俺がヒロイン   作:愛夢広入

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思ったより感想が来たので急遽。微妙なとこあるのでまた修正しますね。


02 俺/私の幼馴染が女の子になってる件についてっ!

 春。始まりの季節。日で言えば入学初日。中学からの友人と戯れるか、あるいは新しい友人をつくるために隣人に声をかけたり。初日の教室というのは大なり小なり喧騒で溢れる。

 しかして、そこは例外であった。静寂が支配するその教室があるのはIS学園。インフィニット(I)ストラトス(S)を駆る少女を育成するための学園のとあるクラス、具体的には一年一組は誰一人として席を離れず一点を見つめていた。

 少女、少女、少女。それも全ての少女の頭に“美”がつくほどの少女達の視線の焦点、そこに一人の男がいた。

 

「誰か……」

 

 その男、織斑一夏は項垂れていた。机に突っ伏した腕の隙間から右を見、左を見て、そして暗闇に閉じ籠る。彼の安寧は腕の中にあった。なにせ、周りは美少女ばかり。完全無欠のアウェイである。

 

「助けてくれ、飛鳥……!」

 

 そんな一夏が助けを求めたのは幼馴染の少年。それこそ生まれてからの付き合いであり、自他共に認める親友である愛賀(アイガ) 飛鳥(アスカ)である。この空間は彼にとっては窮地。常に隣にあり、苦楽を共にした相棒に助けを求めるのは当然の帰結であった。

 だが、そんな声は届かない。男である飛鳥がこの場にいないというのは勿論のこと、そもそも彼は行方不明になっていた。

 

『一夏、女体化しないか』

 

 などという意味のわからないメールを最後に彼は行方を眩ませた。それが調度一年前のこと。警察も足取りを掴めず、頼りになる姉は何やら複雑な表情をして視線を反らし、切り札とも言える篠ノ之束も渇いた笑いを溢すだけ。

 何時も側にいた飛鳥がいない。半身をもがれたような感覚、まさに飛鳥ロス。

 藍越学園を受験しようとしてIS学園の試験会場に迷い混み、置いてあったISを動かしてしまったのも飛鳥に少しは責任がある。彼いなくなるなんて事がなければそんな間抜けな事はしなかった。

 そんな風に現実逃避をし、親友に責任を押し付けても意味はない。むしろ、いないことを再確認してしまい余計に寂しくなるだけであった。

 これまでも幼馴染との別れがあったが、それは仕方のない別れであったし、言葉を交わしての別れであった。しかし飛鳥とのそれは理不尽の一言。生きているかもわからない。その事実が両親の死とも重なり一夏に重くのしかかる。

 思考というのは負に傾き始めると止まらず、どんどんと落ちていく。

 

「飛鳥ぁ」

 

 それ故に彼は届くはずもないのに弱々しく呟いた。

 

「呼んだか、ワンサマー」

 

 あるはずのない返事が響いた。誰もが近付かずまるでパンダを見るかのように大人しくしている中で一夏以外の声が響いたのだ。それも一夏の渾名を、親友がふざけて呼ぶ言わば彼しか呼ばない渾名。

 

「飛鳥!」

 

 思わず顔を上げて声のする方へ振り向いた。一夏をワンサマーなんて呼ぶのは飛鳥だけ。ならばそこにいるのは飛鳥その人であると考えるのは当たり前のことであった。

 

「飛鳥、お前、人がどれだけ心配したと思っ――」

 

 突然いなくなったことやその他諸々飛鳥にぶつけようとしたところで一夏の思考が止まる。

 彼の目線の先にいたのは美少女であった。程好くキメの細かい白い肌。手入れの届いたマゼンタ色の長い髪は艶やかに煌めいている。鮮やかな赤の瞳は全てを惹き付け、吸い込んでしまう宝石のよう。どこか儚げであり、そしてどこか妖艶な少女。まるで物語から出てきたようだ、なんて在り来たりな言葉で形容する他ないほど美しい。誰もが一目見れば息を飲んでしまうような少女がいた。

 

「久しぶり、一夏」

 

 少女は悪戯が成功したかのように、にしし、と意地の悪い笑顔を浮かべ、いまだフリーズする一夏の頬をつついた。

 

「ど、どちら様でしょうか」

 

 親友がいると思ったら美少女がいたでござる。一夏は心の中で呟いた。なんだこれは。いや、これは人違いである。だって、もう、しばらく会わない内に変わったねとかそういう次元ではない。性別からして違うもの。

 良く考えたらワンサマーなんて在り来たりな渾名、ちょっとお茶目で距離感の近い者なら初対面からそう呼ぶことも有り得ないことではない。むしろこの美少女が親友である方が有り得ないだろう。なにせ親友は目付きは悪いし猫背だし、奉仕部とか古典部にいそうなやれやれしてるような奴である。こんなピンクい髪のギャルギャルした美少女ではない。

 

「何言ってんのよー、愛賀飛鳥じゃん。あ、す、かっ」

 

「どちら様でしょうかー!」

 

 あ、す、か、のリズムに乗って頬をツンツンされた一夏は後退る。違う、俺の飛鳥はこんなのじゃない。やれやれ、言って少々痛いのが俺の親友である。一夏は自身の中でそう確認し、目の前のピンクギャルに再度問い掛けた。

 

「むー。仕方ないにゃぁ」

 

 おい、やめろ。俺の飛鳥はそんなこと言わない。むー、とか、にゃーとか言わない。一夏は否定するが、残念なことに彼女は紛れもなく愛賀飛鳥である。

 一夏の知らぬところでラブコメのため自分がヒロインなるの決めた狂者が目の前のギャルであった。

 

「んー。そう、あれは一夏が小学生の頃――」

 

 認めようとしない一夏にとどめを刺すように思い出話を語るギャル。その内容は幼馴染であり親友である飛鳥しか知らぬものであった。

 そうなると認めざるを得なくなる。そんな、馬鹿な、と混乱している時、ふと姉と束の反応を思い出した。

 

『あ、あぁ。飛鳥か、飛鳥な。……多分大丈夫だろう』

 

『あーくん? うん、まぁ、大丈夫じゃないかな、うん。……うん』

 

 あ、これ、二人は知っていたなと一夏は悟る。行方不明になっていたのはこれ(女体化)が原因か……!

 

(あ、飛鳥がギャルに……?)

 

 と、一夏が真実に辿り着いた頃、一人の少女が戦慄していた。その少女の名は篠ノ之箒。一夏と同じく飛鳥の幼馴染である彼女は絶望した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(わ、私の想い人が女の子になってる件についてーっ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 混沌を孕んだハイスピードラブコメが今、始まる……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想ありがとうございます。察しの通りの出落ちですが、とりあえず走りますね。読んでくれる限り!
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