あと、新キャラ登場。
その2mを越える大男は猫背気味に私のオフィスに入ってきた。
そしてキョロキョロと室内を見渡すと、恐る恐るといった感じで私のデスクの前までやって来て
「…バスク・オム中尉、着任いたしました…今後よろしくご指導ご鞭撻願います…」と蚊の鳴く
ような声で着任を申告した。声ちっちゃ!それにでかいのに猫背、怯えた目つき、どこを取っても
私の知る怪人ゴーグル男バスク・オムとは違う。
彼はコリニーが寄越してきた男だ。
「閣下のところにウチ(第二艦隊)から期待の若手を派遣したいのですが。事務処理能力は大変高い
男でしてね。性格も温厚ですし、閣下のお気に召すかと…」となんか気持ち悪いくらい愛想いい
顔で売り込んできたのだ。私もまぁ事務処理能力がある人間はいくらいても足りないのだから
安請け合いしてしまったのだが、転属者のデータが送られて仰天した。
バスク・オム、あのΖガンダム一のヒールキャラである。傲岸不遜にして粗暴、声がでかくて
スペースノイドを殺害するのが趣味、という怪物だ。
データには第2艦隊主計科に在籍、とあったが、陸戦隊の間違いじゃないの?
マエバラとリーがバスクが来る、と知り血相変えて、「閣下!バスクですよ、バスク!」
とリー君が青ざめた顔で言うと「もしかしたら、閣下を害する鉄砲玉として送り込むつもり
でしょうか?」と護衛官も兼任するマエバラ君が怖いことを言う。
私は特殊部隊あがりの副官、チャールズ(チャーリー)・ベッカーズ大尉を呼ぶと「身長2mを
越えるゴリラ、というよりフランケンシュタインの怪物みたいな男が転属してくるんだが、
政治的・人格的に信頼できない男で、刺客の可能性すらある」と相談すると、嬉々として
ロッカールームに走り、私物装備らしいごつい拳銃やらボディーアーマーやらを持ってくる
と自分の携帯端末(凄いごついヤツ、防水・耐衝撃の野戦仕様とのこと)で私の警備計画を
説明しだした。前から準備してたらしい。
そして、バスクが来る当日にはドアの前に完全武装(ボディアーマー、ヘルメット装着、
自動小銃携帯)のMP二人が立哨し、室内にはボディアーマーを着込んだ副官三人が私の
デスク周辺で目を光らせている。チャーリー大尉など都市迷彩野戦服まで来て特殊部隊仕様
の色々付いた11.5mm大口径強装低反動拳銃(打撃力は正義、だそうだ)を腰に釣っている。
マエバラ少佐は制服にボディーアーマー、腰には5mm口径のタングステン弾芯弾を
装填したやたら長いマガジンを差したこちらも
「ヤツの筋肉を貫徹するにはこれくらい必要です」とのこと。
リー大尉は「射撃は下手でして…」だそうで、ヘルメットを被りボディーアーマーの上
に分厚い防刃ベストを着込み右手に電磁警棒、左手に大盾を持った機動隊ルックで
私のデスク横に控える。残る二人は私の背後に立っている。
他のスタッフ(女性秘書官、従卒)も腰に拳銃を釣り、私はといえば、比較的
目立たない防弾ベストと防刃ベストを重ね着していた。
バスク・オム中尉を名乗る男は野戦司令部のような部屋の様子にすっかり仰天したようで、
「あの、これは一体…」と怯えた口調で私に尋ねる。
警戒を緩めた途端に襲いかかってくるかも、と思いつつ副官たちをデスクの周りから
遠ざけると少しだけバスク中尉はほっとしたようだ。副官三人は相変わらず彼を睨んで
いたが。
私も警戒を解き、「貴官は元気がないなぁ、食事はちゃんと取ってるかね?」と穏やかな
口調で尋ねた。「はぁ、一日三食取っております」とまた蚊の鳴くような声で答える。
コリニーは士官に覇気と忠誠を求める、彼の萎れ具合はコリニーの神経を逆撫でしまくった
に違いない。彼は刺客ではなく、厄介払いだったのだろう。
私は秘書官の取りまとめをしている中年の女性将校を呼ぶとバスクには業務は彼女に
指示に従うように、と命じ退出を許可した。
女性秘書官の後ろを猫背でついて歩くバスクはまるで手枷をされたゴリラのようだった。
そういえば「SIDE STORY OF GUNDAM Z」だったか、バスク・オムは一年戦争で
捕虜になり、その時受けた拷問で視力が弱くなった、ってな話があったな。
本来の彼はあの気弱な青年なのだろうか。
--------------------------------------------------------------------------------------------
着任時一騒動あったバスクだが、コリニーのセールストークに違わず有能な男だった。
彼の直属の上司、アンナ・ビアンキ中佐(通称:マンマ)によると書類を黙々と
片付けるだけではなく、業務改善のアイデアを具申したり、力仕事があればかって出て
ティータイムのお菓子当番が回ってくると「知る人ぞ知る」名店の焼き菓子など
持参してくるとかで、女性将校や下士官兵までゆるキャラの様な人気があるという。
フランケンシュタインの怪物が原作小説では、高い知性と花を愛する心を持つ
存在だった、といったところか。
まぁ、人の良い面だけを見がちなマンマのいうことなので少し割り引いて考える
必要があるが、バスク・オムは新しい職場に馴染んでいるようだ。
ただ、私は彼が見せる卑屈さ、みたいなものを感じ人事局に問い合わせてみた。
すると、彼に「バスク」と名付けた両親は過激な民族主義者で反連邦活動家だったという。
武力闘争を掲げる最左派だったようで
死亡したという。彼は18まで叔父夫婦に育てられたが、遠慮したのかさせられたのか、
授業料がないどころか給料の出る士官学校を受験、真ん中くらいの成績で合格したという。
スポーツは陸上の中距離走をやってたとそうで、本人曰く「チームスポーツは苦手」とのこと。
当時の教官の講評には「覇気がない、卑屈」と「慎重にして細心、ミスがない」という評価が
別れるような学生だったようだ。図体以外は特徴もなく同期生にも強い印象は与えなかった
らしい。
「過激な民族主義者を両親にもつ」とかコリニーが好きそうだ経歴だ。
きっとバリバリの武闘派か、両親の汚名を注ぐべく勤務に励む男を想像してたのに、ずっと
人の顔色を覗ってるようなヤツでさぞかしイライラしたに違いない。
まぁ、私も気にならないかといえば気になるけど、仕事ができるならそれでいい。
むしろ、前世の山田次郎を彷彿とさせる彼に親近感を持った。
彼の着任から一ヶ月後、私はビアンキ中佐から相談を受けた。バスクは私のスタッフの費用精算
だの庶務だのよりもっと大きな仕事をさせるべきだ、という。
例えば資材司令部のヘボン大佐の下とか参謀本部の幕僚にするとか。と言われたが、多くの将校や
士官を見てきたマンマが太鼓判を押すなら能力的に充分務まると思うが、前世の私に照らし合わせ
るといきなり大きな仕事を任せるとプレッシャーで潰れそうな気がする。
そこで、私は前線部隊の指揮に経験が深いチャーリー大尉に相談してみた。
チャーリー大尉(ベッカーズではなく。『チャーリー』と呼んで欲しいと言われてる)は
「閣下はあのフランケン男を能力はあるが、自信を持っていない、従って大きな仕事はでき
ないだろう、と危惧されている訳ですね?」と私の相談を要約してくれた。5分くらいのgdgd話を
まとめる辺り彼もただのマッチョではない。「そうなんだよ、彼にはもっと自信を持って仕事に
臨んでほしいんだけどねぇ」とため息をつく私。前世の私も上司にこんなため息をつかせていた
気がしてきた。チャーリー大尉はにかっと白い歯を見せると「自分もヤツの体つきを見てこれは
鍛えねば勿体ない、と思い定時後ジムに連行したのですが、正しいトレーニングをレクチャーする
と自分が横についていなくても黙々とオーバーワーク気味になるまで続けておりました」
と私のトレーナーでもあるマッチョが感心した口調でいう。「一月であそこまで身体を作れるヤツ
には才能があります。ジムの常連からも『デカい!』『土台が違うよ、土台が!』と褒められ笑顔
でマシンに向かうようになりました」とバスクが筋肉と共に自信もつけてきている、と評した。
そうか、よかった。私も若い時から筋トレしとけば良かったのかな、と思っていると今度は感情を
消した顔になったチャーリー大尉が「後は閣下がヤツに期待している、という態度を表すのが肝要
かと愚考します。ヤツは他人から期待され評価される経験がほとんどありません。従って閣下が
それを与えることで忠誠の対象は国家や軍組織から閣下個人になることでしょう。転属より、
出向の形を取り、お手元に置くのが上策かと。ヤツはいざという時には喜んで閣下の盾になる
でしょう」とエグいことを言った。
チャーリー大尉は
NGOの熱心なメンバーで、彼を護衛官にしようと思ったのも妻から人となりを聞いてたからだ。
彼と面談した際に「反連邦組織が少年兵を投入しなくなるアイデアはあるかね」と尋ねる私に
彼は「反連邦活動が盛んな地域への公共投資と少年兵を
には妥協なしの武力鎮圧と愚行します」と硬軟織り交ぜた対策を述べた。
私は即彼を副官とし、彼が特殊部隊で集めた情報を元に参謀本部は大量の無人機と旅団規模の
地上兵力を投入した掃討作戦を旧中国奥地とアフリカで実施した。
その作戦で保護された少年少女達は現在では社会復帰プログラムで普通の暮らしに戻る努力を
続けている。
以来、チャーリー大尉は私という個人に忠誠を誓うようになった。騎士の叙任やヤクザの
杯みたいなことをした訳ではないが、それを彼の働きぶりから感じるのだ。
彼自身もいざという時は身を投げ出して私を守るだろう。
感じで見ているのかもしれない。
しかし、チャーリー大尉、もう少しトレーニングのメニュー手加減してくれんかなぁ。
バスク中尉を呼び、ここ一ヶ月の仕事を褒めに褒め倒したあと、今すぐヘボン大佐の元に
出頭し、彼の指示に従うこと、3ヶ月後原隊に復帰することを命じた。
最後に「期待しているよ、中尉。ヘボン大佐のピンチを救えるのは君だけだ」と言うのも
忘れなかった。
バスクは「バスク・オム中尉、只今からヘボン大佐の指揮下に入ります」と普通の声量で、
それでも彼にしたら声を張ってるのだろう、命令を復唱し元気にオフィスを出ていった。
これでヘボン君の喫煙量が減るといいのだが…
--------------------------------------------------------------------------------------------
3ヶ月が経ちバスクを寄越した効果があったのかBM-01バム の量産型ファーストロットが
ロールアウトした。この3ヶ月の間はその量産型が配備されるMS教導団のメンバー選抜と
部隊編成に関わる諸々を処理するのに忙殺された。
息抜き、という訳ではないが、操縦適格者の中でも特に成績がいい者のリストを眺めながら
ガンダム・センチュリーの同志たちと
「お、ブラン・ブルタークだ。彼は外せないな」「ヤザン・ゲーブルは士官候補生かぁ。
もうすぐ卒業だから最初の部署が教導団になるな。でもヤザンだし大丈夫だろ」
「ブレイブ・コッドとトッシュ・クレイ、ストール・マニングスがいる。コッド77年で
すでに大尉だったのかぁ、万年大尉だったんだな」「30代といえばサウス・バニングいますよ。
『不死身の第4小隊』も全員適格者です」「マスター・ピース・レイヤーがいるぞ!彼には
小隊じゃなくてもっと大きな部隊を任せたい」「ユウ・カジマ もいる。こっちのは喋るのかな」
「ギャリー・ロジャースとフランシス・バックマイヤーか、MSV世代には外せないなぁ」
「テネス・A・ユングとハインツ・ベアも入ってますね。戦略戦術大図鑑組は二人だけですね」
「マット・ヒーリィは教官かテストパイロットだなぁ、前線勤務は合わないでしょ、この人」
後でちゃんと本人達と面談して選定したんで、ノリで決めたんじゃないですよ。いやほんと。
量産型ロールアウトと同時にメディアや公衆ネットにお披露目することになった。
このために外装を偽装したBM-01がテストパイロットの操縦で歩き、コンテナを持ち上げては別の
ところに積む、宇宙で溶接作業をする、といった内容のプロモ動画を制作し、メディアには
ノンテロップ、ノンナレーション版を素材として提供し、ネットにはテロップとナレーション入り
版を公開した。
エルラン少将が彼の「資産」から入手した情報によると、ギレン臨席の会議で件の動画を検討した
そうだが、ドズルは「連邦恐れるに足らず!」と吠え、ギレンは薄く笑い、キシリアは無言だった
という。公開したバムはOSに細工して原型のYMS-03に遥かに劣る速度と精度でしか動かなくして
おり、動作音も入ってない動画なので「ガンキャノンの次の機体」以上の情報は与えてないつもり
だが、ギレンとキシリアはその正体について何か掴んでるかもしれない、油断は禁物だろう。
そこからさらに2ヶ月が経った宇宙世紀0077 10月某日、私は宇宙にいた。
MS教導団司令のダグラス・ベーダー少将から視察というか激励に来てほしい、という要請に
答えた形で教導団が置かれているルナツーまで出張した。
宇宙は久しぶりだ。最後に宇宙に行ったのはU.C.0060兵站部の中佐時代にルナツー要塞化工事
の物流に関わった時だったから17年ぶりになる。
そのためかノーマルスーツの磁力靴のスイッチ入れ忘れて迎えのマゼラン級に乗船する際、
出迎えた艦長をはじめとする士官達の頭上でくるくる回ってしまう醜態を晒してしまった。
あちゃー、元船乗りのマエバラ君に念を押されてたのになぁ。
すぐにマエバラ君が救助してくれたけど。
ルナツーでは基地司令とルナツー艦隊を再編し発足した第三艦隊司令ワイアットが迎えてくれた。
ワイアットにはその夜の歓迎レセプションでくどい程マクロス級建造の進捗を聞かれ、自分を
含めた艦隊有志によるマゼランフライトVともいえる新型宇宙戦艦のホロCGを見せられた。
460mmメガ粒子砲を積んでるらしい。私も早く彼から解放されたいので技術本部に検討
して貰おう、と言うと「よしなに」と貴族的な台詞と共にワイアットは自分のテーブルに
帰っていった。
--------------------------------------------------------------------------------------------
翌朝は教導団視察のブリーフィングからスタートし、MS隊長のフェデリコ・ツァリアーノ
中佐から教導団の概要と午後の視察のタイムテーブル、要するに演目、の説明を受けた。
ちなみに彼の左目はまだ無事だった。
午後一から今回の目玉、BM-01バムの演習、というかデモンストレーション、が始まった。
私達はルナツーの表面近くの避退壕からノーマルスーツ着用で視察する。
まずはバムの編隊飛行、スモークの代わりに小型のLEDライトを撒きながら飛ぶので光の軌跡が
実に綺麗だ。今回の出張にちゃっかりついてきたマンマ中佐はすっかり感動した様子でずっと
拍手を続けていた。
次に実弾演習、ツーマンセルを組んだバムが、華麗な機動を見せながら標的機を次々と撃破
していく。正に息ぴったり、な2機を感心しながら眺めてると後ろに立ってるリー君が
「あの2機、テネス・A・ユング中尉とヤザン・ゲーブル少尉だそうです」と『お肌の触れ合い
会話』で伝えてきた。え?ヤザンって俺が俺がキャラじゃなかったの?しかも列機の方が
ヤザンだそうで、長機の援護をやっている。他人のアシストをするヤザンとか珍しいものを
見れた。
3番目の演目はジオンの衛星要塞内部を再現した区画での突入訓練だ。
バムがまるで歩兵か海兵のような動きで標的を撃ち抜きながら奥へ奥へと進んでいく、
ここでも基本ツーマンセル単位だ。チャーリー大尉は「室内戦闘の基本をおさえた動きです。
搭乗員の中には歩兵上がりもいるようですが、中々たいしたものですな」と感心している。
角を曲がる時にMSが鏡を使って死角を確認するのは少しユーモラスな感じがした。
4番目は対艦訓練で、標的艦はバズーカや連装ロケットランチャー、155mmライフルで
撃ちまくられ、またたく間にデブリに姿を変えた。一緒に見ていたワイアットが
「これは…MSに対する認識を改める必要がありそうですな…」と引き締まった表情で
呟いた。そう、彼は優秀な艦隊士官なのだ。
最後に教導団48機が勢揃いして中隊ごとに整列し、ツァリアーノ中佐の号令で一斉に
こちらに向けて敬礼する。
改めてBM-01バムを見ると、頭はMS-03のようなモノアイレールの支え棒がなくなり、
胴体は増加装甲が装着され、ボディアーマーを着込んだ歩兵のようにボリュームがある。
さらに機体の各所から動力パイプが露出している。これによってBM-01の流体パルス
システムはMS-06並の駆動力を誇るのだという。「判りやすい弱点」との指摘もあった
が、「仮想敵MS-06も同様」と設計主任のアダムスが押し切った、という。
手足はほぼMS-03そのままだったが、脚部にスラスターが追加されてる。
デブリフィーングでアダムス大尉に色々聞いてみよう。彼は教導団のパイロット達がらバムに
対する不満や要望などを聞き取りバムの改良型をルナツー工廠で開発している。
--------------------------------------------------------------------------------------------
デブリフィーングが終わると演習の打ち上げパーティが開催された。
私はベーダー少将から講評と乾杯の音頭を取るよう頼まれ、長々と話してるとパイロットから
野次られそうなので、早々に切り上げ「乾杯!」とグラスを持ち上げた。
ご歓談タイムになってもパイロットという人種はお偉いさんの機嫌など伺いにこないので、
私達がテーブルを周る。ヤザンをはじめ若いパイロット達が酒ばかり飲んで料理に手をつけない
のを見かねたマンマ中佐が「ダメよぉ、飲んでばっかりいないで、ちゃんと食べないと。
身体が資本のお仕事でしょ?」と優しく叱る。ヤザンは言い返すかと思えば肉に齧りつき
はじめた。それを見ていたテネス中尉が「ははっ!ジェヴォーダンの野獣もおふくろさんに
かかっちゃ形無しだな」と笑う。マンマ中佐は中尉にも「あなたは野菜食べなさい」と言い
彼は藪蛇だという顔をしながらおどけた敬礼をして料理を取りに行った。
『ジェヴォーダンの野獣』はヤザンに付いた渾名だそうで、ツァリアーノ中佐が何にでも噛み付く
新品少尉に彼の故郷に伝わる伝説から名付けたらしい。
10年前のヤザンを上回る技量の持ち主がいるのだろう。まぁまぁ大きなトラブルもなくやっている
ようだ。ツァリアーノ中佐からは兄弟分のテネス中尉と一緒に艦隊士官や下士官兵と喧嘩沙汰を
起こすので困っています、と愚痴られたが、目は優しかったので手のかかる悪ガキほどかわいい、
という心境なのだろう。しかし、あの声の二人に喧嘩を売る蛮勇の持ち主がいるのかぁ、
さすが実戦部隊だな。
17歳のライラ・ミラ・ライラに会ったのは意外だった。彼女は陸戦隊の2等兵から適格試験を
受け最近教導団に加わったそうで髪を坊主、というか五厘刈り、にしてるので少年兵に見える。
ツァリアーノ中佐は「こいつは海兵上がりで中々ガッツのあるヤツです」とちょっと自慢げに
語った。
「ライラ・ミラ・ライラ伍長であります!」と姓名を申告するライラ、無帽なので敬礼はしない。
彼ら以外にも多くのエースパイロットと語らい本当に楽しい宴会だった。
打ち上げの最後、会場が暗くなりホロ映像が流れた。例のジオンのコロニー潰しとコロニー落とし
のホロムービーだ。パイロット達は固唾を飲んでそれを見ていた。
映像が終わると部屋は明るくなり、演壇にいつの間にか上がってる私に気がついたツァリアーノ
中佐が「傾聴!」と号令をかけるとパイロット達は中隊ごとに横隊になって並んだ。
私はマイクの前に立つと「みな、今日はお疲れ様。大変興味深い演習だった。
先程見せたのは参謀本部が制作したジオン公国軍の奇襲攻撃シミュレーションだ。
あのような惨劇を現実のものにしない為に関係各所に無理を言って諸君を集めMS教導団を編成
した。諸君と諸君らが鍛えたMS搭乗員があの惨劇を阻止するのだ…諸君らライト・スタッフ、
正しい資質の持ち主達がきっと戦争で喪われるだろう億を越える市民を救ってくれると信じて
いる。教導団バンザイ!」と私が掛け声をかけると、パイロットたちは万歳したり、腕を突き
上げ叫んだり指笛を吹いたり制帽を被っていた者はそれを放り上げたり大盛りあがりだった。
ブレイブ・コッドなど泣き上戸なのか涙を流してる。
教導団の士気は上々なようで少し安心した。
--------------------------------------------------------------------------------------------
打ち上げの後、私は残業しているらしいアダムス大尉に差し入れを持っていった。
「あまり、根を詰めても効率が下がるばかりだ、少し休憩してはどうかな?」と
コーヒーを渡すと目の下にクマをつくったアダムスが「あ、すいません…」と
マグカップを受け取ると、私が持ってきたドーナツをコーヒーで流し込んだ。
ん~、なんか悪い兆候だなぁ。D dayまであと1年ちょっとしかない、のでは
なく、まだ1年ちょっとあるのだ。皆の勤務実態を調べんといかんなぁ。
新キャラ、バスク・オムの登場です。
モデルは「パトレイバー」の心優しき巨人山崎ひろみです。
彼はあそこまでシオシオではないですが。
チャーリー大尉のモデルはルックスは「筋肉体操」の村雨辰剛氏ですが、
名前はDELTA創設者の軍人をもじって付けてます。
村雨氏、wikipedia情報ではスウェーデン軍レンジャー部隊の入隊試験合格した
経歴の持ち主だそうです。
連邦軍オールスター、というか「ギレンの野望」連邦プレイのレギュラー達と
いうかエースパイロット(予定)を集めたMS教導団が全貌を現しました。
しかし、教官だけでは戦争にならないので、次回以降未来のMSパイロットが
ちょくちょく登場する構想です。