・理想郷に続きここでも蓮華様は俺の嫁発言がスルーされたので私たち結婚します
・こまけぇこたぁいいんだよ!
名族としての誇りと地位、強大な兵力を誇る袁紹。
帝を擁立し、勢力を拡大していく曹操。
友人である両者の道は交わることなく、ついに官渡の地にて決戦の火蓋が切って落とされる。
「おーほっほっほ! ご覧なさいこの兵力差を。皆さん、孟徳さんと華琳さんの小勢などサクッ☆と捻り潰しておやりなさい!」
「承知しました! この張儁乂、美しく、華麗に進軍いたします!」
「そう! それですわ儁乂さん! 貴方こそ我が軍の美の体現者! 華々しく攻めなさい!」
高圧的に言い放つ袁麗羽と、一々謎のポーズを決めながら応える張コウ。
両者色んな意味で輝いていた。
「よっしゃー! あたしたちも行くぜ斗詩!」
「えー!? ダメだよ文ちゃん! 相手はあの曹操さんだよ。絶対何かしかけてくるから警戒しないと。
本初様も姫と儁乂さんを止め……」
「名族の戦いを曹操に見せつけてやるのだ! 全軍進めえぇー!(↑」
「ですよねー」
顔良。字は斗詩。
常識人故に胃を痛めるのは全陣営共通であった。
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「曹操様。白馬より救援の要請が届いております!」
「白馬か。相手は袁の四枚看板。生半可な将では持ちこたえられまい」
「関羽たちを使うべきね。この一戦、出し惜しみはできないわ」
圧倒的な戦力で攻めてくる袁紹軍。
この窮地に、曹操兄妹は劉備とはぐれ身を寄せていた関羽兄妹の投入を決定する。
「……玄徳様と桃香様以外の下につくことになるなんて」
「愛紗、今は耐えよ。この一戦を生き残り、必ずや兄者たちを探し出すのだ」
悔しむ愛紗に、雲長は静かに言う。
しかし雲長とて、曹操らが自分たちを欲し、正式に仕えるよう手を狭めていることには気付いている。
一刻も早く劉備たちを見つけなければと、焦りを感じていた。
「それと愛紗。今日こそ私の寝所に来てもらうわよ。何なら私が貴女のところに……」
「待て華琳。最初が女同士というのは愛紗も抵抗があろう。ここはわしの寝所に……」
そして愛紗は曹操兄妹のアプローチに別の意味で焦っていた。
「あ、あ、兄者! 今日は兄者の寝所で休ませてください!」
「……仕方あるまい」
関雲長。
特にシスコンでもない彼は成人した妹と共に眠るのには抵抗があったが、その妹の貞操の危機と思えばさすがに否とは言えなかった。
「……やはり雲長が邪魔ね」
「うむ。……夏候惇、雲長を討つのだ!」
「そこの色狂いども、止まれ」
夏候元譲。
目的を盛大に見失っている主二人に今日も胃を痛めている。
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「寄るべき地を失い、雲長と愛紗まで……」
何の因果か袁紹の下に居る劉玄徳。
ストーリーモードでさらっと省略されるほどあっさり曹操に敗北し、さらに義兄弟である関羽兄妹とも離ればなれとなり、絶賛凹み中であった。
「元気出してよお兄ちゃん。大丈夫だよ、雲長くんも愛紗ちゃんも強いししっかりしてるもん。そんなんじゃ二人に再会した時に笑われちゃうよ?」
一方妹の桃香は兄に比べて前向きだった。
普段自分を引っ張っている兄が沈んでいる故の空元気もあるが、こういうときは案外女性の方が強かったりする。
「しかし私は未だに何も成せていない。……私は一体何のために戦ってきたのだ……」
「『仁』……そのお志のためではないでしょうか」
「え……あなたたちは!?」
かけられた声に劉備兄妹が振り向けば、そこには白の兄妹が居た。
「……趙子龍。劉備様に仕えるべく参上いたしました」
「こんな私に……では趙星殿も?」
「はい。私も兄同様劉備様たちに槍を……」
子龍の言葉に目の輝きを取り戻す玄徳。続けて星も口上を述べるが、玄徳に余裕が戻ってくるのを見てとると、ニヤリと笑って言い放つ。
「……預けるついでに玄徳様の嫁になりにきましたぞ」
「ええ!?」
「星!?」
いきなりな発言に、桃香が驚き、子龍は妹の悪い癖が出たと焦る。
「なんと!? ……私のような者をそこまで思ってくれるとは……私は幸せ者だ!」
(良かった。玄徳様は星の冗談など流してくださった)
(あ、お兄ちゃん感動しすぎて星さんが何言ってるかちゃんと理解してない)
(なんと言うボケ殺し。……この場合私は本当に嫁になるべきなのだろうか?)
暴走する天然。
求むツッコミ役。
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「ほう、おまえたちが関羽兄妹か」
「あの呂布とすら渡り合ったと言うが、俺たち顔良、文醜兄妹四枚看板の前では……」
『――退けい!』
『グハァッ!?』
「に、兄さーん!?」
「兄貴たちが特に見せ場もなく一瞬で斬られたー!?」
圧倒的兵力差にものを言わせ、戦いを優位に進めていた袁紹軍だったが、援軍として現れた関羽兄妹に顔良、文醜(モブ)が呆気なく討ち取られ、徐々に雲行きが怪しくなっていく。
「ど、どうしよう斗詩。勝てる気がしない、というか何だあのムカつくくらいキューティクルな髭と髪、結んでみたい!」
「結ぶ前に斬られるよ!? とにかく兵で囲んで遠距離から投石や弓で……」
「――唸れ! 天空の刃よ!」
「何か横凪ぎ一閃で百人くらい吹っ飛んだ!?」
純粋な武では敵わないと判断し、数にものを言わせようとした斗詩だったが、雲長の謎の赤い横凪ぎで周囲の兵が冗談抜きで消し飛ぶ。
流石軍神。モブ武将なら防御無視で一撃必殺なその様はもはやギャグの領域である。
「……いや、イケる!」
「文ちゃん?」
しかし猪々子に諦めの色は無かった。
「兄貴たちは一撃だったけど、私たちなら一発は耐えられる!」
「返す刀で斬られる未来しか見えないよ!?」
「ダメで元々、一矢報いるぞ斗詩!」
「ああ文ちゃん!? ……もうどうにでもなれー!」
「むっ?」
破れかぶれに馬で突っ込む猪々子と、色々と諦めて付き合う斗詩。それに気付いた雲長が偃月刀を構える。
「――我が義を示す」
『はい?』
「――唸れ! 天空の刃よ!」
雲長から何やらオーラが立ち上ったと思ったら、次の瞬間再び放たれる謎の横凪ぎ(威力五割増し)
当然猪々子と斗詩では耐えられるはずがなく、仲良く馬ごと吹っ飛ばされるのだった。
「やっぱダメだったぜ☆」
「文ちゃんのバカー!?」