「キングダム~烈人伝~」最速将軍RTA   作:螺鈿

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 さて、そろそろ定期出兵の期限が近づいてきました。準備は出来ているので後は蒙家からの軍師派遣待ちです。お、来たようですね。それでは軍師ガチャ御開帳の時間です。

 

「蒙家から参りました”骨冷(ボーン・コールド)”と申します。こちらは”黒影(ブラックシャドー)”どうぞこれよりよろしくお願いいたします、玲守殿」

 

【こちらこそお待ちしておりました。これからよろしくお願いします骨冷殿】

 

 Ⅱ世と初代が混じってるじゃないか!(3Dクラッシュ)

 これは固有キャラの二人組。通称ナチュラルボーンズですね。初期状態だとステはとても高いとは言えませんが、成長ポテンシャルはかなり高いです。まぁこのRTAでは関係ないんですが、完走までに実用に耐えうる能力はあります。それよりもこのキャラの特徴としては二人セットということです。主人と召使という関係ですが、なぜか同じくらいの能力値。どちらも軍師として使える程度の力はあるので個人的にはハズレではありませんね。

 趙侵攻の際はあのノンケ共はどうしてくれようかと思いましたが、まぁこいつ等を送ってくれたので許してあげましょう。ホモは過去を引きずらない、心とアソコ(器)がとても大きい、はっきりわかんだね(圧倒的感謝)

 

「……」

 

「あぁ、すみません。黒影は声を出すのが苦手で……ですがこの子は私が得た知識を全て教えてあります! ですからどうか彼女も共にッ!!」

 

【はい、よろしくお願いします黒影さん。天も貴方達二人を軍師にするよう仰っています】

 

「ほ、本当ですか!? やった、やったねコクちゃん!」

 

「ン!」

 

 あの骨はブラックシャドーをムスッコに作ってあげたらよかったと思います。少年少女とアンドロイドの交流……いいですよね。僕のおすすめは、やっぱり王道を行くT2ですかね……

 

「あぁ、私たちのことはどうか骨冷と黒影と。所属は未だ蒙家の食客とはいえ、この部隊の長は貴方ですから」

 

【分かりました。私も至らないことばかりですが、どうかこの部隊をお支え下さい】

 

「はい!」

 

 ステにはありませんが、彼女らは多分派遣会社昌平君ではなく蒙家からの派遣ですね。蒙恬や蒙毅がこれからの人材育成として昌平君を見習って独自に育てたって感じの筈。あんまり冷遇すると蒙家に帰るので扱いには気を付けましょう。

 このゲームのキャラたちは完全ランダムでそれぞれの人生を送っているので、フリーの人材は誰がどこの派閥にいるのかわかんないんですよね。ただ出自ははっきりしてるので、ある程度は読めます。欲しいキャラがいたらWiki見るといいです(投槍)

 

「あぁ、軍師殿が来たんだ。オレは副長の粋面。あの蒙恬の教え子なら信頼できるな。どうぞよろしく!」

 

「ム、ムヒョヒョ!? ここの副長滅茶苦茶格好良いわいな! コ、コクエイ! どうしよう~……」

 

「ン!」

 

【黒影ちゃん? あぁ、隊の規模ですか? えっと、2千人将ですけど領地兵は600位です。新兵が半分くらいで、将来的には騎兵500を作る準備は出来てますよ】

 

「君みたいな可愛い子が来てくれて嬉しいよ。きっと皆も喜ぶと思うよ。最初は不安だと思うけど困ったことがあったらなんでも言ってね?」

 

「あ、ありがとうございます。……あぁ、私間者の役目もあるのにどうしよう。これからこの人に見抜かれて、脅されて手籠めにされて…滅茶苦茶にされちゃうんだわいな……」

 

「ン!」

 

【戦術? 突撃の他に……騎兵突撃がありますね】

 

 あーもうめちゃくちゃだよ(投槍)

 ……ま、いい感じに自己紹介出来たみたいですね(すっとぼけ)。見てないところでAIは勝手に動くので、固有キャラは独自の関係性を築いたりします。余計なイベが多発する要因にもなるので能力があっても固有キャラを増やすのはRTA的にあまりお勧めはしません。やっぱイケメンはいらなかったな(ペッ)

 まま、それは置いといて……んじゃ、行こうか(HM特有の急な接近)

 

「え?」

 

 定期出兵や。ボーンコールドは軍師、ブラックシャドーはレズちゃんの参謀な。

 

「えぇ……」

 

 

 

 

 やってきたのは魏の国境。地形は森。規模は小、目的は拠点になり得る地点の奪取。軍の長は2千人将のレズちゃんですね。今回レズちゃん隊は新兵と騎兵を連れてきています。ドラ組3人率いる精鋭歩兵たちは置いてきました。彼らはそのまま地元で警邏などの治安維持と地獄のブートキャンプを継続させましょう。

 

「も、もう初陣なんて……胸が飛び出るだわさ。飛び出す程胸ないけど」

 

「……ン」

 

 この二人に関してですがどちらも軍師にしてもいいんですが、現場職のサポートとしての参謀と全体を指揮する軍師に分けるのがお勧めです。この二人には『以心伝心』というスキルがあり、非常に高い連携が行えます。なので分けて使ってあげましょう。

 ちなみにボーンコールドは『飛剣』、ブラックシャドーは『怪力』のスキル持ちと地味に戦闘力があるので、過保護に守ってあげる必要はないです。まぁステの生存力に1長があるブラックシャドーをお供にするのがセオリーですが。

 

「玲守2千人将、始めてくれないか?」

「準備は出来ている。あとは戦略次第だ」

 

【それでは軍議を始めます】

 

 軍議の始まりです。軍議パートですが、今回はレズちゃんがトップで選択の権限があります。ここまで来たのだと思うと感慨深いですね。

 

「さて、どの程度のものか」

「お手並み拝見といこうか」

 

 今回レズちゃん隊は500人も連れてきていないので、その他はそこいらの100人将や300人将がランダムで集まって出来ています。殆どが大したことありませんが稀にいいのもいるので運よくいたらいつも通りスカウトしましょう。特に軍師や参謀などの職は幾らでもいていいです。イケメンなどの下につければ別動隊としての力も上がります。いい知将型の人材がいたら是非雇いましょうね。本能型? ……知らない子ですね(すっとぼけ)

 

「ン!」

 

【はい。えーっと、目的地周辺の敵ですが、地形により兵が展開できる箇所は限られています。最も大きな場所には本隊を。伏兵が出来る場所も怠らず襲撃しましょう】

 

 軍師や参謀、副長からの献策でいい感じのをそのまま提案しましょう。レズちゃん? 出てきたのが全軍突撃なあたりで見る価値もないね。ところで偶にある寡黙や引っ込み思案が軍師ってどうなんですかね? まぁシステム的には何の問題もないしHM的にはどうでもいいんですが。

 

「異論はない」

「了解した。伏兵の地点に目星はついておられるか」

 

 ここで余り下手な策を出すと今回下につく将たちから信頼を失います。指示を無視することもあるので気を付けましょう。

 伏兵襲撃地点ですが、残念ですが今のナチュラルボーンズでは余り予測は出来ませんね。まぁ地形も悪いです、『山読み』なんかのスキルがないと山中ではデバフがかかりますしね。

 

【大よそは……本隊に合わせて展開する形をとっていきましょう】

 

「むぅ」

「仕方ないか」

 

 ここでバシッと決めると信頼が駄々上がりするんですが仕方ありませんね。じゃ、後は隊の配分ですが……

 

「待て。それならば分かっている」

 

 なんだコイツ(驚愕)

 「俺も仲間に入れてくれよぉ~」と入ってきたのは時計仕掛けの王賁です。乱入してくるとはとんでもねぇ奴だな(納得)

 

「玉鳳隊 300人将 王賁だ。この辺りの地形を見て回っていた。伏兵の場所は分かっている」

 

 独立遊軍による助っ人です。これからは玉鳳を始めとする独立遊軍が参戦することはままあります。たまげることではないですね(たまげた)

 

「玉鳳隊! 噂に聞いたあの部隊か」

「これは頼りになるぞ」

 

「……王賁か」

 

 なんか王賁とイケメンの目が一瞬合いましたね。コイツホモか?(確信) 

 それはそれとして助っ人効果で伏兵の場所が次々と地形図に示されていきます。ありがとナス!

 

「我らは指揮系統からは外れているが進言したい。本隊を進め、我らはこの地点の伏兵を抜いて敵本陣を横から強襲する」

 

【えっと……】

 

「待つだわさ! ……隊長、それはこちらの騎馬隊でも行えます。最大の手柄を上げるためにもここは譲らない方がよろしいかと」

 

 軍師と王賁の献策が競合しましたね。王賁は軍師も出来る助っ人として有能ですが、基本的に自分が最も手柄を上げられる配置を希望します。ただそこは厳しい場所でもありますし、別に譲ってもいいんですよね。というかドラ組たちを置いてきた理由として、今回は騎馬隊と新兵の実地訓練が目的です。手柄は目的ではなく、とにかくレズちゃん隊を生き残らせつつ練度を上げるのを目的としましょう。

 

「グ、グゲゲェッ……。まぁ、今の隊がそれを求めているなら叶えるのが上策わいな」

 

「……フン」

 

 さて、これで軍議は終わりです。こんな小さな戦はパパパッと終わらせましょう。

 

 

 

 

「今だわいな! 騎馬隊右方から旋回! 歩兵と連携するだわさ!!」

 

 戦ですが特筆することがありませんねー。新規加入の軍師も能力相応に活躍してくれています。これで軍師と隊の信頼度も稼げるし、いい感じですね。

 

「ン!」

 

【こっち? 今いきますよー……えいッ!】

 

 レズちゃんの新・狼牙棒が良い感じに唸ってますねー。レズちゃんはあんまり前に出ずにひたすら自部隊の危ない所を助ける形をとりましょう。事前に示しておけば参謀が意向に沿って指示を出してくれます。いやーこれでやっとレズちゃんの頭を補う形が整いましたね。あ、鉄鞭の強化ですが今はまだお金が足りないので無理です。2号店が上手くフィーバーしてくれたら山陽戦に間に合うかもですねー。

 

 あ、玉鳳が横を抜けて奇襲かけました。はい、これで終わりです。リザルトは……第1功は玉鳳、続いて知らんオッサン、その次もオッサン。オッサンばっかじゃないか!(興奮)

 まぁこんな感じですが部隊への経験値はしっかり貰ったので目的は達成です。それと今回の戦で一部の他部隊がそのままついてきてくれました。高魅力値あるあるです。ついでに兵も増やせてうま味ですね。うーん、全体的にいい感じですね。まぁこれからはこんな感じで山陽まで倍速していきます。

 

 んあ゛?(濁音) あぁ、戦後にパッパ大好き賁ちゃまのイベントが発生しました。まぁ強制イベなので特筆することはないです。原作組の顔見せ程度です。強いて言うなら相手は名門王家の跡取りというクッソエリートなのでちゃんと立ててあげましょうねーってところです。ハイ、パパパっと飛ばして終わり。それじゃあここらへんでバイバイキン!

 

 

 

 

 

 

 

 

「……凄いわいな。隊長の桁外れの腕力もそうだけど、この隊は新入りのわちきの指示にきっちり従ってくれる。これは指揮系統がしっかり行き届いている証拠だわさ。……というより、皆があの隊長に絶対的に従っているって感じかな。なんか変だけど、これが普通の軍なのわいな?」

 

 初めての戦場……いきなりの戦場は驚くほど上手く運び、終わりを迎えた。私と黒影の連携が上手くいったこともあるが、それ以上にこの隊と玉鳳という精強な部隊が揃っていたことが大きいだろう。

 

「まさか。こんなに整然とした隊は他にないよ。玲守が認めたから皆君の指示に従ったのさ。まぁ、この戦で君も皆に認められただろうけどね」

 

「ムヒョッ!? 粋面様!」

 

「なんでオレだけ様? まぁいいや。戦後処理があるから戻ろうか、骨冷ちゃん」

 

 このとてつもなく顔が良く、性格も男前な副官を始め、この部隊は粒が揃っている。自分たち軍師次第でこれから幾らでも強くなれるなれるだろう。ここの隊長の望み通り将軍に届くかもしれない。そう考えると自分たちはとても運が良い。自分と黒影を受け入れてくれる部隊であることに加え、軍師としてこれ以上ない経験を積めるのだから。

 

「わたっ! す、すみません」

 

「おい、ちゃんと前は見ろよ」

 

 考え事をしてたので前の部隊にぶつかってしまった。そこにあったのは鳳の文字。この戦の英雄の玉鳳隊だった。

 

「やぁ王賁。300人将になったんだね、おめでとう」

 

「中央の100人将だったか? こんなところにいるとは、正規軍から外れたのか?」

 

「まぁね。今はここで世話になってる」

 

「それが良い。このような小さい戦場で満足しておくのが生き残るコツだ。特に君の様な後ろ盾を得られない人間は」

 

「そうだね。こんな小さい戦場で必死にならないのが大切だ」

 

 気が付いたらこちらの副官と玉鳳の隊長が向かい合っていた。話から察していたが知り合いだったのだろうか。漂う雰囲気からどう考えても仲が良いとは思えないが。

 

「賁様、この様な奴らを相手にすることはありません」

 

「酷いな。これでも今のオレは2千人将の副官だぜ?」

 

「黙れ。貴様の大将が金を使って成り上がったのは知っている。前線で戦う武人として恥ずべきことよ」

 

「……それの何が悪い。何でも親から貰えるお前たちと違って始まりが低いんでね。その程度は許されていいんじゃないかな」

 

 向こうの副官らしき人の言葉は本当だ。蒙家から情報を得ている私は知っている。それがある程度は正しく、しかし受け手に気持ちが良い様に噂として広まっていることも。仕方のないことだ、この手の噂は止められない。私は成り上がる為のその手法は別に汚いとは思わないが、それが純粋な武官たちには気に食わないということも理解できる。実際、この戦場の武官たちの半分位は彼女に敵愾心を持っていた。残りの3割は同じ底辺からの出世組で、してやったという様な共感。あとの1割は無関心というかこちらの力を測る実力者たち。残りは……なんだろう、こちらの隊長の信奉者?

 

「名門だからと気を遣うのも大変なんだ。ちゃんと活躍してくれて助かったよ」

 

「貴様……」

 

 一触即発だった。これは私も止めるべきだと思ったが、粋面様と相手の間に漂う殺気に身を固めてしまった。あぁ、そうか。これは戦場での殺気の残り香なのだろうが、私がそれに触れるのは初めてなのか。固まる体でそんなことを考えたとき、柔らかい声色と白い腕が後ろから伸びてきた。

 

【粋面、だーめ】

 

 白い腕は粋面様の首に巻き付いて彼を止めた。フラフラと現れるこの人は心臓に悪いが今はその存在を有難く感じる。

 

【申し訳ありません王賁様。私の副官が何か失礼なことを?】

 

「いや。昔の知人に挨拶をしただけだ」

 

【そうですか。これから先、戦場でまたお会いになることもあると思います。どうかその時はまたよろしくお願いしますね】

 

「あぁ」

 

 社交辞令というには純粋な彼女の声色に気を抜かれたのか、空気が少し緩んだのを感じた。次の発言で吹き飛んだが。

 

【王家の嫡男に相応しい舞台をまた用意させて頂きますよ】

 

「ッ! 侮るか貴様!!」

 

【?】

 

「やめろ番陽」

 

 癇に障ったのか激昂する副官。悪意のない発言故に疑問を顔に浮かべる隊長がまた苛立ちを増幅させているのだろう。玉鳳の隊長は番陽と呼ばれた副官を止めると馬を返して背を向けた。

 

「失礼する」

 

「覚えてくれていて嬉しいよ。王賁」

 

「お前たちなど眼中にない。直ぐに追い越す」

 

 彼らは振り向かずに去っていった。実際その言葉通りの力はあると思う。彼は武人としても軍略家としても一流なのがこの短い間でも分かった。出自も考えれば間違いなくそうなるだろう。戦場で功を上げ、真っ直ぐに、英雄と称えられる綺麗な道を辿って。

 

 今の私の主を見上げる。綺麗な人だ。粋面様の様に突出した美形という訳ではないが、妙に惹きつけられる魅力を感じる。そしてこの人が先の副官が言ったように汚い手を使って成り上がって、私の本当の主の頭を悩ませているのだ。

 

【粋面、今のあなたは私の副官なんだから駄目だよ】

「分かってるさ。悪かったよ玲守」

 

「ム、ムヒョヒョ!! 美男美女で絵になるわいな!」

 

 今はまだ彼らの信頼を得る時だ。出自の低い、どんな手を使ってでも将軍になるという彼らがどんな道を辿るのか、見極めるのが私の仕事なのだから。

 

【? 粋面は女の子だよ】

 

「~ッ?!!?」

 

 

 


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