リストラおじさん、ゴップになる   作:寒原光雪

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連邦とジオンの戦争は第2ラウンド突入です。
サイド間および月航路を航行する輸送船団を護衛する連邦軍とそれを襲撃するジオン軍、
という構図で何話か進むことになります。



船団襲撃

==== ジオン公国 ズムシティ

 

デギン大学病院正門の哨所で若い女が歩哨となにか言い合いをしている。

「カードならバッグに入ってるわ。だから通して」女は大学病院に勤務する

カーラ・ミッチャムだった。

歩哨は「いくら教授でもIDカードを提示していただかなくては中には入れませんよ。

私はね、ソロモン勤務の時ドズル閣下にもID無しの入室を拒否した男ですよ。それを閣下に

褒めて頂き、こうして本国勤務が叶ったんです。ですから、教授もIDカード無しでは中には

入れません」

「なんでIDカードって非接触式ICカードじゃないただの板きれなのかしら…

じゃあ、バッグの中探しますから、ちょっと待ってて」と言ってバッグの中を漁るカーラ。

「おかしいわねぇ、無いわ…」焦り出す女教授の背中に「あの」と声がかけられた。

振り向くと若い兵隊がIDカードを示し「これ、先生のじゃありませんか?」と言った。

彼の両足は義足だ。

 

「貴様、ローレンツ二等兵か。でかした!ミッチャム教授はしょっちゅうIDカード落とすもんで、

今回も再発行の手続きをせにゃならんのかと思ってたんだ」歩哨はIDカード再発行手続きの

煩雑さにうんざりしていた。

「ありがとう!助かったわ! お礼と言ってはなんだけど、12時になったら大学病院のカフェ

テリアに来て。ご馳走するから」そう言うとカーラは走っていった。

「やったな、ローレンツ。カーラ先生を落としたら貴様、大金星だぞ」歩哨はダリルをこづく。

ダリルは真っ赤になって「あんな聡明で綺麗な人が僕なんか…」と俯いた。

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==== エルヴィン・キャディラック(16)はジオン公国の名家の出である。

姉のモニクは総帥府に勤務するエリートで、彼もハイスクールを休学して志願したところ、他の

志願兵が兵長や伍長からスタートするところを准尉の階級を与えられ、いきなり小隊長になった。

MSも主力のMS-06を与えられた。不慣れな志願兵にはMS-05を与えられる者もいたのだが、

いいとことの嫡男である彼には06が与えられたのだ。

彼の乗るMS-06C-6型は月面条約の結果、不要となった鉛をセラミクス装甲材に変更し、連邦の

使う誘導弾対策に欺瞞装置を搭載、緒戦で効果が確認された閃光弾の発射器を胸部に搭載した

改修型で、通商破壊部隊の数的な主力だった。

 

新兵が小隊長をやっているのは、志願兵の中でMS適正試験に合格する者の割合が多かった為だ。

「ハッテ会戦」と軍が呼称する緒戦で士官、下士官パイロットが数多く戦死、あるいは重傷を

負って後送され兵の数に比して指揮官の数が足りなくなった。

そこで、准尉のエルヴィンが小隊を率いることになったのだった。もっとも、エルヴィンの

飛行時間は150時間しかない。それも、シミュレーター込みの時間である。

 

部下は同い年のエミール・フローリン軍曹とひとつ下のフリードリヒ・カッテル伍長である。

エミール軍曹は母艦『ヨーツンヘイム』にいる時は威勢のいいことを言っていたのに、いざ

出撃となると、震えが止まらない様だ。カッテル伍長もしきりに「小隊長、大丈夫ですよね?」

と聞いてくる。エルヴィンは「うるさい、黙れ」と命じることもできたが、生来の根の優しさ

から「大丈夫。味方からはぐれない様にするんだ、フリッツ」と答えてやった。

 

中隊長オッチナン・シェル中尉が「12時、敵輸送船団。いいな、俺の作戦通りやればいいんだ。

全機、中央の軽巡に向かってバズーカ発射!」とかなりの距離から9機にバズーカを撃たせた。

9発のロケット弾の狙いは正確で、全て軽巡の方向に飛んでいったが、CIWSに8発が撃ち落と

された。だが、1発が艦側面に命中し、軽巡は後退していった。

「見たか!敵護衛艦を1隻下がらせたぞ!」シェル中尉は大声を上げて戦果を誇った。

新兵の多い中隊各員も初めての戦果に盛りがっている。

 

だが、先の軽巡を含め護衛艦隊は既に艦載機を発進させていた。

中隊に『首無し』12機が向かってくる。シェル中尉は「お、落ち着け。『首無し』の弱点はシャア

少佐が解明済みだ。全機、頭を集中射!奴ら、モノアイを潰せば動きが止まるぞ!」と頭部への

集中攻撃を指示する。

9機の中にはバズーカからマシンガンに持ち替えていない者もいたが、そのままバズーカを

『首無し』の頭部に向け発射する。集中射で3機が頭部を破壊されるが、その動きは止まらず、

第2小隊長フレデリック・ヤーン准尉機がビームの直撃を受け、散華した。

エルヴィンは「止まらないじゃないですかー!!」と叫んだ。

 

シェル中尉は「お、落ち着け…」を連呼するばかりである。

落ち着いて見れば、頭部を破損した3機は撤退していったので、先程の集中射は効果があった

のだが。中隊は回避機動に専念し、攻撃するどころでは無かった。ただ、回避に専念すると

敵のビームも中々命中しなかった。

 

そうする内に別の敵機8機が飛来してくる。「な、なんなんだあれは!?」はエルヴィンは

驚愕した。敵の新型機は巨大な顔から足、ないし腕が生えている機体だったからだ。

いつのまにか『首無し』のビームは中隊長達の方に集中し、エルヴィンの第3小隊にはビームが

飛んでこなくなった。代わりに『大顔』8機がエルヴィン達に襲いかかる。

『大顔』は顔に生えた砲を発射した。弾丸は回避した方向に進路を曲げてきたので、誘導

ミサイルだろう。MS-06C-6はモノアイでミサイルを認識すると、頭部側面の欺瞞装置を自動で

作動させた。欺瞞装置がチカチカと赤く光ると、ミサイルのシーカーは欺瞞情報を受け取り

進路を変えて逸れていく。

 

「こっちだって、改良されてるんだからな!」エルヴィンはM-130A 130mmマシンガンを放つ。

今回の作戦から投入された新型装備だ。『大顔』は例の「レンガ」ERAを貼り付けていたが、

レンガごと130mmタンデムHEAT弾頭は装甲を貫き、1機が爆散する。

残った『大顔』7機は回避機動を取った。

 

3機のザクは逆に狩人の立場になって、『大顔』を追い回す。襲いかかって来た時には見た目の

割に素早い機動に幻惑されていたが、回避にはパターンがある様で、エルヴィン達は後ろを取る

ことができた。

 

だが、『大顔』の頭部には旋回機銃があり、後ろに回ったエルヴィン達に弾幕を浴びせた。

エルヴィンとエミール軍曹は回避できたが、カッテル伍長機が弾幕に絡め取られる。

「しょ、小隊長!た、たすけ…ッ」敵の機銃に穴だらけにされたザクは火を吹きながら流れて

いき、しばらくして火の玉になった。

 

「フリッツが!エルヴィン、どうしたらいいんだ…」エミールはマシンガンを撃つのも忘れて

今にも敵前逃亡しそうな様子だ。エルヴィンは奥歯を噛み締めながら、「とにかく奴らを中隊長達

の方へ行かせないことだ。僕らが逃げたら中隊は全滅するぞ!」と発破をかける。

エミールは「あ、ああ。そうだな」と返事をしてながら、向きを変えて砲弾を放つ『大顔』に

マシンガンを放った。互いに回避機動を取りながらの射撃なせいか、砲と旋回機銃を交互に放つ

『大顔』の攻撃も、エルヴィン達の攻撃も命中しない。3機の『大顔』が焦れた様にこちらへ

距離を詰めて来たのを見て(これは覚悟する時かな…)と自分でも驚くほど冷静に戦死の可能性を

考えるエルヴィン。

 

だが、敵3機に突然後方から飛んできた砲弾が命中し、爆散した。慌てて振り返った3機が

次弾を浴びて撃破される。

「味方の増援だ!」エルヴィンは叫んだ!エミールも元気を取り戻した。

残った『大顔』1機はエルヴィンが撃破し、彼のスコアは2機に増えた。

 

中隊長の方を見ると、既に『首無し』共は数を6機に減らして後退を始めた。中隊もシェル機が

右腕を無くし、2機が撃墜された。生存者はいない。とても追撃に移れる状態ではなかった。

代わりに増援の9機が『首無し』編隊に一撃をかけ、敵機2機から火を吹かせることに成功した。

結局、中隊は4機の損害と引き換えに敵の護衛艦隊を退けることができたが、肝心の輸送船団は

索敵範囲の外に行ってしまった。連邦のことだから護衛艦隊の損害も補充されるだろう。

 

「ヨーツンヘイムに来たあの気障男のせいだ。あいつが中隊に攻撃しろ、なんて言うから

フリッツは死んだんだ…」エルヴィンは再び奥歯を噛みしめる。「気障男」とは戦隊旗艦

軽巡トロンプからやって来た総帥府の政治将校だ。姉によれば「管理官」という役職だそう

だが、通商破壊部隊では司令ランバ・ラル大佐以下全員が「政治将校」と呼んでいた。

奴はヨーツンヘイムのブリッジでニコチンガムを噛みながら艦長と中隊長に単独での襲撃を

「要請」した。命令権はトロンプの戦隊司令にあるから、出撃を指示するのは件の政治将校の

完全な越権行為だ。「要請」とは責任逃れの方便と言えた。

 

とはいえ、プロホノウ艦長としても総帥府の人間が出した要請を無下にはできず、困っていた。

トロンプへの具申は政治将校が強硬に反対していた。戦隊本部と総帥府の板挟みで悩む艦長

を見かねたオッチナン・シェル中尉が出撃を「志願」し、ヨーツンヘイム隊の9機だけで敵を

襲撃することになったのだった。本来なら3隻分MS 27機で襲いかかるはずだったのだが。

 

「君たち、大丈夫?ケガは?」女の声がコックピットの中に響く。増援の小隊長機が近距離通信で

話かけてきたのだ。「F型だ…」エルヴィンはトロンプから発進して来たらしい増援が新型の

MS-06Fなのに気がついた。胸の部分がC型より盛り上がっている。さらに特徴的なのが、その

武装で連邦の「100mmアサルトライフル」と「155mm狙撃ライフル」を装備していた。

 

「私はエンマ・ライヒ中尉、所属はトロンプよ」「外人部隊(エトランゼ)…」エミールは救いの女神の名を聞く

とこう呟いた。「そう、私達は外人部隊、義勇兵よ。中隊長はビーダーシュタット大尉」外人部隊

とは、連邦からの亡命者、義勇兵で編成された部隊を指す隠語である。

エンマ・ライヒは名の通った外人部隊のエースであった。

外人部隊は開戦まではあからさまに冷遇されていたが、ハッテ会戦での敗北後、プロパガンダなの

か、義勇兵達の待遇は改善され、今回の作戦では元連邦軍少佐の中佐が艦長を務める軽巡トロンプ

など2個戦隊に義勇兵が参加している。ライヒ機は自らが持つアサルトライフルを持ち上げて、

「これはこないだ捕獲した輸送艦の積荷よ。後送しても弾薬の関係で使えないし、私達が

使ってるの。いつ補給が途絶するか分からないでしょ。MS以外はパイロットも装備も連邦製

なのよ、私達」と笑うライヒ中尉にエルヴィンはなんと返していいのか分からなかった。

 

「なぜ、戦隊で連携して仕掛けなかったの? 27機がかりならこの程度の敵鎧袖一触でしょうに」

ライヒ中尉はエルヴィンにヨーツンヘイム隊が突出した「事情」を聞いた。中隊長の独断では

あるまい、事情を探れ、と中隊長ビーダーシュタット大尉から命令されていたのである。

命を助けられた少年准尉は素直に「トロンプから来た政治将校殿()が艦長に『要請』したんです。

困った艦長を見かねた中隊長が攻撃任務を志願してこうなった次第で…」あの気障男は姉の同僚

だが、知ったことか。フリッツは死んだ。奴にこの馬鹿げた軍事行動の責任を負わせたかった。

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==== サイド6

 

ユーマ・ライトニングは「機関」の養成所を出て前線に出征することになった。

配属先は機関最大のスポンサー、キシリア・ザビ少将麾下の突撃機動軍である。

ユーマは機関の他の被験者達とは違い、主に身体能力を重点的に強化された強化人間である。

来月13歳になる彼の身長と体格はローティーンのそれであるが、筋力や動体視力、反射速度は

投薬や外科手術により人間離れしている。この物語には同じ様な身体強化人間、

「プロト・ゼロ」ゼロ・ムラサメが登場しているが、ユウのスペックはゼロに比べれば劣ると

いえた。だが、その精神は年齢相応の子供っぽさこそあれ安定しており、使用者に牙を剥きかね

ないゼロに比べれば類人兵器としては優れているといえよう。

 

「じゃあな、ララァねぇ。あとラムイコも元気でな。次は戦場で会おうぜ」とポーズをキメて

フラナガン機関の研究施設を出ていこうとするユーマの背中に「おぅ、バカユーマもアタイが行く

まで死ぬんじゃねぇぞ!」と被験者のひとり、ラムイコ・シュタインが声をかける。

「バカは余計だっての…」と呟くユーマに「あなたは戦争に行くのよね。でも、死なないでね…

諦めなかったら道は開けるのだから…」とララァが別れの言葉をかけた。

 

ララァは彼ら被験者達の姉ともいえる存在だった。彼女に言わせると「故郷に残して来た弟達や

妹達の代わり」なのだそうだが。ララァ・スンは誰かの世話を焼きたい少女なのだ。

あの軍人と月で同棲していた頃は下着まで洗濯して彼に嫌がられたこともあった。

「それは従卒の仕事だ。君は私の客人なのだから、そんな下女の様な真似をしないで欲しい」

と、サングラスのシャア・アズナブルは困った顔でララァに苦情を申し立てた。普段の彼を知る

者からは想像もできない姿だったろう。

 

「俺はララァねぇみたいに『ビット』使えねぇからさ。身ひとつでやれるとこまでやってみるよ」

ユーマは後ろを向いたまま力こぶを作った。ララァ達の方を向いたら泣き顔を見られるだろう。

そんな格好悪い姿を見せて去りたくはなかった。

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==== ヒデト・ワシヤ大尉は艦長を務める軽巡「アガノ」のブリッジで本国から来た報道官の

相手をしていた。リリアーナ・フローベル少尉、外見は10代にも見えるくらい若い、というか

幼くすら見えるのだが、ワシヤは彼女を総帥府が送り込んできた政治将校と見ていた。

なぜ「管理官」という色々口出しできる立場ではなく報道官なのかは分からなかったが。

 

「ハッテ会戦の英雄ワシヤ大尉に直接インタビューできるとは光栄です」フローベル少尉は

マイクをワシヤに突きつけきた。いつの間にかカメラクルーまでいる。

(え?インタビュー? 聞いてないぞ…)と副官の少尉を方を見るとバツの悪い顔をしながら

頭を下げている。おそらく、美人報道官相手に安請け合いしたのだろう。

ワシヤは一瞬ジト目で副官を見た後、愛想笑いしながらインタビューを開始した。

 

「あの戦いは最後まで温存していた核弾頭を味方の撤退支援の目眩ましのつもりで発射した

ところ、敵MS編隊を巻き込んで爆発したのです。言わば偶然ですよ」と謙遜してみせる

ワシヤ。正直なところ、核弾頭を母艦に持ち帰ると事故が起きる可能性があるので戦場に

捨ててきたのだ。一応敵編隊の方へ捨てたのだが、4機も巻き込んで起爆するとは想像も

していなかった。

 

「大尉はそう謙遜なさってますけど、本作戦でもスコアを挙げてらっしゃいますし、私は

偶然だとは思えません」フローベル少尉は持ち上げるが、ワシヤは「いやぁ、新型機、

MS-06F-4のお陰ですよ。頭に装備した機銃で敵の反応装甲を爆破できましたから」

ワシヤの乗るMS-06Fの指揮官型は頭部にERA対策として35mm機関砲を4門搭載している。

AFV、マゼラベースの搭載砲なので、連邦のドローンに載っている60mm機関砲より威力

のある強力な機関砲だ。この作戦で遭遇した敵機の「レンガ」は形が違っていたが、35mm

砲はこれを吹き飛ばし、StG79突撃銃で既に『首無し』3機『モドキ』5機を仕留めていた。

ヒデト・ワシヤ大尉はこの時点で12機のスコアを持つダブルーエースだった。

もっとも、同僚のドナヒュー大尉は18機、ラル大佐は24機を撃墜していたが。

更にドナヒュー大尉は敵巡洋艦4隻を単独で撃沈していた。ワシヤの対艦スコアも

駆逐艦3隻なので充分凄腕の部類なのだが。

 

「既にランバ・ラル大佐とヴィッシュ・ドナヒュー大尉にもインタビューさせて頂きましたが、

お二人共謙遜なさっていて流石は実戦部隊、と感心致しました。勇者は口で語らず戦果で

語りますのね」とフローベル少尉はあくまで彼ら通商破壊部隊を持ち上げる。

ワシヤは(ラル司令とドナヒュー大尉のとこにも行ってたのか。要するに取材にかこつけて

俺達が迂闊なことを言えば、それを総帥府に報告するってカラクリだな…)ワシヤはこの少尉が

なぜ「報道官」なのか合点がいき、謹厳実直かつ謙虚な士官に見える様インタビューに答えた。

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==== 月面 エアーズ市

 

エアーズ市に駐屯する906混成戦闘団長、ケネス・バード中佐はK中隊長ブレイブ・コッド大尉を

自分の公室に招喚した。ブレイブ大尉は(何かやらかしたかな、覚えがない)と怪訝顔でオフィス

に出頭した。

「貴官が次の団長だ、コッド大尉。じき少佐になるがね」現団長、バード中佐はブレイブの顔を

見るなり次の団長人事を内示した。

「は!?」もう長いこと大尉暮らしのブレイブは内心、昇進を諦めていたので意外も意外な人事

であった。

 

「自分は昇進できるような功を上げておりませんが?」怪訝そうな顔で「なんで昇進できるんで

しょうか?」という問いを発するブレイブにバード中佐は笑いかけ、

「貴官は『教官』としてあの19歳の軍曹を短期間で一端の指揮官に変えたじゃないか。

それだけでも昇進させるには充分な功績だよ。あのボーイズ達がザクを何機も撃破したのは

元軍曹、ヒュー大尉の功績だが、同時に貴官の功績でもある、と私が判断し、アームストロング

の月方面軍司令部の承認も取ったんだ。月の表側じゃ輸送船団の編成で大わらわでね、こんな

辺鄙な駐屯地の人事は好きにしろってとこなんだろうがね」ブレイブが充分昇進に値する功績を

建てたと言った。

 

「あ、あれは人助けのつもりだったのですが…」プレッシャーと人間関係で潰れそうな若者を

黙って見ていられなかったブレイブはそれを軍功と言われ、少し心外だった。

「君はそのつもりでも私は州兵を戦力化する立派な任務だと判断した。そういうことだ」

バード中佐はブレイブにエアーズ市の子供たちを指導する許可を出した理由を明かした。

 

「ブレイブ、君は大層この街の住人に好かれてる。特にあの子供たちの家族、親類は君のことを

神様の様に思ってるだろう。私はあのバカ市長にイヤミを言いまくって嫌われておいたからな。

君の団長就任を皆、心から祝ってくれるだろうさ。

あ、どうせだったらマスドライバーの件でもイヤミを言っておくんだった…」エリート然として

いてソリの合わなかった指揮官の意外な一面に思わず吹き出すブレイブ。

彼はもっとこのインテリ中佐と腹を割って話しておけば良かった、思うのだった。

 

バード中佐はニヤリとし、「それとヒースロウは軍大学に入学するので連れていく、副官はクレイ

と話し合って君と親しい者を選ぶといい」同じくブレイブとあまりソリの合わなかった中尉は連れ

て行く、という。バードは補充の将校は月の表側から異動してくる、とも言った。

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==== ダリル・ローレンツがミッチャム研究室で勤務を始めて2週間が過ぎた。

業務内容はカーラ教授が研究している新型義肢を装着し、作動させるテストユーザーである。

義肢の中には人工筋肉が強化され、1G環境下において助走なしで4mの垂直ジャンプが可能な物ま

であった。義肢に対ショック用スプリングが装着されていなければ負傷したかもしれなかったが、

ダリルは不平も言わずに真面目に任務に邁進した。カーラの口添えがあったのかダリルは一等兵に

昇進し、病床の父もこの大学病院への転院が叶った。カーラは「徴兵逃れで入院してる健康な患者

さん何人かに退院してもらったの」と言っていたが。ダリルより年少の志願兵が大勢いるのに徴兵

年齢に達した大の大人が詐病で兵役逃れをする、という話にダリルは割り切れないものを感じた。

 

カーラ教授と一緒にいる時間が長くなるにつれ2人の仲は接近し、休日には彼女とズムシティで

ランチを一緒にする様になった。とはいえまだ1回で、それもカーラに勘定を持って貰ったが。

ダリルは俸給の殆どを実家に送金していたのでポケットマネーを持っていなかったからだ。

高級店のランチを堪能するダリルの様子はカーラは微笑みながら眺めていた。

(傍目からは姉弟に見えるだろうか)とダリルは思ったが、すぐに滅多に食べられない店の

ランチを存分に味わうため味覚に意識を切り替えた。

 

「昨日はご馳走様でした。僕んち、ここ数年はこんな高い店に行けなくて…」

ダリルはカーラから「自分、とか軍人口調は私の前ではやめて」と言われたので、一人称は「僕」

になっていた。カーラは「じゃあ、今度は夕飯ご馳走するわ、私の手料理だけどね」とウインクした。

ダリルは頬を赤らめ、「え!? 教授が兵舎にいらっしゃるんですか?駄目ですよ、あんなとこ」と

慌てた口調で止めるが、カーラは「君が私の家に来るのよ。次の休み、1800時って言うんだった

かしら。料理作って待ってるから」とまたウインクした。ダリルの顔面はさらに赤くなった。

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==== サイド4→サイド6航路 重巡『チェーホフ』

 

チベ級であるチェーホフが航路上で通商破壊任務に就いているのは軽巡『ユウバリ』が機関故障を

起こし、本国へ引き返したからだった。そこで、旧式艦で改装工事の予定が無いチェーホフにお鉢

が回ってきたのだ。退役間近の旧式だったが、間に合う限り対空兵装の強化を行い、幾つかの

砲座は防空指揮所から操作できない手動だった、出港したチェーホフ。機関を核融合炉と熱核

ロケットに換装した最初の大改装でMS格納庫を設置し、12機を搭載できるのが軽巡に対する

最大の強みだろう。ただし、機関出力は艦の大きさに対して小さく機動性は低かった。

連邦のマゼラン級の方が最大加速が大きいため敵に捕捉されたら逃げ切れないだろう。

 

同じチベ級でも『レッドバイカウント』の様に最初からイヨネスコ型融合炉と熱核ロケットの

組み合わせで建造された所謂「後期型」と呼ばれるタイプと違い、旧来型の原子炉で建造された

チェーホフは炉や推進機のスペースが小さく全長も違う為、実体は別の型式といえた。

現在本国とソロモンのドックで改装工事を受けているのは後期型の艦である。

前期型でも艦齢の浅い何隻かは船体を輪切りにしてパーツと装甲を継ぎ足す、という手法で

改装が行われていたが、後期型が優先されているため竣工は数カ月後、といわれている。

 

そんな旧式艦チェーホフだが、戦隊司令を兼ねるイリアス艦長はじめ艦内の空気は前向きだった。

なにせチェーホフ戦隊は重巡と特設巡2隻合わせて30機のMSを運用できる。イリアスと特設巡

『モンカルム』のヘクト艦長はMSパイロットの一期生というベテランでもあり、襲撃の際には

2人ともザクに乗って参戦する手筈になっている。2人とも戦隊で2機きりのMS-06F-4型に

搭乗しており、ハッテ会戦の怨敵『首無し』何するものぞ、という気概に溢れていたのだ。

 

その例外といえるのが、ニルス・テオレル軍曹だった。これまでの実戦で「敵が撃てない」という

戦闘神経症を発症したため、艦内で半端者扱いをされていた。イリアス艦長だけは「新兵に

ありがちな病気だ。いずれ治って戦果を上げるさ」とニルスをMSから降ろそうとしなかった。

とはいえ、敵を撃てない者を06を乗せる訳にはいかず補用機扱いのMS-05Bに搭乗していた。

MS-05は動力パイプの露出と装甲冷却システムで性能は上がってはいるが、炉の出力と推力は

原作と同じであり、性能向上の効果はAMBAC機動の速さ、という限定的なものだった。

戦闘では囮役しかできないニルスは艦内でMS整備の手伝い、整備中の機体の手足を動かしたり、

整備完了した機体の動作確認等が業務となっていた。

艦長がニルスを庇うのもこのような縁の下の力持ちな面を見ればこそ、といえた。

 

チェーホフ隊のMS-06E サイモン曹長機が小規模な敵船団を発見した、と通信を入れてきた。

イリアス艦長は特設巡の艦長2人と襲撃すべきか話し合ったが、ヘクト艦長はサイモンが敵護衛艦

を発見していないのを訝り、襲撃に消極的だった。が、もう1人の特設巡の艦長、ホロスは近日

この戦隊にも政治将校がやってくるので政治的な思惑で作戦に掣肘を受けない最後の機会、と襲撃

を主張した。政治将校=総帥府から派遣されてくる軍事音痴の癖に指揮にあれこれ口をはさむ

官僚、というのは戦隊内で共有されている認識だった。

 

数時間前、イリアスは通信参謀から「サイド4を連邦軍の許可なしに出港した船団があり、

連邦軍は政庁に厳重抗議を申し入れた」という暗号電を傍受、という報告を受けていた。

サイド4に接近した情報収集艦は駐留艦隊司令が政庁を訪問した映像を傍受しており、

裏付けのある情報といえた。そこに「小規模船団」の発見である。

「襲撃しよう。攻撃隊は俺が直卒する。ヘクト、悪いが付き合って貰うぞ」イリアスは決断した。

 

チェーホフと特設巡2隻の艦載機合計30機はサイモン曹長の誘導で敵船団を視認する位置まで

到達した。敵は輸送船8隻だった。ジオンの通商破壊作戦に対して連邦は最低でも20隻以上の船団

を編成し、2個から4個戦隊の護衛を付けるのが通例になっていたので、護衛艦無しの8隻というの

は正に鴨ネギの獲物だったが、ヘクトは「駆逐艦すらいないとはな。嫌な予感しかせん…」と

慎重だった。

 

イリアスは「もし、これが罠だとしても、この距離で引き返せば背中を撃たれる。全機、細心の

注意を持って進め。ジルト、貴様の小隊が先鋒だ。ちょっとつついてこい」戦隊長はニルスの

所属する小隊を突出させるという。ヘルメット内通信で「ちっ、誰かさんのせいで囮役だよ…」

というボヤキが聞こえた。小隊長ジルト少尉は(テオレルはいい奴だし腕もいいんだが、敵を

撃てん、というには士気に関わる)と思っていたのでボヤキの主、ミヒャエル兵長を叱責する

こともなく旧ザクに「テオレル軍曹、敵船に接近しろ。何か動きがあれば報告せよ」と命じた。

 

ニルスは危険な任務に文句も言わずに旧ザクを輸送船に接近させた。すると、輸送船の外装に

火花が走り、外殻が吹き飛んだ。(自爆!?)ニルスは驚愕しながらも、自機に回避機動を

取らせる。骨組みだけになった敵船から何かが噴射炎を吹かして飛び立った。

「敵艦載機!!首があるのが4!腕だけのが8!」敵の正体はやはり、偽装船だった。

ニルスは自分でも意外な程冷静に小隊長ジルト少尉に報告した。

こちらに接近してくる敵機にシールドを構えながら回避機動を取る旧ザク。

敵MSには頭部が有ったが、『モドキ』よりスリムな機体でモニターには「機種:???」

と表示されていた。ニルスは「敵MSは識別表にない機体です!」と小隊長に報告する。

正体不明のMSは銃を構え発射するが、ニルスが視認したのは曳光弾でビームでは無かった。

4機とも実弾を放っている。『首無し』のようなビーム銃を持っていないらしい。

旧ザクはAMBAC機動を駆使して敵弾を回避し続ける。

 

さらに『腕だけの』が攻撃に加わった。「なんだアレ!?…カニ?」図鑑か水族館でしか

見たことのない甲殻類に似た敵機をニルスは敵弾を避けながら観察していた。

敵機は胴体に2本の腕が生えた外見だが、間接の無い腕は装甲板に包まれご丁寧に先端が

ハサミになっている。。

カニはそのハサミ状先端を開くと中から何かを発射した。腕の後ろから発射炎が噴き

出したので無反動砲のようだ。MSとカニ、合計12機は不用意な接近をしてきた旧ザクに

弾幕で絡め取ろうとするが、ニルスの旧ザクは、するすると逃れる。ムキになって

攻撃を加えてくる敵編隊にジルトとミヒャエルは有利なポジションを占め、

ザクマシンガンの連射を放った。たちまちMS2機が被弾し火を吹く。

 

「ヒャッホウ!敵の新型をやりましたぁ!」と叫ぶミヒャエル。「ぐわっ!」次の瞬間、

カニが発射した砲弾がMS-06Cに命中するが、右肩のシールドに当たり損傷はない。

「へ、おどかしやがって!」カニはミヒャエルの応射で撃破された。

 

ジルト小隊と偽装船との戦闘が始まると、7隻の偽装輸送艦が外殻を折りたたみ1隻当たり

MS4機とカニ8機を発進させた。敵偽装船団は100機近い艦載機を腹に収めながら獲物が

罠にかかるのを待っていたのだ。

 

「敵は艦載機を繰り出してきた!応援を求む!」ジルト少尉は本隊に通信を入れた。

既に本隊も距離を詰めており、偵察機MS-06E 3機を除くザク27機が戦闘に参加した。

06Eは戦闘の模様をチェーホフに送信している。

敵MSの性能はザクに近いようだが、足を止めて銃を乱射するなど操縦者の練度は高くなく

ザクの攻撃でみるみる数を減らしていった。

むしろ小型機のカニの方が手強く、MSを攻撃している隙を突かれ撃破されるザクが出て

イリアスは「カニを警戒しろ!」と命じなければならなかった。

 

敵が艦載機を全て発進させてから10分程で、敵船団から発進した100機近い敵機は既に

3割近くに撃ち減らされていた。「なんとか切り抜けられそうだな」とイリアスが呟いた

次の瞬間、敵母船を攻撃しようと機動したザク2個小隊がビームに貫かれ火球となった。

「モビルアーマー!!」味方機が警報を発した。

敵の罠は二段構えだったのだ。

 

敵MAは2射目を放つと旋回して離脱していった。「奴ら、ハッテ会戦の時より旋回が速い…」

自身も会戦に参戦していたイリアスは敵MAの運動性が上がっているのを見て取った。

MAに続いて20機を越える『首無し』が接近しているのを視認し、イリアスは即座に全機離脱

を命じ、アンジェリーナ・テルマー少尉率いるMS-06E小隊には距母艦へ急報するよう命じた。

「司令、自分の小隊が殿を務めます」ジルト少尉の具申にイリアスは「スマン、帰還してくれよ」

と言うしか無かった。(テオレルのような子供に貧乏クジばかり引かせる指揮官ってヤツは…)

戦隊の士気に関わるので心の中で自嘲するイリアスだった。

 

ジルト少尉とミヒャエル兵長は早々に撃墜され、小隊はニルスの旧ザクだけが生き残っていたが、

マシンガンを構えても射撃を一切しないニルス機を『首無し』共は無視して本隊を追撃し。

5機がビームの餌食となった。損傷機は6機にのぼる。

(敵編隊に『大砲付き』がいれば、隊は壊滅してたな…)とイリアスは独りごちた。

チェーホフに最後に帰還したのはニルスの旧ザクだった。

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==== サイド4

 

ムンゾに駐留する第3艦隊司令グリーン・ワイアットはサイド2、ハッテに駐留する第1艦隊の

幕僚長ロドニー・カニンガン准将にレーザー通信を入れた。

「君の作戦案通りになったな。私もムーア市長に抗議を入れた甲斐があったよ。

もっとも、あの市長はぽかんとした顔をしてたがね。連合艦隊の幕僚長から持ちかけられた

話に乗ったのに、地元に駐留している私から皮肉を言われるとは思ってもいなかったようだ。

もっとも、あの男に皮肉を理解できるだけの教養があれば、という仮定の話だがね」

 

「ま、それ込みの作戦案でありますから。事実ムーアのメディアはこちらの思惑通りの

報道をしてくれましたし」カニンガンは真顔で答える。重巡チェーホフを襲った二段

構えの罠はこの男が絵図を描いたのだ。敵はまんまと仕掛けに引っかかったものの、

見切りのいい指揮官と異常な回避機動を取る旧式機のせいで取り逃がした。本来なら

母艦まで追撃する予定だったが、敵は撤退時に機雷をバラ撒いており掃海に予想外の

時間をくってしまった。

 

「しかし、あの『フォルクス・スーツ』も改良されたといっても乗るのがあのボーイスカウト、

いや、月にいる本物のボーイスカウトに失礼だったな、幼稚園児達ではジオンの新兵に

経験を積ませるだけになったな。ムーア州兵は私の方から教官を派遣し、鍛え直すよ。

あのボーイスカウトを兵隊にした鬼教官の様にはいかんだろうがね」ワイアットもブレイブ・

コッドの「偉業」を承知していた。地球に憧憬を持つエアーズと独立指向の強いムーア

とでは同じ方法は通用しないだろうが。

 

「囮船団を使って無事航海を終えたPQ17船団は明日サイド6沖でMMS-04A1 32機をサイド6

政庁と契約しているPMCに引き渡します。AR-YS77、CSV-77といった装備も別梱包で引き渡す

予定です。中立のサイド6が武装化することでジオンは警戒する戦力を張り付けなければ

ならなくなります。フレミングカンパニー様様ですよ」カニンガンは澄ました顔で言った。

 

「君ってヤなやつだったんだな…」味方を囮にして中立国にMSを売却する、という企みに

流石のワイアットも呆れ顔だった。「貴方がそれを言います?」カニンガンはアンタだって

中々のヤなやつだろう、という顔をした。

「私はね、イートン校の教師に『君は自分のことを棚に上げて他人を批難する癖がある』と

言われた男だよ」とワイアットは自慢にもならない自慢をした。

自分はパブリックスクール出の上流階級出身である、という自慢かもしれない。

 

 

==== サイド6領空近くの宙域

 

MSとその装備を載せた数隻の輸送艦は「顧客」とランデブーを果たした。

サイド6政庁と軍事顧問契約を結んでいるPMCに積荷のMMS-04A1『レオ』32機と

その装備を引き渡す。オズワルド・ワーカー3曹は偽装船団から恩師であるクラークCTOの

意向が働いて外されており、顧客の船にレオを運搬する任に就いていた。

 

「生きながらえた、と思うべきなんだろうな…」ワーカーも青年らしい愛国心や功名心は

あり、自分が戦友達と戦えなかったのは無念に思う反面、自分達の技量が実戦に出られるもの

ではなかったことを彼らの死をもって痛感した。

 

「顧客」のPMCはCEO自らがMS引き渡しの現場に赴いていた。彼の見る限りではサイド4が

自力で開発した、というMMS-04『レオ』はジオンのMS-06に劣らない性能に見えた。

最も、大幅に劣る性能であっても自分達にはこの機体しか手に入らないのだからこれを使うしか

ない。社員達にはBM-01のシミュレーターで訓練を積ませていたが、実機に乗った者はいない。

「MSを扱える、という触れ込みの新入りに期待するしかあるまいな…」

CEOは納品書にサインしながら、呟いた。

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====(女の人って重たいんだな…)これが、ダリル・ローレンツの初体験の感想だった。

カーラ・ミッチャム教授の家に招かれ、彼女の手料をご馳走された。ところが、カーラは高級軍人

から貰ったというブランデーを1本飲み干してしまい、ベロベロに酔っ払ってしまったので、

ダリルはカーラに言われるがままにベッドまで連れて行った。すると、カーラにベッドに組み伏せ

られ、義足を外されてしまった。何か格闘技の心得でもあるのだろうか?と思う間もなくカーラは

服を脱ぎ、ダリルを脱がし行為に及んだ、というのが顛末である。

連邦だったら未成年者への性的暴行で懲役を食らう

様な所業だが、ダリルは他人にこのことを話すつもりなど無かった。

カーラの社会的立場を思いやったのと、行為の間中何度も「愛してる」と彼女が叫んだからだ。

 

行為が終わるとカーラはベッドの上にダリルを残してシャワーを浴びに行った。ダリルは強い

倦怠感を覚えベッドに横たわっていた。すごく眠い。

シャワーを浴びたカーラが寝室に戻ってきた。

「愛してるわ、ダリル…」先程の獣欲を滾らせた目から打って変わって慈愛を込めた目をした

カーラがダリルの耳元で囁く。

「僕もだよ、カーラ」ダリルは(1回ヤッたら捨てられるかも…)と不安だったので、正気に

戻った顔で彼女から愛を囁かれ心の底からホッとした。

 

 

「本当?じゃ、私のお願い聞いてくれる?」

「あぁ、僕のできることなら何でも…」

「ありがとうダリル…じゃあ、その両腕切断してくれる?

 

 

 

 

 




27話をお送りしました。衝撃のラストですが、R-15タグですのでセーフ、ということで
お願いします。作者が中学時代に読んだ小説版ガンダムではガッツリベッドシーンあった
りしましたので。あと、カーラ教授はこんな色仕掛けで他人の腕切断したがるヤベー奴
じゃなかったはずですが、次回以降の伏線ということで。

「ゼロの旧ザク」を購入したので元を取るべくニルス君他のキャラを出演させました。
ニルス君が敵を撃てない理由が戦闘神経症なのは独自解釈です。
ユーマ・ライトニングも登場しましたので、ジオン側もだいぶ強化されたと思うのですが。

前回でJJことジョブ君が異動になったサイド7の様子を次回は書くつもりです。
しかし、キャラクター増えすぎてスプレッドシートじゃないと管理しづらくなって
きました。

連休中に構想を練って来週末に投稿できれば、と思っております。お楽しみに。

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