「キングダム~烈人伝~」最速将軍RTA   作:螺鈿

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 えーレズちゃんです。今日もガンガン山陽戦を進めていきたいと思います。前回は攻城戦でしたが、まぁ特に見るところはありませんでしたね。普通にレズちゃんが雲梯を渡り、グリー〇ス将軍の様に暴れて開門させただけでした。どう考えてもイカれてるんですが周りは何も言わないんですかねぇ(震え声)

 

 そんな訳でなんやかんやで(すっとぼけ)で物資を調達、懐ホカホカ、士気もアゲアゲで有頂天で高狼城に着きました。ここからが本番です。お尻の穴を引き締めていきますわ(唐突なお上品)

 

「これが高狼城……流石に本格的な城はでかいな」

「こ、これを攻めるんだわいな」

「ン……」

 

 蒙豪軍本軍と合流しながら進軍していくとやがて大きな影が見えてきます。

 ムービーと共に現れる大きなお城。チュートリアルで攻城戦の旨味を知ってしまったプレイヤーからは最早城の大きさ=宝の山のでかさにしかみえないのが悲しい所。こういう演出、プレイヤーの人間性を試す悪い開発者なんだなぁ(確信)

 

【おっきいですわ】

 

 なぜかお嬢様言葉でぼんやりするレズちゃんに強制イベント。ここではメインキャラ3人の中で最も交友度の高いキャラが話しかけてきます。まぁここではいつものノンケですね。

 

「やほ、久しぶり玲守ちゃん」

 

【蒙恬様】

 

「会うのは久しぶりだねぇ。今3千人将だっけ? いつの間にやらドンドン出世しちゃって、推薦した俺も鼻が高いよ」

 

【えへへ。これも全て蒙家と蒙恬様のお陰です】

 

「あはは。そう言ってくれるんだ。嬉しいなぁ」

 

【本当です。いつもいつも何かある度に蒙恬様の世話になってばかりで……】

 

「いいのいいの。面倒を見た食客が名を上げればウチの名もあがるんだからさ。今後も遠慮なく頼ってくれていいんだよ?」

 

【はい! 今後もよろしくお願いします!! それと軍師の件も有難う御座いました】

 

「あの二人は俺の教え子なのさ。元気にやれてる?」

 

【勿論です。先日も初陣なのに凄い活躍でした。私たちの隊に足りない所がやっと埋まった感じです】

 

「それなら何よりだ。まだまだ経験が足りないから迷惑かけちゃうかもだけどよろしく頼むね」

 

【はい!】

 

 想定通りノンケでした。まぁここで他のキャラが出てきたらビックリです。好感度管理の失敗で私がフリーズするところですよ。

 それとちょろっと出ましたが蒙家派遣の軍師たちの話題がでます。彼女たちの扱いの良し悪しがこういう所の話題で出て来たりもするので気に留めておくとよいでしょう。

 

 あとは適当な雑談です。このノンケの悪い所は話が長い所ですね。女だと口説き、男だと気が置けない感じで絡んできます。これだから男女問わず食っちまう奴は……陰の者で話が簡潔な賁ちゃまを見習ってほしいですね(溜め息)

 

【あの…そのお馬さんは……】

 

「あぁ、これ? 良い馬でしょ。魏の馬ってのがちょっとアレだけど嫌味で乗って来てるわけじゃないよ」

 

【名前は……】

 

「珠獅子っていうんだ。タマちゃんって呼んでる」

 

【その、何処で買ったのですか?】

 

「こないだ土門将軍と賭け麻雀してさ。巻き上げた」

 

 なんかノンケが良い馬乗ってると思ったらこれはいつぞやのタマちゃんじゃないですか! 繋がりがあるキャラ同士で物々交換などはある話なのですが、これは良展開です。ノンケが強化されればそれだけ戦が楽に早く確実になりますからね。いやー良かったなタマちゃん! やっぱり名馬でも金に換えたワイの判断に間違いはなかった(確信)

 

『~~ッ!(鋭い眼光)』

 

「ん? どうした珠ちゃん。おかしいなぁ、普段は割と大人しい子なんだけど……」

 

【すっとぼけ】

 

 

 

 イベントが終わると全体の軍編制のお時間です。レズちゃん隊は予備軍に配置されました。予備軍は自由度が高く、戦況に合わせて戦の決め手となる活躍がしやすい隊です。そんな重要な場所は本来前線で功績と名を上げ続けた者が得られると素人さんは考えがちですが、強力なコネを持っていれば別にそんなものは必要ありません。な、賁ちゃま!(悪意はない)

 

「さて、玲守。軍議の時間だ。といっても城攻めは単純だけどな」

 

 軍議のお時間です。今回の戦いも同じく雲梯を使って行きましょう。といっても今回からの本格的な城攻めでは色々と出来ないことも出てきます。まず指揮官は蒙驚ですし、前回はチュートリアルということでありませんでしたが、雲梯も本来は組み立てに数日かかります。更に配置場所も踏まえて中々に出来ないことも増えてきます。とりあえず雲梯が組みあがる数日は大人しくしていましょう(雀卓の準備)

 

 

 

 ――――――数日後

 

 メタクソにやられる秦軍を横目に玲鵬隊誠京麻雀戦を行っていると報告がありました(御無礼)

 

「玲守隊長! 雲梯が組みあがったわさ!!」

 

【ありがとう、それじゃあ行きましょう】

 

 さて、ここで素人は直ぐに城攻めを行いますが私は違います、走者です。急がば回れで最速を取る為に行動します。まずはいつものノンケの所に行きましょう。

 

「ん? どしたの玲守ちゃん」

 

 まずうちさぁ、こんなん(雲梯)があんだけど見ていかない? と誘います(渾身のリスペクト感)

 

「へー、すっごい大きい」

 

 雲梯を見上げて期待通りの感想を漏らしてくれる蒙恬殿。流石です(満足)

 こうして上手くいくとこれからの軍議に蒙恬が参加してくれます。更に献策次第では楽華隊との共闘も出来ます。とりあえず目的は達成しましたが、ここに玉鳳がいるとこれからの攻略が更に早くなるので似たような感じでパパっと誘いに行きましょう。

 

「フンッ。断る」

 

 失敗しました(憤怒)

 まぁええわ。レズちゃん魅力高めなのでワンチャンあるかもと思ってただけだし、想定の範囲内です(歯ぎしり)

 

「そりゃあそうでしょ。楽華と玉鳳ってよく張り合ってたし。というか玲守ちゃん正直結構悪評多いしね」

 

 そうなのですか?(すっとぼけ)。まぁチートのノンケがいるだけで目的は達成したも同然なので別にいいです。では軍義の時間です。

 

「あ、そういえば気になってる隊がもう一つあるんだ。飛信隊っていうんだけど……」

 

【天のお呼びではありません】

 

「……そう」

 

 (飛信隊は)ないです。奴らを怒らせたくありません。これからの攻略に必要なので。それじゃあ軍議はーじめーるよー。

 

【それでは今日の軍議を始めます】

 

 といってもここでは適当に進めればノンケの「待った!」がかかるのでそれ待ちで適当に進めて構いません。勿論その後はノンケの言うとおりにすれば間違いありません。公式チートは伊達ではなかった。

 

「と、いうことでさ。玲守ちゃんが守備の将を取りに行くとみせかけて楽華が城門を開門。郭備千人将と乱銅千人将、それとウチの騎馬隊が突入って感じでどうかな?」

 

【異論ありません。流石は蒙恬様です】

 

「蒙家の麒麟児とは、言葉通りですね」

「やっぱり蒙恬様は凄いわいな」

「相変わらず腹が立つ奴だよ」

 

 この後スパッとやられる人やウチの軍師副官も絶賛です。当然私も絶賛です(権威の奴隷感)。それじゃあそんな感じであとよろしく(投槍)

 

「待ちなよ。今回は俺等の仕事はどうなるんだ?」

 

 空気の読めないハゲが空気を凍らせます。こういう誰かが言わなきゃいけないことでババ引いたことありませんか? 私はあります(半ギレ)

 ここではノンケは一切喋りません。階級とかではなく単純にレズちゃんを計っています。前にも言いましたがここからは他のノンケやホモ達もレズちゃんの動向を注視しています。行動の如何で当然嫌われたりするのでそういったメリットデメリットを考えて行動しましょう。その結果は……

 

【とにかく迅速に制圧が最優先です。その後は資産を持ち逃げされる前に押収します。撤退する敵の物資は焼き討ちにしても構いません。投降してきた者は手は出さない様に。ただし貴方たちの隊は徴収を続けなさい。他の隊に渡すより前にはやく、迅速に。抵抗する者は殺して構いません】

 

「へっ、分かったぜ。任せな、他の連中に渡す前に根こそぎ持ってってやらぁ」

 

 流石はハゲです、よく分かってる。こういった大規模な城は早いものどり。グダグダしてると他の隊に持っていかれて旨味が消えることも多々あります。まして敵に渡すぐらいならと撤収する味方の軍に渡す奴も出てくる始末なので分業制で一つの隊は略奪専門にした方がいいです。

 

「玲守3千人将! また繰り返すのですか!?」

 

【今回は前とは違います。高狼城は侵攻の大拠点となる為、そこの住人の恨みを買うような真似はしません。ただしその後の反抗を防ぐためにも早い段階で物資は収奪し、軍に納めます。勿論そこでの抵抗は厳格に許しません。また軍規を乱さない様、制圧が終われば郭備殿、貴方の隊に監視と民の保護を命じます。これで何か?】

 

「……いえ、ありません」

 

【蒙恬様も何か訂正する所はあるでしょうか?】

 

「良いんじゃないかな。民の保護なら楽華もそのまま玲守ちゃんの部隊に協力するよ」

 

【ありがとうございます。分かりましたね? 乱銅】

 

「あぁ、今回も期待しているぜ」

 

 はい、これで終わりです。今回以降は横でメインキャラが見てるので無茶はやめましょう。ぼく、悪い将軍じゃないよと必死にアッピルします(プルプル)

 まぁね、私程の玄人ともなれば戦の運び方次第で幾らでもやり様はあります。あのハゲは出来るハゲ。ハゲに仕事が出来ない奴はいない、私は知ってるんだ(他意はない)

 

 ぶっちゃけこの戦は放っといても10日前後で賁ちゃまが井蘭車を持ってきて勝手に終わらせてくれるのですが、流石にRTAでそれは許されません。まして自分主導で戦を運ぶのと運ばないのでは収奪のうま味が全く違います。あの城の中身は全部儂のもんだもんね!(金の亡者感)

 

 略奪のうま味を知ってしまった人間はこうも変わるものかと戦慄しつつ今日の開戦を告げます。

 

【攻撃開始! 今日で戦を終わらせます!! あの城に鵬の旗を立ててやれ!!!】

 

『ウォオオオオ!!!』

 

 開戦! そしてスキル”旋盾”!! なんとぉおおおお!!!

 

「な、なんだアレは!?」

「雲梯だ! 糞ッ、攻城兵器を持ってきやがった」

「矢! 固めろ!! 寄りつけさせるな!」

 

 こちらに意識が集中すればその分地面の隊は損失なく城門に辿り着けます。更にこの雲梯はそこそこ良質な雲梯。耐久値的にも高狼城の守備兵に壊される代物ではありません。これが金の力です。

 

「ちくしょう取り付かれたッ!」

「ええい! だが城郭の上では守備側が有利! 数で叩き落せ!」

 

 取りついてしまえばこっちのもんです。レズちゃんを渡らして~ジャンプしてスキル撃って、ちょちょんのハイっ! あとはいつも通りブンドドですね(投槍)

 

【ら、ら、ら……えいっ!】

 

「う、うわああああっ」

「ば、化物だ!」

「将軍から指示を、いや他から援軍をッ!!」

 

 ここで大切なのはレズちゃんは手近の城門方面からは逆の守備隊を指揮する4方の将軍を狙う様に。楽華の部隊は城門の上へ送り届ける様イケメンの別動隊に任せます。

 

「ン!」

 

【はい。ではいきましょう。天も首を望んでいます】

 

 楽華は城門の上につけば原作の玉鳳と同じく地上にダイブして城門を開けます。これだけで勝ち確なのですがここでは早く勝つことが目的ではありません(壊れるRTA)。とにかく収奪の戦果を最大にするために動きます。結果的にその方が絶対に早くなるのは試走通りです。その為に城門解放が狙いと分かり焦る敵将に向かい攻め続けましょう。ただし殺してはいけません。雲梯の拠点を作り、次々と上に上がってくる仲間と共にじっくりと城郭の上を練り歩くのです(コ↑コ↓大事)

 

「な、舐めるな! 我が守備隊はッ……」

 

 敵兵を城郭からちぎっては放り、ちぎっては放ります。この狭い場所でお互い数の利で死角が取れない状況なら、戦闘ビルドであれば難しくはありませんね。しばらくすると城門が開いて恐慌状態に陥るのでここで決め台詞という名の挑発です。

 

【蛇が来るよ蛇が来るよ蛇が来るよ……だから守ってみて守って守ってららららら】

 

「ヒッ! ……こ、降伏する! 降伏だ!! 我が軍の投降を依頼する!!」

 

 降伏頂きました! それに対するアンサーは……

 

【さぁ……黒ちゃん】

 

「ン!」

 

 掲げられる我が隊の旗。引き続き進軍ですよ! 進軍!!

 

「こ、降伏を受け入れないとはどういうことだ!!」

 

 降伏の判断は基本大本営がとります。ですがこの様に目の前の隊の士気を完全に折って下らせる方法もあります。この場合別に聞き入れなくてもカルマ値にはそこまで影響ありません(直ちに影響がないとは言ってない)。

 実際降伏の権利なんてものは大将や一定以上の権限者が握っているもの。現場の判断で捕えても戦闘は終わりません。投降者という金の引き換え券の代わりにこちらの隊の一定数が監視としてもっていかれてしまいます。え、この将は城の一角を任されてる将軍? ……知りませんね(すっとぼけ)

 

 そんな訳でまだ戦闘が終わらないので続けます。しかし投降希望者と戦い続けると実はあるイベントがあるのです。

 

「なぜ! なぜだ!?」

 

【秦に敵対すれば降伏にも惨死と同じ苦痛を伴うことを知りなさい】

 

「ふ、ふざけるな! 我ら魏人、死してもその魂まで殺せると思うな!!」

 

 はい、死兵になって襲いかかってきます。いやぁこれはハーブ不可避ですわ(唐突のお嬢様)。これで戦が長引いて我が隊の収奪時間が増えます。しかも城攻めでこれやると住人にも一定確率で波及して秦軍に反抗するのでワンチャン住人虐殺不可避になりますね。他の隊の収奪妨害になって収入増加。懐がヌックヌクでハーブの大草原ですわ(お上品)

 

 あ、あとこうなったら敵将は要済みなので首獲ります。

 

【敵将討ち取ったりぃーー!!】

 

 首獲ったどおぉおおおおおお!!(首を大切にしまう)

 

 将が討たれてもまだ戦おうとする敵をブンドドしていると本城に楽華が旗を立てました。これは流石に戦も終わりですね。こうなったら後はリザルトですが実は分岐として例のイベントに行くかどうかが選べます。ここは勿論行きます。なんせあのハゲの上司はレズちゃんなのでね。前回言った通り「玲鵬隊の玲守はどんな理由であろうとクソヤロォは絶対に許さねぇ」と戦の中の仁義を守りに行きます。RTAは外道鬼畜プレイになってしまうってのは僕は逃げだと思いますね(有言実行)

 

 

 

 

 

 

 

「こっちは命令でやってんだ! この先も命令通り敗者をいたぶりまくってやるぜ!! それが楽しいから戦争やってんだ」

 

 それは耳に入れたくはない言葉。しかし蒙恬が避けては通れない現実であり戦場の真実の一側面であった。

 

「てめぇみてぇに現実知らねぇ正義漢気取りが一番ムカつくんだよ!!」

 

 一度は止めはした。その上でこうなることが分かっていて放置した。どのような選択がされるのか見たかったから。

 

「ルアアッ!」

 

 その一太刀に迷いはなかった。いっそ爽快なほど。そしてそれを止めた人間に驚かされた。いつからいたとかそういう話ではなく、こういったことに口を出す人間だと思っていなかったから。

 

【私の部下が何かしてしまったのでしょうか? 飛信隊の信】

 

 乱銅の首元で止められた剣。そこから僅かとも動かせないことに驚く信。

 

 蒙恬は玲守のことを真実他人に興味がない人間だと思っていた。自らに下る天命を最上に置き、滅私の姿勢を見せ続けているのだから仕方のないことだ。身近な人間なら多少は動きはするのだろうが、この戦で入ったという部下の為にこの様な面倒事に動く様な人間だとはとても思えなかった。

 

「……なにもクソもねぇッ! こんな外道共の凌辱が許せるかよ! てめぇが命令したのか玲守!?」

 

【? 彼に命じたのは軍規に沿った物資の収奪です。反抗しない限り民へは不必要な暴行は避ける様言ってあります。乱銅千人将、凌辱をしたのですか?】

 

「い、いや! してねぇ!! オレはちゃんと仕事をしたぜ! 何よりも早く物資を抑えただけだ。ほら、み、みてくれよ! 沢山あるだろ! 真面目にちゃんと仕事してた証だ、な!」

 

「馬鹿いってんじゃねぇ! オレは見たぜ! 女子供を殺して笑ってるてめぇの部下をな!!」

 

「ふ、ふざけんなッ! それは…部下が勝手にやったことだ!! そもそも住民の反発が酷すぎて仕方なかったんだよ!! た、たしかに俺が手綱を握り切れてなかったかもしれねぇ……だがオレはちゃんとやろうとしたんだ! 信じてくれ玲守3千人将!!」

 

 そう。開門から思ったより長引いた戦で目が離れ、彼等が好き勝手にやったことは事実だろう。だが仕方なかったという言葉も確かなのだ。

 こちらが思っていた以上に強硬な反発だった。秦は降伏を認めない、敵対するものを許さない。そういった風潮は白起以降呂不韋の治世によって払拭された筈だった。だが心の底に残っていたのだろう。ここの住人は最後まで反発した。無論、それは余りに無力な抵抗だったが。

 

【もういいです。これは侵略ではありますが、国を広げ治める為の戦。貴方の処罰は私ではなく本陣が決めることでしょう。……それであなたも収めてくれませんか?】

 

 本来ならば理不尽に感じるのは乱銅の筈だ。この程度の事は余りにありふれている。それを自分だけ責められるのは納得がいかないだろう。それでもそんな理不尽より目の前の存在を恐れる乱銅の姿は余りに異質だ。

 

「……凌辱を命じた訳じゃねぇんだな?」

 

【はい。このようなことは私も望まなかった】

 

 剣を引きはしたが睨み合う彼等。流石に彼女と揉められては困る為、蒙恬は自ら出ることにした。

 

「彼女の言っていることは本当だよ。戦の前の軍議でもちゃんと言っていたんだ「物資の収奪は軍の為で、民には恨みを買う様なことをしない様に」ってね。迅速に戦を終わらせて、それを監視するための隊も用意していた程だったんだよ」

 

【蒙恬様……】

 

「……そうか。そりゃ悪かったな」

 

【いえ、部下の責任は私の責任。乱銅共々処罰を受ける覚悟はあります。その時には今見たものをそのままお伝え下さい】

 

「あぁ」

 

【それと……「飛信隊の信はどんな理由でもクソ野郎を許さない」と私からも伝えておきます】

 

「あぁ、その通りだ」

 

 同軍同士で血が流れることはなかった。自分なりの信念を持つ好感が持てる姿。飛信隊の信に関してはある意味期待通りのものが見れた。しかしもう一方の人間のこういった場面が見れるとは思わなかった。

 

「ごめんね玲守ちゃん」

 

【こちらこそ蒙恬様にご迷惑をおかけしました】

 

「処分のことだけど……」

 

「お、おい! まさか本気でこんなことで本陣に伺うなんて……」

 

「そうでもしなきゃアイツが収まらないでしょ。それとも今度は本当に切られたいのか? 乱銅千人将」

 

【その通りです。それにここで上役たる私共々厳格に処されれば、この様なことはなくなるかもしれません】

 

「玲守ちゃん…それは……」

 

 戦の前の顔合わせで蒙家たる自分を知る乱銅は止めようと思えば止めれた。これは信を計りたいという自分が招いたものでもあった。だから罪滅ぼしの為にも彼女の罪は軽くするよう祖父の威光を使う気であったが彼女はそれを拒む。

 

【これは天が望んだことですから】

 

 それは人の上に立つ将としての自覚か、それとも数々の戦を超えて尚抱く理想故か。不明な点も多いが恐らく彼女も成長しているのだろう。そして教え子たちを送り出すならそういう部隊の方が良い。ここ最近の彼女には頭を悩まされたが、思ってもみない姿を見ることが出来たのは僥倖だ。

 しかしそれはそれとして彼女の後ろで怯える乱銅の姿には疑問を覚える。後で時間があれば郭備や他の将に彼女のことを聞いてみたいと思った。

 

【あぁ。今日は天の望み通り終えられた。とても素晴らしい日です。私も嬉しい】

 

 この後処罰されるとは思えない様な機嫌の良さで歌を唄いながら去って行く彼女。戦争の現実、壊れた町、溢れる死体。火に塗れ、灰になりつつある臓物と血の匂い。なぜだか歌に良く似合っている、そう思ってしまった。

 

 

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