私の兄者がこんなに強いはずがない   作:ガタガタ震えて立向う

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・転載前の話が短すぎて加筆部分の方が多い本末転倒
・徐庶ってまだ恋姫に出てないよねと確認してたら、公式としか思えない画像が出てきて騙されかけた
・こまけぇこたぁいいんだよ!


お客様の中に肉まん職人はいらっしゃいませんか?

 官渡の戦いの後、関羽兄妹は曹操への恩は返したと判断。さらに行方知れずだった劉備兄妹の居場所が知れたこともあり、曹操の下を去った。

 曹操は二人が去ることを知りながらも、あえて追おうとはしなかった。しかし曹操の決定を是とせず、関羽たちを追う武将たちは居た。

 その中には夏侯惇も含まれていた。

 

「……やはり来たか、夏侯惇」

「関羽……俺がk」

「関羽ー!! 曹操様たちを裏切るとは何事だ!? いや居なくなるなら構わんがお二人の期待を裏切るのは許せず何だかよく分からんが私の剣の錆にn」

「ちょっと黙ってろ」

「ギャピ?!」

 

 自分の台詞を遮ってハッスルするアホの子(妹)を、元譲は刀の背で殴って気絶させる。

 いきなり味方のはずの兄に殴られたせいか、春蘭は奇妙な悲鳴をあげてあっさり気絶した。

 

「……我らを斬りに来たのでは無いのか?」

「斬ってほしいのか?」

 

 訝しみ言う雲長に、元譲は挑発するように言う。

 

「元譲!?」

「……冗談だ」

 

 しかし不安に歪む愛紗に名を呼ばれると、あっさりと否定した。

 

 実際、自分を差し置いて猛徳や華琳に目をかけられている関羽は気に食わない。

 しかし接してみれば悪い連中では無いし、特に愛紗は日々胃を痛める元譲をそれとなく気遣ってくれたりしていた。

 

 要するにほだされたのだ。曹操兄妹も逃がして良しとしている以上、あえて立ちはだかるつもりは無かった。

 

「だが気は抜くな。猛徳や華琳が打算も無くお前たちを見逃すとは思えん。劉備たちの下に戻っても、そこに安寧は無い」

「覚悟の上」

「だろうな」

 

 元譲が何があっても曹操兄妹の下を離れないように、関羽兄妹にとってあるべき場所は劉備兄妹の下のみ。

 例えそこが死地であっても躊躇うはずがない。

 

「元譲……」

「……」

 

 自らの名を呼ぶ愛紗から、元譲は視線をそらした。

 

「胃は大丈夫か?」

「……問題ない」

 

 心配そうな愛紗に、元譲は無愛想に返す。

 何故未来の敵に胃の心配をされているのか。元譲は我ながら奇妙な状況に笑いたくなってきた。

 

「……っ、関羽覚悟ー!!」

「ぬぅ!?」

 

 しかも復活した春蘭が覚醒からコンマ数秒で雲長に斬りかかった。ちょっとやそっとでは止まりそうにない。

 

「……元譲」

「HAHAHA! 大丈夫だ愛紗。これからも俺は頑張っていけるから……HAHAHA!」

「いや大丈夫ではないだろう!? 何だその笑い方は!? しかも口から血が!?」

 

 夏侯元譲。ストレスで胃に穴があくことを三國に知らしめたナイスガイである。

 

 

 曹操と対する劉備。八門金鎖の陣と守備に定評のある仁ダム……もとい曹仁を前に苦戦を強いられるが、軍師徐庶の知略により窮地を脱する。

 しかし当の徐庶は劉備の未来を諸葛亮に託し、曹操軍に捕らわれてしまっていた。

 

「おぬしが徐庶か」

「へぇ、中々見れる顔立ちじゃない」

 

 そして当然のように始まる曹操兄妹による圧迫面接。

 有能ならば敵であっても受け入れる。人材マニアの本領発揮である。

 

「……文和。おまえこうなると予想していたな」

「元譲殿だって。まあ良いじゃないですか。それにお二方があの男をどう評するか気になる」

 

 渋い顔の元譲と、悪人笑いな賈文和。両者色んな意味で曹操兄妹の病気を諦めている。

 

「曹仁を相手によく戦い抜いたものだ」

「八門金鎖に対してふるった知略も見事だったわ」

「……皮肉か? 過程はどうあれ、結果として俺はこうして捕らわれ、敗北した」

 

 曹操兄妹の賛辞に、徐庶は悲嘆で返した。しかし何か思い直すように首を振る。

 

「いや、それでも玄徳殿と桃香殿を逃がすことはできた。後は彼らが上手くやってくれる。俺などよりずっと……」

「情けない男ね」

「全くだ。知恵はあってもこれでは小役人程度にしか使えんか」

 

 己の役目は果たしたと満足する徐庶。しかし曹操兄妹にはそれが不満だったらしく、揃って徐庶を酷評する。

 

「しかしそれも仕方あるまい。今のおぬしには、一つ決定的に欠けているものがある」

「そうね。一人ではなく二人なら、貴方自身も逃げおおせていたでしょうね」

「……二人?」

 

 言葉の意味が分からず首を傾げる徐庶。もしかしたら諸葛亮兄妹のことかと思ったが、それならば人数は徐庶を含めて三人だ。

 一体誰のことかと疑問に思っていると、答えはすぐに判明する。

 

「それで、貴方の妹は何処かしら。これまでの例からして、舌足らずな愛らしい少女だと思うのだけど」

「いや華琳。わしは意表をついて、優柔不断な兄を叱咤する、素直クールな大人びた少女と予想する」

 

 曹操兄妹のもう一つの病気発症。

 目を輝かせ鼻息荒く徐庶に迫る曹操兄妹に、元譲は頭を抱え、文和は他人事のように笑う。

 

「……俺に妹は居ないが?」

 

 その時曹操兄妹に電流走る――!

 

「なん……だと……?」

「貴方ほどの軍師に妹が居ないですって……!?」

「……とんだ期待外れだったな」

「……失望したわ」

 

 酷ぇ。

 あまりに理不尽な言いように、元譲はちょっと徐庶に同情した。

 しかし一方で徐庶には期待していた。癖のありすぎる曹操軍の面々の中、ようやくまともな性根の軍師が増えると。

 

「……俺に足りないのは妹だったのか!」

「目を覚ませ!?」

 

 しかし悩み多き男徐庶。悩みすぎて優秀な頭脳がフル回転して愉快な結論に達していた。

 元譲は思わず後ろ手に縛られたままの徐庶を揺さぶる。

 

「そういえば文和にも妹が居たはずだな」

「そうね。一体何処に隠したのかしら」

「おっと、こちらに飛び火するとは。いえ、ねえ、隠したわけでなく詠が何処に行ったか皆目見当が……」

 

 惚けたように言う文和だが、実際彼は妹である賈詠が何処に居るか知らない。

 まあ生きてたら軍師として名を馳せているだろうから、死んでるんじゃないかなあとか思っている酷い兄貴である。

 後日、詠が劉備兄妹の侍女をしていると知り、大爆笑するのはまた別の話。

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