【完結】ムゲンのかけら   作:koum

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ムゲン団のTipsです。
これにて幕間は終了。


夢幻の欠片

無限の未来と

夢幻の過去を

この手に

~ムゲン団~

 

 

 

 

 

 会議室のホワイトボードが消し忘れられている。

・『ねがいぼし』の数の目標到達率 92%

・ザシアンの追跡調査 進捗なし

 少しずつ増える数字、変わらない調査報告。

 決行の日は近づいている。

 

 

『お昼のニュースです。チャンピオンがCEOを兼任し、エネルギー事業に力を入れていることで有名なマクロコスモスですが、注力していたガラルを覆うエネルギーネットワークがついに完成しました。これにより……』

 食堂では環境音としてテレビが点けられており、香辛料のにおいが漂っている。

「この食堂のメニューはカレーばっかりだな」

「そうだな、おいしいけどな。ムゲンカレー」

「ちょっと甘すぎないか?」

「やるせない世の中じゃ、甘いぐらいがいいさ。子供のころに戻ったみたいだしな」

 

 

 

 ムゲン団の中には過激派と呼ばれる、一般人に迷惑をかける一派がいる。

「ムゲン団に入った理由? そりゃ大きな顔をしたいからだな!なんてったって、エネルギーを牛耳るんだ。早くそうなるのが楽しみだぜ」

 査問会でつるし上げられているのに、なおも横柄な態度の団員が懲りずにのたまった。

 

 

 

 ムゲン団の運営資金はフロント企業の活躍のおかげで潤沢だ。

 そして各個人の背景から『かわいそうな子』を放っておけない団員が多い。

 最初は団員の託児所だったが、いつの間にか孤児院になってしまった施設がある。

「ムゲン団に入った理由? あの子にもう一度会いたいからかしら」

 孤児院に勤める女性は遠くに目を向け、つぶやいた。

 孤児院の子供が見上げてきた。血色状態もよく、健やかに育っている。

「ムゲン団に入りたいなー。でも大人はダメだって言うんだ。おじさん、ムゲン団の偉い人なんでしょ。僕を入れてよ」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 ムゲン団の本部、団長室にて、オリーヴは資料の整理をしていた。

 自分の私室の片づけは苦手だが、今も昔も崇拝する自分の上司のためならばと、秘書席に座りこれ以上ないほどに整える。

 ムゲン団、団長ローズ。

 ユウリはチャンピオン業とマクロコスモスのCEOとして多忙を極める。そのため総帥の配下として、ローズは組織を運営し、ムゲン団と化しているマクロコスモスの部門を指揮している。

 ムゲン団は秘密結社であり、宗教団体であり、相互互助会である。

 やらかした過去を持ち、それだけ大きな実績を持つローズはムゲン団の顔としての役割を担い、ふさわしい事務能力を持っていた。

「これは……っ」

 オリーブが報告書を整理していると、参考資料という扱いで隠されるように保存されていたファイル群を見つけ、オリーヴの表情がこわばる。

『ムゲンダイナの可能性に対する実現性に関する考察』

 オリーヴがその資料を読み込んでいると、視察に出ていたローズが部屋に戻ってきた。

「ローズ団長、これはどういうことですか」

 オリーヴはローズ団長に、資料を示しながら詰め寄った。

「おや、見つけてしまいましたか。隠していたつもりだったんですけどね。内容が内容なので、他の団員には秘密にしてください」

「隠していても、いつかは明らかになることでしょう。どういうことですか。これでは計画が成り立ちません!」

「君こそ何を言っているのかな。レポートの内容を見たのだろう? ガラルに無限の未来をもたらすという我々の目的は達成されるよ」

「手段は、過去の改変によるブラックナイトの成就という計画だったでしょう」

「手段はなんでもいいんですよ。大事なのはガラルの未来を守ることです。このまま行けば、過程として目的は達成されます。私の名誉を守る必要はないし、ブラックナイトの結末をひっくり返す必要もない。あの結果があったからこそ、今日に辿り着けました」

 穏やかな表情で、聞き分けのない子供に言い聞かせるようにローズはオリーヴに語り掛ける。

 動じないローズの様子に本気を感じて、オリーヴはますます青ざめる。

 オリーヴ自身、過去に戻ることに固執していない。オリーヴはローズと共に在れたらそれで充分なのだ。

 そして、本質はそこなのだ。

「そんな……。こんなことを隠していたことが発覚したら、ローズ団長の身が危険です」

 自分の身を切られるような悲痛なオリーヴの叫びに、ローズは眉一つ動かさなかった。

「どうでもいいことです。けれど、今の段階でこのレポートが知られては、私が八つ裂きにされるだけで、結果は得られない。協力してくれますね」

 この人は止まらない。他の答えが見つからず、ついには頷くしかなかった。

 

 

 

 

 




次から終章です。
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