リストラおじさん、ゴップになる   作:寒原光雪

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このところえげつない描写が続いたのでウケ狙いのサブタイにしました。


Re:ザクからはじまるMS開発

==== サイド3 ダークコロニー

 

ダークコロニー(エキストラ・バンチ )は公国の兵器開発の拠点でありMSの開発やムサイ級

軽巡もこのコロニーで貨客船から改装された。現在もMS-06の各種改良型やYMS-07などMSの

開発と試験が行われている。

カーラ・ミッチャムの研究室兼工場もこのコロニーに置かれていた。

 

そのコロニーにある市街戦を想定した演習場、MSの背丈より高いビルが並ぶフィールドの入り口

にMS-06FR『ザク・イモータル』はいた。コックピットのダリルにカーラから通信が入る。

「ダリル、今日はザク・イモータルが総帥にお目見えする大事な日なんだから頑張ってね。標的は

有人機だけど、中身は月で無防備都市に押し込み強盗に入った死刑囚共だから気にしないで」

今日の「デモンストレーション」の生贄は戦争犯罪人らしい。

「そいつらはどっちの旅団の所属だったんですか?」月面に出征していたダリルは自分の戦友達が

そんな犯罪行為に手を染めた、とは考えたくなかった。

「独立戦車旅団だから『アジア』の方ね」「やっぱり!あそこは指揮官からしてゴロツキみたい

なんですよ!」突撃機動軍内部にも反目がある様だ。

「犯人共はキシリア少将の直属をかさにきて好き放題してたらしく、アジア旅団でも持て余してた

そうよ」「そういえば、アフリカ旅団にもいました、そんな奴ら。物資を徴発とか言って勝手に

持って行くんですよ。PXで拳銃振り回したりして凄く評判悪かったですから」ダリルは整備班の

ニ等兵時代を思い出し、総司令が飼っている輩を唾棄する様に語る。アジア旅団に対する反目より

キシリアの私兵に対する反感の方が余程強かった。

 

「だから、ね。死んじゃってもいい連中だから存分にやっちゃって。あなたがのし上がる踏み台

にしなさい。ザク・イモータルと一体になったあなたならできるわ!」モニターの中で両の拳を

握りガッツポーズをするカーラ。

ダリルは自分の両腕を奪った女を一瞬(かわいい)と思い次の瞬間、おぞましい想像をした、

と首を振った。(懲りてないのか、僕は。今度は何処を彼女に差し出すんだよ…)

ザク・イモータルの融合炉が起動し、ダリルはゆっくりと演習場へと歩き出した。

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「ゼぇロぉ!!貴様、俺の指示が聞けんと言うのか!」

ゼロ・ムラサメはサイド6政庁と契約しているPMC『アッセンブル』社に潜り込みMS搭乗員

として勤務していた。現在はサイド6からサイド5への輸送船団の護衛任務に就いている。

怒鳴っているのはカン・ユーとかいうチョビ髭の課長である。

アッセンブル社の課長とはMS8機、戦闘ポッド12機を運用する重大な役割を持った役職である。

連邦やジオンの中隊長より預かる機体の数が多いのであるが、カン・ユーにはその重荷を背負う

だけの器量がない、というのが一名を除く課全員の見解だった。

その例外ワップ係長が「ゼロ、俺達はチームなんだぞ。課長の言うことが聞けんのなら、

今すぐサイド6へ帰れ!」と尻馬に乗ってゼロに無茶を言う。既にサイド6宙域をだいぶ離れて

おり、MSの航続距離では帰還できない所まで船団は来ていた。

 

なぜ、カン・ユー達とゼロが揉めているかと言えば、「臨検に来るジオンを奇襲する」と称して

カン・ユーが機動兵器部隊を母艦、偽装貨物船に止め置こうとしたからだ。

ゼロは船団護衛任務なら何機か発進させておきジオンへの抑止力とすべし、と主張し、この主張に

戦闘に消極的な一部の社員が同調したのである。

しかし、カン・ユーはかえって意固地になり待機に拘った。MS搭乗員達はボーナス目当てに

この日ばかりは課長の肩を持った。結局、ゼロの方が折れる形で課の全機が母艦に待機となった。

 

それから数時間後、船団の前方に3機のザクが現れた。

船団の司令船とレーザー通信を行っていたが、カン・ユーは司令船から転送されてくる通信を

聞きながら、「全機発進準備!」と命じた。ジオン側は中立破りの軍需物資を船団が運んでいない

か臨検を強行するらしい。実のところ船団はサイド6で精錬されたチタニウムなどを運搬して

おり、積荷を検められると中立破りとして没収されかねなかった。

 

偽装貨物船の側面ハッチが開き、MSが発進可能となるやいなやカン・ユーは

「敵は3機、こちらはポッドも入れれば20、一気に片付けるぞ!」とワップを伴ってMMS-04

レオを発進させる。撃破ボーナスを当て込んだ傭兵達が後に続くが、ゼロはMS隊8機の最後に

出撃した。

 

MS8機、戦闘ポッド12機の機動部隊の出現に驚いた様子のザク小隊は慌てて後退していった。

「くそ!逃げ足だけは速い連中だな」獲物を逃した、とカン・ユーは吐き捨てるが、その時、

ザク小隊が現れたのと別の方向から3機づつの小隊が複数現れ、課は騒然となった。

既に船団はザク18機に包囲されていたのである。

「課長!敵は20機近くおります!こちらのMSは8、敵いっこありません!」とワップが泣き言を

言うがカン・ユーは「ゼロ、貴様が6時の敵に当たれ。残りで正面の敵を叩き血路を開くぞ!」

とゼロ1人にザク9機を押し付ける様な命令を出した。

 

理不尽にも見える命令にゼロ・ムラサメは「了解」とだけ返事し、ふくらはぎにブースターを

増設したレオ改で部隊から離れ敵中隊へと飛んだ。

1機で挑んできたこと、機体の細部が他の機体と異なることからザク9機は正面からではなく、

3方向からゼロ機を包囲する陣形を取った。

ゼロは無言のままレオ改の推力を全開にして、頭上の3機小隊へ突っ込む。

ザクはここでも散開し、3方向からレオ改にマシンガンの弾幕を浴びせる。

しかし、ゼロは高速化された思考と機体システムの力で安全な軌道を割り出し、ホシオカに

強化された駆動系による鋭いAMBAC機動で軌道をなぞって敵弾を全て回避する。

そして、反撃とばかりに角が生えた隊長へ手にしたYS-77アサルトライフルを掃射した。

100mm劣化ウラン弾を10発以上被弾した隊長機は火の玉となった。

 

中隊長機を失ったにも関わらず、残った2機は動揺した素振りを見せず、味方を呼び寄せ

ゼロは8機に包囲される。ここでもゼロは強化された駆動系を活かしたAMBAC機動で敵の

弾幕を回避し、今度は3点射でザクのコックピットを狙い撃った。弾倉が空になると、

距離を詰めヒートホークを敵機の胸に叩きつける。途中、ゼロは弾倉を交換しながら

数分の交戦でザク8機を壊滅させた。「・・・」この間、ゼロ・ムラサメは無言を通した。

 

ゼロが取って返して来た頃には味方のMSは5機に減っていた。戦闘ポッド『キャンサー』は

3機を残すだけであった。無反動砲を兵装とするキャンサーは接近しなければ命中が見込めず

不用意に距離を詰めてそこをザクに回り込まれて撃破されたのだった。

「船の影に隠れてりゃいいのによ…」傭兵の一人キムラは吐き捨てた。戦闘ポッドは

外付けの対空砲座であり、基本、待ちの兵器である。自分からスラスターを吹かして接近すれば

容易に兵装の死角に回り込まれてしまう。融合炉とMSと同じ駆動系を持ちAMBACで素早く方向

転換できるモビルポッド『リ・ガード』ならここまで容易く落とされなかったかもしれない。

傭兵搭乗員の高いモチベーションが仇となった形だ。

 

「カチョー!た、たすけッ ブツ…」ワップ機がマシンガンの掃射を浴び爆散する。

残ったMSレオは4機である。残った戦闘ポッド3機は母艦の甲板上に張り付いている。

ゼロは味方を一瞥することもなく、敵編隊へ突っ込んでいく。

 

敵はカン・ユー達との交戦で3機を失い、6機となっていた。しかし、その後方からさらに9機が

船団に接近してくる。ゼロは射程内にまだいたザクにアサルトライフルを掃射した。

劣化ウラン弾に穴だらけにされたザクは火球となった。

角の生えた隊長機は腕を振り、部隊を後退させる。増援の9機もそれを援護する動きをしながら

船団から離れていく。

「助かった…」カン・ユーはコックピットのシートにへたり込んだ。

 

「デモンストレーションにはこれで十分か」ゼロ・ムラサメは戦闘を望んでいた。

ジオンに自分の能力をアピールするためだ。それにはカン・ユーに積極策を取って貰わねば

ならない。彼は自分の言う反対の行動を取るだろうと消極策を主張したのだった。

ジオンは一度の交戦でザク10機を撃墜した「中立国のダブルエース」を放ってはおくまい。

連邦の追っ手がかかるだろうから、サイド5に到着したら一旦身を隠す必要があるだろう。

だが、単身でサイド6へ密入国する手立てならあった。後はサイド6のフラナガンとかいう科学者の

ラボに接触すればいい。

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==== サイド7 『V作戦 R&Dセンター』

 

ジョブ・ジョンはダンクと共にサイド7、7バンチに降り立った。開発が大詰めになったRX-78と

もう1種類の試作機のテストパイロットとして勤務するために。

 

「ダンク、ここのパイロットは実戦経験が無いとはいえ、統合参謀本部が選抜した

『ニュータイプ』だそうだ。間違っても実戦経験を鼻にかけた偉そうな態度なんか取んな

よな。艦隊から来た連絡将校が舐めた態度取ってケンプ大尉にボコられたそうだしよ」

既に単独で5機を撃墜しているジョブ・ジョンはだからこそ腰を低くして好かれる努力を

しようと思った。妹のジョーを残して戦死する訳にはいかない彼にとって試作機のテスト

パイロットという任務は願ったり叶ったりのものだった。

傲慢な態度を取ってここから放り出されるのだけはゴメンだ。

 

「センパイこそ、気ぃつけてくださいよ。サイド4の王子様にガチギレしたっていうじゃ

ないスか。まぁ、あのウニ頭の少尉、馴れ馴れしい感じであんま好きになれなかったスけど」

ダンクは喧嘩っ早い彼の長機の方が心配な様だ。

 

「よ~し、『13独戦』司令部についたぜ。着任の挨拶すんぞ」ジョブ・ジョンはあくまで

前向きだった。「ジョブ・ジョン曹長」「ダニエル・シェーンベルク軍曹」

「「V作戦 R&Dセンターに着任致しました!」」背筋を伸ばし、敬礼し着任の申告をする2人。

「サイド7にようこそ。私はチャールズ・エルヴィン・ベッカーズ少佐だ。ここの試作機を

運用している第13独立戦闘団を預かっている」ハンサムなベッカーズ少佐はジョブやダンク

とにこやかに握手した。

「それでは、他のパイロット達に君等を紹介しよう、ついて来たまえ」2人は少佐の後を着いて

行った。ダンクはあちこちを見回し、「ほー」とか「へー」とか感心した声を出している。

このR&Dセンターは軍事基地というより民間企業の様な作りであった。

「センパイ、さっきエネルギーバーの自販機ありました。タダみたいっスよ」

「IDカードに記録されて給料日に引き落とされんだよ、こういうとこのは。あんまキョロキョロ

すんな恥ずかしい奴だな」ジョブはまっすぐ前を見ながら小声でダンクに注意する。

 

「自分はジョブ・ジョン曹長です。これから一緒に働かせて貰うことになりました。よろしく」

できる限りの笑顔で愛想を振りまくジョブ。「自分はダニエル・シェーンベルク軍曹です。

よろしく願います!」と固い表情で自己紹介するダンク。

MS部隊の指揮官ケンプ大尉は「ここにはもうひとり『ダニエル』がいてね、結構エライさん

なんで君はアダ名で呼ばにゃならん。どう呼んだらいい?」と尋ねた。

「『ダンク』で願います!前の部隊でもそう呼ばれてました!」と直立不動で申告するダンク。

ケンプは苦笑しながら「そんなに固くならんでいいよ、ダンク軍曹。

自分はウィリー・ケンプ大尉。ウィリーって呼んでくれ。あと、こちらの3人は右から

アムロ・レイ軍曹、カイ・シデン軍曹、ハヤト・コバヤシ軍曹だ。年はシデン軍曹が曹長と

同じ16であとのふたりは軍曹と同じ15だ。仲良くやってくれ」と軍内部で存在が囁かれる

NT部隊『ノア・ボーイズ』の面々を紹介した。

 

ジョブは地元出身という3人を一瞥し(かなり鍛えてやがんなぁ。あのマッチョな少佐が訓練

メニュー作ったとか言ってたが…)と一見では素人に見える3人が少なくと筋肉は鍛えている

ことが見て取れた。(ま、俺らはMSに乗ってナンボだけどね)

 

顔合わせが済むとジョブ・ジョン達は格納庫に連れていかれ自分の搭乗機に案内された。

ジョブ機はRX-78試作5号機、ダンク機はRX-79試作3号機だそうだ。

「へー、顔とツノがあんじゃん。強そうだなぁ」ジョブはBM-02より文字通り頭1つ大きい

『ナナハチ』を見上げながらこう呟いた。

ダンクも「俺の機体もツノは無いけど、顔があるっス!カッコいいなぁ…」と驚嘆している。

 

「見ろよ、あの手に持ってるビームライフル。ベムのよりごつくね?」

「俺のも強そうっス!」

2人は新型機に夢中な様子だ。

ウィリーは「乗ったらもっと夢中になるぞ。特にナナハチは他のMSとは訳が違う。

連邦の持てる技術と資源と予算を注ぎ込んだスペシャルなマシンだからな。

ルナツーで訓練してる501より高い機体なんでなるべくなら壊さんでくれよ」と

恒例のドヤ顔をした。

 

ジョブがシートに座りコックピットハッチを閉めた途端、コックピットから「Hi、私はLuna。

RX-78-5の操縦者支援システムです。私はBM-01L『ジョセフィン』のデータを参考に開発され

ました」と女性の声が響く。

「これが大尉の言ってた専用AIってやつか。よろしくな、ルナ」とジョブはここでも愛想がいい。

外からモニターされている、と考えたからだ。コックピット内でAIに横柄に振る舞えば開発陣の

不興を買うだろう。伊達に苦労してきたのではなかった。

 

ジョブの青みがかった灰色にペイントされたRX-78 5号機とダンクの胸が濃い緑、頭と四肢が

薄い緑に塗られたRX-79は演習場で慣熟訓練を行っていた。

2人はAIのチュートリアルモードを使い1時間程で新型機を思うがままに動かせる様になっていた。

やはりBM-01Lという癖の強い機体に乗って戦果を上げただけのことはあるのだ。

 

訓練を眺めていた黄色いRX-78 1号機から通信が入る。

「それじゃ。2人にはこれから模擬戦やって貰おうか。まずは3号機と4号機のペアからだ。

実戦で鍛えたコンビネーション見せてくれよ」

ジョブは「了解」と返事するとダンクに「お肌の触れ合い会話」で「相手のデータはなんもねぇ、

距離を取って観察だな」と列機に戦術を伝えた。

ダンクは「あの2機ってタレ目とチビっスよね。まだ4ヶ月かそこらしか乗ってないとか嘘でしょ、

とてもそんな風には見えないっスよ」カイとハヤトの練度に舌を巻いている。

黒と銀の3号機とくすんだ赤の4号機はジョブ達が動きを見せれば即時に対応できる様な態勢で

移動していた。

 

「距離3000か。いっちょ、突いてみっか」ジョブ機は体勢を低くして3号機にビームライフルを

向けた。その瞬間、3号機は横っ飛びして演習場に立っているビルの影に入った。

「アホか!ビルなんざビームの遮蔽物になんねぇんだよ!!」ジョブは3号機が盾にしたビル

ごと3号機にビームライフルを発射した。コックピット内部に例の発射音が轟く。

「命中したんじゃないのか!?」メガ粒子のビームが命中していれば音か光、熱を感知できる

はずなのだが、3号機の作動音しかジョブ機には感知できなかった。

その刹那、ジョブは操縦桿を倒し5号機は左に機体を傾ける。

だが、「右肩にビーム直撃、右腕作動不能」とAIが冷たく告げる。

「なんでだ!?」直撃を与えた筈が直撃を食らっている。訳が分からなかった。

「あ、言い忘れてたけど、RX-78には対ビームERA貼ったシールド持ってるから。貴様のにも

付いてるぞ、ジョブ曹長」ウィリー大尉から愉快そうな声で通信が入った。

「マジかよ!?ズッケぇ!!」AI(ルナ)は「質問されなかったので情報を開示しませんでした」

と合成音声で聞かなかったお前が悪いと言った。

結局、ジョブは肩に装備したショルダー・マグナムを1発、3号機に直撃させたが撃破はできず

逆に胸部をビームで直撃され撃破された。ダンクのRX-79はジョブと3号機が戦ってる間に

接近された4号機に滅多斬りにされたようだ。「ええ!?」というダンクの悲鳴じみた声が

ジョブのヘルメットに響いた。

 

「いやぁ、2人とも残念だったな。でも次は2対1だからさ。俺に2人掛かりでかかってきな」

と、ウィリーが挑発する。ジョブとダンクは今度はスラスターを全開にしてコロニーの向こう側へ

飛んだ。1号機もスラスターを吹かし追跡してくる。ジョブは咄嗟に機体の向きを反対にして

スラスターを全開にした。敵機の下側へと入り込むジョブの十八番であった。ダンクは1号機の

頭を抑えビームを乱射して注意を引きつけていた。

「股ぐらに直撃だぜ!」1号機の下方に潜り込んだジョブは黄色い機体にビームライフルを向ける

が、1号機はノールックでジョブ機にビームライフルの銃口を向けた。

「腹部に直撃。コックピット蒸発」AI(ルナ)の声が響く。ジョブ機の撃墜に動揺したRX-79は

その30秒後に撃墜された。

 

「いや~、若手の有望株に勝っちゃったよ。ジョブ君さぁ、さっき対ビームERAのこと教えたろ?

俺を狙う時はシールド構えなきゃ。ダンク君は長機が落とされても30秒粘ったのはいい。それだけ

あれば別の味方機が助けてくれるかもしれんからな」ドヤ顔で講評するウィリー。

「あと、俺に使ったあのマニューバ、自分の部下になる奴の記録くらい見てるんだぜ。俺だって

士官なんだからさ。ヤザン・ゲーブルと5回めに戦ったマニューバ、アレは良かった。小回りの

利かないランサーでよくぞここまでってとこだよ。だが、こいつはRX-78だ。

過去の機体のつもりで乗ってたら勝てんぜ」と指揮官らしいことも言った。

 

「次は本日のメインイベントだ。ベイブロックへ急げ」と黄色い1号機は7バンチのベイブロック

へと飛んだ。

ダンクが「そういうや、RX-78ってあと1機あるんスよね?どこにいるんでしょう?」とジョブに

聞いてきたので「大尉がベイブロックって言ったからおそらく宇宙(そら)だろ」ジョブは半ば

投げやりに答えた。実戦をくぐり抜けて来た自分達がここまで通用しないとは思わなかった。

 

ベイブロックに待っていた輸送艇に乗り、ジョブとダンクはサイド7の『壁』までやってきた。

サイド4にもある障害物でジョブ達も実戦で使ってきたので2機は大きめのデブリに隠れていた。

だが、相手のRX-78 2号機は光を反射する白い塗装で矢鱈と目立ち、ジョブは光学センサーに

フィルターをかけなければならなかった。

「あんな目立つ塗装ってことは2号機は相当にヤベー奴だぞ、ダンク。締まってけ」とジョブは

列機に注意しろと言った。シールドにでかい狼男の絵を描いているヤザンの様に目立つ塗装は

腕に覚えがある者の証である。ウィリー大尉の「メインイベント」という言葉といい、ここで

最強なのがあの「白い奴」なのだろう。

 

「状況開始」のサインがジョブ機のモニターに表示されると、2号機は正に流星の様な速さで

ジョブ達に向かってきた。しかも一直線にではなく複雑な回避機動を取っており、ジョブも

ダンクもロックオンできない。2機ともデブリの影から狙撃するのを諦め回避機動を取りながら

2号機を挟む様な軌道で接近した。

 

2号機はジョブ機の方へ接近していたが、次の瞬間、振り向きざまビームライフルを放つ。

「えええ!?」ダンクの悲鳴がジョブ機のコックピットに木霊した。撃破認定されたRX-79は

その場からすごすごと離脱した。

 

「どうなってんだよ!AI!なんか答えろ!」ジョブは最初の愛想の良さをかなぐり捨てAIに

2号機の情報開示を求める。AI(ルナ)は「2号機のパイロットはアムロ・レイ軍曹。反応速度、

思考速度共にマスターを20%上回っています」と答えた。

「マジもんのニュータイプって奴かよ!」ジョブは対ビーム装甲が貼られたシールドを構えながら

機動し、距離を詰めた。ビームライフルの撃ち合いで正直勝てる気がしない。

「俺だって、1年半もMS乗ってたのに…」

生まれつきの素質の差、を見せられ闘志がみるみるしぼんでいく。

 

ジョブはビームライフル、ショルダーマグナム、バルカンまで総動員して2号機を撃つが全て

回避された。次の瞬間「9時、ロケット弾」という警告に回避機動を取らせたが、そこを

ビームライフルで狙い撃たれた。2号機の左手からケーブルの様な物が伸びているのを感知して

いたので、遠隔操作でデブリに置いておいたバズーカを放ったらしい。

「俺の癖を知ってた?いや、見切られたんだ…」ジョブには確信めいたものがあった。

模擬戦の間、2号機の機動が変化していったのを目敏く気づいていたのである。

 

開発センターに帰還し、演習のデブリーフィングが済むとジョブは笑みを浮かべて

「いや~、まいったまいった。エース気取りの鼻をぽっきり折られちゃったよ。君達強いなぁ」

と3人を持ち上げながらカイ、ハヤト、アムロの順で握手した。

カイは「なんかズルして勝っちゃってすんませんね.ヘヘ」と愛想笑いを浮かべるが、アムロは

「実戦をくぐり抜けてきた人と戦うのは面白かったです。ジョン曹長とシェーンベルク軍曹とは

できるだけ模擬戦をやりたいです」と言い「俺はジョブ、あいつはダンクでいいよ、アムロ君。

軍曹じゃなくて君付けでいいだろ?カイ君とハヤト君も」とジョブはイオ少尉の距離の詰め方を

参考に3人との距離を詰めようとした。3人とも階級が上で5機撃墜の「エース」なのに気さくな

ジョブに心を許したようで、カイなど「ここの食堂、11時台の方がアナハイムの綺麗なお姉さん達

が食事してることが多いんでお勧めっすよ」などと軽口を叩いてる。

(「ヤベー奴とは友達になっておけ」か。王子様、あんたの処世術、結構役に立つじゃねぇか)

ジョブ・ジョンは思った。

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残暑厳しき折、皆様お元気でしょうか。お久しぶりです、ゴップです。

こちらは2月、とはいえ南半球のジャングル地帯なので地上ではかなりの猛暑だったりする。

今日はその地上での演習を視察するので、熱帯用の半袖軍服の上に空調服のジャンパー、という

服装だ。勿論サングラスも掛けている。

演習は新型量産機RGM-79、その地上型のお披露目が目的だった。

 

「あれがRGM-79-G型です。RGM-79Aに対し、冷却に空気を使えますので、炉の出力が

1,350kwと高くなっております。一方でスラスターの推力は合計53,000kgと控えめです。

1G環境下ではスラスタージャンプはあまり多用されませんから」とマリオ・レナート大尉が

説明してくれた。

外見は「08小隊」の陸戦型GMとそっくりな機体は地上専用バムと模擬戦を展開している。

アマゾン流域は雨季であり、特にこの日は土砂降りだった。

この環境下ではビームライフルは有効ではない。対抗部隊のバムはYS-77ライフルを持ってるが、

陸戦型GMはの方は弾倉がグリップより後ろにあるブルパップ型のライフルを構えている。

「GMが持ってるのは劇中のGMライフルかね?」私はレナートに確認すると

「そうです。ただし、型番は『HWF GR-MR78』といいます。ホリフィールド社製のアサルト

ライフルですが、RGM-79Aの実弾兵器コンペでヤシマのYAR-79に破れました。性能的には甲乙

付け難かったのですが、外見が…」「弾倉が後ろに付いてると何か問題があるのかね?」

「いえ、ブルパップ形式そのもの、というより外見が旧世紀の『世紀の迷銃』と呼ばれた小銃に

似てしまいまして…。そこで現用の銃に形状が似ているヤシマがコンペに勝ちました」

まぁ、使う側の気持ちになれば評判の悪かった銃に似ている、というのはねぇ。

ちなみにYAR-79はXM-8という前世の試作型小銃に似ているそうだ。私、サバゲとかあんまり

やってなかったから銃は詳しくない。戦闘機は「エリパチ」世代だから好きだったけど。

 

「ですが、L-85もA2から信頼性が大幅に向上したのです。もっとも宇宙世紀になると忘れ去ら

れた様ですね。話を戻しますとYAR-79が使用する90mm弾は侵徹体に安定翼が無く、陸軍は

精度に難あり、と判定しました。そこでGR-MR78の口径を120mmに拡大し、APFSDS弾を使用

する陸戦用ライフルを仕立てた、という次第です」とレナート。「悪い評判」というのは中々

消えないのが世の習いだからねぇ。改良した人達には気の毒だけど。

 

「う~ん、アサルトライフルなんてものは近距離で使う物だろうし、そんなに命中精度に拘る

べきものなのかねぇ」ヘボン君は似た様な口径の弾薬を嫌う、というか憎んでいたので私も

その影響を受けていた。宇宙用の弾薬そのままでいいんじゃないかとも思うんだが。

「陸軍にはBM-02ベムは配備されませんでしたから。GMの配備が進むに連れ陸戦型ベムが

配備される予定ですが、その主砲でもあるのです、GR-MR78は」

あぁ、そういうことね。陸軍にへそを曲げられると色々と軍内政治に影響出るしなぁ、

頭数多いもんねぇ陸軍。

 

ベムをすっ飛ばしていきなりGM、しかも陸戦型という陸軍専用型を配備された陸軍の

ジャブロー防衛軍(二個師団)の士気は非常に高いらしく、ジャングル迷彩の陸戦GM達は

とてもいい動きを見せた。

「単純なパワーウェイトレシオで比較してもRGM-79はBM-01を大きく上回ります。その上、

Iフィールドモーターの効率はパルスシステムを上回りますから動きには大きな違いが出ます」

と、レナート。

ブラン・ブルターク大尉も「今日の演習はM粒子濃度を実戦レベルまで上げ、そのうえにこの

豪雨ですからな。電波はもとよりレーザー通信もままなりません。その点で陸軍のMS乗りは

歩兵操典の応用、ハンドサインで意思疎通を図っています。大したものですな」と陸軍を

褒めた。

演習後の講評では陸軍を持ち上げるだけ持ち上げておこう。

月面とかで世話になるかもしれんし。

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==== サイド1 エクストラバンチ

 

エクストラバンチ(ダークコロニー)はここ、サイド1にも存在した。

もっともこちらはサイド1を支配するブッホ・コンツェルンがコロニー公社に働きかけ、

秘密裏に所有している「私有地」であったが。

その中にある工場に「ビッグ・ブッホ」シャルンホルスト・ロナはいた。

次男のマイッツァーが是非に見せたい物がある、というのだ。

長男エンゲイストは議員秘書として月面アンマンの事務所に詰めたきり連絡が無かった。

月面のこちら側、地球から見ると裏側に少しでも戦力を送って貰えるよう倅も頑張って

いるのだろうと思い心配はしていない。

現在でもコンツェルンの大黒柱といえる『ブッホ・ジャンク』社は次男マイッツァーに

実務を任せ、シャルンホルストは会長として四半期ごとに報告だけ受けていた。

その次男が工場まで父を呼びつける、というのだから余程のことなのだろう。

 

次男の案内で工場内の秘密区画に通されると天井の照明が点灯し、何か巨大な物が立っている

のが見える。

「父さん、遂に我々もモビルスーツを開発しました」とその巨大な物を指差すマイッツァー、

だがシャルンホルストの反応は「これが、モビルスーツだと言うのか…」といささか拍子抜け

の様子だった。

 

マイッツァー言うところの「モビルスーツ」はモビルポッド『リ・ガード』の頭部横に腕が

生えている代物だったからだ。「マクロス⊿」冒頭に現れた『一〇六式リガード』に似ている

形状だった。腕は隣のサイド4が開発したMMS-04レオの流用のようだ。

マイッツァーは「こう見えても融合炉はZAS社の物に替えていますし、推進機もバックパック式

にして大幅に強化しています。それにほら、頭だってあるでしょう」

リ・ガードの頭頂にあった旋回砲塔はセンサーと機関砲を備えた頭になっていた。

センサーの形状は丸メガネ状のカバーがかかっており、「ジオンのモノアイより性能がいい」

のだという。モビルポッドが装備していたガンランチャーは撤去されており、代わりに左腕には

ドラム弾倉のランチャーを持っていた。さらに特徴的なのが右腕の兵装だ。

 

「これは馬上槍か?」シャルンホルストは14世紀から16世紀に作られた板金鎧のマニアであり、

コロニーでも屈指の個人コレクションを持っている。マイッツァーも幼い頃から騎士物語に触れて

おり、馬上槍は親子にとって馴染み深い武器といえた。

 

「そうです。コロニー戦で使う兵装で、105mm機関砲を2門、柄の内部に装備しています。

タングステン製の穂先は火薬で打ち出せる様になっており、実験ではMS-06の胴体装甲を撃ち

抜きました。こいつの最大の利点は貴重な重金属を弾丸として消費せず、再利用が可能な

ところなんですよ。敵を撃ち抜いて穂先が鈍ったら研げばいいですから」

確かに資源衛星に頼らざるを得ない重金属は貴重だ。連邦から気軽には買えない上、月面では

産出しない。実際ブッホも非合法な手段で重金属を買い集めていた。

槍はブッホ・エアロダイナミクがU.C.120年代に開発したMS『デナン・ゾン』の持っていた

『ショットランサー』に似ているが、後世のランサーが穂先を電磁式で発射できるのに対して、

この槍は火薬で撃ち出した穂先を電磁式で発射位置まで引き戻される仕様になっていた。

これは連邦の資源管理が関係していた。この時代には厳しかった管理がU.C.100年代以降

だいぶ緩くなっており、地上から重金属を購入するのも容易くなった。

 

「で、どうなのだ?コレでジオンのザクと渡り合えるのか?」シャルンホルストは核心に

触れた。せめて隣のレオ並に戦えなくては連邦に警戒されてまでMSを開発する必要はない。

「戦場がコロニー内部やウチの資源衛星なら十分渡り合えます。なにせ格闘兵装のリーチが

違いますし、こいつは頭が付いても全高15mと小型ですしね。それでなんですが、折角

父さんに見て貰ったんでこいつに名前を付けてくれませんか?父さんにとっちゃ孫みたいな

もんですよ」とマイッツァー。

「私は本当の孫の顔が早く見たいんだがね…、『デナ』でいいだろう。他と被らない方がいいし、

長いのもな」とシャルンホルストはマーケティングの見地から2文字で命名した。

「コロニーまで踏み込まれたらデナで戦うとして、宇宙ではどうするのだ?

連邦から供与されたバムでは新型のザクには敵わんのだろう?」とビッグ・ブッホは

後継者と見込んでいる次男に尋ねた。

 

「それならリビルド・ザク、『リ・ザク』があります。原型こそMS-06Cですが、兄さんの尽力で

アンマンからチタンを買えましたから装甲をチタン複合材に強化・軽量化してます。

推進機もサイド2で回収した重元素利用の新型ロケットを積んでますし、駆動系もパルスシステム

にブースターを噛ますことで出力が向上してますよ」

ブッホ・ジャンク社は連邦軍が『ガーディアン・キャンペーン』と呼ぶ一連の戦闘で回収した

残骸から無事な部品を回収、修理して30機近いザクを手に入れていた。その大半がマイッツァー

率いるブッホ技術陣によって『リ・ザク』仕様に改造された。もっとも合法非合法を問わず

技術を集めている為日々仕様は変更されているが。この日も「サイド6が雇ったPMCがジオンと

戦闘におよび、撃破されたレオと新型ザク、F型の残骸が手に入った」という社員からの緊急電を

本社では受け取っていた。

 

「実際にバーナムの社員を乗せて無改造の06Cと戦わせてみましたが、見事勝利しました」

マイッツァーは父の命でサイド1出身の元軍人を中心としてPMC、バーナム社を設立していた。

勿論、何かあっても連邦の追求を受けないようブッホとは資本関係はない会社として。

「私としてはこちらの方が頼りになるな…」シャルンホルストは胴体のデザインが変わり、

モノアイの代わりに丸メガネ状のバイザーを付けたザクを見上げてこう呟いた。

「マイッツァー、焦ることはない。一歩一歩着実にな。私が死んだらお前が志を継いでくれ。

あと、なるべく早く生身の方の孫を頼むぞ。私が手づから養育しよう」ビッグ・ブッホは

この日初めて笑みを見せた。

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==== サイド3 ダークコロニー

 

演習場では6機のMS-06Cがビルにもたれかかっていたり、その辺の破片を拾っては互いに

投げ合ったりしていた。

ダリルは余りに緊張感の無い「標的」達の様子に面食らった。しかし、標的共はザク・イモータル

を感知すると一転、陣形を組み、盛んにオープン回線で何か喚き出した。

「ザッケンナコラー!」「テメッコラー!」「スッゾコラー!」「シャッコラー!」と言ってる

ようだが(こいつら怯えてるのか…)ザクのセンサーと五感がリンクしているダリルには

声の微妙な震えから、彼らの動揺と恐怖が感知できた。

 

威嚇に全く動ぜず進むザク・イモータルを目掛け手にしたマシンガンを発射する6機のザク。

ダリルは横飛びで弾丸を躱すとスラスターも使って前方にダッシュし、一番近い位置のザク、

その脚部をヒートソードで斬りつけた。

 

ダリルが驚いたのはその直後のことだ。脚を斬られ倒れようとするザクを別の機体が掴み、

盾の様にダリルに向けて構えたのだ。盾にされたザクは逃れようと暴れるが、ヒートソードに

コックピットを突かれ動かなくなった。ダリルに「盾」を押し出すザクに対しては最小限の

動きで躱すとカウンターで胴体を両断する。先程はわざと大きな動きで攻撃を躱したのだ。

 

瞬く間に2機が撃破されたのを見た4機のザクは散開したが、ダリルが仕掛けようと接近する

と他の機体が背後を取ろうと動いた。(少なくとも素人じゃない…)ダリルは標的の能力見積もり

を少し修正した。MS-06RFはスラスターを吹かし派手なジャンプをすると、一転、地面を這う

様な動きでビルに隠れたザクを下から斬りつけた。銅を斜め下から肩にかけて斬られたザクが崩れ

落ちる。そこにマシンガンの弾丸が飛来するが、ダリルにはかすりもせず仲間だった残骸に

命中するばかりであった。

 

残った3機はまた集合すると今度は一直線になってダリルに向かってきた。

(一番前を犠牲にしてこっちをやるつもりだ)

マシンガンを乱射する一番前のザクに瓦礫を投げつけるダリル。右肩の盾でそれを防いだ

一番前を袈裟懸けで斬って捨てる。二番目と三番目がヒートホークを抜いて斬りかかるが、

ダリルは2機の腕を斬り飛ばした。二番目はショルダーアタックをかけたが、腹を斬られ、

最後のザクは必死に逃げたが、背後から袈裟懸けに斬られた。

 

(僕は今、自由だ…)ダリル・ローレンツは激しい息をしながら充実感を感じていた。

「人を殺した」という罪の意識は微塵も感じなかった。おそらく「標的」の素性を知らなくても

罪の意識は無かっただろう、と思わせる何かに取り憑かれた様な表情を浮かべるダリル。

 

「ご覧いただけましたか?これがMS-06FR『ザク・イモータル』の威力ですわ。

つい最近まで、両脚を失った負傷兵に過ぎなかった少年がザク6機を数分で殲滅したのです!」

カーラ・ミッチャムはモニターに向け全力でアピールした。

モニターの中の独裁者は眉毛を少し動かすと「博士の『リユース・イメージング・デバイス

(RID)』は他の傷痍兵でもあの程度に動けるのか?」と尋ねた。

カーラは肩をすくめると「残念ですが、ダリル・ローレンツ以外の者ではここまでの機動は

不可能です。ただ、義肢を装着した搭乗員の動作速度を向上させることは十分に可能です」と、

カーラは科学者らしくハッタリ抜きに返答した。総統の前で肩をすくめるなど以前の彼女なら

絶対しなかったろうが…

 

ギレンは側に控える秘書官を一瞥すると、「うむ、取り敢えずはRIDを組み込んだ増加試作機を

作って貰おう。ダリル・ローレンツは数日中に少尉とし、2週間後をめどにソロモンに配備する。

博士は最優先で奴の機体を仕上げよ」と指示を出した。うやうやしく頭を下げるカーラ。

モニターは突然消えた。カーラは頭を下げながら「感謝するわ、セシリア」と独りごちた。




29話をお送りしました。
「ザク・イモータル」の実戦デビューであります。
「標的」の皆さんは『Lost War Chronicles』小説版の屍食鬼隊の皆さんでした。
なんか便利な三下揃いなので今後も度々登場すると思います。

ロナ家の皆さんが初登場です。
ちなみに『一〇六式リガード』はこんな形です。かわいいですね。
https://twitter.com/aiba2989/status/770382245295104000/photo/1

ゼロ・ムラサメは遂にMSで実戦です。戦闘シーンは「避けるヒイロ」を想定しました。

ジョブ・ジョンは今までなるべく強キャラとしてえがいてきましたが、アムロ達には
ギタギタに負けて貰いました。
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