・王佐の才な人が参戦予定と聞き作者大歓喜
・戦国4の後に三國7やったら覚醒しようとして馬呼び暴発
・こまけぇこたぁ良いんだよ!
反董卓連合が解散された後、劉備は空気が読めない呂布に義兄弟にされたり、その呂布と喧嘩したり、袁術を討伐したり何やかやとした末に「おう、最近曹操生意気だからちょっと〆ろや」という帝の無茶ぶりに振り回されたりしていた。
相手は帝を擁立し飛ぶ鳥を落とす勢いである曹操。いかに劉備兄妹たちが一騎当千の兵であっても、あまりに分が悪い。
軍師がいればまだ戦えたのかもしれないが、今の劉備軍に軍師と呼べるような人間は居ない。
居ないったら居ないのだ。
結果劉備は敗北し徐州の地をおわれる事になる。
……義兄弟である関羽兄妹を残して。
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「うん、何で此処に居るんだ俺?」
北郷一刀。
何の因果か劉備の義弟となっている彼は、徐州から逃げる劉備たちに引っ付いて袁紹の下に……居らず、どっかのハスラー軍師が放った流れ弾を後頭部に食らって捕縛されていた。
客将となった関羽兄妹の義弟ということですぐに解放されたが、当然そのまま放逐というわけにもいかず、何故か曹操の客人という扱いになっている。
「……何だこの扱い」
「お望みなら牢に繋いであげるわよ?」
「遠慮します!?」
サディスティックな笑みで言われて、一刀は全力で首を横に振った。
対する華琳。その一刀の様を見て笑みが深くなる辺り、根っからのいじめっこである。
「まあ気楽に構えてなさい。貴方は関羽たちへの人質という意味合いもあるけど、あの二人は短慮を起こしたりしないでしょうし」
「……」
安心しろという華琳だが、一刀はまったく安心できなかった。
史実通りの展開ならば、関羽は曹操の下を去る。
制止する将をぶっちぎり、関所を強行突破し、立ちはだかる者たちを斬り捨てて千里を爆走しちゃうのである。
そんな事になったら人質の一刀の命は間違いなくボッシュートなる。関羽兄妹が逃げる時は意地でも付いていこうと一刀は決意する。
「あまり苛めるな華琳。すまぬな北郷一刀」
「い、いえ」
玩具を前にした子供のような華琳とは逆に、気遣いながら気安く肩を叩く孟徳。
「聞けば兵法に限らず様々な分野について学んでいるそうだな。誰ぞ暇のある者に指南役を命じるべきか」
「い、いや、そこまでしてもらうわけには」
謎の厚遇に警戒心むき出しな一刀。
それも仕方ない。何せ目の前に居るのは人材マニアとして有名な曹孟徳だ。
一刀自身己が武将としても文官としてもまだまだお粗末なことは理解している。将来性を買ったにしても、この対応はいきすぎにしか思えないのだ。
「なに、遠慮することは無い。そなたは客人であり客将である関羽たちの義弟なのだからな」
どうやら結局人質として大切にされているらしい。
そう認識した一刀に、孟徳は肩を掴み正面にまわりながら言う。
「故に、わしの事は親しみを込めてお兄ちゃんと呼ぶが良い」
「アンタ諦めて無かったのか」
真顔で言い放つ孟徳とつっこむ一刀。
一刀が孟徳を敬うのを諦めた瞬間であった。
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「字はある程度読めるのに文は読めない。計算は早くとも実用的な勘定には慣れてない。何とも歪な知識ですね」
眼鏡をかけた黒髪の女性郭嘉、字は禀に言われ、一刀は苦笑しながら頬をかいた。
「面目ない」
「いえ、責めているわけではありません。歪なのは確かに気になりますが、逆を言えば幅広く基礎ができているとも言えます。
ある意味困った生徒ですね。何から教えるべきか普通とは逆の意味で困ります」
目の前で恥ずかしそうにしている青年を眺めながら、さてどんな教育をすべきかと禀は悩む。
短期間の教師役とはいえ禀が抜擢されたように、実は孟徳は本当に一刀の将来性に期待していたりする。
禀自身も己の目で確認し、まったく理の違う地で生まれ育った一刀の知識や発想は興味深いと思った。
しかし一刀は劉備の義弟。いつか敵対するかもしれない人間である。
禀としてはひっかかる。だが孟徳も華琳も才ある者は敵でも愛するような所がある。
案外一刀が敵対した後にその才を開花させても、己の目に狂いは無かったと二人して喜ぶかもしれない。
「やぁ、精が出るね二人とも」
「出ましたね不良軍師」
このまま幅広く専門知識を与えても面白そうだが、とりあえず最初は文を読めるようにすべきだろうと結論した禀。
そんな区切りを見計らったように彼女の双子の兄、字は奉孝が現れる。
不良軍師の呼び名の通り、飲む打つ買うの三拍子揃った人生を全力疾走しているような男であり、孫策の動きを警戒する曹操に「もうすぐ孫策死ぬから大丈夫(確信)」という意味の分からない助言をした変態軍師でもある。
「相変わらずキツいね禀は。そんな事では一刀殿が萎縮してしまうよ」
「心配せずとも貴方以外には優しく接しています。一刀殿。コレに近付いてはいけません。伝染ります」
「何が!?」
いきなり険悪な雰囲気になり戸惑う一刀。
もっとも相手を嫌っているのは禀だけらしく、奉孝は意にもかいさず楽しそうに笑っている。
「しかし私も心配でね。禀は私自身妹で無ければすぐにでも口説きたいほど魅力的な女性だ」
「い、いきなり何を?」
突然実の兄に女として称賛され、血がのぼった禀は顔を真っ赤にそめる。
「指導の最中、触れあうほど近付くこともあるだろう。一刀殿も男だ。美しい禀の魅了に耐えきれずそのまま顔が近付いていき――」
「ち、近付いていき――」
兄の言を反芻しながら振り返る禀。そこには困った様子の一刀。
その顔を見た瞬間、禀が爆発した。色んな意味で。
「おや、まったく初で可愛いね禀は。一刀殿。そういうわけで禀の扱いにはくれぐれも気を付けて」
「……ご忠告ありがとうございます」
鼻血を吹き出し昏倒した禀を支える奉孝。
その鼻血で真っ赤に染まりながら棒読みで礼を言う一刀。
軍師=変人という間違った知識をインプットしたが、実際変人ばかりなのでその知識が訂正されることは生涯無かったという。