咲夜に連れられたさくら。しかも真夜中なので廊下は蝋燭の火の光でうっすらと明るくまるで某ネズミランドのお化け屋敷のようだった
「うっ・・・・」
真夜中の神社とは違う不気味さ。いつも夜の神社を歩くときは母親である霊夢がそばにいてくれたが、今夜はその霊夢はいない。
その不安さでさくらは少し震えていた
「さくらちゃん。どうしたの?」
その状況を見た咲夜はさくらに訊くと
「・・・・・怖い・・・・お姉さん。手…繋いでもいい?」
「………」
「お姉さん?」
「え、ええ、良いわよもちろん」
さくらの言葉に一瞬彼女は黙ってしまったが、すぐに言葉に出せないような笑顔を見せ、咲夜は彼の手をそっとつかんだ
「もうこれで怖くないわよ。さくらちゃん」
「うん…ありがとうお姉さん」
「///」
天使のような笑みでそういう咲夜にさくらは無邪気な笑顔でそういう、その笑顔に咲夜は顔を赤く染める。そしてしばらく二人は手をつなぎながら廊下を歩き、そして二人は大きな扉の前に着く
「さくらちゃん。ここで待ってて。お嬢様とお話しをするから」
「うん・・・・」
「大丈夫。すぐに戻るから・・・ね?」
咲夜はそう言うが桜の不安そうな顔を見て咲夜は安心させるように頭を優しくなでにっこりと笑うと、さくらは頷く
咲夜は内心ではさくらの手を放したくはなかったが・・・・・・
扉の向こうで
「咲夜。来たのね。客人を待たせるわけにはいかないわ。そのまま入りなさい」
と、幼い少女の声がした
「かしこまりましたお嬢様」
そう言い咲夜はさくらの手をつないだまま部屋に入る
「ご苦労様、咲夜。その子が…ね。それにしてもまぁ、手をつないで楽しそうね?」
部屋の中央にはさくらより二、三歳ぐらい年上の少女が立っていた。そして咲夜がさくらの手をつないでいる姿を見て、悪戯っぽい笑みでそう言う
咲夜はすぐに手を離し、主人である彼女の後ろへ着こうと思ったのだが、
「お姉さん…」
と子犬が捨てられそうな目で咲夜を見ながら繋いだ手を離さないとばかり体全体で抱きついてきた。その姿に咲夜はどうするべきか困っていると
「咲夜、そのままでいいわ、こんにちは可愛い小さなお客さん。私はレミリア、レミリア・スカーレットよ。あなたの名前は?」
「ぼ・・・僕は・・・・さくらです。初めましてレミリア・・・・さん」
さくらは丁寧にお辞儀をして自己紹介をする
「これはご丁寧にどうも。見た目の割に紳士的じゃない」
そう言うとレミリアはさくらの前に立ち、手を差し伸べる。
「握手をしてくれるかしら?」
「うん」
そう言いさくらはレミリアの手を握るとレミリアは満面の笑みで
「歓迎するわ。あと、私はこう見えて500歳の吸血鬼なの、よろしくね」
「吸血鬼?じゃあドラキュラさんなの?」
「う~ん・・・・ドラキュラ公とは遠い親戚になるのかな?まあ同種族よ」
とニコッと笑って言うレミリア。咲夜が桜がレミリアが吸血鬼だと知って怯えるんじゃないかと思ったのだが・・・・・・
「本物の吸血鬼!?すごーい!!」
ズコッ・・・・
予想とは全く違う反応に咲夜はもちろんレミリアも思わずずっこけてしまう。さくらは人見知りなところがある反面、好奇心がとても強い子で、霊夢にずっと質問攻めしたことがよくあった
「じゃあ、咲夜お姉さんも吸血鬼?」
「いえ、私は人間よ」
咲夜は苦笑してそう言うとさくらは
「あ、あの!質問してもいい?レミリアさん?」
「あら?なにかしら?」
「あ、あの!吸血鬼ってニンニクが嫌いってホント?」
「ええ、私はニンニクアレルギーなの。食べると喉が腫れるのよ。後、銀も駄目ねそれもアレルギーだわ」
銀アレルギーは本当だけどにんにくはただの好き嫌いでしょ?咲夜は聞こえないように小声でそういう。そして
「じゃあ、十字架も駄目なの?」
「ええ、悪魔は宗教上、嫌わなければいけないお決まりなのよ」
「じゃあ、心臓に杭を刺されたら死んじゃうってホント?」
「普通、心臓に杭を刺されて死なない生き物はいないでしょ?もしいたら、この私が見てみたいわ」
と呆れた口調でいるレミリアだが、すぐにフフッと笑い
「あなたは面白い子ね。気に行ったわ。今夜はゆっくりしなさい・・・・」
「うん。ありがとうレミリアさん」
「(かわいい子・・・・・・///)
「(お嬢様…分かります…分かります。あの可愛さは///)」
さくらの無邪気な笑顔に二人は顔を赤くし照れる
「さて・・・・今夜はゆっくりなさいさくら」
「うん…でも明日は・・・」
「明日?」
「お嬢様。実は・・・・・」
咲夜はレミリアに先ほど部屋でさくらと話した内容をレミリアに話した
「なるほど・・・・・確かにあなたのお母さんに何も話さずにつれてきたのはまずいわね・・・・・でも明日帰られると私も困るのよ」
「・・・え?」
「実はね。私があなたを連れてきたのはあなたの力がどうしても必要なのよ」
「僕の力が?」
「そう。あなたにしかできないことなのよ」
レミリアがそう言うとさくらはしばらく黙って考えていた。そして
「うん!わかった!僕にできることなら手伝う」
「え?さくらちゃんいいの?お母さんのところに帰りたくないの?」
咲夜が少し驚いて訊くと
「うん。お母さんに会いたいけど・・・お母さんいつも言ってたよ『困っている人がいたら、妖怪でも人間でも助けなさい』ってレミリアちゃんが困ってるなら僕、ここに残る」
「そう…いい母親ね・・・・ではこうしましょう。明日、彼方の家に使者を送ってあなたを借りたいって言うわ。なんならあなたのお母さんをここに連れて来て、住んでもらっても構わないわ」
「ほんと?」
「ええ。構わないわ。」
さくらの言葉にレミリアは妖艶な笑みを見せた後
「さて・・・あなたよく見たところ泥だらけね。これはいけないわ。咲夜、直ぐお風呂の準備をなさい」
「既に完了しておりますわ」
「…そう、じゃあお願いね」
「かしこまりました。さくらちゃん、こっちへ」
「うん。レミリアさん・・・・またね」
そう言いさくらは咲夜に連れられて、部屋を出るのであった。
そして二人が部屋を出た後、一人部屋に残されたレミリアは・・・・
「何あれ!?超可愛いんだけど!!」
少しは鼻血を出してそう叫ぶレミリア
「(何あの子、めちゃくちゃ可愛いわ!あんな笑顔向けられたら誘拐した罪悪感に押しつぶされそうじゃない!!何あの子は天使なの!天界から遣わされた天使なの!?ああ、吸血鬼であり悪魔である私がここまで心がきゅんとするなんて!!!)」
先ほどからレミリアはさくらの態度に心が熱くなる感覚に襲われていたのだ。
「(それにしてもあの咲夜まであんなにやけた顔をするなんてね・・・しかも手を繋いじゃって。そういえばさくらは男の子のはずよね?全然そうは見えないけれど。咲夜はずっと『さくらちゃん』って呼んでたけど女の子と勘違いしてるのかしら?でも行く前にちゃんと伝えたし…まあ、いいか・・・はぁ。とにかく計画を始める前に彼の家族に使者を送んないとね。ここまま誘拐犯と呼ばれるのもなんだか目覚めが悪いし、住所は・・・・後であの子に訊けばいいか)」
そう自分の考えに結論をつけ納得するレミリア。そしてレミリアは空に輝く赤く染まる月を見て
「私の見た運命・・・・彼こそがあの子を・・・・フランを救ってくれる鍵になってくれるわ。その時までもう少しだけ我慢して頂戴ね」
レミリアは一人そう呟くのであった
ヒロインは誰が良い?
-
フランドール・スカーレット
-
十六夜咲夜
-
霧雨魔理沙
-
博麗霊夢
-
幻想郷全員