船長は嵐が晴れるというあまりのことに試験は忘れてしまったようだ。そのおかげで、ノン達には港に着くまで自由な時間が生まれた。ゴンは船長に舵取りを教わるみたいだ。ノンは船にゆられながらクラピカとレオリオと話していた。
「よお。信じられないが、嵐を晴らしてくれたんだな。ありがとな」
「どうも。嵐の件は礼を言う」
「いえいえー」
ノンは、面と向かって2人に礼を言われ、頭をかいて答えた。
「嵐を晴らすなんて信じられねーが、それにしてもさっきのはいったいどうやったんだ?」
「レオリオの言う通りだ。いったいどんな技術があれば、あれほどのことができるんだ?」
「あれは、もふみの力でやったんだよ」
2人は怪訝な顔をノンに向けた。ノンには、解せなかった。もふみ同士のミトならもふみの力で通じるのにと。
「うーん。どうしても知りたかったら、ハンター試験に合格したら教えてあげる」
仕方なくと答えると、目を輝かせながら是非にと2人に言われた。ノンはクラピカには切羽詰まるものを感じた。レオリオからはいかがわしいものを感じた。
空全体を覆っていた雲と凄まじい嵐を一瞬で晴らすほどの力をクラピカの目の前の少女ノンは持っている。その力があれば蜘蛛を倒すのに役立つだろうとクラピカは思う。それを教えてくれるというのだから有難い。
だんだんと落ち着いてきたクラピカは、冷静になって考えてみる。嵐を晴らすなんて人にできるのだろうか。否。できない。そのようなことは現実的ではない。しかし、目の前の少女はそれをやった。あの今まで感じたことがない何とも言えない威圧感。あれは紛れもなく事実であり嵐が消え去ったのも事実。
少女は拳を挙げていただけだった。特に何かを持っている様子もない。自分が知らない力が存在するのではないか。魔法のような何かが。少しでも情報が欲しい。
レオリオは、力を手に入れることよりも、目の前の少女。155cmほど。黒髪、姫カット。童顔。胸がそれなりに大きく今後も期待。ミニスカートから生える少しだけむちっとした生足。そんなパーツを持つ少女に、教わることができる機会に感謝していた。ハンター試験後に医者の勉強の続きを行うと考えていたが、頭の片隅へと追いやった。
冷静になったクラピカがゴンという少年のことを思い出す。目の前の少女ノンと似ている。何か関係あるのだろうかと思い、ノンにゴンのことを聞く。
「ところでノン。船長のところに行った少年、確かゴンと言ったか? ゴンとは色違いの落ち着いた赤色の服で下はスカート着ているが、ゴンと同郷のものか?」
「ううん。ゴンは私の双子の兄だよ。11歳の自慢の兄です」
「双子ッ!!11歳ッ!!」
クラピカとレオリオが信じられないものを見たかのようにノンを見た。クラピカは11歳であの力を使っていることに驚き。レオリオは11歳に似つかわしくないノンの見た目に驚いた。
「私は、ご飯をたくさん食べて、よく寝て、よくもふったからね。人よりも早く体が出来上がりつつあるのよ」
ノンは驚愕し目を見開いている2人に、成長の秘訣を語った。クラピカにとってどこかずれた答えをしたノンについて改めて考える。11歳であれほどの力を持っている。私よりも、6歳も若い。それでいて、私よりも遥かに高みに存在している。
クラピカは突如不安に襲われる。あの力をゴンも持っているのだろうかと。私の知らない力を使いこなすものが他にもいるのではないかと。冷や汗を額に滴らせるクラピカは、落ち着きなくノンに迫り不安を聞く。
「あの力は、ゴンも持っているのか?」
「ゴンは、あの力を持っていないよ。だけど、プロのハンターは皆持っている力だよ。そして、そのプロハンターが易々と捕まえることができない幻影旅団も高確率で」
「それは本当か! あの力を幻影旅団も使えるかもしれないというのは!」
ノンは静かに頷いた。クラピカは、自身が復讐すべき相手がノン同様に未知の力を使いこなす可能性があることに、動揺を隠せなかった。クラピカは、ズボンをぎゅっと握りしめ、ハンターになることを固く決意した。
ノン達は無事に最寄り港であるドーレ港まで届けてもらった。ここから試験会場があるザバン市に向かう。船長と仲良くなったゴンの話では、一本杉を目指せと言われたらしい。そこで、バスルートか一本杉ルートかどちらがいいか意見を言いあった。最終的には、ノンの意見で決まった。
「私は、ゴンの話しの通り一本過ぎに向かいたい。船長は審査する側の人で、ある程度は信頼できると思う。それに、バスもハンター試験に関わっている可能性があってザバン市に本当に行くのかもわからないからね」
「バスがザバン市に行かないなんてあるのか?」
「ハンター志望の人ってたくさんいるから少しでもふるい落とすためって、考えるとなくはないと思う」
「そうか。それもあるか」
もともとレオリオのみがバスを押していたので、レオリオが納得さえしてしまえば4人の方向は決まる。4人はまとまって一本過ぎに向かうことになった。しかし、ノンの本心を言うと、走ってザバン市まで向かった方が明らかに手軽で一番楽である。
一本杉までの道を辿っていくと、うすっ気味悪いところにノン達はついた。しばらく突っ立ていると老婆と不思議な仮面を被った人たちが目の前に現れた。老婆はどきどき2択クイズを出してきた。
ノンは答えを知っているので、イボクリをしていた。ノンが夢中でイボクリをしていると、いつの間にかノン達の右側の建物の扉が開けられていた。
開いた扉の通路の中、ゴンがいつにもなく真剣な表情で、いずれどちらかを選ばないといけない日がくるかもしれないと話している。それを見たノンは、ゴンを茶化したくなった。
ノンはゴンの左後方に絶を使って立つ。人差し指を立てた状態の右手で、ゴンの左肩を後ろからぽんぽんと叩く。ゴンは頭を左側にひねる。途中でノンの人差し指がゴンの頬に突き刺さる。
ノンはゴンのぷにぷにが、さすがに赤ん坊の頃よりは劣るが未だ顕在であることを確認した。確認すると絶を辞めてゴンの前方に走りさった。
茶化されたゴンは、ムッとした表情で走り去ったノンを見ると、ノンを追いかけるように前方に走り出した。クラピカとレオリオは顔を見合わせ溜息を吐く。2人はゴンに数秒遅れで走り始めた。
ノンは道なりに走り魔獣注意の看板が見えるところまで着いた。まだ残り3人がここにつくまで時間はありそうだ。ノンは念の修行をしながら待つことにした。操作系の系統別修行をこなしていると、数時間遅れて3人がやってきた。
「お!ようやく追いついたようね!」
3人ともかなり息が上がっている。
「はあ。はあ。ノン早すぎ」
「ふー。ふー。ああ、全くだ」
「ぜー。ぜー。本当だぜ。一体どんな身体能力してんだ」
ゴン、クラピカ、レオリオは、それぞれ根を揚げていた。
「すぐそこの一本杉の下の一軒家にナビゲーターがいるのよね?」
「うん。そうだよ」
ノンが、確認すると、ゴンが息を整えながら答えてくれた。ノンは答えてくれたゴンを見た後に、一軒家を見る。ノンは、モフリストとして一軒家からもふみが発せられていることを感じ取っていた。ノンは、もふみを前にし、よくゴン達を待っていることができたなと自分自身に驚いていた。
ノンが先頭になり、ナビゲーターの家に扉を開けて入る。そこには、ノンの予想していた通り、もふみがあった。そのもふみは、きるきると言いながら、右手に女性を掴んでいた。ノンは我慢できず飛び込んだ。目の前のもふみへ。その場にいる誰もがノンのもふみへ飛びつく姿を目に収めることができなかった。
「なあッ」
もふみが驚愕した声をあげた。ドアが開いたと思ったら少女に抱きつかれていたのである。あまりにも早すぎる。抱きつかれたもふみは、例え試験をしたとしても、何もできず終わると瞬時に悟った。それは、もふみに囚われていた女性も、その傍らで倒れていた男性も思ったことである。
もふみことナビゲーターことキリコの試験をぶち壊したノン達は合格をもらった。ノン以外はどうなのかというと、こうも一瞬でキリコ達が用意した試験が壊されてしまったら、どうしようもないとの判断により合格とのこと。ノンにしてみれば、どきどき2択クイズのときに楽をさせてもらったから、3人を合格にできて、おあいこだねと思っていた。
合格したノン達は、キリコ達の空中遊泳でザバン市まで連れて行ってもらった。ゴン、クラピカ、レオリオは、キリコ達の足を手で掴んで空を遊泳した。ノンは、キリコのお腹に大の字でしがみついて運んでもらった。ノンが空中でキリコをもふり過ぎたことにより、安定して運ぶことができず、通常のスピードより大分遅くなったという。
翌日の早朝、無事にザバン市まで着いた。そこからキリコに定食屋へ案内された。ノンは1人感慨深く定食屋を外から眺めていた。ここがあのステーキのところかと。中に入り、キリコがステーキ定食の弱火でじっくりと頼む。それを聞いた店員に、ノン達は奥に案内された。キリコに来年も案内してあげると言われたが、ノンだけはもふらなければ案内すると言われた。ノンは顔をしかめた。
席に座りステーキ定食をノン達は食べる。ルーキーとかハンターとかについて、無知なゴンにクラピカとレオリオが話していた。ノンはその話には混ざらず、ひたすらステーキを口に運んだ。ノンは他の人の分までバレずに美味しくいただくことができ、とても満足した。
ノンが定食を完食したちょうどに会場に着いた。部屋の扉が開いた。男と表すべきもわっとした匂いが、ノンの鼻に直撃した。ノンは涙目になって匂いに慣れようとしながら、ドアの近くにいた緑の顔の小さい人から番号札を受け取った。406番だった。受け取っていると、丸鼻の小太りの小さい男がノン達に近づいてきた。トンパだ。ノンはそう気づいた。
トンパは、にこやかな笑顔で受験者の人たちを説明してくれた。話の途中で、不幸な男性が腕を失った姿と、近くにいる奇抜な服装と髪をした男性をノンは目にしてしまった。ノンはその奇抜な男性がヒソカだと気づいた。ノンが関わりたくない1番の人である。
ノンはヒソカがいるだけで、今年のハンター試験をやめようかと思った。しかし、キルアに会えなくなる方が嫌であったため、ノンは仕方なく今年に受けることにしている。そこで、ノンは処世術を考案した。ヒソカに目をつけられないようにするため、常にヒソカと自分との間に誰かを挟む。ノンは速やかにこれを行った。
だが、対策は十分でなかった。ノン自身の精神安定対策が何も考えられていなかった。ノンは前世も含め人が腕を失った姿は見たことがなかった。グロさへの耐性の無かった。それから、部屋にこびり付いている男臭。
この2つのダブルパンチにより、ノンはステーキ定食をもどしそうになった。そのノンの様子を見かねたトンパは、ゴン達に配っていたお近づきの缶ジュースをノンにも渡した。
ノンは、ジュースを飲めば多少は気が紛れるだろうと考え、渡された缶を開けて、思いっきりに飲み込んだ。ゴンも飲もうと缶を開けてジュースを口に含むと吐き出した。腐っていると言って。
その時、ノンは自身がやらかしてしまったことに気づいた。ノンは下剤入りのジュースを飲んでしまったのだ。そう飲み込んでしまったのだ。おまけに缶の中身を全部。
トンパがニヤつきながらノンを見遣る。ゴン達は、心配する様子でノンを見る。ノン達の周りにいるトンパの悪行を知っている受験者達は、綺麗な女の子がトンパの罠に嵌められてしまったのを見て、トンパに強い忌避を感じながらも、それでも一部の自称紳士な受験者は、なぜか興奮していた。
ノンは、顔が青白んでいた。お腹がゴロゴロしているのを感じていた。これはやばいと。ノンは、まだくじら島にいた頃、毒耐性をつけられないかと考えた。単純なノンは、とりあえずそこら辺のものを食べては苦しんだ。
そんな経験があるノンでも、今飲んだ下剤は比べるまでもなかった。人の英知と呼べる科学力による薬は、ノンを確実に蝕んだ。お腹のあたりで腕を組んでしゃがみ込み涙を流しながらノンは耐える。
「ノン!」
「大丈夫か!?」
「しっかり気を持つんだ」
ゴン、レオリオ、クラピカは心配して話しかけてくれるが、ノンの耳には届かない。ゴンとクラピカは優しくノンをさする。レオリオは、苦しんでいるノンの姿を見てトンパの胸ぐらを掴み問い詰める。
「おい、てめェ!ジュースに何か仕込んだんだろ!」
レオリオの激に、トンパはしたり顔で答える。
「その通りさ。これがオレのやり方だ。そして、これからもな……!!」
「なッ!」
「いいかよく聞きな。見知らぬ人からもらった飲食物は食べてはいけない。こんなの当たり前の話だぜ。熱くなるなよ。騙される方が悪いのさ」
「くッ」
トンパはケタケタと笑った。レオリオはだんだんと、腕の力が抜けて、トンパを下ろす。トンパは、レオリオの掴んでいる腕を外し、離れて行った。
そのトンパの前にクラピカが立った。なぜそこにいる。見ていた人がそう思う。
「前半は賛成だが、後半は許せん。騙す方が悪いに決まっている」
クラピカは左足を振り回しトンパの顔に叩きつけた。ドギャ。トンパは鈍い音を出しながら地面に倒れた。
その急なクラピカの行動に、周りは唖然としていた。そこへ、けたたましい音のベルが鳴り響く。カールした髪型の紳士服を来た男性が現れ、ノン達の様子を気にすることなく試験受付を終了し、ハンター試験開始を告げた。
あとがき
第一時試験は、いつから何時間走っていたのだろうか?
簡単に考察してみました。皆さんはどのように思いますか?
〇分かっている情報
・ゴン達のザバン市到着は明るい時間
・ザバン市到着時は外にたくさんの人がいる
・定食屋の中には複数の客がいる
・ゴン達が一次試験会場に到着してから直ぐに試験を開始したようにみえる
・受験生404名 一次試験参加
・第一次試験開始からクラピカ体感4時間あたりで40km通過
・第一次試験開始からレオリオ体感4・5時間あたりで60km通過
・60km地点 脱落者0
・アモリ3兄弟の6時間程度発言の地点が80km
・80km通過 脱落者1
・80km通過後に階段
・地上への階段中間地点 脱落者37
・ヌメーレ湿原到達時は、日が出ている
・受験生311名 ヌメーレ湿原へ突入
・正午の数分前にサトツのグループが二次試験会場に到達(建物の時計から11:57あたり)
・サトツグループにほんの少し遅れてゴンとクラピカが二次試験会場に到達
・第二次試験は正午から開始
〇だいたい3パターンの可能性があると考えています
・当日入り、朝3〜5時ころ定食、走る、当日正午付近に二次試験会場に到着
・前日入り、昼12〜18時ころ定食、走る、翌日正午付近に二次試験会場に到着
・前日入り、昼12〜18時ころ定食、一次試験開始まで休む、走る、翌日正午付近に二次試験会場に到着
〇予想案1: 地獄の23時間マラソン
定食屋に着いたのがお昼頃だと仮定。ありえそうだが、23時間も走っていられる?
12:00 ザバン市到着 (明るい時間で街中にたくさんの人がいる時間)
12:30 定食屋に到着 (店内に複数客いるからお昼時と判断)
13:00 第一次試験開始
14:00
15:00
16:00 40km通過 キルアと合流 (クラピカ体感)
17:00
17:30 60km通過 レオリオが鞄を落とす (レオリオ体感)
18:00
19:00 80km通過 (アモリ3兄弟の6時間経過発言)
20:00
21:00
22:00
23:00
24:00
01:00 階段到達
02:00
03:00
04:00
05:00
06:00 ヌメーレ湿原到達 (出口は光が見えることから明るい時間帯のはず)
07:00
08:00
09:00
10:00
11:00
11:57 サトツグループ 遅れてゴンとクラピカもビスカ森林公園に到着
12:00 第二次試験開始
〇予想案2: 前日入り・ヌメーレ湿原が短い
定食屋に到着した時間が昼でない場合なら良さそう。ザバン市の日照時間が長いならあり。しかし、第一次試験会場到着してから直ぐに試験開始になっているので、なさそうな気がします。他の案より走っていないので、レオリオでも安心して合格できそう。
17:00 ザバン市到着 (ぎりぎりまだ明るい時間と判断)
18:00 定食屋に到着 (店内に複数客、夕ご飯と判断)
19:00 第一次試験会場到着
20:00
21:00
22:00
23:00
24:00
01:00
02:00
03:00
04:00 第一次試験開始
05:00
06:00
07:00
08:00
09:00
10:00 階段到達 80km通過 (アモリ3兄弟の6時間経過発言)
11:00 ヌメーレ湿原到達 (出口は光が見えることから明るい時間帯のはず)
11:57 サトツグループ 遅れてゴンとクラピカもビスカ森林公園に到着
12:00 第二次試験開始
〇予想案3: 前日入り・ヌメーレ湿原も長い
定食屋に到着した時間が昼でない場合なら良さそう。ザバン市の日照時間が長いならあり。案1よりも走っていないので、レオリオには優しい。
17:00 定食屋に到着 (店内に複数客、夕ご飯と判断)
18:00 第一次試験開始
19:00
20:00
21:00
22:00
23:00
24:00 80km通過 (アモリ3兄弟の6時間経過発言)
01:00 階段到達
02:00
03:00
04:00
05:00
06:00 ヌメーレ湿原到達 (出口は光が見えることから明るい時間帯のはず)
07:00
08:00
09:00
10:00
11:00
11:57 サトツグループ 遅れてゴンとクラピカもビスカ森林公園に到着
12:00 第二次試験開始
〇予想案4: 当日入り、早朝からたくさんの人で溢れかえるザバン市
ザバン市の日照時間が長いことを想定。また、ザバン市の人たちは朝の3時〜5時から元気に活動していると想定。朝から元気すぎる。
03:30 定食屋に到着
04:00 第一次試験開始
05:00
06:00
07:00
08:00
09:00
10:00 80km通過、階段到達 (アモリ3兄弟の6時間経過発言)
11:00 ヌメーレ湿原到達 (出口は光が見えることから明るい時間帯のはず)
11:57 サトツグループ 遅れてゴンとクラピカもビスカ森林公園に到着
12:00 第二次試験開始