ワンピの世界ではモテモテ、逆ハー設定です。
「凄く美味しそうだね」
写真を見て楽しそうに笑うものだから、その笑顔に自分も嬉しくなった、誕生日のバースデーケーキ、これで何度目だろう、でも、それが食べられる事はなかった、最後になってしまうなど思ってもみなかった、何故と思わずにはいられない。
実は少し前からと周りの人間の言葉に、自分は頷く事しかできはない、わかってる、いや、分かっていたのだ、ただ、認めたくなかったのだ。
もしかしてと思った、だが、嫌な予感と予想は見事に当たってしまった。
(絶対に来ないで、君の、そんな顔は見たくないから)
お願いだから、そう言われたら仕方ない、だから、行かなかった。
(ほら、俺って我が儘だから)
そう言われたら仕方ない、お願いを我が儘をきいてあげないと、悪い女になってしまうから。
悪い、ひどい男だと思った、そして現実を恨んだのだ、そして、今。
ここは現実なのだろうか。
「大丈夫ですか、どこか痛いところありませんか、気分はどうです」
目が覚めた時、側には若い女性がいた、頭を下げて謝るが、意味がわからない。
うちの上司がすみませんと再び頭を下げるが、こんなにも平身低位に部下が謝るのはいかがなものだろうか、正直、良くないと思うのだが。
ブラック企業で部下に尻拭いをさせる、根性悪い会社の上司という、そんなイメージが頭に浮かんだが、イヤイヤと思った。
こんな美人が頭を下げているのだ、上司が悪い人なんて頭から思っては気の毒だ。
もしかして、自分は気絶でもしていたのだろうか。
「大丈夫です、お世話になりました」
ベッドから起きて部屋を出て行こうとしたのだが、女性に引きとめられた。
そういえば、確か、ごつい体格の男とぶつかりそうになったような、いや、そんなことより外に出て考えよう、これから先の事を考えよう、そう思っていたのに。
今の自分は欲しいものを全て手に入れることができる、金、女、権力、なんでもだ、どんなものでも手の中に納めることができる、だが、本当に欲しいと思ったモノは手に入らない。
誰かが言った、詩人だったろうか、初恋は実らないと、ロマンティックな歌の文句みたいな言葉を、あの時ほど後悔したこと、あっただろうか。
会いたい、君に、だが、それは永遠に叶わない夢だ、ゴルゴルの実の能力で現実の自分は無敵といってもいい、だが、手の届かないところに逝ってしまった人間に会うことはできない。
夢の中手だ両手に抱くこともだ。
「遠慮せず、喰いな」
テーブルの上に並んだ料理と向かいに座る女の顔を見ながら、男は機嫌がいいのか口元を緩めて笑っていた。
「確か、ドフラミンゴさん、でしたよね」
ピンク色のふわふわのファー、男が着ていたら思わず引いてしまいそうだが、この人の場合は派手なサングラスも金髪も、しっくりしているというか似合っている。
多分、いや、照れとかなく、男が堂々としているせいかもしれない。」
「遠慮はなしだ、腹、減ってんだろ」
「頂きます」
両手を合わせ、目の前の男に感謝しつつ、最初に手をつけたのは御飯だ、日本人は米が一番と思いながら食べていると視線を感じた。
「おい、貴様、ドフラミンゴか」
顔を上げると、鋭い目つきの男が見下ろしていた、知り合いだろうか、だが、気にしないでいいから食べなと手をひらひらと両手を合わせて困った。
「久しぶりじゃねえか、煙野郎、だがな、邪魔しねえでくれよ、見てわからねえのか」
「ほう、何をだ」
「まあ、モテねえ男だから無理もねえか、デートだよ、なあ」
「えっ、いや、ただ、御飯を御馳走になっていて」
まるで、いい訳だ、たとえは悪いが、浮気現場を見つかった時みたいな気まずさを感じてしまった、すると、バンッとテーブルをバンッと叩く音がした。
「はっ、何が、デートだ、頭の中には脳みその代わりに羽根が詰まっているんじゃねえか、ええ、鳥頭」
「愛が詰まっているんだよ、なあ」
男が笑いながら女に向かって同意を求める、思わず、えっ、どこに愛がと思いつつ、無言ですますのはまずいと思い女は笑った。
「うまいこと言いますねえ、愛ですか、ははは」
女の言葉に、その場はシーンとなった。
そのとき、近づいてくる足音と気配に気づいた女は振り返った。
瞬間、顔が、表情が、凍りついたように固まった。