「カナエ、この前下弦倒したんだって?」
「えぇ、黒雷君の足手まといにはこれでならないわね。これで貴方の隣で戦えるわ」
「生憎俺の戦場には花を飾る場所はないぞ」
「むぅ」
カナエは頬を膨らませそっぽを向く
「なら、黒雷さんの戦場以外で蝶はいかがですか」
そう言うとしのぶは黒雷の横にぴったりとくっつく
「それはありがたいな」
「蝶は甘い蜜によっていきたがります」
そう言うしのぶの先には甘味処があった
「やれやれ、また今度だ」
「うふふ、私も甘い物たべたいなぁ」
「おいおい、今日は早く帰るんだろ?継子や引き取ったガキどものために」
「「はーい」」
三人は街はずれを歩いていると、橋を通ってくる男が目に入る。手には紐があり、汚い子供の腰に巻き付けられている
「その子は何故縛られているのでしょうか。罪人か何かなのでしょうか?」
カナエが男に声を掛け、しのぶも硬い表情で見詰める
「カナエちゃんやーい。やめときな~」
「見てわかるだろ。ノミだらけできたねぇからだよ。それに逃げるかもしれねぇからな」
カナエは子供に目線を合わせると
「こんにちは、はじめまして私は胡蝶カナエといいます。あなたのお名前は?」
「こいつに名前はねぇよ。親がつけてねぇんだ、もういいだろ離れろや」
男がカナエをどけようとするが
パンっ!
しのぶは男の手を弾く
「姉さんに触らないでください」
「・・・・何なんだてめえらは、このガキと話したきゃ金をはらいな」
「じゃあ、買います。これで足りますか?」
そう言うとしのぶは金をばらまくと子供の手を引き駆け出す
「ま、待ちやがれ!」
「早く拾った方がいいですよ~。人も多いですし風も強いですからなねぇ!」
「拾え拾え!金が降ってるぞ!!」
黒雷の掛け声で一斉に金を拾いだす
「あぁ~、いいのかしら」
「いいの」
暫く走ったところで黒雷が走りを止めると
「さて、小汚ないガキんちょはどっちかな?」
ガバッ!
「!?」
「女の子か。よっと」
「!!??」
少女を肩に乗せ黒雷は歩いていく
「黒雷君、子供とは言え女の子の着物捲るのどうかと思うけど」
「ちっちゃいことを気にしなさんな。そんなんだとしのぶちゃん見たいにおっぱい小さくなるよ」
「わ、私は普通です!今に姉さんみたくなります!////」
「しのぶ、俺はちっパイも好きだ。帰ったら揉ませろ」
「気持ち悪いです」
「グハッ、か、カナエしのぶが虐める」
「今のは黒雷君が悪いわね」
「えぇ、とりあえず。しのぶの財布が空っぽになったし晩飯のおかずはカナエ持ちだな」
「そうねぇ~。しのぶちゃん気前良くいったものねぇ」
「し、しかたないじゃない」
そう言いながら四人は歩き出す。その後その少女はカナヲと名付けられた
数日後
部屋にはカナヲが無表情で座りその周りで黒雷とカナエがお茶を飲んでいた
「姉さん、黒雷さん、この子全然駄目だわ。言われないと何にもできないの」
「よし、カナヲ。パパとお風呂に入ろう」
「黒雷君?」ニコッ
チャキッ
「さて、どう駄目何だ?」
「食事も食べなさいって言われないと食べないでずっとお腹をならしているのよ」
「まぁまぁ、そんなこと言わずに、姉さんしのぶが笑った顔すきだなぁ」
「だって!」
二人が話していると
「はい、カナヲあーん」
「あーん」
黒雷はカナヲに餌付けしていた
「あ、黒雷君ずるい!」
「姉さん!1人じゃできないのよ!自分で考えて行動できなきゃ危ない」
「なら、1人の時はこの銅貨を投げて決めたらいいわよ。ねーカナヲ」
「姉さん!!」
カナヲはカナエをボーッとみながらお菓子を食べる
「はい、あーん」
「あーん」
「黒雷さんも何か言って!」
「大丈夫、大丈夫、これから俺がカナヲの全てを面倒見ればいいんだから!そうしよう仕事もやめて光源氏計画を」
チャキッ
チャキッ
「冗談もほどほどにしてください。黒雷さん(君)」
「は、はい」
「そんなに重く考えなくて良いじゃない、カナヲは可愛いんだもの!正義!」
そう言いカナエはカナヲに抱きつく
「理屈になってない!」
「きっかけさえあれば人の心は花開くから大丈夫、いつか好きな男の子でもできればカナヲだって変わるわよ」
「パパは許しませんよ!」
「ん~。黒雷君は少し黙っててくれる?」
「酷い!カナヲを返せ!」
黒雷はカナヲを膝の上に座らせ頭を撫でる
「黒雷君ずるい、私も」
「姉さん!黒雷さん!」
「しのぶもおいでぇ」
三人でカナヲに抱きつく
数日後
早朝の朝日が昇る前
「こちら、黒雷。カナヲ隊員目標までの距離四畳オバー」
「準備できた。オバー」
黒雷はカナヲを背中に乗せ紐で結び虫のようにカサカサと目標に近づく
「よし、カナヲ隊員。入れ替えろ」
「できた」
「任務達成」
ギシッギシッ
「っ!撤退だ。続いて目標Ωに向かう」
「うん」
「返事はラジャーだ」
「?らじゃ?」
「よし」
黒雷はカサカサカサカサと気持ち悪い動きをしながら次の場所へと向かう
「カナヲ隊員準備はいいな」
「らじゃ」
「全集中雷の呼吸壱ノ型」
呼吸を始めると
さっさっ!
ドンッ!
行動すると霹靂一閃の要領で逃げる
「さて、任務終了お疲れ様!カナヲ隊員には報酬としてラムネを進呈しよう」
「・・・・・・」
「飲んでいいぞ」
そう言うとカナヲはコクコクと飲み始める
「親に暴力でも振るわれてたか?」
「・・・・・・」
「ガキの癖に泣かないなんてそんなもんだろ?名前も無いときてるし」
黒雷はカナヲの頭をポンポンと撫でる
「泣きたくなったらここでは泣いていい。大丈夫さ、なんなら俺の胸の中でもいいぞ」
「・・・・・・」
「だが、まずは笑顔だ」
「えがお」
「そう、こう言うふうにニコッってな。やってみな」
黒雷は自分の頬を掴み上にあげる
「こう」
ムニー
「ぶふぉあっ!アハハハハハ」
「???」
「あらぁ楽しそうね黒雷君?」
「おう、見てみろこの顔をカナ・・・・エさん」
そこには笑顔だけれどこめかみがピクピクしてるカナエとしのぶ、そして憤怒の表情をする髪を両脇で結ぶ少女、顔を真っ赤にして睨んでいるカナエの継子達
「私達の下着がこんな卑猥な下着になってたんだけど、しかも切れ目入りの奴持ってないはずなんだけど黒雷君何かしらない?」
「しらない!」
「黒雷様、私の頭に変態柱惨状って掛かれたパンツが被せられてたんですけど?」
「しらない!」
「黒雷さん?正直に白状した方がいいですよ?あれ、私のお気に入りだったんですけど?」
「しのぶには紫が似合うと思う」
「黒雷さん?随分と余裕ですね」
カナエは普段出さない威圧感でカナヲを見る
「カナヲ、誰がやったか言いなさい」
「・・・・・・」プルプルプルプル
カナヲは震えながら自分を指差す
「カナヲ正直に言いなさい、あなた1人でこんな事をするはずありません」
カナヲはゆっくりと黒雷を指差す
「すぅ~。はぁ~。」
「黒雷さん、本当なんですか?」
しのぶは真剣な顔で黒雷の手を握り自分の胸に持っていく
「いや、しのぶ」
「黒雷さん」
「あ、あの」
「姉さん捕まえたわ」
「しまった!?」
黒雷の周りを女の子が取り囲む
「ちょ、ちょ、ひぎゃーーーーーーーーっ!!!!!」
「こんなところで何をしているんだ!黒雷!」
黒雷は門の軒下に縄で簀巻きにされ吊るされていた。顔はボコボコに腫れ上がっている
「杏寿郎、助けてくれ」
「うむ!わかった!」
「あ、あのすみません。黒雷様は今罰の最中なので」
「うむ!わかった!ならば仕方ない!甘んじて受けろ黒雷!」
「助けろよ!瑠火さんは完治したろ!」
「うむ!それは皆感謝しているが!これとは話しは別だからすまない!」
「助けてくれよ~。友達だろ杏ちゃん」
「うむ!友の過ちを正すのも友の務めだ!」
「そういうじゃなくてぇ、て言うか何しにきたんだよ」
「母上の調子がだいぶよくなったので診察を頼もうとしたのだが仕方ないな!!」
「仕方なくねぇよ!!卸してくれぇ~」
「怒った胡蝶は怖いからな!これで失礼する!」
「杏寿郎ーーーー!!!カムバーーーック」
杏寿郎はスタスタと歩いていってしまう
「杏ちゃん!助けて!」
「杏寿郎ちゃん!!!」
「おい!杏寿郎このやろーーーー覚えとけよ!!!瑠火さんの下着こんど褌だけにしてやるからなーー!!覚えてろよーー!!」
その日の夜
黒雷は縁側に座るとカナヲが膝の上に座る
最近はこれが定位置になっていた
「さて、今日は何を弾こうか」
黒雷はギターを出す
「カナヲは何か希望はあるか?」
「なんでもいい」
「やれやれ」
黒雷はカナヲが来てから楽器を買い始めいろんな曲を歌っており、今では蝶屋敷でも人気である
「私は、今日は新しい曲がいいかなぁ」
カナエは黒雷の横に座る
「何がいいかなぁ」
黒雷はゆっくりと弾き始める。カナヲが寝るまで
「すぅ~、すぅ~」
「寝たわね」
「あぁ」
カナエは黒雷の肩に頭を乗せる
「どうした?俺の女になる気になったか?」
「それも悪くないわね」
「え?」
「ふふふ、どうしたの?」
「い、いや」
黒雷は空を見ながら頭をかく
「黒雷君の癖教えてあげる」
「癖?」
「私やしのぶをからかおうとして予想外の嬉しい返しをされると動揺して頭をかくの」
「・・・・・・はぁ、俺の敗けだ」
「ふふふ、私の勝ち。そうねぇ何をしてもらおうかしら」
「おいおい」
「口づけでもしてもらおうかしら」
カナエは黒雷と鼻がくっつきそうな程顔を近くする
「・・・・」
黒雷はカナエの腰に手を回すと
「また、私の勝ち」
カナエはするりと抜けて去ってしまう
「やられた」
カナヲを布団に寝かせる
屋根の上に黒雷は立っていた
「どうしたの?黒雷君?見廻りはいいの?」
「今日は月が綺麗だからサボってるんだ」
「そう」
「夜に飛ぶ蝶は更に美しいことだろうな」
「そんな蝶いるの?」
「俺の横にな」
黒雷はカナエを見る
「今日は改めて思ったよ。俺を惑わせる蝶に夢中になってしまったとね」
「・・・・・・」
「カナエ」
黒雷はカナエにゆっくりと顔を近づけるとカナエは目を閉じる
二人の口はゆっくり触れ合う
「っ!?」
そして、それを見てしまった
「し、しのぶ!?」
「しのぶ」
「や、やっぱり黒雷さんと姉さんは、ごめんなさい邪魔しちゃて」
しのぶは屋根から降りようとする
「待ちなさいしのぶ」
「何」
「貴女はそれで良いのですか?」
「いいって別に姉さんが幸せなら私は」
「なら、何故泣いているのですか」
月明かりに照らされるしのぶの目からは涙がこぼれていた
「泣いてない!」
「なら、もう黒雷君への思いは諦めるのですね。もし、諦めるのなら何も言うことはありません。その代わり節度を持った態度をとっていただきます。もう、身を寄せ会うことも許しません」
「最初から好きじゃない!」
「自分に嘘を付くことは許しません。それは貴女の本心ですか」
「くっ、好きよ!大好きよ!初めて私を認めてくれた人よ!嫌いな訳、ない。でも、姉さんも大好きだから」
「私もしのぶが大好き。だから私のせいで我慢してほしくないの、しのぶには幸せになってほしいから」
そう言いカナエはしのぶを抱き締める
「姉さん」
「さあ、しのぶ」
カナエは黒雷の方にしのぶを押す
「黒雷さん、私は!黒雷さんをお慕いしてます。」
そう言うと口づけをする
「お姉ちゃん、しのぶに負けないからね」
「私こそ!」
二人は笑顔で見詰めあっていると
「なぁ、間をとって両方じゃだめなの?」
ピキッ
「「黒雷君(さん)」」
ゲシッ
「あぁぁぁぉ」
二人に屋根から蹴り落とされる
「あらぁ~、痛そうやりすぎたかしら」
「いいのよ姉さん!それに姉さんは男を見る目がなさすぎる」
「まぁまぁ、そう言わずに。しのぶも同じ人を好きになったんだから」
二匹の美しい蝶が月の美しい空に舞っているのを地面に寝ながら黒雷は見ていた