私の兄者がこんなに強いはずがない   作:ガタガタ震えて立向う

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・最初はシリアスをやりたかったが、作者の三國志知識では無謀すぎた
・シリアスは投げ捨てるもの
・思い付きで書いているので時間軸はてきとー。一気に時間が飛んだり、過去に戻ったりします
・こまけぇこたぁいいんだよ!


中国の歴代王朝の名前をリパブリック讃歌の替え歌で覚えさせられた

 

「不思議ですね。私には兄など居なかったはずなのですが」

 

 どこか憂いを秘めた舞姫は、眼前の漢女に向け静かに言う。

 

「それはそうでしょうね。私は兄ではなくてお姉ちゃんですもの」

「もう、そういうことではありません!」

 

 しなを作って言う貂蝉(兄?)に貂蝉(妹?)は拗ねたように返す。

 

「貴方は何者なのでしょう。いえ、そもそも私は? この世界は……」

「……敏いのも考えものねぇ。『この世界』で貴女と同じ名を名乗ったのは失敗だったかしら」

 

 ため息をつく貂蝉(漢女)。その様子に、貂蝉(舞姫)は憂いを深くする。

 

「では私たちは、私たちの思いは……」

「あまり深く考えないことね。一人の人間にとって、世界は大きすぎて理解が及ばないものよん。世界がどうかなんて、考えても無駄。貴女は貴女が思うように生きれば良いの」

「私の思うように……」

 

 貂蝉(腹黒)が顔をあげると、貂蝉(筋肉)は片目をつぶってみせる。

 他の者ならば戦慄する光景だったが、仮にも妹である貂蝉はどこか安心感を覚える仕種であった。

 

「まあその前に呂布ちゃんたちを止めるのが先かしら」

「……いつかは対するとは思っていましたが、何故この時に」

 

 彼方で民家の屋根が吹き飛び、城壁が謎の衝撃波で削れる。

 最強兄妹が突如始めた喧嘩は、人外の域に達しようとしていた。

 

 

 現在呂布たちは劉備の下に居たのだが、劉備不在となると何故か呂布兄妹が喧嘩を始めていた。

 

「……邪魔をするな、恋!」

「……劉備たちいい人。裏切るのよくない」

 

 理由は単純。劉備不在の隙をつき挙兵しようとした奉先と、あくまで劉備の恩義に報いようとする恋の意見の食い違いであった。

 

「ふん。まあいい。貴様と俺どちらが上か、いつか決着をつけねばならんと思っていた!」

「……負けない」

 

 最強と最強。

 後の世にまで語られるであろう伝説の戦いが始まろうとしていた。

 

「なあ兄やん。あれ止めんでええん?」

「……武人と武人の誇りをかけた戦い。止めるのは無粋であろう」

「……そか」

 

 張遼――霞は、呂布兄妹の戦いを指して兄である文遠に問いかけたが、答えはなんと言うか予想通りのものであった。

 正直誇りは横に置いて二人を止めるのに協力して欲しかったのだが、霞に比べて文遠は良くも悪くも武人であった。

 

「陳宮は止めんの? こんなことやっとる間に、劉備ら戻ってくるで?」

「我らの意思決定は呂布殿が握っておりますからなぁ。終わるのを待つしかないかと」

「そんな投げやりでええんか軍師」

 

 一抹の期待をかけて軍師(脱モブ予定)に意見を求めた霞だったが、これまた答えは期待はずれのものであった。

 ちなみに妹の音々音は最初から全力で恋を応援していた。

 

 

 あ…ありのまま先ほど起こった事を話そう!

『私が少し留守にしていたと思ったら、いつの間にか居候が城を吹き飛ばしていた』

 な…何を言っているか分からないと思うが、私も何をされたのか分からなかった…

 頭がどうにかなりそうだった…

 一騎当千だとか三國無双だとかそんなチャチなものでは断じてない

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わった…

 

「……それでわしを頼ってきたということか」

 

 呂布兄妹の喧嘩(台風)によってお家に帰れなくなった劉備は、曹操へ救援を求めていた。

 たかが兄妹喧嘩。されど兄妹喧嘩。

 最強兄妹の喧嘩は災害指定寸前であった。

 

「だが確かに、あの狂犬を野放しにはできまい」

「そうね。呂布を討つと言うならば、私たちも兵を……」

「違う。違うよ曹操さん!」

 

 援軍を送ることに賛同する孟徳と華琳。しかしそんな二人の言葉を、それまで無言であった桃香が遮った。

 

「呂布さんたちを討つんじゃなくて止めるの! 早く喧嘩を止めさせて仲直りさせないと!」

 

 おまえは何を言っているんだ。

 そう元譲はつっこみそうになったが、主の手前ひっこめる。

 

「桃香!」

 

 さすがに今の発言は不味いと思ったのか、玄徳が前に出ようとする桃香の肩を掴む。

 しかし次の発言に元譲は再び鉄の意思を要求された。

 

「すまない桃香。私は自分のことばかり考え、呂布殿たちの思いを理解しようとしなかった……。己が不明を恥じるしかない」

 

 普通城を吹っ飛ばされたら相手の事情など考慮しない。

 おまえは間違ってないと言いたい元譲だったが、主の手前必死に止まった。

 

「……さすがね桃香。その大器、私の下にはおさまらない。危険な相手だわ」

「オイ!?」

 

 何故か戦慄している華琳に、元譲はつい声をあげてしまう。

 

「……やはり、世の英雄足り得るはわしたちと劉備か」

「正気に戻れ覇道馬鹿」

 

 思わずつっこむ元譲。

 とち狂った曹操兄妹の呟きに、元譲の鋼の意思はあっさり砕け散った。

 

「……えーと、私はどうすれば良いのだ元譲!?」

「……おまえは何も考えずに敵に突っ込め」

「おお! つまりはいつも通りだな!」

 

 妹である春蘭を適当にあしらう元譲だったが、そのアホの子っぷりに何だか涙が出てきた。

 

「姉者は可愛いな〜」

 

 そして平常運転な従姉妹。

 元譲は何だか全てがどうでも良くなってきた。

 

「あー、なんだ、頑張れ惇兄!」

「おまえも少しは世話をしろ淵!?」

 

 

「鬼神の娘、呂玲綺が参る!」

 

 鬼神呂布の娘呂玲綺。呂布の娘と聞けば、誰もが筋骨隆々とした男勝りな男女を想像しそうなものだが、実際には美しい銀髪の少女である。

 

「おー、ちょっと心配やったけど、さすが呂布やんの娘やな」

 

 そんな呂玲綺が敵兵を蹴散らしていくのを、霞は感心しながら眺めていた。

 兄である文遠と共に、娘のお守りを奉先から頼まれていたのだが、それほど世話は焼かなくても良さそうだと安堵する。

 

「せい! ハァッ! ――やまだあああああああ!!」

「……兄やん。もしかして呂玲綺に稽古つけた?」

「何故分かるのだ?」

「いや、何故ってアンタ」

 

※呂玲綺の「やまだああああ!!」はイメージです。実際の呂玲綺はちゃんと「邪魔だああああ!!」と言って……いや、やっぱ「やまだああああ!!」に聞こえ(ry

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