私の兄者がこんなに強いはずがない   作:ガタガタ震えて立向う

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・真・三國無双と恋姫無双のごった煮世界
・平行世界の同一人物的な方々は双子という設定。きっと異性の双子は同じ名前にするとかいう風習があるんだよ
・上記理由から各キャラの名前が紛らわしいので、三國キャラはそのままの字、恋姫キャラは真名を字に
・上記理由により真名の設定は無し
・各キャラの年齢差とか考えたらいかんのです
・こまけぇこたぁいいんだよ!!


こんな設定でシリアスを書けるわけがない

 後漢末期。政治は腐敗し、大地は荒れ、漢王朝の権威は地に落ちていた。

 各地では混乱が続き、遂には黄巾党と呼ばれる集団による反乱が発生。その勢いは大陸全土を包み込まんとしていた。

「た、助けてくれぇ!」

「村が、オラたちの村が黄巾の連中に」

 

 そして今また、一つの村が黄巾の波に押し流されようとしていた。

 

「ええい、道をあけろ!」

「我らを何と心得る!」

 

 だが民を救うべき官軍は、救いを求める村人たちの声を切り捨てた。

 彼らは今黄巾の本隊を目指して進軍している。寂れた村を襲う小勢を無視し、速やかに本隊を叩くことは戦術的に間違いではあるまい。

 しかしその選択はあまりにも非道。今の漢王朝の有り様を物語っていた。

 

「う……ああ……あんまりだ」

 

 膝をつき、項垂れる村人。

 田畑を荒らされ、蓄えを奪われ、明日からどう生きろというのか。

 絶望に打ち拉がれたその姿は、今の大陸の有り様そのものであった。

 

 だが捨てる神あらば拾う神あり。

 官軍の消えたその場を、未だ立ち去らぬ一団が居た。

 

「大丈夫ですか?」

 

 不意に肩を叩かれ、村人は驚いて声の主を仰ぎ見る。

 

 この場にそぐわぬ、うら若き乙女がそこに居た。

 世界を知らぬ村人からすれば、その少女の美しさは天上のそれ。他者を慈しみ愛する慈悲深きその様子は、地に降りた天女を思わせた。

 

「あ、あなたは」

「もう大丈夫だ。後は私たちに任せて下がっていてくれ」

 

 戸惑う村人を安堵させる力強く優しい声がした。

 一対の剣を両の手に持つ精悍な顔立ちの青年が、村人をその背に守るように進み出る。

 そばに立つ少女に比べれば、拠点兵長(平凡)とすら言える容姿。しかし村人は、その平凡なはずの青年に、少女に劣らぬほどの安堵を覚えた。

 

 劉玄徳。そして劉桃香。

 後に大徳と讃えられる兄妹の戦いが、今始まろうとしていた。

 

「雲長! 翼徳! 村を襲う黄巾を打ち払うぞ!」

「承知!」

「応よ! この俺様に任せとけ!」

 

 双剣を手に走る劉備。その後ろへと続くように、二人の男――関雲長と張翼徳が地を駆ける。

 

「な、なんだてめえら!?」

「悪漢に名乗る理はあらず。黄巾よ、我が義の刃の錆となれ!」

 

 突然現れた一団に焦る黄巾たち。しかし雲長はそんな黄巾たちに立ち直る暇を与えず、一閃の下に打ち倒していく。

 

「おらぁ! 張飛様が相手になってやるぜ!」

「ぎゃああっ!?」

「こ、こいつら人間じゃねえ!」

 

 そして翼徳が矛を振るう度に、黄巾たちは風に巻かれた木の葉のように吹き飛ばされていく。

 

「な、何てやつらだ。一旦ひ……」

「よし、兄者たちに続くぞ鈴鈴!」

「がってんなのだ!」

「今度はなんだぁ!?」

 

 たった三人の男たちに押され、蹴散らされ、逃げ惑う黄巾たち。

 たが賊徒となった彼らに逃げ道など存在しない。男たちの隙をつくように、二人の少女が武をふるう。

 

「な、何なんだてめえらは!?」

「先ほど兄者が言っていただろう。貴様らに名乗る名など無い!」

「悪いやつらはぶっ飛ばすのだ!」

 

 黒髪の美少女と小柄な少女。愛紗と鈴鈴の手には、各々の兄と同じ武器が握られていた。

 そして二人が得物を振るうや否や、竜巻のような戟を受けて黄巾たちは一瞬で襤褸となって空に舞い上がる。

 

「みんな凄い……。よーし私も!」

 

 弟妹たちの活躍を見て、桃香もまた兄と揃いの剣を抜いて走り出す。

 しかし――

 

「待て! 前には出るな桃香!」

「いかん! 愛紗よ、姉者をお守りするのだ!」

「桃香様! 今参ります!」

「みんな酷い!?」

 

 張り切って走り出したというのに、過保護な実兄はともかく、義理の弟妹までも戦力外扱いに、桃香は目尻に涙を浮かべ抗議する。

 しかし悲しいかな、桃香の腕では足手まといにしかならないのは事実。

 お兄ちゃんだって戦ってるのにぃと愚痴を漏らしながら、桃香は大人しく関羽兄妹に守られる。

 

「敵将討ち取ったぜ!」

「敵将討ち取ったのだ!」

 

 一方張飛(脳筋)兄妹はやや暴走しながら黄巾を蹴散らし続けていた。

 

 

「……あれが関羽か」

 

 反董卓連合。その陣中にて、曹孟徳は集まった群雄の中に一組の兄妹を見いだしていた。

 見上げるほどの長身に見事な長髭を持つ男。

 美しい黒髪を頭部の横でまとめた少女。

 言わずと知れた関羽兄妹であった。

 

「猛将華雄を討ち取り、あの呂布と渡り合った武。野にあるには惜しい」

「そうね。視野の狭い猪武者では無い、知勇兼備の将。確かに欲しい人材だわ」

 

 相槌を打ちながら、小柄な、しかし兄孟徳に劣らぬ覇気を持つ少女――華琳がこたえる。

 後に「人材マニア」と呼ばれる二人にとって、関羽は一目惚れしてもおかしくない優将であった。

 

「しかし兄に比べ妹は熱くなりやすいようだ。将としては兄の方が上やも知れぬな」

「だけど妹の美しさは見逃せないわね。夜伽の相手としてもお買い得だわ」

「……」

 

 いきなり飛躍した話の内容に、孟徳の動きが止まる。

 しばしの沈黙の後に愛紗を眺めると、顎を擦りながら口を開く。

 

「……公人としては兄が欲しいが、私人としては妹の方が欲しい。悩みどころだな」

「何を言っているの孟徳。両方手に入れれば良いだけの話じゃない」

「なるほど。流石は華琳。わしをも越える強欲ぶりよ」

「喧嘩を売っているのかしら? なら謙虚な孟徳は私に関羽の初夜を譲るのね」

「それはできん。むしろおぬしは兄の方に初夜の相手をしてもらうべきではないか」

「私が? あの髭と? あまりふざけた事を言うと、貴方の粗末なモノを切り落とすわよ」

「ふっ。わしのモノを切り落としても、ぬしにモノが生えるわけではないぞ」

「いらないわよ。そんなモノに頼っているから、貴方は満足に相手を悦ばせられないんだわ」

「ほう。それは挑戦と受け取った。ならばわしの性技、とくと見せ付けてやらねばなるまい」

「望むところだわ。相手は春蘭でいいわね」

「是非もない」

「そこの色情魔ども、黙れ」

 

 優将の話をしていたはずが、いつの間にか妹が毒牙にかかりそうになり、夏侯惇は低い声で主二人を威嚇する。

 

「ああ……華琳様も孟徳様もそんな……」

 

 一方春蘭は今宵自分はどんな目にあうのかと期待していた。というかぶっちゃけ濡れていた。

 

「……兄者。何やら寒気がするのですが」

「風邪か? あまり体を冷やすのではないぞ愛紗」

 

 

「だから、みんな過保護すぎるの。お兄ちゃんが戦ってるんだから、私だって戦えるもん!」

「そう言われましても」

 

 桃香の主張に、愛紗は困ったように曖昧な笑みを浮かべる。

 

「兄者や翼徳の活躍に隠れてはいますが、玄徳様も一角の将です。失礼ながら桃香様では比べ物には……」

「愛紗ちゃん酷い!? 確かにお兄ちゃんのチャージ4からのExチャージを軽功キャンセルした無限コンボは強いけど!?」

「何を言っているのですか。確かに属性しだいで敵将の体力がもりもり減りますが」

 

 キャンセルしても当たり判定が残ってるのがずるいよねぇと漏らしながら、桃香はどうしたものかと考える。

 

「うー、やっぱり私が強くなるしか無いんだよね。雲長くんに鍛えてもらってくる」

「……頑張ってください」

 

 強くなっても心配性な玄徳は桃香を戦わせないだろうが、強くなってもらって悪いことはないため、愛紗はにこやかに桃香を兄のもとへと送り出した。

 

「……姉者は武を磨く前に、まず力と体力をつけるべきかと」

「そこから!?」

 

 先行きは長そうだった。

 

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