「それじゃあ、行ってくるよ」
この家の長男、炭治郎が籠を背負い出ようとする
「どこに行くんだ?」
「うちは炭焼きの家系なんで、炭になる木を斬りに行くんですよ」
「なら、手伝おう」
「そんな、雷蔵さん。病み上がりなんですから」
「わからない。何故かここら辺の木なら簡単に斬れると感じるし、動かないとダメだって頭の中に響くんだ」
「わかりました」
黒雷は雷蔵と名付けられ竈門家でお世話になっていた。右目には大きい眼帯を着けて額から頬まで隠してる
「この木とか良さそうですね」
「わかった」シィィィィィ
だんっ!
炭治郎の前に雷が通り過ぎたかと思うと
ズズズズズドンッ!
木の一本が倒れる
「な、なんですか今の」
「できると分かっていた。体が覚えている」
雷蔵は炭治郎と木を集めていく、そして雷蔵は自分の身体の二倍近い高さまで木を積んで背負っていた
「雷蔵さん、凄いですね」
「まだまだ余裕だ」
「雷蔵さん、何してたんでしょうね」
「何だろうな、興味は今のところ無いけど」
「そうなんですか?」
「炭次郎達といるのが楽しいからな」
雷蔵は優しく笑うと炭治郎の頭をグシャグシャとなでる
「わっ!?」
「うりうり」
「や、止めてくださいよ」
炭治郎とじゃれていると
「きゃーーーーーっ!!!」
「行くぞ!炭次郎!」
「は、はい!」
悲鳴のもとに駆けつけるとそこには3メートル程の熊が炭治郎の妹の禰豆子と背負われている六太が教われそうになっており、禰豆子は腰を抜かし、六太は泣いている
「雷の呼吸壱ノ型」シィィィィィ
雷蔵は木をおろすと斧を脇に構え目を瞑る
「禰豆子!!!六太!!!」
「お兄ちゃーーーん!!!」
「ぐるあああああ!!!!!」
熊が遅い掛かる寸前
「霹靂一閃」
ドンッ!雷が落ちたような音が聞こえる
ドシャ
ズズン
三人は呆気にとられた。
音がした後、熊の脇には斧を脇に構えた状態の雷蔵がおり、熊は首が落ちると同時に崩れ落ちた
「ら、雷蔵さん?」
「禰豆子、無事か?」
「雷蔵さん!怖かった!!!!」
禰豆子は雷蔵に抱きつき泣き出す
「禰豆子!六太!良かった!無事だったか!」
炭治郎も二人を抱き寄せ泣き始める
「大丈夫だ。また来たら俺が守るから」
そう言い禰豆子と炭治郎の頭を撫でると、まだ抱き会いながら泣く二人から離れ、木を結んでいた紐をほどき熊の脚に結びつけると木に吊るす
「炭治郎、ゆっくり息を吸うんだ。お兄ちゃんなら常に冷静でいろ、弟達が怖がる」
「はい」
炭治郎は深呼吸を始める
「偉いぞお兄ちゃん」
「禰豆子、ゆっくり息を吸うんだ」
「えぐっ、えぐっ、すぅぅ」
「そうだ。よーし、よーし」
禰豆子を抱き絞めながら頭をポンポンとしながら落ち着かせる
「六太をかして」
禰豆子から六太を預かり
「炭治郎、禰豆子の様子を見てくれ」
「六太、大丈夫だぞ」
そう言い六太をあやし始める
三人が落ち着くまで暫くかかった
「さて、帰ろう。夜も遅くなった」
そう言い雷蔵は木と熊を背負うと炭治郎と禰豆子の手を握り歩きだす
家に着くと熊を見た炭治郎のお母さんが腰を抜かしてしまったのは御愛嬌である
「さて、今日は熊鍋だ。母さんと竹雄と花子が沢山山菜摘んできてくれたから豪華な鍋になったぞ」
「夫が死んでから山の中で不安だったけど雷蔵さんが一緒ならこれからも安心ね」
「奥さん、これくらいでしたらいくらでも、多分記憶を無くす前に武芸をかじっていたんでしょう。」
そう言い二人で話していると
「兄ちゃん兄ちゃん!これ俺が採ったんだぜ!」
「そうか!凄いな!」
「兄ちゃん兄ちゃん!こっちのキノコ私が採ったの」
「おお!美味しそうだな!」
「ねぇ兄ちゃん!あの熊どうしたの?」
「雷蔵さんがスパーって斧で首を斬ったんだ!凄く速かったんだぞ、まるで父さんみたいだったんだ」
「えぇ!嘘だ!そんなに風に斬れる分けない!」
「本当だって!なぁ禰豆子」
「え?えぇ、かっこよかったよ」
「あれ?姉ちゃん顔赤い!」
「真っ赤っか!」
「どうした禰豆子、熱あるのか?」
「な、なんでもない」
雷蔵は禰豆子の元にいき額をくっつける
「熱はないな」
「あ、あ、あ・・・・・・きゅぅ~/////」
「禰豆子?禰豆子!?死ぬなーーーーー!!!禰ーーー豆子ーーーー!!!」
「姉ちゃん!?」
「禰豆子!!!」
「真っ赤っか!」
炭治郎の母は騒がしい様子を見ながらため息をつく
「禰豆子は苦労するわねぇ」
結局夕食は禰豆子が復活してからであった
季節はうつろい冬が来る
空には満月が浮かびあたりを明るく照らす
「ふっ!ふっ!ふっ!」
雷蔵は上着と首巻きを近くの木に掛け、上半身裸の姿で自分で作った大木に持ち手を着けたような丸太を一心不乱に振り続ける
「寒くないの?こんな夜中に」
「ふっ!ふっ!禰豆子か・・・・・・不思議と雷の呼吸?かなそれを使ってさらに精度?でいいのかな、それを上げようとすると体温が熱くなるんだ、そして凄く調子が良くなる」
雷蔵からは大量の蒸気と汗がでていた
「何でそんなに鍛えるの?今でも充分つよいのに?」
「ふっ!ふっ!わからない。頭の中に響くんだ、もっと強くなれ、体を錆び付かせるな、一振りの刃と化すまで研鑽をやめるなってな・・・・・・・・こんな月の綺麗な日は夢を見る」
雷蔵は素振りをやめると月を見る
「夢?悲しい夢?」
「あぁ、満月の下で俺は大地に大の字で横になりながら月を眺めてるんだ。そして、空に二匹の美しい蝶が仲睦まじくヒラヒラと舞っている。俺は堪らなく愛おしくなり蝶に手を伸ばすが届かないんだ。必死に必死に伸ばしてやっと手が届きそうになると指の隙間からスルスルと抜けていく。やっとの思いで蝶に捕まえると蝶達は一瞬にして崩れさり俺の手の中には血塗れの少女がいる。そして夢は終わる」
「泣かないで」
禰豆子がそっと雷蔵を後ろから抱き締めると
「え?」
雷蔵が頬に触れると涙が頬をつたっていた
「大丈夫、雷蔵さんには私達がいるから。雷蔵さんはもう私達の家族だよ」
「禰豆子」
「だから、泣かないで。私は逃げたり居なくなったりしないから。だから、泣かないで」
雷蔵を禰豆子から離れ上着と首巻きをとる
「風邪ひくぞ」
禰豆子に首巻きを巻き上着を羽織らせると禰豆子を抱き寄せる
「ありがとう禰豆子」
「辛かったら言ってね」
「あぁ、ありがとう」
雷蔵は禰豆子と眼を合わせるとゆっくり顔を近付ける。
禰豆子はゆっくり目を閉じる
二人の口は息があたる程近くなり
そして
「・・・・・・クチュン!あっ//////」
「ふっ、冷えてきたな。帰ろう」
禰豆子のくしゃみで中断され雷蔵は笑いながら禰豆子の頭を撫でると肩を抱き寄せながら家に歩いていく
「可愛いくしゃみだったぞ?」
「もう!/////」
それからの雷蔵は炭治郎の仕事を手伝いながら、狩った獲物の毛皮を売ってお金を稼いで炭次郎達と穏やかな暮らしをしていた
楽しい日々はあっという間に過ぎていき、二人は街に炭と毛皮を売りに来ていた
「なぁ、炭治郎。これ禰豆子に似合うと思わないか?」
「ピンクの髪紐ですか?禰豆子も喜ぶと思いますよ」
「そっか、おばちゃん!これ一つ」
「はいよ!お兄ちゃん色男だねぇ、良い人への贈り物かい?」
「まぁ、そんなところだよ。・・・・・・その奥の品は?」
「あぁ、少し前に入った装飾品だよ見るかい?」
「頼む」
おばちゃんは雷蔵に箱を渡すと
「炭治郎は良い人はいないのかい?」
「そんな、いないよ」
「はっはっはっ!まぁ、炭治郎にはまだ早いか!でもあんた真面目だから、すぐに見つかるよ」
「ははは」
「さっ、お待たせ!頑張なよ兄ちゃん!」
「ありがとうおばちゃん、これも貰うよ」
二人は炭と毛皮を売ると家に帰る
夕食の片付けを終えると
「禰豆子、少し歩かないか?」
「ん?いいよ」
二人は月明かりの下をゆっくりと歩く
「雷蔵さんが居なくなって皆騒いでないかな?」
「炭治郎がいるから大丈夫だろ?」
「そんな事ないよ。皆雷蔵さんが大好きだから」
「それは嬉しいな」
「花子なんて雷蔵さんにベッタリで私にも雷蔵さんは私の旦那さんになるの!って言ってくるの」
「ふっ、可愛いじゃないか。それより、竹雄が心配だよ。この前俺と狩りに行きたいっていいだしてな。危ないからダメだって言ったのにこっそりついてきた」
「今度しっかりしからないと」
「禰豆子に励まして貰ったのも冬のこんな綺麗な月の下だったが気が付けばもう春だ。そうしてどんどん時がすぎるんだろうな」
二人は川のそばに来ると川の音を聞きながら近くに座って空を見上げる
「うん」
「禰豆子、これを受け取ってくれないか?」
「これは?」
禰豆子は袋の中から髪紐を出す
「ねぇ、着けて」
「あぁ」
禰豆子の髪に結ぶ
「どう?」
「似合っている」
禰豆子は嬉しそうに微笑むと袋から箱を出す
「指輪?」
「あまり高価では無いが」
そこには銀の指輪が一つ納められていた
「でも、これかなり高かったんじゃ」
雷蔵は禰豆子を真っ直ぐ見つめる
「毛皮と値が高い部位、特に熊の肝とかな、それに薬草を見つけたら採って売るようにして貯めていたんだよ。
禰豆子の笑顔が大好きだ。禰豆子が受け止めてくれたから夢や記憶が戻る不安から救われた。記憶は気になるが戻ったらこの家族といれないんじゃないかと思った。家族として受け入れてくれて嬉しかった・・・・俺は禰豆子と本物の家族になりたいと思うようになっていた。」
禰豆子の瞳からは涙がこぼれる
雷蔵は禰豆子の手を握り
「禰豆子・・・・・・元服を迎えたら俺の妻になってくれ」
「はい」
二人は口付けを交わす
「ねぇ、雷蔵さん。どうして指輪なの?」
「どっかで恋人に指輪を贈るのが婚約のしきたりだった気がするんだが」
「そうなんだ」
禰豆子は指輪をはめると眺める
「雷蔵さん、帰って皆に報告しよっ!」
禰豆子は立ち上がると口付けを求めてくるが、雷蔵は指でオデコを軽く押す
「冷えてきたからな。また、くしゃみをされて顔を唾と鼻水まみれにされるのはごめんだ。」
「むぅ~//////」
ドンッ!
「ぐはっ!?」
禰豆子は雷蔵の胸に頭突きをすると二人で地面に転がる
「意地悪」
「やんちゃなお嫁さんには意地悪よりお仕置きが必要なようだな」
「んむっ!?/////」
雷蔵は禰豆子に覆い被さると口付けをし口の中を舌で味わう
「覚悟しろよ?」
雷蔵は着物の下に手を滑らせ、禰豆子のまだまだ未熟過ぎる程の青い果実にゆっくり手を這わせる
「んっ/////・・・・優しくお仕置きして」
「そんなに可愛いく言われると優しくできないかもな」
二人が再度口付けを交わすと
『おーーーーい、禰ーーーーー豆子!!!雷蔵ーーーさーーん!!どこですかーーーーー!!!』
炭治郎や炭治郎の母が探しに来たのだ
「はぁ、はぁ、雷蔵さん」
「やれやれ、お仕置きはまた今度だな」
「うん」
二人は手を繋ぎながら歩き出す