魔術師と機工魔術士   作:ガタガタ震えて立向う

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少女との出会い6

 機工魔術士とやらな少女と軽く自己紹介。すると驚いたことに、少女――木村まなも俺たちと同じ、高校を卒業した大学生活一年目だったらしい。

 

「大学って、機工魔術士御用達のところでもあるの?」

「いや、大学は普通のとこやで。機工魔術士は現代の技術とも相性がええし、知り合いはアメリカのなんとかゆう工科大学で勉強しよんな」

「……とことん魔術師とは逆をいってるわね。学問と技術の違い……だけではないわね」

 

 最初の警戒のわりには、遠坂も木村と普通に話している。まあ木村は無害そうなやつだし、裏を隠さなくて良いというのも大きいのかもしれない。

 それにしてもアメリカか。そんなところに留学できるということは、エンチャンターとやらの能力抜きの工学だけでも凄い人なんだろうな。少なくとも生活用品を直しているレベルの俺とは比べ物にならない。

 

「その削岩機? も貴女が作ったのかしら?」

「これは知り合いからの借りもんやで。ウチはまだ専門ゆう専門も決めてへんし、あんま大したもんは作れへんねん。今は勉強見てもらってる人に言われて、幅広く勉強だけしとんよ」

「なるほど。現代科学と融合してるから、魔術よりも本人の資質に影響される部分が少ないわけね」

 

 何やら納得し頷く遠坂だが、俺には今一ピンと来ない。

 魔術師である俺は「剣」の属性に特化していて剣以外の分野には手が出せないが、仮に機工魔術士となったら剣以外にも手が出せるということだろうか。

 もっともその場合は、モノ作りというものを一から学ばなければならないのだろうが。

 

「遠坂さんと衛宮さんはイギリスかぁ。ええなあ、留学て凄そうやなあ」

「そんな良いもんでも無いわよ? イギリス料理がマズイってのはさすがにオーバーだけど、それ以前に味覚が合わないのよね。それに日本人だってだけでつっかかってくる奴も居るし」

 

 ……ルヴィアか。

 ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。

 フィンランドの名門魔術師エーデルフェルトの当主。過去の因縁とかで日本人(特に遠坂)を嫌っているが、遠坂本人とのいがみ合いはどう見ても同属嫌悪だ。

 弟子としては遠坂の味方をすべきなんだろうけど、諸事情ありルヴィアを無下にできず、間に挟まれた俺は日々とばっちりをくらっている。

 

「うわっ、やっぱ差別とかあるん? イギリスゆうたら階級社会やもんな」

「生憎とつっかかってくるのはフィンランドのお嬢様よ」

「あれ、フィンランドは親日やて聞いたんやけど、やっぱ人それぞれなんやなぁ」

 

 話が弾む女子二人。そしてそれぞれの後ろで棒立ちな俺と悪魔――ネイヴィ。

  ……何だこの女子二人とは対称的な空気は。何か話した方がいいのか。でもカラスの悪魔と何を話せばいいんだ。

 

「けど二人ともここの事ろくに知らずに来たん? よく無事やったなぁ」

「私もまさか空間歪んでるとは思わなかったわよ。見た目はただの洞窟なのに、油断したわ。マナはここ詳しいの?」

「来るんは初めてやけど、経験者に話は聞いて来たで。ここは『アナラゼルラウンド』言うてな、名前通り輪っかになっとんねん」

「……輪っか?」

「輪っか」

 

 首を捻る遠坂に、両手で円を作りながら返す木村。

 

「輪っかの中……中心にはいくら進んでも行けないってことか?」

「うん。洞窟事態がどうなっとんかは知らんけど、空間が歪んどるせいでどこまで進んでもぐるぐる回るだけやねん」

「厄介ね。結界の類いなら正解のルートがあったりするんだけど、悪魔がそんな親切なことをするとは思えないし」

 

 俺の問いに指をぐるぐる回しながら言う木村。それを聞いた遠坂はどうしたものかと唸る。

 

「そこで叶お手製のコレの出番や!」

「あー、さっきの削岩機」

 

 何故か誇らしげに右手の小手を掲げる木村さん。それにどこか胡乱な視線を向ける遠坂さん。

 やはり遠坂的にもアレを削岩機とは認めたくないらしい。

 

「中心に行く道が無いなら、中心目掛けて道をぶち抜けば良い!」

「力技ねぇ。ま、そういうのも嫌いじゃないわ」

 

 ニヤリと笑いあい、小手を構える木村と指先を壁の向こうへ向ける遠坂。

 いかん。何かよく分からんが、本来会わないはずの二人が出会って妙な化学反応が起こっている気が。

 

「魔力反応を見る限り……こっちに大量の魔石が!」

「よっしゃ! 露払いは任せてドントンやりなさいマナ!」

「オッケーや凛! やったるでー!」

 

 いつの間にか名前で呼びあってる理系女子二人。遠坂が理系かどうかは大いに疑問が残るが、鉱石(宝石)やら空間(平行世界)の研究やってるから多分理系だろう。間違っても工学系ではないが。

 

「ファイア!」

「そこ!」

 

 火花を撒き散らし岩壁を粉砕する削岩機。

 偶然壁の向こうにいたトカゲみたいな悪魔を、ガンドで蜂の巣にする遠坂。

 わー、ガンドって悪魔にも効くんですね。……ってそうじゃなく!?

 

「どうだ、マナは凄いだろう」

 

 ハッハッハと笑い、何故か自慢気なネイヴィ。

 もうどうしたらいいのか分からない。




 風邪ひいたー。
 ……関西弁がよくわからんとです。
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