リストラおじさん、ゴップになる   作:寒原光雪

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ソロモン戦第3回です。




攻城戦Ⅲ

==== ソロモン デブリ帯近くの宙域

 

ビグロが腹のドムを切り離し、嘴のメガ粒子砲とミサイルを発射しながらJ中隊目掛けて突進してきた。

「そんな真っ直ぐな動きでよぉ!」ユング中隊長と中隊機は軽々とそれを回避する。

切り離されたドム3機はヤザン機を包囲する動きを見せる。

「ジェットなんたらを俺に仕掛ける気か?面白ぇな」ヤザンは舌なめずりをして待ち受ける。

 

正面に位置したドムが胸の拡散ビームを放つ。目潰し光線を盾で防ぐヤザン。

上方から狙撃型の細長いバズーカを放つドム。ヤザンは最小限の機動で狙いを外した。

後方の死角から巨大なナタを振りかぶるドム。大きなモーションの敵機に潜り込みビームサーベルをコックピットに突き入れるヤザン。

「まずは1機!」ナタを持ったドムは腹のコックピットハッチ付近に大穴を開けて流れていき、その数瞬後火球となった

 

1機目のドムがヤザンの背後を取る機動を取る。こんどはユングが「俺らもいるんだぜ!」と中隊の全力射を浴びせドムは手足をもぎられた挙げ句光の玉になった。

離脱を図る2機目と3機のビグロ。「ふはは、逃がすかよ!」ヤザンは愛機RGM-79 SEPのスラスターを全開にし、ドムの死角からビームを放つ。

股ぐらから頭までビームで貫かれたドムが一瞬後爆発した。ビグロはスラスターを非常推力にしたのかあり得ないような加速で飛び去った。

 

「脆すぎるな…」ヤザンがぼつりと呟く。「あぁ、三連星はもっと往生際が悪い連中だ」ユングも同じことを思ったようだ。

「一杯食わされたかもな」ヤザンの危惧を裏付けるようにレイヤーからの通信が入る。「黒い三連星に突破された!」と。

====

 

501MS戦闘団『ホワイト・ディンゴ』はジオンの攻勢を正面から受け止める形となった。

「第五艦隊は何やってんだよ!」マクシミリアン・バーガーがGMキャノンの肩に据えられたビームキャノンを放ちながらボヤく。

ビームキャノンのお返しとばかりにジオン側から太いビームが撃ち返される。「モビルアーマーがいるぞ!」バーガーは警告を発した。

偵察機RGM-79Eが捉えた敵機の画像を見てバーガーは素っ頓狂な声を出した。「赤いドムだと!?彗星が来たってのか?」

 

蒼く塗られたRGM-79DO が赤いドム目掛けスラスターを吹かす。大幅に強化されたスラスターが生み出す戦闘機動はみるみる赤いMSとの戦闘レンジに入った。

赤いドム、通常のドムよりだいぶ下半身が膨れている、は右肩に背負ったビームバズーカを蒼いジム・ドミナンスへ向ける。その刹那、ユウ・カジマ大尉はバーニアを吹かして機体を降下させ、狙いを外す。ビームライフルを向けた刹那、赤いドムは機体を滑らせ狙いを外す。

 

「…」ユウは強烈なGとマイナスGの繰り返しに奥歯を噛み締めながら赤いドムとダンスを踊る。列機であるサマナ・フュリス機は小隊の2機を率いて赤いドムの列機を牽制している。

「他の中隊は何やっていやがんだ」フィリップ・ヒューズのボヤキとも怒りともつかない呟きを漏らす。ぼやきながらも「ユウはやらせねぇよ!」ユウ機の後ろに回ろうとするドムを狙撃し、ダブルビームライフルの一撃で胴を貫き火球へと変えた。

 

M中隊長バーガー大尉が肩にビームキャノンを装備したRGC-80『GMキャノン』のセンサーで変わった形のドムを捉えた。

そのドムは顔面にバイザーの様な物を装着し、カメラアイが3つ付いていた。

「3つ目のドム、こりゃ狙撃型だな…」

 

狙撃型ドムは長砲身のバズーカを向けM中隊を狙撃するが、バーガーのGMキャノンはスネに追加されたブースターを吹かし回避する。

「大砲背負ってるから鈍いとは限らんぜ!」バーガーが叫ぶ。護衛のスーパーGMがロングライフルを向け狙撃型ドムを狙撃、先頭のドムは回避したが、列機が頭を貫かれる。頭を無くしたドムは胸の目眩ましビームを乱射し離脱した。

「総旗艦の防衛が俺たちの任務だ。手負いは放っておけ!」バーガーが指示を出す。結局列機が後退した狙撃型ドムの先頭機も後退していった。

 

「まだ、終わってないのよね」オープン回線で女の声がしたと思ったら、GMキャノンが1機ビームに貫かれた。

バーガーは即回避機動を取る。別の方向からドム中隊が襲いかかってきた。「クソったれ!なんでこんな後方に敵が次々わくんだよ!」

 

16機のスーパーGMで編成されるB中隊はまた別の隊と思われる敵と交戦していた。こちらのドムは黒とくすんだ灰色に塗り分けらていた。

第4小隊を率いるラドリー中尉機がロングライフルで黒いドムを狙い撃つ。指揮官機とおぼしき先頭ではなく、それに続く3機小隊をだ。

GM小隊4機のビームはドムの小隊を貫き、3つの火球が生まれる。

「やった!ざまぁ見ろってんだ!」アニッシュ・ロフマン曹長が歓声を上げる。

 

15機いた黒いドムの隊は12機となったが、戦友が散ったのを頓着しないような一糸乱れぬフォーメーションでB中隊に襲いかかる。

「こいつら手練だ!貴様ら気を抜くなよ!」バニング中隊長の激にモンシアが「敵は色こそモノトーンですが、派手な狼を描いてますぜ。ネームドだ!」とやる気を見せた。ベイトは「てめぇらで、ハッテ沖のリベンジさせて貰うぜ…」と闘志を燃やしていた。

「ベイト、モンシア!ついてこい!ラドリーは援護だ!」バニングは中隊に指示を発すると黒い敵編隊へと突撃して行った。

 

B中隊の装備するビームカービンは銃身にサーマルジャケットを装備し、発射速度を上げたブラッシュ BCa79A1へと更新されていた。黒いドムがビームバズーカを1発放つ間に2発のビームを発射できる。それでも、ドムはビームバズーカに加え、突撃銃の弾幕や実体弾のバズーカを交えてスーパーGMに対抗していた。

「シット!!アダム機後退しろ!」ベイトは再び中指を立てる羽目になった。「いい子だ…。そのままじっとしてろよ…」モンシアが狙いをつけたドムは紙一重のところでビームを避ける。モンシアの射撃を避けたドムが100mm弾の弾幕に捉えられ、次の瞬間ビームに貫かれる。

「すいませんね、准尉」チャップ・アデル曹長が声をかける。「アデル!てめぇ、俺のスコアを横取りしやがって!一杯奢れ」とモンシア。

 

バニングは敵の指揮官機とおぼしきドムと踊っていた。敵の巧みな機動でなかなか射点につけない。ザクなら3回は撃墜できたはずだが、スーパーGMの性能をもってしても敵の新型は侮れぬ性能だった。しかも敵の指揮官は派手さは無いものの、ひとつひとつの動作が速く精密であった。

「ちっ!」何度目の舌打ちの後、駄目元でシールドから発射したミサイルの近接信管が作動し、黒いドムは突撃銃を握った左手を損傷した。

次の瞬間、ドムは胸のビームを放ち離脱する。バニングは「帰ってくれたか…」敵を取り逃がした悔しさより敵を撃退できて安堵していた。

 

「まずいな…。U中隊、B中隊、M中隊が敵に拘束され手が足りん」501戦闘団を指揮するマスター・P・レイヤー少佐は想定外の事態にいささか焦っていた。

情報幕僚リーフェイ大尉から転送されてきたデータによれば機体の特徴やマーキングから敵部隊は突撃機動軍から派遣された『キマイラ戦闘団』らしい。

母艦のザンジバル級機動巡洋艦の機動性を生かして前線を突破してきたようだ。「まだ、敵MSはいるはずだが…」戦闘団本部中隊のEWAC GMに索敵を命じたレイヤーにG中隊から緊急信号が入る。

 

「黒い三連星に突破された!」と。

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ジョニー・ライデン大尉は愛機MS-09R2『グラマラス・エイシア』を駆り蒼いジムへ仕掛けた。敵の『大砲持ち』はビグロ小隊が牽制してくれたので、邪魔を受けることなく距離を詰められた。「あの色、ハッテでやりあった『首なし』か?」敵機の見覚えのある塗装に手強かった敵機を思い起こすジョニー。

MS-09R2がビームバズーカを向けると蒼いジムは素早く降下してビームを回避する。お返しとばかりに向けられた連装のビームライフルをジョニーは肩のバーニアで横移動して躱した。「見た目よりずっと素早いんだぜ!エイシアは!」左手の突撃銃で弾幕を張りながら空戦機動で蒼いジムを絡め取ろうとするが、敵も巧みな機動で回避し続ける。「!!!」ジョニーを援護しようと蒼いジムの死角へと動いた2番機が別のジムに狙撃され撃墜された。

「ケニー!!トーマス、ハインケル、こいつらを甘く見るな!眼の前の敵に集中しろ!」腕利き揃いのキマイラ中隊といえど敵も特殊なジムと独自塗装を許されているネームド部隊『ホワイト・ディンゴ』である。気を抜けばその牙が突き立てられるだろう。

 

ジャコビアス・ノード大尉が指揮するMS-09D『ドム狙撃型』は顔面に3つのカメラアイを備えたバイザーを装備している。

その強化されたセンサーはまずビームキャノン装備型を捜索し、発見した。「『大砲付き』の先手を取れたな…」長砲身の狙撃型バズーカを向けると意外な程の素早さで照準を回避する『大砲付き』。列機から警告を受け、回避機動を取るジャコビアス。「ち、護衛がいたか…」回避の遅れた3番機が頭を飛ばされた。

「すいません!下がります!」3番機は胸のビームを放ち後退する。「2番隊に任せて俺も下がるか…。頼んだぜ、ウィルヘッド」ジャコビアスも下がることにした。

 

「上手く接近できたな…」ジーメンス・ウィルヘッド大尉指揮する『キマイラ』2番隊はジャコビアス・ノードの狙撃小隊からのデータを元に『大砲付き』に仕掛けた。

エメ・ディプロム中尉が「まだ、終わってないのよね」オープン回線で囁き、敵の気を引いている隙をついてウィルヘッドは『大砲付き』を狙撃し、1機仕留めた。クリストバル・ラザフォード少尉の狙撃は躱され、猛烈な応射を浴びることになった。

 

ゲラート・シュマイザー少佐率いる『フェンリル隊』は敵中、最も戦力の大きい中隊へ仕掛けた。ビグロの代わりにMS-09ドム6機を追加した増強中隊ならではの動きだ。だが、敵もさるもので長物を持ったジムの狙撃でシュマイザーは第2小隊3機を失った。

第5小隊長ル・ローア少尉が敵のジムの右腕を吹き飛ばし後退させる。ニッキ・ロベルト、シャルロッテ・ヘープナ両少尉は敵の射撃を回避するので精一杯なようだ。リィ・スワガー曹長の援護で敵の集中射は免れていたが。

 

第4小隊を率いるマット・オースティン准尉は対面の敵がライフルを向けると後退し、別の小隊の方を向くとバズーカを放つ、というベテランらしい巧みな機動で2個小隊8機の敵を引き付けていた。

焦れたようにオースティン機を足を止めて狙撃しようとしたジムにソフィ・フラン少尉のドムがヒートサーベルを突き立てる。コックピットを貫かれたジムはそのまま後方に流れていった。

 

「時間は稼いだな…。全機後退!」シュマイザーはフェンリル隊に後退を命じる。拡散ビームを放出し、後退する12機のドム。

(ハッテの雪辱は『マダガスカル』隊にかかっているな…)彼らを含む『キマイラ戦闘団』の戦術目標は『マダガスカル』のドム9機にかかっていた。

『黒い三連星』率いる9機が敵の総旗艦、レビル大将の座乗艦を急襲するのである。既に敵艦の名が『ルイジアナ』であることは判明していた。新型戦艦らしいが、主力であるMSで肉薄すれば容易に沈められよう。

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「ブースター、急ごしらえの割には上手く動いているようだ」ガイア大尉は満足そうにつぶやいた。先日の巨大なブースターを背負ったドム・イモータルとの模擬戦の後、ソロモンの工作部に依頼して急遽組み立ててもらった大型ブースターを『マダガスカル』隊の9機は装備していた。

黒と紫に塗装されたドムはビグロにも負けない大推力でかっ飛んで行く。途中、敵編隊を探知したが、ブースーターを全開にして迂回していく。

「へ、お前らと遊んでる暇はないんでな」マッシュが呟く。

こうして『マダガスカル』隊は連邦第一艦隊と指呼の距離までたどり着いた。

『カンプグルッペ・キマイラ』参謀長ヒュー・マルキン・ケルビン大佐の戦術構想は成ろうとしていた。

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==== サイド3 ズムシティ

 

公都ズムシティにも歓楽街はあった。もっとも、マハルにあるのよりはだいぶ品がいい店が多い。公国の高級官僚や高級軍人が楽しむ場所でもあるからだ。

その歓楽街の裏通りを一人の女が歩いている。セシリア・アイリーンである。普段はアップにしている髪を下ろし、制服の代わりにタンクトップとタイトミニという身なりである。ギレンが見れば「副業で売春でもしてるのか」とせせら笑うだろう。

 

「ん~、かわいい子いないわねぇ」彼女が裏通りを歩いているのは街頭で男娼を買うつもりのようだ。

ふと、ビルの陰に目を凝らすと少年が一人、腕を組みビルにもたれかかっていた。

(ビンゴ!めっちゃ私の好みじゃない!あの全身から漂う剣呑な雰囲気、野良犬みたいな目。きっと一晩中寝かせてくれないわね…)舌なめずりをしながら「キミ、一人?遊ばない?」と声をかけた。

 

少年が彼女の方を向いた瞬間姿が消えた。セシリアは目で追うが見当たらない。すると、彼女の豊かな胸に拳銃が押し当てられた。

「セシリア・アイリーンだな。ギレンに会わせろ」少年はセシリアの胸の拳銃を押し当てたまま彼女の車に歩き出した。

セシリアは「アナタ、ゼロ・ムラサメね…。フラナガン機関を逃げ出して総帥府に鞍替えするのかしら」「そんなところだ。損はさせない、ギレンにもお前にもな」

「OK、そんじゃ総帥府ビルまで送ってくわ。入り口でその拳銃は取り上げえられるけど、いいわよね?」「構わん。殺すつもりならペンでも奴を殺せる」

「まぁ、怖い」

 

総帥府ビルに着いたゼロ・ムラサメは厳重なボディチェックを受け、電子手錠をされた状態でギレン・ザビの御前へ連れてこられた。

「よく来たな、プロト・ゼロ」「俺をその名で呼ぶな」「では、ゼロと呼ぼう。で、貴様は何を私に提供できるのだ?」

「連邦軍の強化人間の開発データ、それと俺は脳波で遠隔砲台を動かすことはできんが、MSの操縦はそれなりに出来る」「サイド6のPMCでは我軍のザク20機を玩具のようなMSで撃墜したそうだな。貴様を歓迎しよう。とりあえずはトト博士に預けて貴様のデータを取らせてもらう。貴様の望み、普通の人間に戻る、というのもデータが無ければ実現は難しかろう。期待しているぞ、ゼロ」ギレンはこの男には珍しく「期待している」と言った。

眼前の強化人間が何を考えているのか、独裁者の眼力をもってしても分からなかったからだ。非常に珍しいことにギレンはゼロ・ムラサメの機嫌を取ろうとしていた。

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==== ソロモン

 

「501が敵に突破された。塗装から『黒い三連星』と思われる3機に率いられたMS-09が9機、総予備である君達が迎撃してくれ」第一艦隊の幕僚長ロドニー・カニンガン准将直々の命令を受け、チャールズ・エルヴィン・ベッカーズ中佐は麾下の第13独立戦闘団の出動を命じた。

 

旗艦『ホワイトベース』の両足にあたる格納庫では艦載機の出撃準備が進められていた。RX-78、RX-79各機はアラン・アダムス技術中佐が考案したブースターを全機装備していた。「敵はでかいブースターを背負ってるそうだ。迎撃するこっちも推力を上乗せにゃ」MS中隊長ウィリー・ケンプ少佐がなぜかドヤ顔で解説している。第3小隊のRX-78L、RX-79Lはブースターの推力分重装備をしている。ジョブ、ダンク、ウモン機も追加のシールドとビームランチャーとミサイルランチャーと、イオ機同様の重装備だ。「へへ、おそろいッスね」ウモンがおどけた口調でつぶやくが顔は引き締まったままだ。歴戦の501戦闘団を出し抜いた敵エース部隊を前に皆緊張していた。一人を除いて。

 

GW中隊もMS中隊をなるべく旗艦『ルイジアナ』で離れた地点に送り込むべく、ミサイルやメガ粒子砲を下ろして推進材を余計に積んで発進の準備をしている。

従来の様にGWの背中にMSを乗せるのではなく、機体下面に備えられた腕でMSを吊って初期加速を受け持つ。MSの脚部スラスターも加速に使うためだ。

ただ1機リュウ・ホセイ准尉操縦のGW-02E『ダック・ビル』だけは通常の装備だった。

 

リュウは後席の士官に「カタパルトに射出される時は結構なGが首にかかります。気を抜いてるとムチウチになりますから気をつけて」と注意を促していた。

「ホセイ准尉、お世話になります」GW-02Eの後席に座ったレヴァン・フウ少佐は合掌して頭を下げた。

「しかし、少佐が前線に出る必要あるんですかい?CICからでも敵が見えるんでしょうに」リュウは訝しげでだ。

「事態は流動的ですからなるべく近くで見聞きし、MS中隊の皆さんに伝えたいのです」とレヴァン。

(中々に根性入った坊さんだぜ…)リュウは内心で独りごちた。

 

「俺たちはここまでだ。武運を祈る」スレッガー大尉のガウォークがRX-78SEPを切り離し離脱していく。

純白のガンダムは機体を輝かせながら迎撃目標であるMS-09ドム9機めがけてブースターを吹かした。MS中隊の12機も同様にブースターに点火、敵MS中隊めがけ飛んだ。

 

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「前方に中隊規模のMS編隊、顔と角がある。先頭はシャアを退けた白いヤツだ…」ガイア大尉が中隊に警告を発する。

「あの赤いのを退けたんなら行きがけの駄賃に寄り道してもいいかもな」マッシュの提案にオルテガが「シャアの野郎に煮え湯を飲ませるのは賛成だぜ!」と応じた。

「よし、白いのに仕掛けるぞ。」ガイアが「白い二本角」の迎撃を指示する。

 

黒と紫のドム3機がRX-78SEPに仕掛けた。既に戦闘機動に備えて背中のブースターは切り離している。コンスコン艦隊を下し、赤い彗星を退けた敵機も最大限の警戒をしているようだ。

「お前らは後ろの連中に仕掛けて邪魔に入れんようにしろ」ガイアはチェスター大尉に牽制を命じた。9機は3機と6機に分かれ13独戦MS中隊に向かっていく。

 

ガイア機がビームバズーカを放つ。RX-78SEPは最小限の動きで回避する。「牽制のつもりだったが、これは侮れんな…」ガイアは想定する力量を上方修正した。

「JSAⅡをかけよう」マッシュの提案にオルテガも「ヤロウに俺のでかいのを叩き込んでやる!」と賛同する。「よし、じゃあ行くか」ガイアも乗り気になった。

 

3機のドムは白いMSを中心に渦巻きのような機動を取り、ガイア機が正面に来た瞬間、胸の拡散ビームを放った。目潰しビームを左手の盾で防ぐ白いMS。

マッシュ機が砲身の長いバズーカを放つが、白いMSはドムがビームを放つ瞬間に照準を外す。「ヤロウ、後ろに目がついているか?」マッシュは死角からの必殺の一撃が外され驚きの声を上げる。「死ねやあァァァ!!」オルテガ機は白いMSの左方向から巨大なロケットナタで斬りかかる。RX-78SEPはギリギリで躱すがオルテガはにやりとし、「ひぅかかったなぁ!」オルテガ機は逆噴射ロケットを作動させるとナタを振り切らず横薙ぎにした。

 

この横薙ぎの必殺の一撃をRX-78SEPは姿勢制御バーニアを噴射し、機体を横倒しにしてこれを回避する。「なんだと!?」オルテガの驚愕を他所に白いMSは右手のビームライフルをガイア機に放った。ガイア機は回避するが、右肩のビームバズーカを吹き飛ばされた。「チイィ!一度立て直す!」ガイアの号令で距離を取る3機のドム。RX-78SEPも一度距離を取った。

 

「どうする?」マッシュの問いに「正面から仕掛ける。オルテガ、ミサイルポッドはいけるな?」「おうよ!全弾発射可能だ」死角が事実上存在しない『白いヤツ』に3機で飽和攻撃を仕掛けることにした。

 

「おりゃあ!」オルテガ機は機体各所に装備したミサイルポッドを全弾発射した。ガイア機が拡散ビームを放ちながら右手のジャイアントバズと左手の突撃銃を発射する。さらにマッシュがビームバズーカで『白いヤツ』を狙撃すべく狙いを定める。

 

RX-78SEPは左肩に装備したガトリングガンと頭の機関砲を作動させ、オルテガのミサイルとガイアのバズーカ弾体を迎撃する。ミサイルや弾体が弾幕に絡め取られ爆発する。

その爆炎にスラスターを全開にして猛然と突っ込む白いMS。「マッシュ!逃げろ!!」ガイアは敵の思惑に気づいたか警告を発する。

 

だが、マッシュは狙撃に注意力を振り向けていたためか、一瞬動きが遅れた。今までの戦闘でRX-78SEPが意図的にスラスターを全開にしていなかったのもあり、あっと言う間にマッシュ機をビームサーベルの殺し間に捉えた。ふたつの目を光らせ迫る白いMSにマッシュは「うわあぁぁ!?」と悲鳴を上げた。次の瞬間、彼の意識はぷっつりと途絶えた。RX-78SEPがドムのコックピットにビームサーベルを突き立てたのだった。「ヤロウ!!マッシュの仇だ!!」オルテガが叫びながらナタを振り上げる。その瞬間、全く予期していなかった方向から2本のビームが伸びる。

「なんだと!?」オルテガ機はナタを握った右手と右股をビームに貫かれる。次の瞬間、白いMSのビームを胸に受け爆散した。

 

「マッシュ!オルテガ!」ガイアは信じられない思いだった。自分たちは『白いヤツ』と高機動戦闘していた筈だ。なぜ、長距離から狙撃されるのか?彼の常識ではと到底ありえない攻撃だった。

「これがニュータイプってヤツか。やってられんな…」一心同体だった戦友2人を亡くし、既に作戦は失敗した。この上はせめて『白いヤツ』に一太刀なりとも食らわせてやりたい。

ガイア機は背中のヒートサーベルを抜くとこちらも両手にビームサーベルを持った白いMSへスラスター全開で突貫した。

 

ガイア機は機体各所に仕掛けたマルチディスチャージャーを作動させ閃光弾や煙幕弾を放つ。せめてもの目眩ましのつもりだった。しかし『白いヤツ』は閃光や煙幕をものともせずにガイア機との距離を詰めてきた。「うおぉぉ!」裂帛の気合と共に敵の頭上に振り下ろしたヒートサーベルを右手のサーベルで受けさせるとゼロ距離でガトリングを発射、砲弾がドムのモノアイごと頭部を破壊すると、左手に握ったビームサーベルがドムの腰に突き刺さる。「!!?」ガイアは腰の熱核ロケットが爆発する警告音を聞いた。

 

RX-78SEPが離れると、腰から火花を散らしていた黒と紫のMS-09は誘爆を起こし、ひときわ大きな火球となった。

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アムロ・レイ准尉は単機で『黒い三連星』に仕掛けた。白いガンダムに先頭を進むドムがビームバズーカを放つ。アムロは一瞬速く機体を横滑りさせ躱す。

3機のドムはRX-78SEPを中心に渦の様なフォーメーションを取った。「いきなり奥の手を出すのか…」アムロは奥歯を噛み締めギアを1段上げた。

正面に位置したドムが胸の拡散ビームを放つ。アムロは目潰しビームを左手の盾で防ぐ。背面下方に位置したドムが長砲身のバズーカを向ける。アムロにはそれが「見えて」いたので、AMBACで上半身を振ってビームを躱した。

 

「死ねやあァァァ!!」オープン回線で怒鳴りながら巨大なナタ状の刃物というより板を持ったドムが左方向から斬りかかる。RX-78SEPはギリギリで躱すが、ドムはモノアイを光らせ「ひぅかかったなぁ!」と叫びと共に逆噴射ロケットを作動させると板を振り切らず横薙ぎにした。アムロはAMBACとバーニアを併用してガンダムを横倒しにして斬撃を回避した。

斬撃を回避すると同時にRX-78SEPは右手のビームライフルを先頭機に放った。ビームの回避が一瞬遅れたドムは右肩のビームバズーカを吹き飛ばされた。

「奥の手」を躱された3機のドムはRX-78SEPと距離を取った。

「次は正面から来るな…」アムロの脳は高速で敵機の機動を解析していた。AI:Lisaの予測も追いつかない処理速度だ。

 

予想通り、巨大な板を担いだドムが各所に仕込んだミサイルを放つ。ビームバズーカを失ったドムが実体弾のバズーカとライフルで弾幕を撃ちまくる。

アムロは肩に装備した90mmガトリングガンと頭部の60mmバルカンを作動させミサイルとバズーカの弾体を迎撃する。ライフルの弾丸は盾で防いだ。

迎撃されたミサイルの爆炎めがけ飛ぶRX-78SEP。目標はビームバズーカを構えたドムだ。

 

アムロの標的にされたドムから怯えの色が見えた。慌ててビームバズーカを放つが、回避機動を取りながら接近するアムロには通用しない。ビームサーベルの間合いにまで近づくと背中から抜いたビームサーベルをコックピッチハッチに突き立てた。

 

ヤロウ!!マッシュの仇だ!!」板を振り上げたドムに第2小隊の方向から2本のビームが伸びる。クロエとゲーツが双子の管制で長距離狙撃したのだ。

「なんだと!?」ドムは右手と右股をビームに貫かれる。次の瞬間、アムロはビームライフルを向ける。胸にビームを受けたドムは一瞬後、火の玉になった。

 

アムロはビームライフルを背中のラックにしまい、右手にもビームサーベルを持たせた。残ったドムが背中の棒を白熱化させ突撃してきたからだ。

突撃しながらもドムは目潰しビームや閃光弾、煙幕弾を放ちアムロの目を眩まそうとするが、既に敵を目で追っていないアムロには関係なかった。

打ち下ろされた棒、ヒートサーベルを右手のサーベルで受けると肩の90mmガトリングで敵の頭部を破壊する。怯んだ隙に左のサーベルを腰部、ロケットエンジンを狙って突き立てた。2機がすれ違った次の瞬間、頭を失い、腰から火花を散らしたドムは爆散した。

 

「敵のエース小隊か。確かに旗艦の直掩機じゃ防ぎきれなかったかもな」アムロは独りごちた。

 

こうして『キマイラ戦闘団』の攻勢は頓挫したのである。

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チェスター大尉率いるMS-09ドム6機は『黒い三連星』と『白いヤツ』の決闘に邪魔が入らぬ様、残りの機体に仕掛けた。

「敵は見たところ8機か。連邦の中隊で9機ってのは数が少ないな…。伏兵がいる」彼はベテランの勘で敵が兵を伏せていると感じた。

だが、敵は練度に問題があるのか先頭の4機と続く4機の間が開きすぎている。ここは先頭に仕掛け6対4の状況で1機でも敵を減らすことにした。

「先頭の4機に仕掛ける。貴様ら遅れるな」チェスターの指示に「応!」と野太い声が帰ってきた。

 

先頭の4機の方向から太いビームが飛んできた。「敵はMA並の火力だ!締めていけ」チェスターが警告を発する。お互いブースターを使用していたためか相対速度が速く見る見るうちに距離が縮まる敵は肩と機体各所に仕込んでいたミサイルランチャーからミサイル弾幕を張った。何割かは途中で破裂してビーム撹乱幕を形成したが、何割かはこちらに向かってくる。誘導弾らしい。チェスター達は胸の拡散ビームをミサイルに浴びせる。低出力とはいえ、メガ粒子にシーカーを焼かれたミサイルは明後日の方向へ逸れていった。

ビーム撹乱幕のせいでビームバズーカを使えず、左手に装備したロケットランチャーや突撃銃を向ける6機だが、咄嗟の射撃が当たるはずもなく。かなりの速度ですれ違っった。

 

次の瞬間恐るべきことがおこった。敵機が1機ノールックで右手の連装ビームライフルを放ちドムの1機が火達磨になったのである。

「アーロン!!くそ!なんだってんだ?」振り向きもせずにすれ違った後の一撃にジオン側は完全に虚を突かれた。慌てて振り向き、逆噴射をかけてすれ違った4機に追撃をかけようとする。

チェスター大尉は致命的なミスを冒した。

 

5機が振り返った次の瞬間、残りの4機が戦闘距離に入っていたのである。4本のビームに肩やスネ、太ももを貫かれるドム。最初の一撃で4機が損傷してしまった。

「しまった!」チェスターは己にミスに気付くが既に遅し。白兵戦の間合いに入っていた敵の『二本角』は損傷したドムをまるで手負いの草食獣に止めをさす肉食獣のような的確さでコクピットや融合炉の位置にビームサーベルを突き立てていく。

 

「チクショウ!!」戦友の相次ぐ死に激昂したチェスターがビームバズーカを向けるとチェスター機に向かって極太のビームが伸び、彼のドムは頭をバスーカごと右肩を吹き飛ばされた。

訓練の賜か、チェスターはマルチディスチャージャーで閃光弾と煙幕弾を撒き散し、戦線を離脱した。

敵は戦果を確認しているのか、追ってこなかった。チェスターの視界の端にコクピットを破壊され敵に鹵獲されたドムが映った。

 

予め決めておいた合流ポイントで彼は囮を運搬していたビグロ3機と合流。底部にドムを固定すると3機のMAは母艦『マダガスカル』への帰投コースを取った。

「『黒い三連星』は3機とも『白いヤツ』に食われたようです…」ビグロのパイロットが沈んだ声でチェスターに報告する。

「信じられんが、俺たちを食った奴らより白いのが強いんだったらあり得るな…。『ニュータイプ』が戦場を決する時代になったのかもな…」チェスターは今日生き延びることができたのは単なる運だと思った。敵のノールック射撃の餌食になったのがアーロンではなく自分でもおかしくはなかったのだ。彼は深いためいきをついた。

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FAガンダムを駆るウィリー・ケンプ少佐は第3小隊長イオ・フレミング中尉に「お前の小隊で一発かましてくれ。奴らが泡を食って回頭してくれればめっけものだ」と命じた。

「了解!お前ら、まずはビームランチャーで敵さんをビビらすぞ!」と小隊各員に命じる。「りょーかい。ヤツら驚くでしょうね」ジョブ・ジョン准尉が応じる。

全弾発射(ロックン・ロール)ってのやって欲しいっスね」ダンクもやる気になっている。「ウモン緊張してのか?」イオがウモンに調子を尋ねると、「いえ、やりましょう」と真面目な口調で答える。(アレ?なんかウモン君様子がおかしくね?)イオは怪訝そうだが、ブースターを背負った敵が急速に接近するので疑問を脳から追い出した。

 

4機のRX-78L、RX-79Lは右肩に装備したビームランチャーを発射した。例の砲口の向きを解析する方法で大出力のビームは全弾躱されたが、イオは最初からランチャーで仕留めるつもりはなかった。あくまで見せ札である。距離がさらに詰まると小隊全機は各所に仕込まれたミサイルランチャーから各種ミサイルを全弾発射した。

ミサイルの中にはビーム撹乱弾が混ざっており、第3小隊の前面にビーム撹乱膜を展開する。残りのミサイルは全て誘導弾であり、回避機動を取る敵機を追いかけていく。敵機、MS-09ドムは胸のビーム発振器を作動させミサイルに拡散ビームを浴びせる。メガ粒子にシーカーを焼かれたミサイルは目標を逸れていく。

「ヒュー。やるねぇ」イオは口笛を吹き感心した口調で敵の回避を褒めた。

 

「ウモン!すれ違いざまに一発かませ!」一転、獲物を狙う目になると小隊のエース、ウモン・サモン軍曹に敵を不意打ちするよう命じる。ウモンは言葉少なく「ウス」と返事をする。普段ならジョブ・ジョンが「お前、その態度はないだろう」と叱るところだが、この状態、ゾーンに入っているウモンが人変わりすることを知っていたので何も言わない。

 

ウモンのRX-79Lは敵編隊とすれ違いざまにそのままの姿勢のまま右手のダブルビームライフルを放つ。第3小隊はフルブーストで敵編隊と距離を取る。

180度回頭して2撃目を加えようとしたイオに通信が入る。「こちら、イオ。はい、了解。お前らカニ食いに行くぞ!続け!」イオは敵編隊とは別の方向へスラスターを吹かして加速していった。

 

「しめた!奴らウモンのノールック射撃に慌てたな。全機ビームライフルをぶち込め!」ウィリーはFAガンダムのダブルビームライフルを背中を向けているドムへ放った。

カイ、ハヤト、フレッドもビームライフルを発射。相対速度が大きいせいか、一撃で撃墜できなかったが、ドム編隊はバズーカを持った右腕やメインのスラスターがある脚部を失い編隊はばらばらになった。

 

「仕留めるぞ!」ウィリーは敵損傷機への止めを命じる。赤いガンダム4号機は脚を失いよたよたと回避するドムに迫り、背後からビームサーベルを突き立てる。RX-79ピクシーは右手を失い、左手にヒートサーベルを握らせたドムに正面から迫り斬撃を躱すとコックピットにヒートナイフを突き立てた。

 

カイはロングライフルから太い銃身の銃に持ち替え、左手にジャイアントバズを構えたドムに引き金を引いた。銃身から拡散ビームが迸りドムに降り注ぐ。機体を拡散ビームに穴だらけにされたドムは数瞬後爆散した。「『ビームショットガン』っての中々いいじゃないの。アラン中佐今の見たら喜ぶかな」別に彼はアラン・アダムスが喜ぶ顔を見たいのではない。カイから話を聞く時に士官食堂で高いメニューを奢ってくれるのが目当てだった。

 

ウィリーがサーベルでドムの胴体を両断したところで敵の隊長機らしきドムがビームバズーカを構えた、次の瞬間、そのドムは頭と右肩を吹き飛ばされ、閃光弾と煙幕弾をばら撒いて離脱していった。

 

「ちぇ!今のヤツ胴体狙えたのによぉ」デブリの表面に伏せたゲーツ軍曹が不平を漏らす。クロエ軍曹は興味なさそうにパックに入ったゼリーを吸っていた。

「レヴ少佐の指示だもの。敵を1機逃がすんですって」クレア大尉がなだめるような口調でゲーツに語りかける。「あの坊さんの言う事じゃしょうがないか。しかし、生き残りを生き証人ってにするとはえげつねぇな」ゲーツは肩をすくめた。

 

アリシア曹長は周囲を警戒しつつ「他の『キマイラ』共こっちに来ませんね…」と呟く。クロエとゲーツが敵を狙撃している間中警戒態勢を取っていたのだった。

「501を引き付けるのに精一杯なのかもね。敵も全兵力をここにつぎ込んだ訳じゃないようだし」とクレア。そう言いつつ引き続き彼女も警戒態勢を取っている。

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第3小隊はレヴァン・フウの指示した地点にたどり着くと、MAビグロ3機がデブリに貼り付いているのが見えた。そこに損傷したドムが接近するとデブリから離れ、先頭のMAがドムを回収、腹にドッキングさせる。

 

「よし、ランチャーで敵2番機と3番機を狙い撃つぞ」イオの指示で小隊はランチャーを発射、イオとウモンが狙った2号機は2本のビームを受けて爆散。ジョブ・ジョンとダンクが狙った3号機はダンクの射撃がミサイルランチャーに命中、ミサイルが誘爆を起こし、ジョブ・ジョンの射撃が背部に命中し、爆散した。1号機は緊急出力らしき大加速で逃げ去った。

 

「3機やろうとしたらやれたっすね」ダンクが呟くとイオが「レヴ少佐の指示でな。アムロ君が『黒い三連星』を討ち取った生き証人にするために残すんだとさ」と感心した口調で返す。「うわ~、おっかねぇ」ウモンがおどけた口調になると「お、ゾーンは終わりかウモン君。お帰り」とジョブ・ジョンがおどけた口調で混ぜっ返す。

「ず~と、おっかないウモンのまんまだったら自分どうしようかと思ったっすよ」と心配した口調のダンク。

「今日はデブリーフィング終わったらお前らみんな士官食堂に連れてってやるからな。金のことなら心配すんな!」とイオ。「ごっつあんです!いや~、小隊長が大富豪で良かった」とジョブ・ジョン。空域に4人の笑い声が響いた。

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==== ソロモン要塞 連邦軍から見て正面

 

第604MS戦闘団『セモベンテ』はソロモンに橋頭堡を築くべく、攻勢をかけていた。もちろん突出するのではなく、他の部隊と連携してである。

RGC-80 GMキャノンのビームキャノンによって編隊を崩された敵機は群れからはぐれた鹿が狼の群れに襲われるようにRGM-79S スーパーGMによって撃墜されていった。

指揮官ユーグ・クーロ少佐の手堅い戦術だが、手堅いだけにジオン軍は対策が取りづらく、むざむざ多数の機体を失っていった。

 

「20、21か。いいペースだが、そろそろ敵も手強いのを当ててくる頃合いだな。ブルターク、警戒を厳となせ」団長、ユーグ・クーロ少佐は右端にいるブラン・ブルターク大尉の中隊に警戒するよう命じる。

「団長のお言葉通り、少々変わったザクが9機、こちらに接近してきます」ブランからの報告を受け、ユーグは「新型のザクが出た。敵は本腰を入れてきたぞ。締めていけ」と604の総員に警告を発した。

 

敵のザクはMS-06R『リック・ザク』らしいが、ふくらはぎのブースターがロケットむき出しではなくフェアリングで覆われていた。動きはMS-06Rより良いようでMS-09ドムをも上回る機動を見せていた。「ザクとはいえ舐められない機動性だ。照準をAI任せにするなよ。死ぬぞ」ブランは部下たちにマニュアル照準を指示する。AIによるオートだと、MS-06Rのデータを流用するため、命中が期待できないと判断したからだ。(夢のお告げってのは馬鹿にならんな…)ブランは仮眠中に見たウクライナ上空の悪夢を思い出した。

 

「アトラー、『リック・ザク2』はいけそうか?」ククルス・ドアン大尉は『サザンクロス』中隊のNo,2であるエグバ・アトラー中尉に2週間前に配備された「新型ザク」について尋ねた。「この2週間ドムを装備した部隊と散々対抗演習しましたからね。やれます。自分にはドムより合ってるようです」と弾んだ声を返した。

第4小隊を指揮するウォルド・レン中尉が「こいつはジオニック特製の『ビーム・ライフル』が使えますからね。やってみせますよ」と胸を張る。彼ら3機は背中に小型のパワーパックを背負い、そこから伸びたケーブルが右手のライフルに繋がっていた。

ドアン機をはじめとする他の機体は突撃銃とジャイアント・バズ、中にはグラナダ製のレールガンを持った機体もいた。

 

「まずは敵の端っこにいる中隊に仕掛ける。『ブルースター』連隊ここにありってところを見せるぞ!」

 




48話をお送りしました。

いよいよ、本格的な攻防戦の火蓋が切られ、連邦、ジオンのエースパイロット大行進みたいな回になりました。アムロ達はその中でも彼らの常識から抜けた存在として描いています。

果たして今後ジオンのNT部隊はいかなる形で13独戦に立ちふさがるのでしょうか。
ご期待ください。
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