リストラおじさん、ゴップになる   作:寒原光雪

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「赤い彗星」「青い巨星」「黒い三連星」のスター勢揃い回であります。


史上最大の作戦 Ⅱ

==== サイド2近海 U.C.0079 01.03 10:45

前方に展開するザク17機に対して501戦闘団の苦闘は続いていた。

戦死者こそいないが、G中隊のジェイド軍曹機、B中隊のウォーカー曹長機が被弾、後退して

いた。これでスコアは26:23だ。「一発頼むぜ、マックス…」とレイヤーが呟くと12本の光が

後方から伸びる。バーガー大尉の指揮するBM-02C 8機とBM-02D 4機による長距離狙撃だ。

 

ヨンム・カークス中尉が指揮するMS-05J 6機は本隊と戦う「首無し」にライフルを放ち射点変更

のためスラスターを噴射したところを12本のメガ粒子に襲われることになった。

4機は胴体を貫かれ爆散、1機は頭と右腕、脚を撃ち抜かれ、戦闘不能。

カークス機は偶然頭を下げたので直撃弾は無かったが、至近弾の粒子を浴びたモノアイは機能

停止、モニターがブラックアウトした。カークスは咄嗟に閃光弾(クラッカー)を放り、破損機を小脇に抱え

て離脱した。対艦ライフルは当然捨てて行った。

「クソっ!こっちにもビームがあれば…」と呟くカークスに、助けられた部下が「でも、ビーム

があっても05じゃ無理じゃないですかね…」と沈んだ声で答える。

噂の「重MS」は俺達に回ってくるだろうか、華々しい「切込み隊」を支援する「裏方」の哀しさ

を感じながらカークスは合流地点に急いだ。

 

「みんな、M中隊が満塁ホームラン(グランド・スラム)を打った!ついでに2機追っ払った。

もう鬱陶しい狙撃弾はこない。前方の敵を掃討するぞ!」とレイヤー少佐の激に『ホワイト・

ディンゴ』のメンバーから力強い声が返ってくる。特に隊員3人を失っているB中隊からはひと

きわ大きな声で「ジオンをブッ殺せ!!」と返ってきた。ベイトとモンシアが叫んでいるらしい。

バニング大尉は「B中隊8機未だ戦闘可能」と冷静に応答した。

 

(彼が一番悔しいだろうに…)レイヤーはバニングの心情を慮りながら「B中隊は敵の足元から

攻めてくれ、頭は俺達とG中隊で抑える」と指示を飛ばした。「了解!」とバニングは答え、

B中隊8機が敵編隊の下に潜り込もうと動く。

 

「4機喪失、2機離脱します。申しわけありません…」カークス中尉の報告を受けカスペンは

「よい、気に病むな。相手が悪かった。合流地点に急げ」と返した。カークス達が迂闊であった

とは思わない。ビーム兵装はほぼノータイムで標的を貫く。遠距離、それも遮蔽物を利用して

いたMSを探知し、捕捉した連邦MSのセンサー性能こそ恐るべきであろう。

やはり、「大砲付き」こそ最優先で叩かねば。これを放置すれば、ドズル閣下の艦隊は危機に

晒される。

 

しかし、「首無し」共の指揮官機は巧みに配下を動かし、MS-06Cの推力では容易に間を詰める

ことができず、ましてや突破など難しい状況だった。ここは奇策に依るべし。

カスペンは「全機、クラッカーを放て!」と命ずると、自らを隠蔽するかのようにクラッカーを

投げ、離脱を偽装した。部隊の約半数8機は実際に離脱する動きを見せる、「首無し」共はそれを

阻止しようとするが、その隙をついてカスペンを含めた9機が突撃し、囲みを突破した。

だが、咄嗟に振り返った「首無し」のビームにカスペンを含めた4機が被弾した。

 

「グッ…」ザクの右脇をビームが抉り、コックピットに警報が響く。カスペンの右腕の感触は

既に失われ、左腕一本で自機に回避機動を取らせる。それも、いかにも手傷を負い操縦がまま

ならないと()()()()だ。弱った筈の「灰色」が何本ものビームを回避するのに501 G中隊の

キリシマ少尉は苛立ちを露わにし、「シネ!死ねよや!死に損ないが!!」と通信機のスイッチを

入れたまま叫んでいた。

 

無傷の5機が戦闘宙域を離脱し、「大砲付き」に向かったのを確認したカスペンはまた、

クラッカーを放って離脱した。コックピットハッチを焦がしたザクが傍らに寄って指揮官を

庇う体勢を取る。「ドナヒュー少尉、大事ないか?貴官はラル中佐から借りた助っ人である。

無事に返さねば私の気がすまぬ」直接指揮する士官ではない、本来はランバ・ラルが直卒する

A集団所属の少尉を気遣うカスペン。

 

「ザクはあちこち傷んでおりますが、自分は無事です。回線の都合で音声なのはご容赦を」

ヴィッシュ・ドナヒューはヘルメットのバイザーにモニターの破片が突き刺さったまま、

指揮官に無事を報告した。

 

レイヤーの手元にあるG中隊9機とB中隊8機は逃げる素振りから取って返してきたザク8機

に手を焼いていた。敵は徹底的にレイヤー達の足止めを図り、機体のスラスターを狙撃しよう

とした。B中隊のモンシア准尉は「うわ!あぶねぇだろ!このヤロウ!」と慌てて襲い来る

銃弾を避け、避けきれないものはシールドで受けた。

レイヤーは後方のM中隊に退避を命じた。

結局、敵機はレイヤー達と距離を詰める動きは見せずに離脱していった。

離脱を確認したレイヤーは部隊を反転させ、M中隊を狙う敵機を追った。

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====「悔しいが、退避だ。今ならキャノンもライフルも持って帰れる」とM中隊指揮官

バーガー大尉の命令にB小隊第4小隊を率いるラドリー中尉が異を唱える。「敵は5機、

狙撃手は4機、Eパックもある、やれます!」「俺達『盾持ち』も居ますしね」両肩の

シールドをサブアームで持ち上げロフマン曹長機が任せとけ、というポーズをとる。

G中隊のブラッド中尉は「まだ、コロシ足りませんでねぇ…」と物騒なことを言った。

MSを下りた彼はすこぶる大人しい男なのだが、コックピットではこの調子である。

しかし、一種の演技なのか操縦や射撃は基本に沿った堅実なものだ。

 

助っ人達が逃げない、というのなら置き去りにはできない。バーガーは不法投棄された貨物船を

指差すと「あそこを狙撃ポイントにする。こっちもセンサーをリンクさせ支援するが、観測手

頼んだぞ」と命じるとロフマン機はサムズアップした。

 

アニッシュ・ロフマン曹長が駆るBM-02Gは周辺観測の為、モノアイを2つ追加し、トリプル・

アイとなっている。「どこだ、どこから来る…」と3つの目を動かしながら索敵する様は横に

いるラドリーから見ても相棒ながら気味が悪かった、まさに「怪物(ベム)」だ。

 

「いた!二手に分かれてやがる!」3機、2機で編隊を組み、接近するザクを発見し、データを

ラドリー機に送るBM-02G、ラドリー機は赤外線を阻害する偽装網(スナイパーベール)を被ったまま距離の近い方

の2機目掛けBR-L-78 ビームライフルを放つ。偽装網はメガ粒子の熱でチリチリと燃えるが、

これも偽装のうちだ。敵のIRセンサーを撹乱するのである。

列機カルモナ少尉機は敵機の右肩(シールドを外していた)を砕き、ラドリーの射撃は胴体を

貫いた。G中隊ブラッド中尉とイェーガー少尉のペアがもう1機を撃墜する。残るは3機。

 

後ろにいるバーガー大尉は「オラ!こっちだ!」と叫びながら両手に持った「自衛用」ボーワ

BF-M11 125mmサブマシンガンを乱射している。8機のBM-02Cは既にビームキャノンのエネ

ルギーを使い果たしていた。バーガー機は「こけおどし」の為、全弾曳光弾を装填している。

敵からはネズミ花火のように見えたかもしれない。

 

しかし、敵機は狙撃手から先に片付ける気か、資源衛星に移動したラドリー達を追ってくる。

振り向きざまにビームを放つラドリー達4機の射撃に1機が左脚を貫かれ、進路を外れ近くのデブリ

に激突し爆散する。2機は回避し、さらに接近する。もうマシンガンの射程に入ったのか、

連射しながら迫ってきた。

 

「チッ!!」ロフマン機がラドリー機の前方に位置取り、敵弾を2枚のシールドで受ける。

シールドに貼られたERAが爆ぜる。ロフマンはお返しとばかりに右手のビームピストル

ヤシマ YB-P78と左手のBF-M11サブマシンガンを撃ちまくる。ザクは体中に穴を開けられ、

ロフマン達の頭上を通り過ぎて火球となった。最後の1機は離脱しようとした所をクマル

軍曹機が撃墜した。

 

バーガー大尉は「最後は少しヒヤヒヤしたがなんとか切り抜けたな…」と指揮下の12機に

声をかけ、母艦への帰還コースを取った。

 

M中隊が切り抜けたことを自機のセンサーが捉えるとレイヤー少佐は胸を撫で下ろした。

「おそらくB中隊のラドリーが仇討ちを言い出したんだろう…」真面目な中尉が戦友愛に溢れた

男なのを知るレイヤーはそう推測した。

 

バーガーは帰還後、レイヤーに「命令に背き、申しわけありません!」と大声で詫び、自主的に

腕立てを始めた。残りの11人も続いて腕立てを始める。レイヤーは肩を竦めながら「もう、いい。

さっさと汗を流してこい。バーガー大尉はシャワー浴びたら俺の部屋に」と解散させた。

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====サイド2近海 U.C.0079 01.03 10:48

 

第二特別強襲大隊長、ノリス・パッカード中佐は『フェンリル』隊を率いるシュマイザー少佐から

の報告を切れ切れになるレーザー通信で聞いていた。敵の「モドキ」はザクマシンガンの一連射に

耐えるという。『ヴィゾーヴニル』隊18機はサイド2至近で待ち伏せに遭い、さらには撤退中、

遠距離からのビームで全滅したそうだ。『フェンリル』隊は1機を失うも、合流地点が襲撃される

恐れから急行している、という。

 

あの、若い大尉が暴走したのであろう。シュマイザーには貧乏くじを引かせてしまった。

シュマイザーとの通信を終了した直後、「航空艦隊襲撃さる」の一報を受けた。母艦で補給して

の反復攻撃は不可能となった。それより、艦隊主力が襲われる可能性が高い。

 

ノリスはガイア大尉率いる『フレースヴェルグ』隊に「貴官らはレビルの旗艦を捜索、

撃滅せよ」と命じた。ガイアは「了解であります!」と威勢よく応答し、3機の黒いMS-06Rが

背部の大型スラスターを吹かして飛び去った。残りの15機は3機小隊を組んだまま後を追う。

 

「『マーナガルム』隊は自分に付いてこい、艦隊主力を狙う敵編隊の側背を突くぞ!」と命じる。

赤いザクが「合点承知!」と応答する。横の大型モノアイを光らせたMS-06が「ヤクザムービー

じゃねぇんだぞ、ジョニー」と肩を竦める。ノリスは(流石は7師の精鋭、緊張はしておらぬか)

とニヤリとし、ドズルの指揮する艦隊の方向へと転進した。

 

ノリス・パッカード中佐が乗るMS-06は彼の『主君』ギニアス・サハリン技術大佐がてづから

改造した機体で非公式ながら「MS-06D」なる形式番号を与えられていた。

機体各部の装甲の形状を単純化し、防護性能を向上させ、背部のスラスターを30%出力の大きい物

に変更、右肩のシールドを排し、左腕に小ぶりな盾を装着している。軽量化の為、肩のアーマーを

外していた。さらに指揮官機として通信機能を強化、頭に2本のアンテナが立っており、ライデン

中尉は「ウサギみたいなザクですな」と言い、ノリスは絵心のある兵に牙を剥き出す兎を愛機の盾

に描かせた。

 

「『ヴォーパルバニー』より各機、隊を二つに分ける。ライデン中尉、貴官は9機を率いて敵を

捜索、発見したら一撃の後、派手に動いて足止めを頼む」

「サハリン家の兵は自分に続け、こちらが先に敵を捕捉するつもりで索敵しろ」

赤いザクは敬礼し、8機を引き連れ飛び去った。

ノリス率いるサハリン家に「恩のある」8人は綺麗な編隊を組んでMS-06Dの後をついてくる。

 

先に「敵編隊」を発見したのは『サハリン』隊だった。彼は自機の通信機能をフル活用し、

ライデン隊に加えて艦隊主力にもレーザーや電波で「敵集団」と呼ぶべき70機程の新型らしいMS

と見慣れぬ機体の特徴を味方に通報する。

 

「あれは…MA(モビルアーマー)ではないか!?」一見、突撃艇に見える機体だが、スラスターの推力や

機体中央に生えたメガ粒子砲らしき兵装からMAと推定した。

「連邦がMAを大量投入しておったとは…」彼の主君ギニアス・サハリン准将はMSを越える火力と

機動力を備える新兵器『モビルアーマー』をMIP社と共同で開発しており、実用一号機、MA-04X

『ザクレロ』は既にソロモンで試験飛行が行われていた。

 

「敵は30機近いMAだ。アレをドズル閣下の所へ行かせてはならん!ビーム兵器に留意しつつ

仕掛けるぞ!」ノリスは後に続く8機に告げる。8機は2、3、3に別れ2がノリスの後ろに付いた。

ノリスは配下の練度に満足するが、(こやつらを一兵なりとも損なう訳にはいかぬ…)

と主家が公国で生き残っていくには彼らが必要なのだ、という思いを強くした。

 

『MA』はMSよりセンサー性能に優れるのか、既にこちらに向かって空戦機動を見せながら

向かってくる。「総員警戒!ビームが来るぞ!」ノリスは怒鳴る。果たしてMAの主砲から

は光線が発せられるが、砲身の向きを見極めているノリス隊9機は26本の光線を回避、

すれ違いざま、敵側面のスタスターと思しき箇所にマシンガンを叩き込む。1発や2発を弾いた

敵装甲もザク2機から10数発撃ち込まれると火を吹き、4機がコースを外れ火の玉になった。

 

ノリスはすれ違いざま、左腕の盾に仕込んだ擲弾筒から175mm擲弾を発射、『月面戦車』の

砲弾を転用した擲弾はMAのコックピットブロックを破壊し、ノリスとすれ違った直後爆散した。

 

「一航過で5機やられた、だと…」今度こそ604戦闘団フェデリコ・ツァリアーノ中佐は

冷や汗を流した。「404は離脱!合流ポイントで待て。独力で艦隊に仕掛けるな!直掩のザクに

食われるぞ!」即座にGW部隊を逃した。次に604を集合させ、伏兵を警戒しながら、中隊ごと

に「隊列を組んで」の統制射撃を命じた。

 

「『首無し』共、余程頑丈なのか回避機動を取らんらしい…」手にしているのは恐らくはビーム

兵装だろう。だが、砲身形状に気をつければ躱せない訳ではない、ノリスを部下達に回避機動を

取らせ連邦の『新型機』に接近した。敵の数は50機を越えるようだ。一航過かけたところで

ライデン隊が間に合えばよいが…

 

敵編隊、はおそらく中隊、12機で隊列を組み、3機小隊に12機の割り当てでビームを放った。

目立つノリス機には26機がビームを放つ。しかも、時間差をつけて、だ。

初撃は躱せたものの、数秒おいた2撃目でノリス隊は3機を失った。「データリンクして

統制射撃だと!?」主君が可能性の話、としてノリスに解説した戦術を敵が再現したことに

ノリス・パッカードは連邦の底知れなさに背中を冷たいものが流れるのを感じた。

 

「全機、散開!! いいか、距離を保つんだ。斧を食らえばベムでも持たんぞ!」52機の

統制射撃でも仕留めきれなかった敵は余程の手練だ。まさか501のように「ハンター・キラー」

をやる奴がジオンにもいたとは。ツァリアーノは額に冷や汗をかきながら、残る6機を追い込む

戦術機動を指示した。(まだ、いるはずだ…)こんなことならBM-02E『ビッグ・アイ』を

連れてくればよかった。まさか艦艇は見逃すまい、と攻撃力を優先したのが裏目となった。

 

ジョニー・ライデンはパッカード大隊長の通信を受信するや、レーザーの方向へ最大戦速で

移動していた。「ジャコ!お前らスナイパーは後からこい!」「悪いな、なるべく早く行く」

大型のライフル、ASR-78より大口径の、を備えた3機を残し、さらにスラスターを吹かす

赤いMS-06Cと5機の同型機。

数分後、うまい具合に敵の6時方向から近づけたようだ。

「騎兵隊、見参!!」マシンガンを連射しながらジョニーは通信機に怒鳴った。

 

ノリスは「騎兵隊、見参!!」の掛け声を共に『首無し』の背後から襲いかかるライデン隊6機

を視認し、希望が湧くのを感じた。あくまで麦わらほどのか細い希望だったが。

数の差、さらに性能差がありすぎる。部下達のザクマシンガンでは「首無し」は落とせない。

ヒートホークの間合いには中々入れそうにない上に敵も左手に短い剣を握っており、白兵戦に

持ち込めても易易とは討ち取れまい。程よい所で離脱する他なさそうだった。つい先程までは

この場でサハリン隊6機とも玉砕するつもりだったが、生還の見込みが出てきた。

 

ジョニーは初撃で「首無し」の推進機に直撃弾を与え、撃墜していた。流石に2撃目以降は

回避されるか、盾で防がれたが。「なんて頑丈さだ!」ザクマシンガンの120mmを数発くらった

程度では無傷に見える「首無し」にジョニーはその姿かたちと共に不気味さを感じた。

 

しかも、手にしている「ビーム銃」は必殺の威力だ。大隊長のアドバイスで敵が向ける銃口に

注意して1対1なら躱せる自信があったが、多方向から一度に狙われたら、正直自信がない。

直後、アンガス軍曹機が悲鳴を上げる間もなく爆散した。4方向から狙われたのだ。

「こりゃあ、分が悪すぎる賭けだな…」ジョニー・ライデンは乾いた唇を舐めながら不敵に

微笑んだ。

 

そのちょうど1分後、ライデン機を包囲する機動を取っていた「首無し」の1機が右肩を砕かれる。

「ジャコ!!助かった!」ライデンは『相棒』ジャコビアス・ノード少尉に礼をいった。

「遅くなった!アンガスは?」「ああ、即死だ。苦しまなかったろう」

「仇討ちといきたいが、俺のライフルでも正面装甲は無理だな」狙撃手である相棒は敵の力を

冷静に分析する。「高機動型でもありゃ、チャンバラに持ち込めるんだがな」敵の光線を避け

ながら愚痴るジョニー。ノード少尉はもう1機の右肩を砕きながら「あんなイカれた機体が

量産できるかよ。それより新型機だ、『重MS』だよ。ビームが撃てるらしい」と情報通な

所を見せた。右肩を砕かれた敵機が実弾ライフルを連射するのを回避しながら、である。

 

604 U中隊長、カジマ大尉は「赤いのを止める。援護しろ」と今日初めてハンドサインではなく

口に出して命令した。

「あ~れま!ユウったら余裕ないじゃないのよ!」とおどけた声で応答しつつヒューズ少尉機が

「赤いの」目掛けビームを放つ。小隊員3機が微妙にタイミングをずらして赤いザクにビームを

撃った。キルマー中尉率いる第3小隊4機は邪魔な長物を持つ「目ン玉」を狙った。

カジマ大尉率いる中隊本部小隊4機は「赤いの」にビームを放ちつつ迫る。いずれも左手には

ヒートマチェットを白熱化させて格闘戦に備えていた。

 

「クソっ!!」ノード少尉機は敵のビームで得物である155mmライフルを失った。

ダークウェブのモールで仕入れた連邦の155mm砲とその砲弾をMS用に改造した()()()

失い普段は冷静な彼が激昂している。が、その一瞬後サブウェポンの90mm短機関銃ZMP-90

を撃ちながら、小隊員に後退を指示する。だが、時遅く1機が光条に貫かれた。

「ッッ!熱くなった報いか…」ジャコビアス・ノードはこの体験を生涯の教訓とした。

狙撃手が熱くなれば死が待っている自分の、相棒の、部下の死だ。周りがいくら熱くなっても

自分だけはクールでいなきゃならない。

生き残った小隊員にライフルの投棄を命じると、放られた彼の155mmを短機関銃で破壊し、

その爆発に紛れノード小隊は後退する。

 

「ジャコ!!」ジョニー・ライデンは相棒を狙ったビームが起こした爆発に咄嗟に後ろを

見やった。ノードは無事なようだ。だが、ジョニーにもビームは殺到し、またも時間差を付けた

射撃にエルデ軍曹機が爆散する。最年少の部下を失った感慨に浸る間もなく赤いザクに

蒼く塗られた「首無し」が間を詰めてきた。「向こうから近づいて来やがった!」ジョニー

は復讐の機会に目を剥いてヒートホークを抜く。「蒼い奴」はビームを連射し、ジョニーの

逃げ道を塞ぐと手に持ったズングリした刃物を振り下ろした。

プラズマの輝きと共に斧と山刀が切り結ぶ。融合炉の出力の差か斧の刃に山刀の刃が食い

込んだ。ジョニーは咄嗟に右手の指に装備したプラズマトーチを「首無し」のモノアイに向け、

機体を降下させた。赤いザクは左腕と引き換えに敵隊長機のセンサーを潰すことが出来た。

咄嗟にマシンガンを手放し丸腰となってしまったが。ジョニーはクラッカーを放ると離脱した。

 

ライデン隊は不意を突き1機を撃墜、何機かを損傷させたようだが、3機を集中射で失った。

しかも、既に離脱している。

サハリン隊も2機を失い、既に自機を含め4機を残すのみ、ノリスは目前の機体を残った擲弾筒

で仕留めると、「全機クラッカー放出!離脱する!」と命じた。

 

クラッカーの閃光に紛れ、置き土産とばかりに手近な敵機に実体剣、タングステン合金で

作られた黄金より貴重な宝剣、で自機の速度を乗せて斬りつけた。

ガツン!!と強烈な手応えがあるが、両手で保持していた為、剣を取り落とすことはない。

敵機は頭を割られ、センサーが死んだようだ。後ろから狙撃される心配はなくなった。

 

ノリスは「この敗戦」をなんとしても主君に伝えなくては、と決意し恥に耐えることにした。

「ギニアス様の技術を持ってすれば、憎き『首無し』共を退治する術を用意してくれよう」

ノリスは後続するザクに語りかける。生き残ったサハリン隊各機は賛意を示した。

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====サイド2近海 『連合艦隊』集結地点 U.C.0079 01.03 10:55

 

「私が一番乗りのようだな」シャア・アズナブル中尉は仮面の下でほくそ笑んだ。

既に『ニーズヘッグ』中隊15機を置き去りにし、彼と少し遅れて2機の列機だけが敵の艦隊を

補足できるここまでこれた。

 

「ブラウン!マイヤー!私から仕掛ける! 以前言ったことは忘れていまいな?」

「「「一撃離脱!隊長が二撃目!自分達も二撃目を放って離脱!」」

「宜しい…。貴様らは私の最初の部下だ。無駄に死ぬことは許可せんぞ」

「「はっ!!」」

 

赤いMS-06Sは正に流れ星のように尾を引き、連邦艦隊に突撃した。

小柄な艦、駆逐艦だろう、が前方に立ちはだかりVLSから対空ミサイルを吐き出す。

赤いザクは回避せず、左手に持った通常のザクマシンガンM-120A1を連射し、迎撃した。

マガジンは『誘導弾』対策に全て散弾を装填していた。「マイ中尉のアドバイスが役に立った」

「あくまで可能性の話ですが…」と誘導弾の存在を予言した技術士官をシャアは大望成就に欠か

せぬピースなのではないか、と思う。少なくとも人格は親玉の片眼鏡より余程アテになる。

シャアは愛機の右手に持たせた「専用マシンガン」M-120Cを一連射し、駆逐艦をへし折った。

 

駆逐艦を排除すると今度は直掩機が立ちはだかる。「バム」とかいうMS-03コピー機が4機だ。

余り練度は高くなく、足を止めて小銃を連射している。

赤いザクは最小限の動きで敵弾を回避すると、左手から散弾を放ち、敵機4機の胴体に貼られた

「レンガ」を剥がした。

 

「やはり、ERAか…」またしてもマイの予言は的中した。彼は他のサイドを襲撃した『コロニー

制圧部隊』の「悲鳴」を傍受し、連邦が対空誘導弾と爆発反応装甲(ERA)を使っている可能性

をシャアに話し、対策を講じた。

「あのオールバック、ただの『お人好し』では断じてないな」シャアは独白する。

 

身を護る鎧である胴体の「レンガ」を砕かれたバムは相変わらず回避機動も取らず、銃を乱射して

いる。(彼奴ら、「回避できない」のではなく「回避するつもりが無い」?)シャアは目前の敵が

不慣れなのではなく、蛮勇の持ち主なのでは、と一瞬思うが、「ならばよし!」とM-120Cを

連射する。3機が爆散し、残った1機も小銃を持った右腕を失っていた。

シャアは無線機を入れ「1機食い残した!貴様ら食って良し!」と列機に怒鳴った。

 

赤い、両肩に棘を生やしたMS-06Sはサラミス級を射程に捉え、両手のマシンガンを叩き込む、

装甲の薄い巡洋艦は砲塔を散弾で破壊され、120Cの放った侵徹体にブリッジをへし折られる。

「バズーカは弾が少ない。小物には節約せねばな…」サラミスの砲塔を踏み潰すと、赤いザクは

次の獲物、戦艦目指して飛んだ。

 

マシンガンを腰に収め、バズーカを構える赤いザク。正に弾雨といえる対空砲火が網を張るが、

易易とすり抜け、マゼラン級の後方に位置取ると機関部に向け必殺のロケット弾を放つ。

タンデムHEATに装甲を抉られ熱核ロケットの中で徹甲榴弾が弾け、戦艦は炎の球と化した。

「まず一隻」シャアは戦艦をのみ標的としているらしい。巡洋艦と駆逐艦、MSはついでの駄賃

程度の認識であった。

 

第四艦隊旗艦『ヤヌス』のCICに「敵MS!色は赤です!!」という悲鳴にも似た報告が響く。

「悲鳴」の主である戦術オペレーター、ビク・ハボクック中尉は転生者であった。

それだけに艦隊を襲った「赤いザク」が恐るべき敵であることを()()()()()

()()()MSや対MS防空艦があるのに『赤い彗星』を防ぐことは不可能だった。

「狼狽えるな!いくら速くとも光より速い訳ではないぞ!直掩のベムを回せ!第一艦隊にMS警報

を発せよ!」艦隊司令エルラン中将が一喝するが、転生者が多い艦隊幕僚の動揺を抑えることが

できない。実のところ、エルラン自身も提督席の肘掛けを握りしめていた。

 

シャアは傍受した通信に度々現れる敵の「首無し」が阻止線を張ろうと動くのを視認しながら、

「なんと醜い姿だ…」と吐き捨てていた。人間に近いが、明らかに人間ではないフォルムは彼に

生理的な嫌悪感を与えた。ビームを回避しながらバズーカを背中のラックに戻し、再びマシンガン

を両手に構え、散弾と徹甲弾をお見舞いする。散弾で不気味に動くモノアイを破壊された「怪物」

は途端に動きが悪くなる。

 

実はBM-02『ベム』の弱点こそ、多くの搭乗員が頼るオート回避モードのバグ(あるいは仕様)

であった。観測データを機体システムに提供するモノアイが破壊されると、回避機動が大幅に

制限されるのだ。元々は編隊時に味方との接触事故を防ぐ機構であり、モノアイを破壊された

機体は退避するよう戦術教本には書いてあるが、今、この場においては全く適当ではなかった。

最も、オートに頼らない熟練搭乗員なら話は別であるが。

 

「目玉が急所か…」シャアは眼前の「怪物」の攻略法を見つけると頭部を散弾で撃ち、動きが

鈍ったところで胴体のレンガを弾き、胴体に徹甲弾を3点射、まだ動くのでもう3発撃ち込むと

やっと爆散した。彼は同じような段取りで「怪物」3機を撃墜、1機を撤退させた。

 

「『首無し』はまず頭を狙え!目玉を射抜けばビームも当たらん!」通信機に怒鳴るシャア。

ブラウンとマイヤーは通信を傍受して、内心で敵の「首無し」を無敵の妖怪のように恐れて

いたので、攻略法を教えられると途端に元気を取り戻した。

後方で敵直掩機と列機が戦い始めたようだ。この混乱を利用しよう。

 

バズーカの砲身に装填された1発と弾倉の4発を全て戦艦への攻撃に使い、既にシャアはマゼラン級

5隻を撃沈していた。デッドウェイトとなった『専用』バズーカを放り投げると、赤いザクは

マシンガンを手近な巡洋艦のブリッジ目掛けて放ち、構造物を破壊する。指揮系統を破壊された

サラミスは炎上しながら流れていった。「引き上げだ!!」シャアは列機に離脱を指示する。

他の者達なら「まだやれます!」と抗命するところだが、ブラウンとマイヤーは素直に

「「はっ!」」と応答し、後をついてきた。

 

「最初に言った『二撃目』が叶わず貴様らには悪いことをした」小隊長の謝罪に2機は首を

イカれそうな勢いで左右に振った。

「バズーカの弾体があそこまで嵩張らねばもう一航過できたのだがな…」現状の敵艦にはあの

弾体は威力過剰に思えた。あのような対艦ミサイルめいた物が必要となる巨艦が現れる、と

技術本部は予測しているのだろうか。

 

シャア小隊に遅れること10分後、第四艦隊を捕捉した『ニーズヘッグ』中隊は待ち構えていた

連邦艦隊の防空陣と直掩MSの前に10機を失い、生還できたのはデニム軍曹ら古参下士官5名

だけであった。

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====サイド2近海 『連合艦隊』集結地点 U.C.0079 01.03 10:58

 

「こちらが本陣か…」第一特別強襲大隊長 ランバ・ラル中佐が直卒する『スレイプニル』中隊は

連邦軍第一艦隊の至近まで辿り着いた。この艦隊の旗艦、巨竜の頭を潰せば後はドズル中将の艦隊

が決着を付けてくれるだろう。

 

この少し前、第一特別強襲大隊A集団(アー・グルッペ)は二つの艦隊のいずれかに居る筈の総旗艦を討つため、

部隊を分け進撃した。分派した『ニーズヘッグ』中隊が先に仕掛けたらしい。

彼らの攻撃を受けた敵は大混乱に叩き込まれ、中には平文で喚く通信まであってラルは敵の怯えを

見て取った。その混乱した敵の通信は頭上の艦隊に宛てたものであり、こちらが本隊である、と

断定するに至ったのである。

 

「各機、大物狙いでいけ。MSはなるべく相手をせず、我らは艦艇のみを狙うぞ!」と指示を

出すと、クランプ少尉が「フネは報奨金が違いますからなぁ」と叩き上げらしく、指揮官が

言いにくいことを言い、下を鼓舞する。

 

士官パイロットが多い『ニーズヘッグ』に対し、『スレイプニル』には若い下士パイロットばかり

である。大隊長としてはバランスを取るのが望ましいが、直卒する兵は生死を共にするのだから、

と気の合う者を優先的に取ってきたらこうなった。

そのため、小隊長クラスはクランプ少尉とアコース、コズン両曹長しかいない。部隊をさらに

分けるなら半分の9機はクランプが指揮することになるだろう。

(ドナヒューを助っ人に貸し出すのではなかったな…)ラルは脇にいるワシヤ中尉機を見て思う。

 

この「軽い」青年士官は言動からか『スレイプニル』の下士官パイロットからの尊敬を勝ちえず、

今でも「お客さん」扱いだった。次席指揮官カスペン中佐のたっての希望でドナヒュー少尉と

トレードするような形になったが、カスペンもワシヤに馴染めなかったのではないだろうか。

それより、ワシヤにはない、ドナヒューの指揮能力が欲しかったのか。

 

ワシヤは指揮能力はともかく、操縦の腕前()()は秀でており、中隊でもラルに次ぐ腕前だった。

そういう訳でラルは彼を傍らに置き、中隊の『予備兵力』として使うつもりだった。

この軽い男は単騎の方がいきいきとするからである。

「いやぁ、腕が鳴りますねぇ大隊長!」ラルの思惑を知ってか知らずか無邪気にテンションを

上げるワシヤ中尉。

ラルは返事をせず、自身の乗る青いM()S()-()0()6()の指を突き上げ「吶喊!!」と号令した。

 

「うおぉぉぉぉ!!」と鬨の声を上げ頭上の敵へ突っ込む中隊各機。「モドキ」12機からなる

MS中隊を突破し、厄介な「首無し」の編隊は多めに持ってきたクラッカーで幻惑し、戦闘を

回避した。『スレイプニル』隊18機は1機も欠けることなく敵艦を射程に捉えた。

 

「いいか!駆逐艦や巡洋艦はマシンガンで始末せよ。バズーカ、特に核弾頭は戦艦にのみ使う

のだ!」「雑魚に使っちゃ大赤字ですしな。ウチの国は貧乏なんだから」コズン曹長の軽口に

笑いが起きる。隊の多くはラルが「グレて」バーの用心棒をしていた時知り合った者ばかりだ。

皆あまり「いいとこの出」ではない。それだけに祖国の窮状を理解していた。

 

(これはこやつらを()()()()()()ための戦争でもある)ラル中佐は正規の軍人という

より傭兵隊の隊長のような佇まいの人物だった。その辺がカスペンや彼と親しいガトー中尉の

ような「貴族的な」士官とはしっくりこなかった原因だろう。

ドナヒューを寄越せ、と言ってきたのは真面目な彼が「傭兵共」に染まらぬよう、という

カスペンの善意だったのでは、というは僻みであろうか。ランバ・ラルは苦笑すると、

サラミスのVLSに向け銃弾を放つ。ミサイルが誘爆し、巡洋艦は艦首が切断され、炎に包まれた。

 

遂に戦艦の隊列まで辿り着いた。ラルは発射に手間のかかる核弾頭から使うことにし、手近な

戦艦に狙いを定めた。核の威力ならば、急所に当てずとも沈めることができる。もっとも、各機

1発しか持っていないが。自機が巻き込まれるのを恐れてか、核弾頭は4隻の戦艦を沈めるに

留まった。不発弾も数発あったが、直掩らしいMSが盾となって戦艦を守り火球に飲み込まれたの

で、敵を褒めるべきなのかも知れない。

 

さらに距離を詰め、今度は通常弾で戦艦を仕留める。ラルは小隊3機ごとに1隻を襲撃するよう

指導してきたが、部下達はそれを忠実に守り、4隻を撃沈、2隻を大破させた。

引き換えに部下を2名失ったが。「ステッチとボビンです…」クランプが報告する。

敵直掩MSは対空砲火に誤射されるのも厭わず戦艦周辺に控えていたらしい、そいつらに腹を

ナタで斬られたのだという。

 

少しラル達から離れた所で「警戒」していたワシヤ中尉が「大隊長!敵MS編隊、20以上

います!!」と警告してきた。「役に立つではないか…」と呟くとラルは「離脱する!

ありったけのクラッカーを投げろ!」と指令、離脱を図った。

 

ビームを放ちながら『スレイプニル』隊を追撃する「首無し」編隊に向かってロケット弾が飛び、

時限信管なのか、数秒後、一際大きな火の玉になった。「首無し」4機がこれに飲み込まれた。

 

「隊長達の襲撃に見とれてたら核弾頭使うの忘れてまして…テヘヘ」モニターで照れ笑いを浮かべる

ワシヤ中尉に(此奴、意外と大物なのでは?)と思うラル中佐だった。

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====サイド2近海 『連合艦隊』集結地点 U.C.0079 01.03 11:00

 

「あぁ、クソ!『赤いヤツ』が一番槍じゃねぇか!」オルテガが悪態をつく。

「まぁ、待て。俺達が『連合艦隊』とかの総旗艦、レビルが乗ったフネを沈めればチャラ

どころかお釣りがくるぞ」ガイアは敵総旗艦こそが価値ある標的であるという。

「だけどよぉ、ゴールの前には随分とディフェンダーがたむろしてやがるぜ」とマッシュ。

ガイアは「知れたことよ、突破だ!」と叫び脚部の非常用ブースターを煌めかせて突撃する。

彼も味方の通信を聞いていたのでマシンガンには散弾を装填したマガジンを装着している。

 

「俺がレンガを砕く、マッシュはそこを狙撃、オルテガはレンガごと叩き斬れ」と指示を

出し、マシンガンを眼前の「モドキ」に放つ。胴体の装甲を無くし、狼狽する「モドキ」

を対艦ライフルの徹甲弾が貫き、敵は爆散する。「へへっ、美味しいとこを貰って悪りぃな」と

マッシュが笑うが「俺は旗艦をやれればいい、後は全部お前らが持ってけ」とガイアが小隊長

らしいことを言った。

 

オルテガが「くらえ!ロケット!アーックスぅ!」と怒鳴りながら「モドキ」を頭の天辺から

胴体まで叩き斬った。彼の使う特製ヒートホークはその巨大な刀身に加速用ブースターを備えた

代物で、並の機体と乗り手なら斧に振り回されることだろう。オルテガの技量と腕部アクチュ

エーターを強化したMS-06Rが運用を可能とする『特殊格闘兵装』である。

途中、サラミス級4隻の戦隊と遭遇戦になるが、ガイアが誘導弾を迎撃、マッシュがブリッジを

狙撃、オルテガがトドメ、という段取りで4隻を沈めた。

 

先頭を行く、ガイア機のセンサーが異様な塗装の「首無し」を捉えた。

全身真っ黒、自分達より黒い、のと、盾に狼男を描き機体に文字を大書した「イキった」機体だ。

ガイアは「連邦にも生きの良いのがいるじゃねぇか」と舌なめずりした。

 




開戦2本目をお送りしました。
ネームドキャラばっかりの回でしたが、なんか書いてて楽しいですねこういう回。
ランバ隊だけ有為に損害が少ないのは指揮能力というよりMSとの戦闘を避けてきたから、と設定しています。

次回は「黒い三連星」対「アムロよりスコアの多い男」&「ジェヴォーダンの野獣」ペア
の一戦をお送りします。
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