陸戦なのでより「残酷な描写」になります。
====月面 グラナダ市 U.C.0079 01.03 08:00
作戦名『ディアーナ』月面都市グラナダの武力占領作戦である。
既に政治的影響下に置いている都市を占領し、実効支配しようというのである。
ラテン語で「月の女神」を意味する作戦名はキシリア・ザビを「月の女王」に、という突撃機動軍
幹部の意思の表れでもあった。
「私も舐められたものだ…」キシリア・ザビ少将はアンダーシャツと一体化したマスク、という
彼女の
(「月の女神」だと。そんな見え透いた追従で浮かれるのはティーンの小娘だけだ。あの者達には
まだ、私がハイスクールに通う小娘に見えているのか…)
「独立革命」の一コマ、U.C.0059 ムンゾ大学のキャンパスで睨み合う当時学長だった父デギンと
FBI捜査官の間に幼い彼女がとことこ歩いて来て、それをきっかけにキャンパス内で銃撃戦に
なった。父は幼い彼女を小脇に抱えながら捜査官を射殺し、ギレン兄やサスロ兄も狙撃で父を
援護したらしい。そんな話を何回も彼女に聞かせる父や兄達の「元同志」達を正直彼女は嫌い
抜いていた。
(今でも私を何の事情も分からず、鉄火場に迷い込んだ小娘と思ってか)当時の記憶は殆どない。
急に父が自分を抱えながら地面に転がったこと。後でサスロ兄にこっぴどく叱られ、おしおきに
腕をつねられたこと、くらいしか憶えいていない。
だが、今の自分は違う。『突撃機動軍』という月面を、宇宙最大の経済圏を征服する遠征軍の
総司令なのである。
月面はスペースコロニー建設の資源発掘、資材生産と建設機械を生産する拠点として開発が進み、
住人も「宇宙開拓時代」を夢見て志願して移民してきた各種工学の専門家やテクノクラート達
でコロニーに住む強制移民達とは違う、という自負があった。連邦政府も「分割して統治せよ」
の方針で
もっとも、月全体でも人口7000万まで減少したニホンより評議員の数は少なかったが。
だが、その経済力はアナハイム・エレクトロニクスを筆頭に各サイドや地球にも製品を輸出する
企業グループが存在し、ジオン公国、その前身の共和国時代から月財界とは繋がりがあった。
独立の黒幕、と言ってもいい。
それだけに、占領には政治、経済に通じた者でなくてはならない。軍事一辺倒のドズルにはとても
できない仕事だ。キシリアはグラナダ占領初期には同時に攻略する諸都市を含め硬軟の「軟」に
比重を置いた政策を採ることにした。既に去年の段階でグラナダ財界に自分の政策を明かし、
支持を得ていた。AE.なぞグラナダ事業部を独立させ、公国公社とサイド6に籍を置くダミー
会社との合弁企業にする、と返事してきた。つまり、グラナダでMSを生産できる。
ジオニックはMS-06のライセンス生産に同意、ツイマッドは強気に出ていたが、何ならグラナダ
事業部が看板を付け替えた新会社に新型MSを開発させればいいのだ。
ドズルが破壊するであろう、各サイドの難民も月で受け入れるつもりだった。彼らに空気と水、
食料とエネルギーを与え、彼女の「国民」とする。数年で彼女はジオン1億3000万より遥かに
多い国民を擁する「王国」の女王となるだろう。
本国に置いてきたあの爺共は重臣面をする気だろうが、その前に粛清してやる。
自分と共に月面に降下した若手将校が「月の王国」の幹部となるだろう。
気がつくと戦艦はグラナダの港に入港していた。市長はじめグラナダ市の幹部たちが整列し、
管弦楽団が彼女がお気に入りの曲を奏でていた。グラナダはジオン公国に無血占領されたのだ。
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====月面 エアーズ市 U.C.0079 01.03 09:00
ブレイブ・コッド大尉は涙が止まらなかった。彼らが駐屯しているのは月の裏側の都市、
エアース市である。月の裏側ではあるが、観測基地として建設されたのでフォン・ブラウンと
並んで月面最古の都市の一つだ。それだけに、フォン・ブラウンやアンマン、アナハイム「市」
より余程親連邦意識が強く、ブレイブ達『906混成戦闘団』が現地に入ると、キング・パイン
フィールド市長以下熱烈な歓迎で迎えた。市長の弟で連絡将校として906に赴任してきた
カイザー少佐によると、「月の裏側で地球を見ることができない」立地が逆に地球への望郷
の念を強くさせるのだという。
なぜ、そんな親地球的な月面都市でブレイブが泣いているのかといえば、目の前の光景、白く
塗られたBM-01M 月面仕様バムの隊列を見たからだった。
「まだ子供だぞ!それが健気にも故郷を守ろうとMSに乗っておるのだ!泣かずにおれようか、
トッシュ!」傍らの親友に訴えるブレイブ。自機BM-02Gに敬礼の体勢を取らせ白いバム達を
見送っていた。
トッシュ・クレイ中尉は「教導団時代に15、6の訓練生を受け持ったことはあったが、まさか
ローティーンをMSに乗せるとはなぁ…」といささか「引いて」いた。
「これは彼らにとっての『本土決戦』なのだ!俺にはあの子らが徒に死にゆくのを見ていること
などできんはせんよ!」ブレイブのヘルメットのバイザーは大量の涙と鼻水で曇ってろくに
モニターが見えなくなっていた。
「あぁ、勿論だ。俺達『906混成戦闘団』がこの街もあの子供らも護ってみせる。勿論、
マスドライバーもな」トッシュも親友の熱気にあてられやる気になってきていた。
エアーズ市防衛隊『ホワイトフォース』大隊BM-01M(Moon)36機がエアーズ市の天井、地上に
露出している部分、の近くを行進している。彼らはこのまま割り当てられた持ち場までMSで
歩いて行くのだ。コナン・スチールはこの時13歳、「防衛隊軍曹」としてMSを任されている。
相棒は同い年のヴィク・ウエスト「防衛隊軍曹」だ。
コナンは「見ろよ!『教官殿』が僕らに敬礼してるぞ!」ヴィクは「ほんとだ。やっぱベム
ってカッコいいよな」と「軍人さん」達のMSを羨望の眼差しで見ている。
中途半端にジオンのMSに似ているバムより、人間離れしたフォルムに「メガ粒子砲」を持つ
BM-02ベムの方が彼ら少年達には格好良く見えた。『教官殿』率いる熟練パイロット
揃いの「K中隊」は白い機体色に淡いブルーのスプリッター迷彩が特に格好良い。
エアーズ市立第6中学校1年C組の二人は今日目にした光景を生涯忘れない、と思うのだった。
なぜ、エアーズ市防衛戦にコナンやヴィクのようなローティーンが加わっているかと言えば、
大人はMS操縦適正に欠ける者が多かったからだ。
パインフィールド市長はシミュレーションでハネられたのに無理やりBM-01を動かそうとして、
月面で盛大にレゴリスを撒き散らしながらすっ転んだ。現役時代に宇宙戦闘機に乗っていた
20人が適性試験をパスしてBM-01Mに搭乗し『ブルーフォース』を結成したが、結局
10代後半のMSパイロットも追加で隊員に選抜されている。
結果、予備部隊の『ホワイトフォース』は隊員の殆どを15歳未満の少年で占めることになった。
なにせ「大隊長」の「防衛隊大尉」ナイアス・ヒューがMS特技兵上がりの19歳である。
勿論士官教育など受けておらず元連邦軍軍曹はカイザー・パインフィールド連邦軍少佐を
教官として1ヶ月の促成で36機のMSを率いる身分となった。真面目な彼は一番年上でも
15歳、という部下の言葉に真摯に耳を傾け、結果潰れそうになった。
そこで助け舟を出したのがブレイブ・コッドである。
熱血漢の彼はこの少年将校が対人ストレスに潰されそうなのを黙って見ておれず、「大隊顧問」
を買って出て少年隊員達に軍隊の規律と命令への服従、戦友愛と勿論MS操縦技能を叩き込んだ。
その「教官殿」に見送られながら彼らは出撃して行くのである。
ブレイブは昨晩、ナイアス大尉に「貴様、明後日が誕生日だったな。明日生きて帰って来たら
1日早いが祝杯を上げよう。だから、絶対に死ぬんじゃないぞ!」と激励し、肩を力強く叩いた。
クレイは(それって、マズいやつなんじゃないか?)と思うが、熱血漢をこれ以上刺激したく
ないので黙っていた。ブライブ・コッド大尉率いる906 K中隊は、スラスターを吹かしながら
ジャンプし、白いバムの隊列を追い抜いて行った。ブレイブ機は隊列を追い抜いた後もしばらく
後方にモノアイを向けて「生徒達」の列を眺めていた。
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==== 月面 エアーズ市から約100kmの地点 U.C.0079 01.03 10:00
デメジエール・ソンネン少佐はその青年将官が自宅を訪れた日のことを今でも憶えている。
MS適正試験に落ち、マゼラアイン戦車隊から次々と部下達がMS隊へ転属していくのを横目に
彼は酒に溺れた。軍務も疎かになり、指揮していた中隊を追い出され窓際部署に回され、そこ
でも勤務時間中から酔っ払う有様だった。この日も無断欠勤し、自宅で飲んだくれていたので
ある。妻はとっくに彼を見限り出ていった。
インターフォンの音に「なんか通販で買ったっけかな…」と言いながらドアを開けるとそこ
には胸をはだけた軍服の上に野戦コートを羽織った青年将校が立っていた。
(何だぁ?コイツ…)胡散臭げに目の前の将校を眺めるゾンネン。だが、彼の階級章に目をやると
慌てて敬礼し、「あの、訪問先をお間違えではありまんか、閣下」と恐る恐るといった感じで
話しかけた。
目の前の若い准将は「貴官はデメジエール・ソンネン少佐だろ?それなら間違っちゃいない。
俺は腕のいい戦車指揮官をスカウトしに来たんだからな」と持参した高級ワインを差し出した。
男やもめの部屋に将官を上げるのは忍びなく、ゾンネンは近所の店、その個室に彼を案内した。
ユーリ・ケラーネと名乗ったその准将は髪型も寝癖を放っておいたような癖っ毛で、「お、意外と
上品な店を知ってるじゃないか。かえって気を使わせたかな」と、からから笑っていた。
ソンネンは再び恐る恐ると「自分はMS適正がない、と軍から不必要の烙印を押された身です。
ケラーネ閣下のお話は大変光栄ではありますが、今の自分は不名誉除隊になる日を待っている
ような状態なのです…」と俯きながら今の自分に部隊を指揮する気力も能力もない、と明かした。
ケラーネは「お前さんもMSに乗れないから腐ってるクチか?実は俺もMS適正試験に落ちた。
いやぁ、アレ家柄とか関係なしなんだな。我が軍も大したモンだよ。だけどよ、だからって
拗ねちゃいけねぇ」ケラーネはソンネンに顔を上げるように言うと彼の顔をじっと見ながら、
「戦争ってのはMSだけで戦える程簡単なモンかねぇ…」と問うた。
「しかし、戦車隊の役目は制宙権を奪取した後にコロニーに進駐、治安維持をするくらいですし」
とゾンネンが答えると、「いや、すぐ近くに戦場があるじゃないか。あんなにでっかく宇宙を
照らしてる『お月さま』がな!」とケラーネは手土産のワインを手酌でやりながら天井を指差す。
ソンネンは呆然としながら「まさか月面で戦闘…侵攻するのでありますか!?」と聞き返した。
もしかしたら、とんでもない機密を聞かされた気がする。
「そうだ!我ら突撃機動軍は月面に降下、ジオンの属国、いや月に新しい国家を建設する!」と
目の前の将官はさらにとんでもないことを言った。まさか親衛隊は近くにいるまいが、他人に
聞かれていい話ではない。「閣下、お声が少々大きいかと…」ソンネンは手のひらを下に向け
(声を小さく)というジェスチャーをするが、ケラーネは「『月面侵攻』の機密を聞いち
まった以上、貴様は俺の所に来るしかないな。俺が受け持つ連隊だか旅団だかで貴様には
『月面戦車隊』の大隊長をやって貰う。いいな」とほぼ無理やり部下にされてしまった。
翌日からケラーネの司令部勤務となり、『新型戦車』砲塔が空を飛ぶ、という常識をサイド3の
人口太陽に焚べてしまったような代物をテストし、ついでに『ギガン』と名付けられた、MS適正
が無くても乗れる機体、MSとAFVの不義の子供みたいな奇怪な姿のMSモドキをテストした。
火力だけならこのMSモドキはかなりのもので頭の180mm低反動砲は新型戦車の主砲175mm
無反動砲より火力も命中率も優れていた。
だが、ケラーネは「こいつは融合炉を使っててなぁ。ちと、お高いのよ」と指でコインのマークを
作り、苦笑した。融合炉を搭載すると調達・維持コストが桁違いだ。
部隊の予算では『月面戦車』を数的主力にするしかあるまい。
ギガンはその火力支援か弾除けといった役回りだろう。
そして、U.C.0079 01.03のこの日、ソンネンは75両のPVN.42 『マゼラアタック』月面戦車、
HT-12B『ギガン』MS駆逐戦車30両、MS-06、05混成のMS15機からなる戦車第一大隊を率い、
作戦目標アンマン市への橋頭堡となるエアーズ市へ部隊を前進させていた。エアーズは近傍に
マスドライバーがあり、放置してはジオン本国が危ない。見過ごす訳にはいかなかった。
ソンネン大隊長はマセラアタックに乗りたかったが、出力に余裕があり、通信能力が高いギガン
に乗っていた。MSの技術を利用して作られたサスペションの先に装着した3つの車輪はイン
ホイールモーターを内蔵し、融合炉のお陰か100tを越える巨体をマゼラアタックとほぼ同じ
90km/hを発揮させる。MSのアクチュエーターの設計を流用したサスは月面のクレーターを
軽々と乗り越え、乗り越えられない障害は背中と車体の底に装備したスラスターを吹かして
飛び越えた。
ソンネンは同じようにクレーターを飛び越えるザクを見ながら「なんだよ、大して変わんねぇじゃ
ねぇか」と呟いた。ここまでの道行きで彼はこの「MSモドキ」を改めて見直していた。
実際に走ってみなければ分からないものだ。「おれもこいつも『半端者』かもしれんが、
半端者なりの戦ってやつをやってやるぜ」ゾンネンは鎮静剤の錠剤をバリバリ噛みながらギガン
とマゼラアタック戦車隊、ついでのザクからなる大隊を進撃させた。
融合炉を備えたギガンとザクには出力の大きいM粒子発生機を積んである。大きなクレーターの
谷間を進撃路に選んだので、粒子の効き目は倍増され、誘導兵器の類や長距離砲撃などを喰らう
心配は無かった。
ザク隊の指揮官、トップ少尉が「何か飛んできます!!」と警告するまでは…
上空にモノアイを向ける、噴射炎が見えないから恐らく砲弾、がこちらに飛んでくる。
ソンネンは「大隊直ちに散開!!」と号令する。ザクとギガンはスラスターを吹かしてジャンプ
するが、マゼラアタックはイライラする程ゆっくりと散開している。
「車長はマゼラ・トップを分離させ、回避!」と命令した。車長に部下とマゼラ・ベースに乗せて
いる歩兵部隊を見捨てろ、と命じたのだ。指揮官の生命はそれだけ重い、と大隊長は考えていた。
砲弾らしき物は分離し、子弾をばら撒いた。子弾は空中で爆ぜ、白熱化した金属の槍のような
物体となり、マゼラ・ベースの上面装甲を貫いた。数百本の「槍」は75両のマゼラ・ベースに襲い
かかり、18両が砲弾の誘爆で爆発し、30両が足回りを破壊され擱座した。
進撃中スラスターを吹かし過ぎて推進剤を切らしたギガン1台が10本を越える槍に貫かれ、頭部
砲塔を爆発させ、倒れ込んだ。
「自己鍛造弾だと!?」子弾のセンサーはおそらくIRだが、どうやってここまで砲弾を飛ばして
きた?地面の振動を検知した?いや、ザクを斥候に出して50キロ先まで敵の砲台や自走砲の類は
無いことを確認している。それ以上の距離なら粒子のお陰でそれこそ軌道上からレーザーを当て
ないと探知できない筈だ。それも無い。レーザーを感知していないし、第一、軌道上に艦艇が
いれば自分達が乗ってきた揚陸艇はこうも簡単に降下できかった。
それに降下地点まで揚陸艇を護衛してきた『特科連隊』チベ級1、ムサイ級12からなる艦隊が
軌道を監視している。無線封鎖で連絡を取れていないが、
なら、なんで敵は長距離砲撃なぞできたのか?ソンネンは疑問を一時忘れることにし、部隊を砲撃
から救うことに専念することにした。上空目掛け、ギガン隊がチャフを混ぜたスモーク弾を発射
する。スモーク弾は内蔵されたガスの働きで煙幕を広げるが、スモークの外側に位置したザクは
さらなる砲弾の飛来を報告した。
擱座した車両は車体上面ハッチを開放し、ランドムーバーを背負った乗員と歩兵を次々に吐き
出した。(早く、早く逃げろ…)ソンネンは祈るように見つめるが、また、砲弾が飛来し、
ランドムーバーで飛んでいた兵は子弾の「槍」に貫かれ、衝撃でバラバラになった。
マゼラ・ベース1両に付き1個歩兵分隊10人が乗り込んでいた為、30両で乗員と合わせ450人
近い兵が脱出したが、うち300人余りが戦死した。生き残ったのは咄嗟に車両の陰に隠れた者達
だった。マゼラ・ベースは2回めの砲撃で回避する11両が爆砕され、擱座した20両が爆砕。
10両が新たに擱座し、無事なマゼラ・ベースは10両余りしかいない。
戦友を見捨てられなくて戦車隊の上空に留まっていたマゼラ・トップ18機が子弾に撃墜された。
恐るべき命中精度だ。間接砲撃の常識を越えている。
(こんな一方的に撃たれる想定なんぞしちゃいない…)ソンネン少佐は眼前の地獄を自分の咎とは
思わなかったが、兵たちはそうは思わないだろう。俺はまた、しくじった…
「全車、後退!旅団本部と合流、このことをケラーネ旅団長に報告するのだ!戦訓を持ち帰れ!」
このまま進めば、あと何回この地獄が再現されるか知れない。
反転し、来た道を引き返し始めたギガンのコックピットにアラート音が響く。
後方モニターに青いザクに似たMSがジャンプしながら追いかけてくるのが映っていた。
敵MSの追撃だ。
「MS隊、ギガン隊反転!殿をやる!!」ソンネンはギガンを旋回させ、敵MSに向かって
いった。頭の180mm砲で徹甲弾を発射する。
彼のギガンが放った白熱した槍は「ザクモドキ」の胴体に直撃、ザクモドキは墜落、そのまま
擱座した。「あいつらの仇だ!」ゾンネンはコックピットで叫んだ。
「『ブルーフォース』が苦戦してるって!?」ナイアス・ヒュー防衛隊大尉は増援を乞う
通信に思わず聞き返した。
「ザクも手強いが、下半身がタイヤのMSモドキが強力だ!なるべく早く駆けつけて155mmを
ぶち込んでくれ!!」青いバムを装備するエアーズ防衛隊少佐はナイアスに支援を要請した。
『ホワイトフォース』は顧問を務めるブレイブ大尉の方針でなるべくアウトレンジで戦う為、
155mmロングライフル「CSV-77」を装備していた。
『ブルーフォース』の指揮官はこの155mm砲による火力支援を要求していた。
ナイアス大尉は『ホワイトフォース』全機を停止させると、訓練に従ってHEAT-MPが装填
されていることを確認、青いバムの観測結果に基づいてライフルを持ち上げ、初弾を放った。
ソンネンはどこかから飛んできた砲弾に「散開!」と命じると、自分を狙うザクモドキに
右腕の75mmガトリングガンを叩き込む。
ザクは全機回避に成功するが、ギガン2台が頭の砲塔に直撃、砲弾が誘爆して斃れ、4台が
下半身に直撃を受け、ホイールを吹き飛ばされた。ホイールを失ったギガンはスラスターを
吹かし、退避していった。
「後方に自走砲かガンキャノンとかいう人型戦車がいる!ザク隊で排除してくれ!」ソンネンは
トップ少尉に敵の砲兵の排除を指令した。
MSはその機動性を活かして、敵の後方を突ける。やはり、実戦では諸兵科連合こそ生き残る
秘訣だ。ソンネンの頭からMS部隊への反感など消え失せていた。
クレーターを飛び越しながら『ホワイトフォース』に向かってくる10機以上のザクを見て子供
達はパニックを起こした。ナイアスの命令無しに勝手にライフルを発砲するが、子供の狼狽え弾
なぞプロの兵隊が乗るザクに当たるものでは無かった。
「落ち着け! マシンガンの1発や2発でバムは沈まないぞ!統制射撃だ、全機リンク開始!」
ナイアス少年は正念場で指揮官の素質を開花させた。統制射撃の為、隊列を組み直し、1500m
までに迫ったザクの群れに直接照準で155mm砲36発を発砲する。ここまでの操作はブレイブ教官
に叩き込まれた動きだ。射撃までにザクのマシンガンを被弾する機体が出るが、ERAの働きで機体
にはまだ被害はない。
烏合の衆そのものだった前方の「白い奴ら」が突然落ち着きを取り戻し、こちらに大砲を放った
ことにトップ少尉は驚愕した。新兵のアス伍長が断末魔の叫びを上げ、胴体に直撃をくらった
彼のMS-06は上半身が消え失せた。デル軍曹機は右腕のシールドを吹き飛ばされ、右腕を損傷
したようだ。トップの乗るMS-05は着地した所を左脚に直撃を受け、月面に前のめりに倒れ
込んだ。起き上がろうとするが、こんどは右脚に被弾し、完全に擱座してしまう。
トップは投降信号を打ち、コックピットの中で大きくため息をついた。女捕虜、それもMS
搭乗員ではあまり愉快なことにはならないだろう。
3回の統制射撃で、ザク7機を撃破、3機を擱座させ、その3機は武器を捨て降伏した。
残った機体もどこかしらに被弾しており、後退していった。
「助かったのか…」ナイアス大尉は途端に力が抜けてしまった。だが、すぐに『ブルーフォース』
に通信を繋げ、「ザクは撃退した。そちらはどうか?」と前方の味方の様子を確認した。
「ああ、こちらもMSモドキが煙幕を張って後退してる。こっちは半分がやられた。
追撃は無理だ」と返信が返ってきた。
「追い撃ちをかけるべきです!」コナン・スチール軍曹、最年少ながら操縦技能が最も高い、
自称『ホワイトフォースのエース』が追撃を具申してきた。
「具申は却下だ、軍曹。勝手に動いた者は厳しく処罰する。分かったな?」コナンはじめ
追撃を主張する少年たちが「はーい…」と気のない返事を返した。
その直後、「キサマら、生きとるかあぁぁぁ!!!」という雄叫びがコックピットに響いた。
オープン回線で『教官殿』が大声を上げている。すぐに白地に青のBM-02Gが現れ、ナイアス機を
抱きしめる。
「ナイアス!貴様!生きとったかぁ~っ!ケガはないか?隊員に負傷した者はないか?」
あのおっかなかった『軍人さん』はまるで母親のようにおろおろと少年たちの心配をしている。
クレイ機以下、K中隊各機が少年達を守る位置に展開し、周辺警戒を始めている。
この光景を見てやっと自分達が生き残ったことを実感したナイアス・ヒューはシートに
もたれかかり、大きくため息をついた。
砲撃された地点から100キロほど全速で逃げたソンネン少佐は旅団本部と思ったより早く通信
回線が繋がった「理由」を目撃した。
「『ダブデ』あんなモノまで降ろしたのか」旅団本部は巨大な履帯で月面を踏みしめ走る
『陸上戦艦』であった。その周囲をギャロップ陸戦艇が走り回っている。
ソンネンは「『ヒルドルブ』より『キャッスル』へ、直ちに反転せよ!砲撃が来る!!」と
通信機に怒鳴った。戦艦は停止し、レゴリスを巻き上げながら信地旋回を始めた。
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==== 突撃機動軍 独立戦車旅団 陸上戦艦『ダブデ』艦橋 U.C.0079 01.03 11:13
「信じられん光景だな…」月面の「こちら側」攻略を作戦目標とする『突撃機動軍 独立戦車旅団』
の移動司令部、陸上戦艦一番艦『ダブデ』その艦橋で、ユーリ・ケラーネ准将は唖然としていた。
先鋒の『ヒルドルブ』戦車大隊が壊滅的な被害を被る有様を大隊長ソンネン少佐が提出した
映像で目の当たりにしたのである。
ソンネンの警告で旅団は100キロ程グラナダ寄りの地点まで移動した。ザクを搭載したギャロップ
を斥候に出し、敵の追撃や自走砲、自走ミサイルランチャーを警戒している。
「連邦はM粒子を無効化する手段を発明したのか!?」もし、そうだったら旅団どころか、
祖国の危機である。普段は豪放磊落なケラーネも深刻にならざるを得ない。
敵は地平線の向こうから『間接砲撃』してきた。火薬式の火砲でだ。メガ粒子砲のようにほぼ光速
で目標に到達する訳ではなく、発砲から着弾、目標到達までタイムラグがある。
敵は『ヒルドルブ』大隊の発砲数十秒か、あるいは数分後の位置を予測できることになる。
スラスターでジャンプ移動できるザクやギガンならともかく月面上を2次元移動するマゼラ
アタック(ベース)は着弾時の位置を予測しやすい、結果彼らは子弾、自己鍛造弾の餌食になった。
連邦のAI技術は公国の数年先を行く、という民間シンクタンクの報告はどうやら真実らしい。
「M粒子散布下で数10キロ先を狙える砲撃、戦術の前提がひっくり返るな…」ケラーネは
さらに考え込む顔になった。月面は真空であること、重力が地球の1/6であることから火砲による
間接砲撃が有効、とされてきたがM粒子発見前の話だ。
敵はどうやって大隊を観測し、諸元を割り出したのか?
独立戦車大隊はM粒子の効果を最大にすべくクレーターの谷間を沿うように蛇行して進撃した。
降下地点から目標であるエアーズ市に向かって最短距離を直進していたのではない。
「もしかしたら、進撃路を予想しセンサーを敷設しておいたのか?」
「それでしたら、地雷を敷設しておくでしょう。履帯やホイール、脚を失えば阻止できますから」
「モノアイで検出できん程小さいドローンを飛ばしたか?」
「M粒子下でも操作の必要がない独立思考型のドローンならありえるかもしれませんが…」
「そんな上等な代物がモノアイで検出できんほど小型で、かつ大量に投入されたら為す術なし、
だな。戦史ライブラリーで旧世紀の教本を引っ張り出してこにゃならん…」
ケラーネの参謀、ボーン・アブスト大尉がソンネンの映像から敵の射程を割り出した、とレポート
を持ってきた。彼からタブレットを受け取り、敵の砲撃を推定したムービーを見たケラーネは
「150キロ前後だと!?」と大声を出した。アブストは「ソンネン機他13機の記録映像から割り
出した弾道です。確度は高いかと」と「150km」という数字に根拠があることを報告する。
「これでは戦争になりませんよ…」ソンネンは呆然としている。部下達の復仇を望んでいた闘志が
みるみる萎えていった。
「決めた!旅団はグラナダから200kmの地点に転進、防衛線を張る。言わば出城だ。
グラナダと月のあっち側に降下した第一混成旅団まで連絡機を飛ばさんとならんな。アブスト、
あっちに行ってビッター少将に警告してくれんか?」参謀将校は命令を復唱し、敬礼すると格納庫
へ走っていった。
ケラーネはソンネンの方に向き直ると「俺はグラナダでキシリア総司令に報告、善後策を相談
する。貴様も部下を亡くしたばかりで辛いのは分かるが、『生の証言』ってやつが必要なんだ、
同行して貰う」と言い放った。
ソンネンは(キシリア少将へのお目見えが敗戦の報告になるとは…)
とさらに気持ちが萎えたが、責任は取らねばならない、と決心していた。
たとえ大隊長を解任されようとも、俺は部下達の死に責任があるのだ。
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==== 月面 エアーズ市から約100kmの地点 U.C.0079 01.03 11:00
「敵とはいえ、無残なものだな…」ブレイブ・コッドは眼前の光景に思わず呟いた。
「お味方大勝利、と祝う気は失せる光景ではあるな」トッシュ・クレイは彼らしく皮肉を
込めて返す。「砲兵隊はどうやら歩兵を積んで来た戦車を集中的に狙ったようだな」なぜか戦車の
車体の残骸が大部分で20弱の砲塔、尻にバーニアが生えているのでおそらくはVTOL攻撃機として
使えるのだろう、が転がっている。それと車体の近くに死体というより肉片、四肢や胴体、頭部、
の切れ端が無数に転がっている。
「車体の弾痕を見るに自己鍛造弾を使ったな。ノーマルスーツではひとたまりもあるまいよ…」
ブレイブは『ホワイトフォース』の子供達をここに連れて来なくて本当に良かった、と思った。
彼らには刺激が強すぎる。戦の残酷な側面を知るのは職業軍人の道を選んだ後でいいではないか。
「また、ガキ共のこと考えてるな?」トッシュは面白がるような口調で親友の内心を言い当てる。
「俺はナイアスは連れて来てもよかったと思うがね。あいつ、一端の将校の顔になってたからな」
「いや、奴も職業軍人になるとは限らん。知らんで済めばそれに越したことはなかろう…」
「ま、やっこさんが将来政治家になったとしてもこの有様を見てればあの市長殿のように威勢だけ
はいい、なんてのにはならんと思うがね」トッシュは『走行会』の挨拶でマスドライバーを使った
サイド3への直接攻撃を高言したキング市長に辟易していた。マスドライバーはあくまで連邦
政府が所有する施設であり、それを近所の自治体が勝手に動かしていいものではない。市長はそれ
を知っていながら連邦軍の軍人の目の前で放言したのである。
弟のカイザー少佐が兄の失言を謝罪したが、「田舎者の言うことですので、何卒大事には
せんで下さい」とトッシュ達尉官に卑屈に頭を下げた。彼の姿には嫌悪感より哀れさを感じた。
「月の裏側に住むってのは地球生まれの俺達には想像も付かんことがあるんだろうな…」
トッシュはカイザー少佐が語った地球への望郷の念と地球生まれに対する卑屈さの背景に複雑な
事情と感情があるのを察した。
「そうだな。子供らと話していてもそれは感じた。生まれた頃からカルシウムを定期的に注射し、
筋肉トレーニングを幼児の頃から習慣づける生活とはなぁ」ブレイブは教導団で体罰を禁じる
訓練法を叩き込まれ本当に良かったとあらためて思った。もし、彼の腕力で子供らの顔をはたいた
ら、頬骨が砕けていたかもしれない。
「だからこそ、俺達はゴップ閣下の志の魁とならねばならんのだよ!」どうやって回路が繋がった
のか、唐突に自分達が所属する派閥ボスの思想を語りだすブレイブ。
万事に直情的な彼はルナツーでのゴップ大将の演説に感銘を受けるとSNSや非公式アプリでゴップ
の発言を検索し、貪るように読んだ。そして、トッシュに相談のうえ当時所属していたコリニー
派と絶縁し、ゴップ派に鞍替えすることを決めた。コリニー派の幹部、エイノー少将とその取り
巻き達に翻意を迫られたが、ブレイブ、そしてトッシュは考えを変えなかった。艦隊式に何発も
私的制裁を食らったが、黙って耐えた。禊だと思ったからだ。少将の長男、エイノー少佐が
殴られている二人を見つけ、慌てて止めに入ってくれたが。
以来、ブレイブは「宇宙市民」の士官や下士官兵と積極的に交流を持ち、彼らへの偏見は徐々に
薄れていった。
「ま、カン、じゃなかったコロニー市民と仲良くなる前に地面に住んでる連中と仲良くなるのは
いいんじゃないか、少し話が脱線したな。今までのところ、敵の生存者はなし。
砲撃の中負傷者を収容して撤退とはかなり練度の高い部隊だな」トッシュは頭を切り替え戦果
確認という任務に集中することにした。
「これが『タイヤ付き』か。陸上型のモビルポッドだろうか?」ブレイブは敵のMSとAFVの
混血児のような残骸を見つけ、回収することにした。『ブルーフォース』の報告からこの
『タイヤ付き』が侮れぬ火力を備えていることを知っていたからだ。砲塔に被弾したのか
頭から二つに裂けていた残骸の少し先には乗り捨てられ自爆したのだろう残骸が転がっていた。
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==== 月面 フォン・ブラウン市から約200kmの地点 U.C.0079 01.03 10:30
月の『向こう側』攻略を作戦目標とする第一混成旅団は最初の攻略目標、月最大の都市、
フォン・ブラウンへ進撃していた。主力となるMS連隊は150機を8つの中隊に分け、同時に
多方向から攻め込む作戦であった。足の遅いマゼラアタック月面戦車、キュイ兵員輸送車、
サムソンMS輸送車、ザクタンカーMS輸送車、さらに総司令部が寄越した『ルナ・タンク』
なる珍妙な形のAFVは遥か後方を進んでいる。
「あの形はマ・クベ中将の趣味であろうか…」ノイエン・ビッター少将は呟いた。
旅団長である彼が乗るザクの周囲には『旅団本部小隊』5機のザクが「うさぎ跳び」、
スラスターを吹かさず、脚の力だけでジャンプを繰り返し月面を移動していた。
「あの『走る壺』のことですかな?」ヨハネス・オイゲン中佐が上官の呟きに
答えた。中佐のザクにもビッター機同様、ブレードアンテナが生えている。
もう少し進んだらオイゲン中佐が率いるMS大隊は先行し、フォン・ブラウンと
アナハイム「市」の連絡線を遮断する手筈になっていた。
「形はともかくとして、足が遅いのはかなわん。ギャロップの1台も回してくれた
方がどんなにか…」先行するMS連隊には5台のギャロップ陸戦艇が同行している。
できれば中隊につき1台、欲をいえば2台、16台のギャロップが欲しかった。
「まぁ、あの壺にもセンサー性能や火力と装甲は見るものがありますし、何より
スラスターで飛び上がり地平線越しに通信が可能ですから」オイゲン中佐は『壺』
の長所を挙げた。
「通信に関してはシュレッサー准将の特科連隊がおるのでなぁ…」旅団を支援する
第101特科連隊、チベ:1、ムサイ:9 、ミサイルフリゲート:12で構成される艦隊が
後方部隊の頭上を守っていた。艦載機はガトルだが、連邦の攻撃機を追っ払う程度は
可能だろう。ミサイルフリゲートはMS連隊の「火力支援隊」としてビッター達の頭上
を航行している。「しかし、フリゲートを自走迫撃砲扱いするのは宇宙攻撃軍に対する
当てつけであろうか?」とビッターは常日頃の疑問をオイゲンにもらした。
突撃機動軍はMSを「歩兵」とし、重巡や軽巡を「歩兵戦闘車」その他艦艇を「自走砲」
として扱っていた。キシリア少将の意向ではなく、古株の幹部たちの意向であった。
老将たちは「歩兵操典をそのままMS戦術に応用できる」と言うが、融合炉で動き、戦車
を上回る火力と装甲、宇宙機を上回る機動性と運動性を備えるMSは全く別の兵種であり、
歩兵戦術など大して参考にならない。なによりMSでは「占領」ができない。
ビッターは直卒するMS大隊でフォン・ブラウン近郊のアームストロング基地を襲撃、沈黙させ
フォン・ブラウン市に「無防備都市宣言」を出させる作戦を立てた。
オイゲン率いる大隊はアナハイム市からの増援を絶ち、抵抗を諦めさせる役目を担う。
占領後を考えると無駄な流血は避けるに越したことはない。
150人の「巨人」たちの威をもって開城させるのである。
「ですが、迫撃砲代わりにミサイルを使えるのは何かと便利ですよ」と、オイゲン。
大小様々なミサイルを搭載しているフリゲートは「ちょうどいい」火力であった。
大型のミサイルならレーザーシーカーを備え、MSから誘導が可能なのである。
ジオン軍は連邦が月面に「人型戦車」ガンキャノンを配備していることは知っていたが、
主力機MS-06には遠く及ばない性能、と判定していた。フォン・ブラウンがAE.の企業
城下町であることを考えると、MS-03のコピー機「バム」も中隊ないし、大隊規模で
アームストロング基地に配備されているかもしれない。個人的に親交のあるシャハト
少将が「硬い機体」と呼ぶバムは侮れない戦力だが、頭上の「自走迫撃砲」の支援下で
戦えば負ける道理などない、とビッターは考えていた。
そんなことを考えていると頭上の「自走迫撃砲」部隊の旗艦から緊急通信が入った。
なんと『壺』がフリゲート艦に後方部隊が攻撃されている、と通報してきたという。
その通信の直後、フリゲート艦たちは回避行動を取り始めた。
22話をお送りしました。タイトルは古典SFからです。
キシリアの構想は劇中やゲーム(のノベライズ)やコミックなどから類推しました。
劇中でも、ドズルと違って月で2番めの大都市を支配している訳でそら、ギレンも警戒するよ、というキャラでしたね。
「THE ORIGIN」でも彼女の占領政策は描かれませんでしたが。
ローティーンを動員する末期戦体制のエアーズ市に対して熟練兵揃いのソンネン率いる『ヒルドルブ』大隊、という対象を描いたつもりです。大隊名はソンネンがテストしていた試作戦車から貰った、という設定です。
「ホワイトフォース」のキャラは史実の白虎隊関係者の名前をもじりました。
しかし、軍勢が砲撃で吹き飛ぶ描写は書いててSAN値が削れますね。架空戦記が海戦ものばっかりな理由が少し分かった気がします。
ブレイブ・コッドのキャラは完全にゲーム等で声を当てた声優さんから作ってます。
ビッター少将の作戦は突撃機動軍は政軍両方に通じた指揮官が多かったのでは、と思い付きました。その腹心、ヨハネス・オイゲン中佐は実は劇中キャラです。
元ネタになった軍人のミドルネームを頂きました。
「ヒルドルブ」大隊と第一混成旅団を襲った「魔術」の種明かしは次回です。
お楽しみに。
追記:「ゾンネン少佐」を「ソンネン少佐」に訂正しました。ご指摘いただきありがとうございます。置換機能が上手く使えなくてほとんど手動で直しました…
6/28追記 pixivのIDをお持ちの方は↓こちらでこの回に影響を与えたギガンのイラストがご覧になれます。すばらしいイラストです。
https://www.pixiv.net/artworks/56012921