一網打尽だ。
背後で光が収まり、ひみつ道具の具現化が終わったと理解したヴェルフは合図を出す。
「今だベル‼」
「うん! ヴェルフ‼」
ベルの声にニヤリと笑うヴェルフ。
ヒュン、と軽い音が上空で聞こえると同時にヴェルフは後ろに飛びのいた。
そして放たれる速攻魔法。
「【ファイアボルト】‼」
炎雷の矢は瓶に入ったひみつ道具を撃ちぬく。
その光景を見て勝利を確信するヴェルフだが
「「……あれ?」」
特に何もない。
爆発など起こらず、バラバラと焦げた臭いと共にコショウがブラッドサウルスたちに降りかかる。
ステーキにしたら美味しいのかもしれない。
「つ、使い方間違えた?」
後ろから聞こえるベルの声。
指示を出した張本人であるヴェルフは未だに固まったままだ。
「……はっ! ボーッとしてる場合じゃねぇ‼ とっとこいつら倒してリリ助たちが向かった窪地に行かねぇと」
そう、ヴェルフが口にした時に異変は起きた。
先ほどまでヴェルフに迫っていたモンスターたちが一斉に止まったのだ。
「あ?」
「な、なに……?」
モンスターたちの様子に怪訝そうな表情を浮かべるヴェルフ。
一方のベルはこれまでの経験上、嫌な予感を隠せない。
「ガ……ァ……」
(苦しんでいる……いや、と言うよりこれは)
全てのモンスターが空に顔を上げて、何かを必死に抑えている。
その光景に父親や祖父がたまにやっていた光景がヴェルフの脳裏に浮かぶ。
その答えが脳内で形になる前に、答え合わせはやって来た。
「「「「「「「「「「ブヘックショイイイイィィィィィィィ!?」」」」」」」」」」
「ぎゃああああああああ!?」
一斉にくしゃみをするモンスターたち。
暴風に殴りつけられたと錯覚するような圧が正面にいたヴェルフを襲う。
その勢いにヴェルフはあっけなく吹き飛ばされた。
「ヴェルフさあああああああああん!?」
(あ、もう一度仲間っぽく呼んではくれないんだな)
ベルの絶叫にちょっと傷つきながらも、ヴェルフの頭はばくはつコショウの効果をようやく理解した。
(なるほど完璧に理解した。爆発みたいなくしゃみがでるコショウか)
「分かるかんなもんんんんんんんん!?」
ややこしい名前を付けた異世界人を呪いつつ、ヴェルフは
中に入ろうとしていたナァーザたちが目を見開くのを横目に、十数体ものモンスターによる爆発的くしゃみで加速しまくったヴェルフは、砲弾のような衝撃をもって窪地……モンスターの巣にあった卵を破壊しつくした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「な、な、な、なああああああ!?」
現実逃避していたヴェルフに甲高い怒声が聞こえた。
その特徴的な声にまた目が遠くなる。
「な・に・を! なああああああにをしてるのですかヴェルフ様ああああああああ‼」
予想に違わず激怒したリリ。
ばくはつコショウってこいつを爆発的に怒らせる効果もあるのかーと馬鹿な考えが浮かぶ。
口には出さないが。殴られるだろうし。
リリが言葉を捲し立てる中、「お、終わった……」と静かに崩れ落ちるナァーザ。
借金が払えないことが確定したのだから無理もない。
それを慌てて抱き上げるミアハ。
「ナァーザ! しっかりせよナァーザ!」
「ミアハ様……ごめんなさい。もう、駄目みたいです」
「悪いことが重なった結果だ。仕方がなかったと受け入れるしかあるまい」
「どうしてこんなことに……貧乏人に神様は残酷ですね」
「いや、貧乏だが私が神だぞ?」
「ボクも神だぜ?貧乏だけど」
「じゃあ、誰を恨めばいいのですか……」
「ヴェルフ君じゃないかな」
「そうします」
どうやら結構余裕はあるようだ。
図太くなければオラリオでやってはいけない。
ミアハたちのケアは必要なさそうだな、と次にヘスティアは正座させられるヴェルフを叱りつけるリリの下に向かった。
「サポーター君。サポーター君。そこまでにしたまえ」
「放してくださいヘスティア様‼ この激ダサネーム量産機への説教はまだ終わってません!」
「まあまあ、まだ取り返しはつくだろう?」
そう言って、遅れてやって来たベルに問いかける。
「た、多分……」
「おお! それは真かベル!?」
「今日のひみつ道具の最後は【なおしバンとこわしバン】って言う名前でして……」
「直す力か! それならば或いは……」
ミアハとナァーザは抱き合って喜ぶ。
多分、それで上手くいくのだろうが一つ問題が。
「これは多分【クイックとスロー】みたいな2種類の効果の複合型……ですよね、ベル様」
「うん。僕もそう思う」
ベルの【
その使い方は分からない。
どちらがなおしバンで、どちらがこわしバンかまでは分からないのだ。
「では最初に二つ壊れた卵を用意して、どちらも試してみましょう」
「うん。なおしバンとこわしバン~」
最後のひみつ道具を具現化する。
早速比較的形が残っている(グロテスクだが)卵を二つ用意したリリは、具現化したはこからx型の青い絆創膏と赤い絆創膏を取り出し、それぞれに付けた。
その結果は……
「青い方だね」
「青い方ですね」
一目瞭然だった。
青い絆創膏が貼られた卵はあっという間に元に戻った。
紅い絆創膏は……もはやこれは卵だったものですらない。
「じゃあ、青い絆創膏を手分けして貼って行こうか!」
ヘスティアの号令の下、青い絆創膏を手に窪地内に散らばる一同。
「……」
その中で、ナァーザだけは赤い絆創膏も何枚か持っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「
「本当ですか!? やりましたね‼」
体力と
それが僕たちの目標だった。
素材を集めてそれで終わりではない。
ナァーザとミアハが死に物狂いで製薬し、ベルたちはそれをサポートする。
もう、とんでもなく慌ただしかった。
「モンスターの卵とブルー・パピリオの翅……どっちもベルたちのおかげ。ありがとう……本当に、ありがとう」
「いえ、こっちこそ一杯助けてもらってますから」
「……あんまり善意を安売りしちゃダメだよ? リリルカの時もそうだけど、ベルは色々と背負いすぎるから」
そう言って濃紺の
報酬とお礼として。
「何か困ったことがあったら、言って。必ず助けに行くから……」
微笑みかけるナァーザにベルも微笑む。
そんな彼女にベルも笑った。
ベルの初めての
「あ、そうだ。良かったらこれも……」
「これは
まだ終わってなかった。
次に渡されたのは薄紺の液体を渡される。
「これも、報酬……ボーナス」
「え?こんな
「合間合間に作ってた……熱中して寝るのを忘れてたけど」
「だからそんなに隈がすごいんですか!?」
「これは良いモノ……こうやって飲むと……」
グイ、と瓶の中身を飲み干すナァーザ。
え? それ報酬じゃないの? とベルが困惑していると、途端にナァーザがビッターンと倒れた。
「ナァーザさん!?」
「どうしたベルよ!?」
驚くベルの声に反応し、ミアハが駆け付ける。
床に倒れ込んでいる眷属と、その手に握られた空いた容器をみた。
「なるほど『ユメミール』か」
「な、なんですかそれ?」
「前に
「だからユメミールですか」
なんて安直な……と呆れるベルだが、床の上をビクンビクン跳ねるナァーザはどう考えてもいい夢を見ていない。
「あの、本当に自分の望む夢を見ているんですか?」
「うむ。本来のユメミールはそうなのだが、これはそれを再現しようとして失敗しているな」
「失敗」
「己の望む夢ではなく、己の恐怖するものを見せている」
「ひどくないですか!?」
「恐らく碌に被験しなかったのだろう……材料は赤い絆創膏で歪んだ卵か? 疲れすぎておかしくなっていたようだ」
神特有の超速理解である。
「ユメミールの失敗作……なずけるならば『ワルイユメミール』!」
「ミアハ様も疲れてません?」
「うむ。寝たい」
一人の薬師の暴走によって生み出されたこのアイテムが、ある騒動の原因になるとはこの時は誰も思わなかった。
TRPGでかっこいいセリフを言った後って大体ダイス外しますよね。
ユメミールはドラマCD『ドリームパーティ』に出てきたアイテムです。