そんな夢を見た。
意識が覚醒するが、ふわふわとしている。
私はユウリ。かつてチャンピオンで、そして。
ベッドから起き出して、鏡を見る。
鏡に映るのは私、年相応に加齢した成人女性だ。
決して、チャンピオンになったときのまま、不老になったりはしていない。
起きてきたベッドには、夜遅かったのか、まだ眠るホップの姿。
思考を整理する。
私はホップと結ばれたユウリ。
そして、夢だったかのように朧気になっていく、ホップと結ばれなかった私の記憶。
ただの夢ではなかった。
もう何年も前になるが、ホップと結ばれるきっかけとなったザシアンの暴走事件の折りに、ホップとソニアの息子のホープには出会った。今でもはっきり思い出せる。
この世界のどこかには、ムゲン団首領となった私とホープが、ムゲン団の団員たちの不幸から守るべく、旅しているのだろうか。
マサルと別れた先のことは、霧がかかったようにほとんど思い出せない。今も忘却は進行している。
そもそも、今になってどうして、私はもう一人の自分記憶を得たのだろうか。
体調に違和感を覚える。予感があった。
「ねー、ホップ」
寝ているホップの髪をすく。
ごわごわとした感触が、いつ触っても面白い。
「んー、なんだ? ユウリ。もう少し寝させて欲しいぞ」
「ごめんね、不思議な夢見たから、話したくなっちゃって」
夢の話だというのに、ホップは眠たそうに眼をこすりながら起きだしてくれる。
やっぱりホップはやさしいな。
「悪い夢か?」
「どーだろ。悪い夢と言えば、悪い夢かな。私がホップに振り向いてもらえない夢」
「……どう考えても、悪い夢だぞ」
「そうだね。けど、私はホップと結ばれて良かったと改めて思えたから、意味はあったよ」
「そっか。オレもユウリとこうなってよかったぞ。恋愛に興味なかったし、ユウリ以外に考えられないし、一人身だったぞ」
「……そんなことないよ」
ソニアさんと結ばれた可能性を知っている。それに元気さと博士姿とのギャップに色気があるので、人気があることは知っているのだ。
「痛いぞ。少なくとも、オレはユウリ一筋だぞ」
「わかってるよ。そうじゃなかったら、許さないんだから」
頬を甘噛みするようにつねるも、ホップは眠たそうに眼をつぶってしまった。
こんな時間に幸せを感じる。
「赤ちゃんできたら、つけたい名前があるの。聞いてくれる?」
驚き目を見開くホップに、思わず笑ってしまった。
やるせない世の中に飛びたった、
彼らの旅路に希望がありますように。