人類をやめたその日、革命が始まった   作:最上 イズモ

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今回からヴァルヴレイヴ編ですまだ創造期エヴァンゲリオン見てない方はそちらから見ることをお勧めします


人間ヤメマスカ

薄暗い天井が視界に入った瞬間、イズモは即座に状況を測ろうと意識を研ぎ澄ました。

見慣れないが、どこか生活感のある室内。

ベッド、机、カーテン越しの朝の光。

 

イズモ「……ここは?」

 

記憶を辿ると、直前までとは明らかに世界が違う。

肉体の感覚も、年齢も、軽い。

 

イズモ「また高校生の身体か」

 

深く息を吐き、冷静さを取り戻す。

革命機ヴァルヴレイヴ。

知識としては知っている世界だ。

だが、知っていることと、当事者になることはまるで違う。

 

イズモ「カエデ、しばらく擬態状態を維持してくれ」

 

返答はないが、確かに存在を感じる。

彼の中に共存する異質なものが、静かに応じた気配だけがあった。

 

学校。

活気のある廊下、騒がしい教室。

平和そのものの光景に、イズモは逆に違和感を覚える。

 

なぜか昼休み、大食い対決が始まっていた。

意味不明だが、情報収集にはちょうどいい。

 

騒ぎの中で名前が飛び交い、顔と性格が自然と頭に入っていく。

誰がムードメーカーで、誰が警戒心が強いのか。

誰が後に鍵になるか。

 

放課後。

空気が変わった。

 

人影の少ない廊下で、未確認の生徒が不自然な動きで近づいてくる。

 

イズモ「あんたは……」

 

言葉を発するより早く、背後のエレベーターが開き、別の影が流れ込んできた。

嫌な予感が、確信に変わる。

 

数秒後、攻撃。

 

イズモ「みんな、ばらけろ!」

 

反射的に指示を飛ばし、ホーミングランチャーを展開する。

校舎が戦場に変わる瞬間だった。

 

即座にVTOLを起動。

空間を縦横無尽に移動しながら、迫る敵を次々と撃破する。

 

イズモ「……数が多いな」

 

センサーが新たな反応を捕捉する。

二足歩行兵器。

 

迷いはない。

即座に乗り換え、コックピットへ滑り込む。

 

起動と同時に、無機質な問いが響いた。

 

人間ヤメマスカ

 

イズモは一瞬も躊躇せず、はいを選択する。

次の瞬間、鋭い痛みとともに血を吸われ、機体が覚醒した。

 

イズモ「元から、純粋な人間じゃない」

 

OSの声が、歓喜を帯びて語りかけてくる。

 

イズモ「アナタ、オイシイ。今マデ食ベタコトナイ」

 

イズモ「それはどうも」

 

操縦感覚は異常だった。

近接戦闘特化。

信じられない機動性と攻撃力。

 

一大隊が、文字通り消し飛んだ。

 

戦闘が終わった瞬間、周囲は歓声に包まれる。

だが、その熱狂の中で、イズモは異変を感じ取っていた。

 

再び襲われそうになった瞬間、身体が勝手に反応し、襲撃者を叩き伏せる。

理性より先に、衝動が動いた。

 

仲間が駆けつけ、敵は無力化されるが、一部は逃走した。

 

女子生徒「あなたは……?」

 

イズモ「俺は、ハルトだ」

 

女子生徒「本当に?」

 

イズモ「兵器と身体を元に戻す。それでいいか」

 

男子生徒「ああ……」

 

イズモ「スタングレネードがある。これで無力化できる」

 

格納庫。

異様な静けさの中、視線が突き刺さる。

 

同級生「……殺したのか」

 

イズモ「気絶させただけだ」

 

ショーコ「ねえ、乗せて」

 

イズモは一瞬迷い、そして頷く。

身体をかじられ、元に戻る感覚に眉をひそめる。

 

イズモ「……片っ端から沈めるぞ」

 

雑魚敵を次々と排除する中、空が裂ける。

大型戦闘機の出現。

 

フレアを展開した瞬間、通信が割り込む。

 

エルエルフ「……エル・エルフだ」

 

同時にレーザー砲を放つ。

直撃。

オーバーヒート。

 

表示される数値は、666。

 

熱量666。

腹部装甲を切り開き、限界を超えた高出力レーザーを放つ。

 

敵艦は撤退した。

 

エルエルフ「なぜ生きている。しかも、なぜ俺がスパイ呼ばわりされる」

 

ショーコ「その……」

 

ショーコ「好き」

 

イズモ「いいよ」

 

ショーコ「え?」

 

エルエルフ「ハンドマイク。三時十二分。お前の後ろに答えがある」

 

イズモ「ああ」

 

イズモ「クラスメイト全員を生かす。そして革命する」

 

イズモ「まずは、あの二足歩行兵器を調べる」

 

保健室。

 

イズモ「DNA、その他に異常はない」

 

だが、再び噛みつき衝動が湧き上がる。

殴られて正気を取り戻す。

 

イズモ「また出たら、これを撃て」

 

女子生徒「なに、これ……」

 

イズモ「筋弛緩剤と麻酔銃。ただし一発限りだ」

 

女子生徒「……わかった」

 

教師らしき人物が現れる。

 

先生「ハルトくんいる?フィガロ上院議員が呼んでるよ」

 

校長室。

 

フィガロ「時縞ハルト君だね」

 

イズモ「時縞ハルトです。よろしくお願いします」

 

イズモ「早速ですが、モジュール77の兵力を二倍にできませんか」

 

フィガロ「それはどういう意味だい」

 

イズモ「艦隊を破壊できる兵器があります。護衛に必要です」

 

フィガロ「知っているよ。ネットに出ていた二足歩行兵器だろう」

 

イズモ「ええ。ヴァルヴレイヴというらしい」

 

フィガロ「政治家として、できる限り動こう」

 

イズモ「ありがとうございます。今、安否情報を書き込みます」

 

死角でデバイスを起動し、情報を拡散する。

 

フィガロ「すごいな……各国、企業から一斉に反応が」

 

避難中、再び敵襲。

 

エルエルフ「俺と契約しろ」

 

イズモ「それよりいい方法がある。あんたのやり方は犠牲が出る」

 

エルエルフ「……何者だ」

 

イズモ「最上イズモ。創造神だ。別のパラレルワールドから来た」

 

イズモ「独立後、すべて話す」

 

イズモ「その上で、革命だ」

 

ヴァルヴレイヴへ向かう途中、兵士が勝手に搭乗し、死亡。

砲撃が降り注ぐ。

 

搭乗直前、後頭部に衝撃。

意識が途切れる。

 

目を覚ますと拘束されていた。

だが、すでにクラスメイト全員へGPSは送信済みだ。

 

イズモ「……これでいい」

 

救助が入る。

 

イズモ「予定通りだ」

 

イズモ「全員、無力化する」

 

イズモ「聞け。アルスは裏切った」

 

フィガロがサブマシンガンで威嚇射撃を行う。

 

混乱の中、全員を制圧し、ヴァルヴレイヴを奪還する。

 

機体を前に、イズモは宣言した。

 

イズモ「これより、このモジュール77を独立させる」

 

モジュール77外縁宙域。

ドルシア軍前線指揮艦ブリュンヒルトの艦橋で、ザーツバルム技術少佐は巨大スクリーンを睨みつけていた。

学園都市の平和な映像が、数分前まで確かに映っていたはずの空域だ。

今は違う。

校舎の一角が吹き飛び、内部で銃火と爆発が断続的に走っている。

 

オペレーター「確認されました。内部に侵入した工作員部隊、壊滅です」

ザーツバルム「壊滅だと?」

 

喉の奥がひりつく。

あの程度の学生モジュールに、正規訓練を受けた兵が返り討ちに遭うなど想定外だった。

 

オペレーター「映像、再生します」

 

ホログラムに映し出されたのは、校舎内を縦横無尽に飛び回る小型飛行ユニットだった。

速度、旋回性能、火力、どれも異常だ。

 

ザーツバルム「VTOLか。だが、あれは即席の装備だろう」

 

次の瞬間、映像が切り替わる。

二足歩行兵器が起動し、コックピットに少年が滑り込む。

 

オペレーター「対象、ヴァルヴレイヴ一号機に搭乗」

 

ザーツバルム「……学生が?」

 

背筋に冷たいものが走る。

ヴァルヴレイヴは兵器だ。

選ばれた兵士でさえ、搭乗には適合試験が必要だったはずだ。

 

通信士「起動確認。生体認証、突破されました」

 

艦橋がざわめく。

 

ザーツバルム「あり得ない。人間をやめる選択肢を、即座に選んだというのか」

 

スクリーンの中で、機体が異様な動きで跳躍する。

近接戦闘。

切り裂き。

粉砕。

 

ドルシア兵たちが、次々と画面から消えていく。

 

オペレーター「第一突入部隊、全滅です」

 

ザーツバルムは拳を握り締めた。

怒りよりも先に、理解不能への恐怖が込み上げる。

 

ザーツバルム「誰だ、あれを動かしているのは」

 

通信士「識別信号……時縞ハルトと名乗っています」

 

ザーツバルム「時縞……聞いたことがない」

 

爆煙の中、ヴァルヴレイヴが止まる。

その直後、別の反応が現れた。

 

オペレーター「大型戦闘機、接近。パイロット識別、エル・エルフ」

 

ザーツバルム「……あの男か」

 

完璧主義。

任務遂行率百分率。

だが、独断専行。

 

通信が開く。

 

エルエルフ「目標に接敵する。撃破する」

 

ザーツバルム「待て。相手の能力が不明だ」

 

だが、すでに遅い。

レーザーが放たれ、ヴァルヴレイヴに直撃する。

 

オペレーター「直撃確認……ですが、沈黙しません」

 

スクリーンに、異常な数値が表示される。

 

オペレーター「熱量、666を突破」

 

ザーツバルム「何だ、その数字は」

 

次の瞬間、腹部装甲が開き、信じがたい高出力レーザーが放たれた。

エル・エルフ機が弾き飛ばされ、空域から後退する。

 

艦橋に沈黙が落ちる。

 

ザーツバルム「撤退命令だ。これ以上は無意味だ」

 

オペレーター「了解」

 

だが、胸の奥で警鐘が鳴り続けていた。

あれは偶然ではない。

学生が兵器を拾った事故でもない。

 

通信ログが割り込む。

 

通信士「敵性通信、傍受」

 

イズモ「クラスメイト全員を生かす。そして革命する」

 

ザーツバルムはゆっくりと息を吐いた。

 

ザーツバルム「革命、だと……」

 

モジュール77は、支配するための舞台だったはずだ。

だが今、その中心に立っているのは、名もなき少年。

しかも、人であることを捨てる覚悟を即座に選んだ存在。

 

ザーツバルム「この戦争、想定を書き換える必要があるな」

 

彼はスクリーンに映るヴァルヴレイヴを見つめ続けた。

恐怖と同時に、奇妙な高揚が胸を満たしていく。

これはただの制圧作戦ではない。

歴史が動く瞬間だと、本能が理解していた。

 

 

 

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