███:長谷川千雨は最後の竜の血脈である。   作:庭師代行

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第25話【ドラゴンの骨の弓】

 途中でいくつかの質問を挟みながらミーティングを終えた千雨と龍宮はタカミチに指定された場所へと向かっていた。

 

 麻帆良学園都市は埼玉県麻帆良市の大部分を占めている世界有数の学術都市である。

 中央部に浮かんでいる島に図書館がある日本で18番目に大きい湖(麻帆良湖)と、小学生から大学生まで合わせると10万人もの数の学生が在籍している点が大きな特徴だろう。

 

 学園結界は麻帆良学園都市一帯を取り囲んでいるが、全ての場所を同様に監視しているわけではない。

 住宅地や人の往来が多い場所は悪意を持つ者の探知を重点的に(おこな)い、人気(ひとけ)の少ない麻帆良湖周辺や山の中、郊外は一定以上の魔力を持った存在の探知を優先している。

 

 作戦中の連絡手段として念話の距離の延長と妨害されにくくする効果と、一定範囲内の侵入者探知用の結界を越えた者が現れたら通知する効果を付与した魔法具が貸与されている。

 貸与された魔法具のテストを兼ねて念話で話しながら、千雨と龍宮はゆっくりとした足取りで郊外へと続く道を進んでいる。

 

『龍宮はギターケースに銃を入れて持ち運んでんのか。銃刀法とかは平気なのかよ』

『実はエアガンなんだ』

『……冗談だろ?』

『半分は冗談だが、半分は本当だ。私が使っている銃には思考誘導の魔法がかけられていてね。一般人はモデルガンやエアガンだと思うようになっている。

 もちろん正規の手段で国内に持ち込んでいるし、国際条約があるから警察に銃を所持しているのがバレても……最悪オコジョ刑で済む』

 

 表の世界と裏の世界の住人は互いに境界線を引いて住み分けているため最低限の干渉しかしていない。

 しかし旧世界(ムンドゥス・ウェトゥス)で世界大戦が勃発した際に、魔法使いが国に徴兵(ちょうへい)されて魔術的、呪術的な攻撃や儀式を行った過去があるため、50年ほど前に各国の首脳陣は密かに国際条約を結んでいた。

 

 マギステル・マギが表向きにはNGO団体として活動できているのも、この国際条約で許可されているからだ。

 当然だが各国では裏の関係者向けの法律が施行(しこう)されており、ウィーン条約(外交特権)のような例外的な措置が許されているわけではない。

 

 表向きには魔法使いの存在は知られていないが、知られていないだけで魔法使いたちの存在も現代社会の一部となっているのだ。

 一方で魔法世界(ムンドゥス・マギクス)は価値観や時代背景が地球と大きく異なるため、旧世界(ムンドゥス・ウェトゥス)と比べると法律の縛りが緩い部分もある。

 

『オコジョ刑でも十分に致命傷だと思うんだが』

『私たちは法の支配を受けていないように見えるかもしれないが、裏の世界にもルールはあるんだよ』

 

 右手で持っているギター用のハードケースに視線を落とした龍宮は、遠い目をしながら思いを()せていた。

 ほんの僅かな時間で普段の調子を取り戻すと、龍宮は手荷物を一切持っていない制服姿の千雨に質問を投げかけた。

 

『ところで長谷川は手ぶらだが、魔法か格闘術で戦うつもりか?』

『魔法もそれなりに覚えてるが、武器を使って戦うほうが得意だぜ。近接と遠隔、どっちもいけるが監視範囲が広そうだし飛び道具のほうが良さそうだな』

 

 周囲を見渡して誰からも見られていないことを確認した千雨は、おもむろにインベントリから巨大な生物(ドラゴン)の骨を削り出して作った長弓──【ドラゴンボーンボウ(ドラゴンの骨の弓)】を取り出した。

 前触れもなく手品のように武器を取り出した千雨に驚いた龍宮は目を(しばたた)かせていたが、すぐさま落ち着きを取り戻して冷静な口調で問いかけた。

 

『弓使いとは珍しいな。私も化合弓(コンパウンドボウ)なら触れたことがあるが、照準器(サイト)安定器(スタビライザー)を付けていない洋弓(ベアボウ)を扱う傭兵は初めて見る』

『一応クロスボウも持ってきてるが、普段使いは弓のほうが気に入っててな。射程や弾速はともかく、威力はそこらへんの銃に負けるつもりはないぜ?』

『ほう、それは期待できそうだ』

 

 千雨は今回、長射程と引き換えに重量が20キロもあるため取り回しが悪いドラゴンボーンボウ(ドラゴンの骨の弓)と、若干(じゃっかん)射程が下がるが軽量の取り回しがよい木製の長弓(ロングボウ)を持ってきていた。

 

 吸血鬼ハンターの集団(ドーンガード)に所属しているドワーフ技術の研究者(ソリーヌ・シュラルド)が製法を復元した【強化型ドワーフのクロスボウ】を使うこともあるが、人間相手では威力が過剰すぎるため普段はインベントリの肥やしになっている。

 

 その後も、お互いの戦闘スタイルを確認しながら周辺の地形を確認した千雨と龍宮は、監視に適した位置に着くと他愛のない雑談をしながら停電が始まるまでの時間を潰したのだった。

 

 

 

 午後8時、千雨と龍宮は虫や鳥の鳴き声に耳を傾けながら森林の中で計画停電の時間を迎えた。

 

 千雨は学園結界の外縁部から50メートルほど離れた位置で息を潜めて探知魔法とオーラウィスパーで周囲を探っている。

 生命探知の魔法は通常だと半径200フィート(約60メートル)ほどの範囲しか探知できないが、千里眼の魔法と組み合わせて上空から見下ろすことで探知範囲を20倍まで伸ばせられる。

 

 オーラウィスパーのシャウトを使えば通常で半径500フィート(約150メートル)、千里眼の魔法を組み合わせれば半径1万フィート(約3キロメートル)もの範囲を監視できるが、敵味方の判別がつかないため生命探知を併用しているのだ。

 

『私は夜目(よめ)が利くほうだが、龍宮は大丈夫か?』

『視界は問題ないが、長谷川の服装が闇に溶け込みすぎていて姿が見えにくいな』

『隠密用の特殊な服だからな。気配を隠したら、もっと見えなくなるぜ』

 

 造られし真夜中としか形容できない体のラインに合わせて(あつら)えたような軽装鎧──【ナイチンゲール装備】に身を包んだ千雨は、フード付きのマントとマスクで目元以外を隠した姿で大きな木の幹に背中を預けて立っている。

 

 千雨はインベントリ内にある隠密用の付呪(エンチャント)を施したドラゴンスケールの鎧を使うつもりはなかった。

 

 デイドラの鎧と同じく、ドラゴンスケールの鎧は非常時の切り札として用意していた装備である。

 タムリエルと地球、双方の常識から考えても過剰な効果の装備を不用意に使っていたら悪目立ちするという千雨の考えには、近右衛門とエヴァンジェリンも同意している。

 

 消費魔力をゼロにする付呪(エンチャント)は見かけでは分からないため引き続き使う予定だが、武器と防具は程々の物を使うことにした。

 とはいえ切羽詰まる状況になったら、千雨は迷うことなくインベントリからとっておきの武器防具(ガチ装備)を取り出して全力で戦うだろう。

 

 ナイチンゲール装備も耐久性や強度(防御力)はともかく、符呪(エンチャント)されている魔法は常識の範囲内に収まっている。

 防具としての強化こそ千雨の手で行っているが、元々は盗賊ギルド幹部の隠れ家(ナイチンゲールの間)に安置されていたアーティファクトなので付与されている魔法まではいじれないのだ。

 

 何かの役に立つかも知れないと思って持ち込んでいた物品のひとつで、強すぎず弱すぎない丁度いい案配(あんばい)の戦闘用の装備としてインベントリから引っ張り出してきた。

 

 黒いレオタードのような服とベージュ色の皮製のオーバーズボン(カウボーイチャップス)とロングコートに着替えている龍宮も目立つ服装ではある。

 しかし龍宮は千雨のことを傭兵や暗殺者のような金銭で雇われて戦う職業に就いていると考えているので指摘しなかったが、事情を知らない者が見たら千雨のほうが侵入者だと思いそうな格好だった。

 

 

 


 

 

 

 午後8時半過ぎ、月明かりで照らされた森林を駆け抜ける一人の男の姿があった。

 フード付きの暗緑色のローブを(まと)っているため一見すると西洋魔術師のように見えるが、その手に握られた数枚の呪符が彼の扱う術法(じゅつほう)を物語っている。

 

 迷いなく獣道すら存在しない森林を一直線に突き進んでいる陰陽術師(おんみょうじゅつし)の男は、足を止めると眼前に広がる学園結界に鋭い視線を向けた。

 鍛え上げた霊感で学園結界の存在を感じ取った陰陽術師は少しだけ迷う素振りを見せたが、意を決して呪符を握りしめる手に力を込めながら結界を踏み越えた。

 

 陰陽術士は『気』で強化した脚力で森林を駆け抜けて先を急ごうとしたが、彼は既にボーダーラインを越えてしまっていた。

 

「クソッ! もう西洋魔術師にバレたのか!?」

 

 乾いた音と共に飛来した一発の銃弾が腕に当たった陰陽術師は、悪態をつきながらも咄嗟(とっさ)に木の陰に隠れて狙撃手の射線から身を隠した。

 ()()()ローブの内側に隠し持っていた身代わりの呪符を1枚消費しただけで手傷を負うことはなかったが、ここで戦闘能力を失って降参していたほうが彼は幸せだっただろう。

 

亜音速(サブソニック)弾では魔法障壁を抜けなかったか。悪いがポジションを変える間、時間を稼いでくれ』

『探知の反応からして単独犯っぽいけど、隠れてる奴がいるかもしれねーしな。ひとまず牽制(けんせい)しとくぜ』

 

 陰陽術師の侵入位置から500メートルほど離れた場所にある送電塔の先端付近から狙撃していた龍宮が千雨に念話を送る。

 

 龍宮は減音のために火薬の量を減らしている亜音速(サブソニック)弾と消音用の魔法具を併用(へいよう)して、一般人に銃声を聞かれないようにしていた。

 

 森林地帯とはいえ、今戦っている場所はそれほど山深くはない。

 数百メートル離れれば民家がまばらに建っているので、隠蔽のために気を配っていたのが仇となった。

 

 狙撃に使用した樹脂製のストックが特徴的な黒いドイツ製の狙撃銃(H&K PSG1)を肩に担いで送電塔から飛び降りた龍宮の姿を千里眼の魔法で確認した千雨は、手に込めていた魔法を解除すると陰陽術師を足止めするために背中に背負っていた弓を左手で握った。

 

 軽く弦をひいて調子を確かめた千雨は、右手を後ろに回して腰の辺りに横向きで固定している矢筒から鋼鉄の矢を引き抜く。

 夜の暗闇に気配を同化させたまま陰陽術師の様子を(うかが)っていた千雨は、弓に矢を(つが)えて引き絞ると少しだけ狙いを(そら)して右手を離した。

 

「ひいっ!?」

 

 木々の間を通して飛来した矢は陰陽術師ではなく、彼が身を隠していた木に深々と突き刺さった。

 成人男性が十分に隠れられる太さの木に当たった矢は威力を削がれたが、(やじり)が木の幹を貫通して陰陽術師の額に直撃した。

 

 当たった衝撃で尻餅をついた陰陽術師は身代わりの呪符で怪我こそしていないが、対物ライフル並みの威力の弓矢による攻撃に恐れおののいている。

 恐怖のあまり正常な判断を失った陰陽術師は、作戦を前倒しにして大量の魔力が込められた呪符を袖からばら撒きながら東洋魔術の詠唱を始めた。

 

唵、(オン・)枳里枳里、(キリキリ・)婆娑羅、(ヴァジャラ・)吽、(ウーン・)泮吒(ハッタ)ッ!」

 

 サンスクリット語の真言(しんごん)によって魔力が開放された呪符が起点となり、異界から人ならぬ怪異が呼び出される。

 地面から湧き出るように現れた総勢50体の妖怪変化の中でも一際(ひときわ)強大な力を宿している四本腕の大鬼と、大剣を持っている烏族(鴉天狗)が口を開いた。

 

「何や、もうワシらの出番かいな」

(それがし)たちが聞かされていた作戦と場所が異なるようだが」

「つ、つべこべ言ってないで、俺を守りながら西洋魔術師を見つけ出して始末しろ!」

「そないなこと言われても、手下どもに虱潰(しらみつぶ)しに探させるしかないんやけどなあ」

「この状態では(ろく)な妖術も扱えない故、(いた)し方あるまい。(それがし)神通力(じんつうりき)を使えれば手っ取り早いのだがな」

 

 本来は麻帆良学園の中心部まで侵入した陰陽術師が呪符を使って妖怪を召喚して陽動する作戦だったのだが、隠蔽用の呪符を使用していたにも(かか)わらず早々に発見されたため計画が頓挫(とんざ)した。

 

 陰陽術師の()()()()()は可もなく不可もなしといったところだが、認識を歪める呪符は得手としていた。

 しかし千雨の探知を()い潜るほどの腕前ではない。そもそも本来の彼は、これほどまでに大規模な召喚が可能な呪符など作れないのだ。

 

 ()()()()()()召喚符を全て使い切ってしまったので計画の遂行は不可能だが、陰陽術師は呼び出した妖怪を囮にして逃げおおせるつもりでいる。

 しかしながら、この程度の障害でターゲットを取り逃がすほど千雨と龍宮は甘くはない。二人の射程圏内にいる時点で、彼の命運は決まっていた。

 

「コソコソと隠れおってからに、面倒な相手やなあ」

「どうせ大したことない奴なんでっしゃ──ガアッ!?」

「何ィ!? どこや、どこから矢を撃ってきたんや!」

 

 四本腕の大鬼の配下である長槍を持った鬼と棍棒を持った鬼が周囲を見渡しながら周囲を警戒していると、意識の外から飛んできた矢が鬼の片割れの頭を貫通した。

 妖怪の体は人間と比べると頑強だが、脳天を貫かれても生存できるほど(ことわり)から外れた存在ではない。

 

 異界から呼び出された妖怪たちは本体ではなく、召喚時に消費した魔力を使って生み出された分身のようなものである。

 致命傷を負った場合は意識だけ本体に戻って、分身は煙のように消えてしまう。

 

 慌てた様子で残された鬼は矢が飛んできた方向に視線を向けるも、暗闇が広がるばかりで射手の姿はどこにもなかった。

 そうしている間に距離を詰めて、狙撃銃に装填している対人用の麻酔弾を妖怪用の退魔弾に入れ替えた龍宮が片割れの鬼の額を銃弾で貫いた。

 

 永い時を生きている妖怪といえども、一切の姿を見せずに攻撃し続ける相手と戦った経験は無きに等しい。

 銃と弓の狙撃で瞬く間に数を減らしていく鎧兜を被った下級の鬼たちは、産まれて初めての状況に恐怖を感じていた。

 

「オヤビン! どうしたらいいだ!?」

「むう、このやり口は甲賀(こうか)伊賀(いが)の忍びとも違うが、正面切って戦うのは不利やな。

 人間の真似事はシャクだが……方円(ほうえん)の陣を取れ! 後退しつつ射手と狙撃手を(いぶ)り出せッ!」

 

 慌てた様子で問いかけてきた一つ目の大鬼に対して、四本腕の大鬼は召喚者を中心にした円形の陣を組んで死角を減らす命令を(くだ)した。

 

 召喚者である陰陽術師が自分たちを囮にして逃げようとしているのは四本腕の大鬼も理解している。

 青ざめた顔で震えている召喚者に物申したい気持ちもあるが、正規の手段で呼び出されている四本腕の大鬼は命令に従うしかなかった。

 

『次は一つ目の鬼を狙うか。龍宮の位置からも見えてるか?』

『こちらも射線は通っているが、まかり間違っても術者をその弓で撃ち抜くんじゃないぞ』

『私だって好き好んで人間をミンチにするつもりはねーよ。

 それに侵入者を見つけたら生きたまま捕縛しろって高畑先生から言われてるしな』

 

 ドラゴンの骨やデイドラの金属で作った(やじり)を付けた矢のほうが威力は高いが、この世界に存在しない材質の矢を紛失したら問題になりそうなので千雨は鋼鉄の矢を使っている。

 もし鋼鉄の矢ではなく、もっと威力の高い矢を千雨が使っていたら陰陽術師は身代わりの護符ごと頭を吹き飛ばされて死んでいただろう。

 

 軽く『気』を込めて矢を放っただけでこうなるとは思っていなかった千雨は内心では安堵していた。

 

『そうだな、人命は大切だ。それに報酬に響いたら困る』

『本音が漏れてんぞ』

 

 台無しな発言をしつつ丁寧に一つ目の大鬼の目を狙撃していく龍宮に呆れながらも、千雨は無表情のまま弓を引き絞って妖怪の頭を射抜く作業を始めたのだった。




どっちが悪役か分からない用語解説

麻帆良学園都市(まほらがくえんとし)
30平方キロメートルもの面積がある麻帆良湖と、270メートルもの樹高がある世界樹が特徴的な世界有数の学術都市。
学生の総数は10万人前後、総人口は50万人前後とされている。
総人口のおよそ1%ほどが魔法関係者だが、最低限の戦闘能力がある魔法関係者は500人程度しかいない。
魔法世界(ムンドゥス・マギクス)と比べると非常に人数が少なく見えるが、魔法文化が秘匿されている旧世界(ムンドゥス・ウェントゥス)では世界有数の魔法使いの都市である。

【ドラゴンの(ほね)(ゆみ)
麻痺攻撃と同じく日本語訳で表記すると微妙なので、作中ではカタカナで『ドラゴンボーンボウ』と表記している。
竜の血脈を意味する『Dragonborn』とカタカナ表記が同じなのでややこしいが、こちらは竜の骨を意味する『Dragonbone』である。

非常に重い(重量20)ので交戦距離によるが、ゲーム内で使うならガチガチに強化したロングボウや狩猟弓、ゼフィール、アーリエルの弓などのほうが使い勝手はいい。
ゲーム内では弓の種類に応じて矢を(つが)える速さと弾速、有効射程が変わる。
ドラゴンの骨の弓はゲーム内で最高の攻撃力と弾速、有効射程を有するが、矢を(つが)える速度は一番遅い。
百発百中なら強いが狙いを外したらDPS(秒間火力)が一気に下がるので、エイム力に自信がない定命の者は上記の弓をオススメするぞ。


【ナイチンゲール装備(そうび)
ノクターナルの聖域(黄昏の墓所)を守護する任務を与えられた者が着る装備。
千雨はナイチンゲールをやめたつもりになっているが、ノクターナルと交わした死後を彼女の領域(エバーグローム)の守護者として捧げる誓約は現在も有効である。
魂の多重債務者になってるが、どうやって収拾をつけるつもりなんだろうな。

ちなみにナイチンゲールとは夜に鳴くウグイスの一種であるサヨナキドリのことを指している。
クリミアの天使(フローレンス・ナイチンゲール)やシャアが逆シャアの小説版(ベルトーチカ・チルドレン)で乗ってた赤いMSとは無関係だからな。


【オン・キリキリ・ヴァジャラ・ウーン・ハッタ】
奉献供養(ほうけんくよう)真言(しんごん)と呼ばれ、仏菩薩(ほとけぼさつ)鬼神(きしん)などの尊格に捧げられるお供え物を浄化する呪文。
今回は呪符にあらかじめ込められていた多量の魔力を捧げて召喚された。
本来はサンスクリット語で表記するのが正しいが、漢字表記だと『唵、(オン・)枳里枳里、(キリキリ・)婆娑羅、(ヴァジャラ・)吽、(ウーン・)泮吒(ハッタ)』となる。


龍宮真名(たつみやまな)
年齢不詳、経歴不詳の少女。金銭に固執する理由は誰にも教えていない。
学園の上層部しか把握していないが、人間と異種族のハーフである。
戦場を離れて1年A組に所属している理由は彼女の特殊な出自と、ある人物の依頼が絡んでいる。
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