コロナにポジったぜ。 投稿者:変態糞土方 作:ぴぁおる
題名無し 投稿者:変態糞土方 (2020年 10月22日(日)0
昨日の10月21日、いつもの浮浪者のおっさんがかつて寝ていたベッドに、汚れ好きの土方の兄ちゃんが入って来たぜ。
あの時のおっさんと同じく、既に呼吸はひくひくしてきていた。
その日のうちに、亡くなったんや。
もう、男汁は、出ない。
建ったぜ。 投稿者:変態糞土方 (2020年 10月30日(月)0
もはや医療は、本当の意味で崩壊したぜ。
医師も看護師もコロナに倒れ、病院を管理する人は誰もいねぇぜ。
治療や看護をする人がいなくなり、重症者は全員亡くなったんや。
軽症者はどうせ死ぬならと病院の外へ繰り出し、家族に別れを告げるために、残りの寿命を体力に突うずるっ込んで脚を使って居る。
わしはベッドの上で独り、NHKのラジオをつける。
いつの日からか、ラジオから聞こえる声は、いつもの朝のテレビに出ていたおっさんの声から、知らない姉ちゃんの声に変わっていた。
滑舌がボロボロで、聞き取りにくいぜ。至急戻してくれや。
たまに咳と息切れが混じるし、音割れもするし、もう最悪やで。
姉ちゃんによると、この医療者の死亡、そして患者の脱走は、世界中で起こっているらしい。
もうめちゃくちゃや。
姉ちゃんによると、CDCとかいうアメリカの機関が『既に人類の3割が死亡し、残りの7割は死へのカウントダウンに入った』と発表したらしい。
人類は限界やで。
姉ちゃんによると、もはやあの頃の日常は二度と戻らないらしい。
『……ケホッ、ぜぇ、はぁ……なお、深刻な人材の不足により、本日22時の再放送を以て、NHK岡山放送局の全業務を、ゴホッ、停止、いたします。今までのご愛顧、広報担当者として心からの御礼を……御礼を……ぐすっ!ひっぐ……も、申し上げますっ……!』
ね、姉ちゃん、広報やったんか……。
ああ……。
アナウンサーも、記者も、デスクも、キャップも、とっくに皆死んだんやな。
……今までご苦労さんやで、姉ちゃん。
姉ちゃんによると、次が最期の言葉らしい。
『ゴホッ……最後に、我が県のみならず日本全体の感染対策に、骨身を削って対応に当たった岡山県知事。故・井木凌太さんの遺言を、岡山県民の皆様にお伝えします——』
"
人類に残された時間を、ご家族と共に過ごす為に使って下さい。
独り身の方も、隣人の手を取って、言葉を交わしてください。
それが私の、最後の願いです。
隔離が意味を成さなくなったことは、廃墟と化したロンドン、パリ、ベルリン、ブリュッセルといったEU諸国。そして生存者の消えた東京の惨状を見れば、明らかでしょう。
もはや世界は、限界です。
地球が持たん時が来ているのです。
日に日に悪化する、世界の状況。
私は、一つの決断を下すことにしました。
県民の皆さん、どうかよくお聞きください。
人を人たらしめているのは、愛です。
愛ゆえに、人は孤独から解放され、愛ゆえに、希望を見出し。
そして愛ゆえに、人は生きるのです。
愛こそが、人の生きる意味なのです。
人は、一人では生きられません。これは物質や流通的な意味ではなく、です。
モノに満たされていても、孤独ならば、愛が無ければ、心が耐え切れない。
私はこのベッドの上で、呼吸もままらならぬ状況になってようやく、それを実感することができました。
あくまで私の考えですが、あながち間違ってもいないはずです。
一人ではない。そう感じられることが、一体どれだけ心の助けとなるか。
この遺言の開陳を以て、岡山県は、日本国から独立することを宣言します。
国号は、『晴れの国おかやま』。
これ以降、『晴れの国おかやま』の名の元に、国内に限り、外出制限を全て撤廃。
新型コロナウィルス感染者の外出も、全面許可します。
瀬戸大橋に沈む夕日を見るのも良いでしょう。
美観地区で過去に思いを馳せるのも良いでしょう。
休園中の岡山後楽園も、自由に出入りして構いません。
おそらく紅葉の季節でしょうから、奥津渓で紅葉狩りしたり、みやま公園でピクニックするのも良いかもしれませんね。
観光地ではなくとも、例えば近所の公園や河川敷。そういう場所も素敵ですね。行くだけでも随分と、気が晴れるはずです。
県民の皆様。
外へ出て、岡山の美しさを堪能してください。
喜びを、身近な人と分かち合ってください。
これが日本の、岡山の、最後の季節です。
間違いなく、冬を越すことは出来ません。
限りある時間を、愛する為に使いましょう。
せめて最期くらいは、人間らしく過ごしましょう。
あなたは一人ではありません。
外へ出て、自然を観照し。
空を見上げ、人生に思いを馳せ。
身近な人に、愛を伝えてください。
我々の時間は、もうほとんど残されていないのですから。
さあ、急いでください。時間はありませんよ。
県内の全市役所・役場において、公用車の利用を解放します。キーは既に挿さっているので、ご自由にご利用下さい。
また、発電機とガソリンも、市役所・役場の目立つ所にいくらか置いてあります。夜間の団欒を過ごす際に、是非どうぞ。
そしてささやかではありますが、岡山市北区の私邸も解放します。実は私、映画鑑賞が趣味でして。映画DVDの所持数には、ちょっとした自信があります。こちらも、自由に持ち帰っていただいて構いません。もちろん、その場で鑑賞していただいても結構です。
『国』には、希望が必要です。
私は、岡山の希望になりたかった。
この遺言が県民の皆様の希望になれたなら、私は本望です。
たとえそれが、仮初のものだとしても。
床に臥せった私が出来ることは、これが精一杯です。
あとは、県民の皆様次第。
どうか、悔いのないように。
ここ数ヶ月、辛く、苦しい期間が続きました。
せめて最期の瞬間だけは、『ああ、生きてて良かった』と思えるように。
人生のラスト1ページ。どうか、謳歌なさいますよう。
……さて、一県知事の身には、少々出しゃばりが過ぎたでしょうか。
私の役目は、これで終わりです。
ここらで一足お先に、失礼させていただきます。
最後にはなりますが、岡山県知事を務めた者として、県民の皆様に、篤く、篤く篤く、御礼申し上げます。
今まで、ありがとうございました。
第18-19代岡山県知事 井木凌太
"
ああ^~
やはり、岡山県知事は最高や。