念獣をもふもふするよ!   作:ここへんて

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プロローグ
1. 鍛錬する赤ん坊〜水見式をする幼児


 女性から生まれた子供は双子だった。母親に抱かれている男の子と助産師に抱かれている女の子。男の子は元気に産声をあげていたが、女の子は目を上下左右に辺りを見渡すかのように動かしていた。女の子は助産師以外にこちらを見ている人型を視界の中に見つけ、視線を下から上にあげてその人の顔を見た。女の子にとってその顔は、どこかで見たことがあるような顔だった。

 

 女の子が思い出そうとしていると、その人からから声をかけられた。女の子には言葉を理解できない言葉だった。だが、思い出すことができた。話しかけてきたその人は、ジン=フリークスだと気づいた。その瞬間、女の子は高らかに産声をあげた。

 

 産まれてから女の子は、自身が赤ん坊に転生したこと。自分の名前がノンという名前であること。それから双子であること。もう一方の子供は、ゴンと呼ばれていること。ハンター×ハンターの世界であることに気づいた。

 

 ノンは、ジンに連れられながら、念能力に目覚めるようにと毎日瞑想することにした。ハンター×ハンターの世界に産まれたなら念能力を使って念獣をもふもふしてみたいとノンは考えていた。ジンに転生したことが怪しまれるよりも、もふみライフがノンの中では勝っていた。飲んで、寝て、ゴンをぷにぷにして、景色を堪能して、瞑想する。これがノンの日課となった。

 

 フリークスの血が為せるのか、日に数時間のテキトーな瞑想を1ヶ月ほどで、ノンはオーラが見えるようになった。オーラが見えてからは、体の周りで揺らいでいるイメージを行い、ノンは纏を会得した。すると、ジンといつの間にか一緒に旅をしていたカイトが、ノンを凝視した。ノンはその視線に驚きながらも纏を維持した。ノンは自分が纏をできることに喜んだ。ジンとカイトの焦っている様子をあえて無視しながら。

 

 ノンは、纏ができたので絶を試してみることにした。纏を解いて、自身のオーラをでないようにする。気配を断つように、そう意識する。だんだんとノンの体表に流れるオーラが小さくなる。そして消えた。ノンはこれまた喜んだ。絶をできたことに。しかし、ジンとカイトのノンに突き刺さる視線の深みが増していることに、ノンは冷や汗をかきはじめた。

 

 ノンは、そんな視線を無視し、練に挑戦する。細胞一つ一つからオーラを蓄える。それを一気に外へ。そんなイメージをすると、纏のときよりもオーラが出ていることにノンは気付き、意識を失った。赤ん坊に練は無理があった。

 

 それから目覚めたノンの日課は、纏や絶をしながら飲んで、ゴンをぷにぷにして、景色を見渡し、ときには練を行って、寝ることが日課になった。ジンやカイトにとっては、赤ん坊が急に絶や練をするものだから気が気でない生活を送ることになった。

 

 ノンが絶をはじめた場合には、どこかに行かないように意識を凝らし必ず目を背けないようにして、ノンがオーラを纏った状態でゴンに触れようとした時には、即座にゴンをノンからガードできるような態勢をジンとカイトは整えた。ジンとカイトによる必死の24時間の子守態勢が出来上がった。

 

 数時間毎に夜泣きをする赤ん坊と、オーラを好き勝手操り行動する赤ん坊。いったいどちらが厄介なのか、ジンとカイトには判断つかなかった。しかし、どちらも厄介ではあったのだが、彼らはハンターであったため子育ては無問題であった。

 

 ノンは、ジンとカイトの必死の子守という恩恵に感謝しながら、念の基本を固めた。ノンは練がある程度続くようになったので、念の応用技の中でも試せそうな、周、凝、堅、円、硬、流に挑戦した。ノンに新たな日課が加わった。それと同時に、ジンとカイトの子守プランの見直しも加わった。

 

 ノンの念の修行が8ヶ月を迎えたころ、ゴンが単語を話せるようになった。ノンもそれに合わせてクーイングを辞めて、単語を話すようにした。そのときのジンとカイトの感動は、何かから解放される喜びを含んでいるようにノンには見えた。

 

 ゴンが単語の意味を理解して、受け答えできるようになるのに合わせて、ノンもジンとカイトの言葉に返答を返すと、ジンとカイトは体を震わせ号泣し抱き合って喜んだ。ジンとカイトは、纏をできない者には絶で触るようにとノンに力説した。ノンはジンとカイトのあまりの形相に絶対守ることを誓った。

 

 ノンは産まれてから2年が経つと、念の応用技も大分スムーズになった。身体能力は幼児なみだが、念の技術に関していえば、中堅クラスのハンターに匹敵する技術を身に付けていた。

 

 そんなある日、カイトと別れ、船に揺られて、とある港にノン達は着いた。そこから港を抜け、街を抜けて、山道を登っていくと一軒家にたどり着いた。ジンが玄関にたちドアをノックする。ノン達は、ミトさんとジンのお婆ちゃんに出会った。

 

 ジンは何やらやりたいことがあるらしく、ゴンとノンをお婆ちゃんに世話をしてくれと頼んだ。その様子に、ミトは大層怒った。しどろもどろなジンと剣幕なミトが話し合っている姿を、ノンには、親権のことだろうと考え、それをそっと見守ることにした。

 

 数週間後には、ジンはゴンとノンの前からいなくなっていた。ノンはジンの去り際に、2人分のグリードアイランドの品々だと思われるものと1つのテープをジンから受け取った。一応これは何かとジンにノンは尋ねる。ハンターになったら使ってみろと言われたので、ノンは了解した意として頷いた。そして、何をしに行くのとノンは聞いてみる。ジンは笑って答えてくれた。

 

「目の前にない“何か”を見つけに行く」

 

 そう言って、ジンはノンの頭を優しく撫でて、またなと言って去っていった。

 

 それからノン達は、ミトとお婆ちゃんと共にのんびり暮らすことになった。今までは、ジンとカイトとの冒険が毎日であったが、今では普通の幼児の暮らしになった。普通の暮らしの中で、ノンは人目があるときには、オーラ操作の技術練習にあて、人目がない時には、身体を鍛えながらのオーラ操作の技術練習をすることにした。

 

 ノンの唯一人目の中でできる鍛錬が、スコップでの庭の土掘りだった。ミトには幼児の砂場遊びのように思われている。ノンは、周をしてスコップで土を掘っても問題ないことを良いことに彼方此方を掘りまくった。ノンはあまりにも夢中で掘りまくり、途中で力尽きて気絶した。ノンが気づいた時には、ベッドの上だった。掘りすぎには注意しようと心に思いながらノンがダイニングに向かうと、ミトと出会した。ノンはあまり掘りすぎないようにと、やんわりとしかられた。

 

 ジンと別れて1年が経つ頃の夜中に、ダイニングでノンは水見式をしてみることにした。ガラスのコップは手に届くところになかったので、木製のコップに葉っぱを拾ってきてノンは試すことにした。コップのそれぞれ左右から10cmぐらいのところに手を置いて練を発動。途端に水の色が白っぽくなり今まで透けてコップの底が見えていたが見えなくなった。ノンは放出系であることが判明した。

 

 ヒソカのオーラ別性格診断だと短気で大雑把な性格の持ち主が放出系に当てはまるらしい。それを思い出したノンは自分が短期で大雑把とは中々納得できなかった。頭を抱えこんだ。その日からノンは、神経を尖らせて心配り気配りを心がけたが、数日後には面倒になって元に戻ったという。

 

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