・三國志にはぶっ飛んだエピソードが多くて困る
・孫権はむしろやることがぶっ飛びすぎてて困る
・これにて転載分は終了
・こまけぇこたぁいいんだよ!
曹孟徳。治世の能臣、乱世の奸雄と評された彼も、若い時分は要領は良いが怠け癖があり、その知謀を悪知恵に使う悪童だったという。
「……で? 今回はどんな下らない騒ぎを起こしたのかしら?」
曹華琳。双子の妹が満面の笑み(怒)で見下ろしてくるのを、孟徳は何故か正座して見上げていた。
「華琳よ。その言いようではわしが騒動の首謀のようではないか」
「実際そうでしょうが!? あなたと本初が揃うと、無駄に張り合って騒ぎが大きくなるのよ!?」
曹孟徳と袁本初。後に覇権を巡り対立する彼らが、古くからの友人であるのは有名である。
友人と言っても、その行動を省みれば不良仲間と評するのが適当な悪ガキだったりするのだが。
「待て。わしばかり責めるのは平等とは言えまい。それにおぬしも麗羽と騒ぎを起こしているではないか」
「私たちは貴方たちみたいに周囲に迷惑をふりまいていないわ」
袁本初の妹である袁麗羽。彼女もまた華琳と何かとよく絡むが、せいぜいが口論程度であり騒ぎという騒ぎは起こしていない。
双子とはいえ、そこは女子の方が精神的な成長が早いからか、それとも生まれ持った性質か。
ともあれ、華琳と麗羽ならば微笑ましい張り合いが、孟徳と本初になると傍迷惑なレベルになるのは確かである。
「まったくだ。少しは自重しろ孟徳」
「……むぅ」
夏侯元譲こと惇兄参戦。
いよいよ反論の余地がなくなり、孟徳はただ唸るしかない。
因みに元譲の妹春蘭は、孟徳と華琳のどちらの味方をしたらいいのか悩みオロオロしている。
そしてそんな春蘭を見て夏侯淵兄妹は「姉者(惇姉)は可愛いなあ〜」とハモっている。
大丈夫か夏侯家。
「それで、今回は何をやらかしたの?」
ちょっと身長低めな孟徳よりもさらに小さい華琳だが、その覇気は山を背負っているかのような迫力と威圧感だ。
嘘偽りは許さない。その気迫にはさしもの孟徳も観念するしかない。
「なに、大したことではない。本初と新婚家庭に上がり込み、花嫁を強奪……」
「何で私を誘わなかったの!?」
最後まで言わせず、背負っていた覇気を放り出し、正座中の孟徳の肩を掴み激しくシェイキングする華琳。
曹操兄妹。兄である孟徳が女好きなのは有名な話だが、妹である華琳が女好きなのも有名だったりする。
「……」
そして無言で胃を押さえる夏侯元譲。
主二人のせいで胃を痛める未来が約束された、苦労人なナイスガイである。
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曹丕。字は子桓。
曹操の息子であり、後に魏の初代皇帝となる。
どちらかというと戦よりも内政で多くの功績をあげており、詩をたしなんだりと文化的な一面も持つ男である。
「父よ。それに叔母よ。先の戦で敵の……」
ドカン。
軍議の只中。曹丕が口を開いた瞬間、鈍い音が響き卓にヒビが入った。
「……子桓。私を叔母と呼ぶなと言わなかったかしら?」
卓に手をつき、こめかみに血管を浮かべながら笑顔で言う華琳。その殺気に並んだ将官は皆目を反らして沈黙する。
「これは異なことを。叔母は叔母である故に叔母と呼ぶことに問題などありはしないはずだ、叔母よ」
しかしその殺気に怯むどころか薄く笑いながら続ける曹丕。
バキっと卓が軽く弾けてヒビがさらに深くなる。
「ふっ、子桓。その辺りでやめておけ」
しかし華琳の殺気が殺意に変わり、将官たちが気絶しかけた所で孟徳が口を開く。
「趣味に走ったために良い歳をして婚姻はおろか経験も無いのだ。未だ若いつもりである健気な乙女(笑)の心も労ってやれ」
「よーし、殺して良いわねこの性悪父子」
笑顔で得物を構え容赦なく振り抜く華琳。卓が砕け散り、室内を衝撃波が飛び交い、何故か爆発が起きて辺りは阿鼻叫喚の修羅場と化す。
「……惇兄。この国大丈夫か?」
「大丈夫だ。問題無い」
妙才の問いに遠い目で答える元譲。
何かを諦めたその顔は穏やかだったという。