姫松高校麻雀部監督代行播磨拳児   作:箱女

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 飛び抜けて高い空。二千年来ずっとそこにあったのだと主張しているような、硬ささえ感じさせるほどのうず高い雲。最高気温などどうでもよくなってしまいそうになる暑さ。スイッチを切ったように風は吹かず、目に映る景色は強すぎる日差しのせいで現実感を失った絵画のように映った。時刻は一時半をわずかに過ぎた辺り。上重漫は明日の決勝戦に備えて、息抜きにひとりで観光に来ていた。同い年の絹恵も誘ってはみたのだが、緊張しすぎて楽しめそうにないと断られてしまっていた。どうやら絹恵は漫よりもナイーブな精神の持ち主であるらしい。

 

 さてひとりで観光となると名所などに行ってもなかなか楽しむのは難しい。漫は史跡やそういったものに特別な興味を抱いていないのだからそれも仕方のないことで、すると選択肢は自然と限られてくる。青春の大部分を麻雀に捧げているとはいえ、漫もオシャレに興味津々な年頃の女の子である。東京のショップにどんな服が売っているのかが気になるのは当然のことと言えた。

 

 本当なら黒いTシャツ一枚とホットパンツだけで済ませたかったのだが、着ている黒が日差しを吸収して余計に暑くなっては本末転倒であると理解して、漫は薄いブラウスを一枚羽織ることにした。キャンバス地のトートバッグを肩にかけて歩き出す。制服とYシャツと肌着と下着くらいしか持ってきていない拳児とは雲泥の差と言えよう。

 

 

 もともとお小遣いに余裕があるわけではない漫は、様々な店の商品をじっくり眺めることで楽しんでいた。ラインナップの水準は地元である大阪とそれほど変わってはいないが、店そのものが違うことが漫の気分を大幅に高揚させたのである。年相応のものからちょっと背伸びしたものまで、実に様々な商品を漫は堪能した。気分よく次の店に向かおうかと視線を出入り口に向けると、一人の金髪の女性の姿が目に飛び込んできた。以前、たった一度だけ、それもほんのわずかな時間しか目にしたことがなかったはずなのに、どうしてか漫はその人物が誰なのかを一瞬で思い出すことができた。気が付けば漫は彼女のもとへと走っていた。

 

 漫は何かを聞かなければならなかった。しかし具体的に何を聞けばよいのかはまるで見当もついていない。それでも彼女の足はもう動き出してしまっていたし、無意識のうちに喉は声をかける準備を整えていた。

 

 「あ、あのっ!」

 

 声をかけると金髪の女性は漫の方へと向き直った。日本人のものとは思われないほど白い肌に、染めているとは考えられない美しい金糸の髪。一方で日本人的な要素も含まれた顔立ちから判断するに、純粋な外国人ではなくハーフかクオーターなのだろう。服装はそれこそ簡素と言えるようなものだったが、着ている素材が素材であるためおそろしく洗練されたものであると誤解してしまいそうになる。日本ではあまり見られない色素の薄いブラウンの瞳が漫へと向けられる。どことなく神経質さを感じさせる彼女の美貌は漫を落ち着かなくさせた。

 

 「……あの、前に姫松に訪ねてこられた方ですよね?」

 

 女性は困ったように笑ってそれを肯定した。たしかにあれだけ目立つかたちで知らない人ばかりの集団に乱入したのだから、あまりよい思い出には分類されてはいないだろう。本当なら何年か経ったあとに、こんなこともあったね、と振り返って笑い話にする類のことであったのかもしれない。しかし漫にはそんなことは関係がなかったし、またそれに思い至ることもなかった。漫の念頭にあったのは目の前の女性と播磨拳児とが並々ならぬ関係なのだろうという推測だけだった。

 

 慎重に言葉を選び、おずおずと漫は口を開いた。奇妙な緊張を内包した空気が二人の間の場を支配している。彼女に聞きたい内容は漫の内側から自然と出てきていた。

 

 「えっと、播磨先輩と、お知り合いの方やと思うんですけど」

 

 「ええ、そうよ」

 

 いつの間にか愛理は普段の調子を取り戻し、いつものように人当たりのいい表情を作り出すことに成功していた。これを表面上のものだと見抜ける者はなかなか見つからないだろう。

 

 「前に先輩がインタビューで言うてた “勝利を報告したい人” て、本当に、その……」

 

 聡明な愛理は、あの播磨拳児が監督を務める奇妙な部に在籍している少女が何を聞きたいのかがすぐにわかった。件のインタビューはもちろん愛理も観ていたし、そして拳児の言葉の指す意味を正しく理解している数少ない人間のうちのひとりでもあった。拳児が勝利を報告したい塚本天満は現在アメリカにいるため物理的に遠い場所にいるということも、また彼が途中で監督業を投げ出すことがないことをも愛理は理解していた。ただ悲しいかな、人間という存在は往々にして基準を自分に置いてしまいがちなところがある。漫の、口にこそしていないが “遠くにいる” という言葉を愛理はそのまま文字通りに捉えてしまった。

 

 「そうね、たしかに遠くにいるわ」

 

 決定的な一言だった。もし漫が相手の表情から何かを読み取ることを得意としていれば、あるいは愛理のその普段通りすぎる表情に疑念を持つことができたかもしれない。なにせ愛理からすれば友人がアメリカにいるというだけのことなのだ。しかし現実はそうではなく、愛理は愛理として納得している返答をし、漫は漫のなかで確立されつつあった拳児の恋人が故人であるという未確定だった要素に確信を抱いてしまった。何が正しくて何が間違っているのかをすり合わせる理由が、二人の間には存在していなかった。

 

 それを聞いた漫の顔が辛そうに歪むのが愛理には理解できなかった。愛理からすれば、さすがに笑い話にはできないものの、悲しむというかダメージを受けるのは当人である播磨拳児だけであり、またそれで十分であった。店内の出入り口から少し入ったところで話をしているはずなのに、喧騒がひどく遠くからのもののように聞こえた。

 

 さすがに居たたまれなくなった愛理はどうにか話題を探そうとしたが、もともと知り合いでさえない少女との会話のタネなどひとつを除いて存在していなかった。しかしそれを選ぶことは愛理にとってどこか敗北感の伴うものであった。それが拳児に対してのものなのか自身に対してのものなのか、あるいは姫松高校という集団に対してのものなのかの判断は彼女にはできそうもなかった。

 

 「あー、その、アイツはうまくやってるのかしら」

 

 具体的な名前を出さないことが愛理の精一杯の抵抗だった。

 

 「え? あ、はい。うちらが頑張れてるんは播磨先輩の力もあるんやと思います」

 

 正直なところ、愛理にはその図がまったく思い浮かばなかったが、目の前の少女が言うのだからそこに嘘などないのだろう。初対面でそんな嘘をつく必要などないのだから。“うまくやる” なんて言葉からはいちばん離れている存在だと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。思い返してみれば播磨拳児が誰かを指導する立場に立っている場面など愛理は見たことがない。もちろん冗談半分とはいえ彼の意外な才能とやらが発揮された可能性も否定はできないのだ。あらためて播磨拳児という人物の厄介さが身に染みる。

 

 「そう、それならいいわ。決勝頑張ってね、応援してるから」

 

 外に人を待たせているの、とだけ言って愛理は身を翻した。これ以上なにを話せばいいのかわからなかったし、話すべきことがあるとも思えなかった。姫松高校の少女の話から受けた播磨拳児の印象と、もともと愛理が持っていた播磨拳児の印象はことごとく食い違っていて、まるで別の人間の話のようであった。あるいは本当に違う人間だったのかもしれない。そう思うとなんだか愛理は無性に胸に粟立つものを覚えて、しばらく歩いたあと、道にあった小石をひとつ蹴飛ばして帰った。

 

 

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 本来の関東平野の真夏の空気とは違って、滑らかかつひんやりとした空気の満ちた部屋。人類の叡知の成果であるエアーコンディショナーに心から感謝しつつ、洋榎は肌触りのいいベッドの上でだらだらしていた。室内には高校入学以来の友人である恭子と由子が、近い位置で似たような時間の潰し方をしている。テレビは昔に人気を博したドラマの再放送を、ごくごく小さな音量で流していた。とくに視線を集めているわけではないようだ。

 

 「そういえば主将、絹ちゃんはほっといてええんですか」

 

 「ふふん、なんやいつかの漫も似たようなこと播磨に言っとったな」

 

 だしぬけにかけられた言葉に、楽しそうな声色で返事をする。師弟のふたり、少なくとも洋榎はそう思っている、が同じ問いかけをするというのは彼女にとって面白いことだった。ちなみに話題に上がった当人たちは誰一人として室内にはいない。漫は昼食のあとにさっさと出かけてしまったし、絹恵は何やら思いつめた様子でさきほどふらふらとどこかへ行ってしまった。拳児に至っては朝から姿を見せてすらいない。

 

 ゆるゆると体の向きを変えて、ほんの少しだけ眉間にしわを寄せた恭子を視界に入れる。きっと質問にすぱっと答えなかったからの表情なのだろう。意外と表情に出やすいことは姫松のあいだではよくよく知られた事実である。

 

 「まあでもうちも播磨と言うことは変わらんで。絹のことはほっといたり」

 

 「そうあっさり言いますけどね」

 

 ある程度予測された返しに恭子が食い下がる。論理で言えば準決勝での拳児の言い分は理解できるどころか納得できるものでさえあったが、感情的には呑み込みたくなかったのが正直なところだった。もちろん自分もそうだが相手は女子高生だ、いかに名門の部の中核になる存在とはいえ要求が高すぎるのではないかと恭子は感じていた。

 

 「言うことは一緒やけど、意味は播磨とちょっとちゃうからな?」

 

 おそらく勘違いされているであろうことを洋榎は早めに否定した。より丁寧に言うならば、洋榎は新監督である播磨拳児ではまだ知り得ない領域での話をするつもりだった。いくら有能な新監督といえど、できることにはさすがに限りがある。ましてや未だに部員全員の名前すら覚えていない拳児にそれを要求するのは酷にもほどがあるというものだろう。そもそも拳児は有能な監督などではない。

 

 寝転がった状態のまま右手の人差し指だけ立てて、姫松の主将は話を続ける。

 

 「ま、播磨のやつは姫松の名前の重さを正しい意味ではまだ知らんからしゃあないけどな」

 

 どんな洗剤を使っているのか、ラベンダーの香りのするシーツに顔を思い切り押し付けて、その芳香をいっぱいに吸い込む。気持ちよさそうに目を閉じて、そのまま続きを語りだす。

 

 「主将こそ漫がやるやろけど、それでも絹にかかるプレッシャーはハンパないもんになる」

 

 彼女たち高校麻雀に関わる者からすれば信じられないことだが、たしかに拳児はまったくもってその意味を知ってはいなかった。全国トップクラスであり続けることの意味も価値も、彼にはひとつとして響かない。それこそ口角泡を飛ばして説明したところで、関係ない、の一言で済ましさえするだろう。姫松の部員たちから見れば、拳児の目に映っているのは勝利とそのための方策だけであって、それは姫松という環境にあって実に稀有な観点であると言える。しかし稀有であることと本人がそれを自覚していないがために目の届かないところも出てくる。結果的に取る行動は同じだが、伝統があるがゆえの不自由さを理解しているかどうかの違いがそこにはあった。

 

 「名門の重圧に加えてうちの妹っていう目でも見られるやろしな、期待も倍々ゲームや」

 

 「それやったら余計に……!」

 

 「でもな、それは外から何言うてもあかんねん。折れるかどうかは絹次第やな」

 

 愛宕洋榎の言葉だからこそ説得力があった。彼女自身も元プロの親を持つ身であり、その重圧を自力だけで押しのけてきた選手である。彼女にそう言われてしまえば恭子は何も口にできない。すべてのプレッシャーを受け止めて叩き潰して、それでなお燦然と輝く選手がいったいこの国にどれだけいるだろうか。

 

 「強なるんやったらそれは外されへん。絹もわかっとるからひとりになりに行ったんやろ」

 

 頭も回る彼女のことだ、洋榎の言う論理にも自力でたどり着いてはいたのだろう。時間つぶしに出した話題にしては重いものになってしまったな、と反省をしつつ恭子は視線を外した。深く考えなくともそれはやはり本人の問題であり、また次の代が解決するべき課題であった。このままではただの口やかましい卒業生になってしまいかねない。それもこれも思考がふわふわとまとまらないからであって、自覚できていない緊張がそうさせているのだろうと恭子は思うことにした。

 

 

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 白糸台の大将である大星淡の襲撃を受けて昼を過ぎてなお、播磨拳児は東京の街をぶらぶらしていた。調整を終えた部員たちにかけるべき言葉もないように思えたし、あまりにもやることがなさすぎて少しだけ拗ねてもいたのだ。バイクのカタログは目を通すだけで拳児の胸を高鳴らせたが、読み終わってしまうとそれが持続することはなかった。ホテルの部屋でやることなどテレビを見ることくらいしか思いつかないし、もともとそれは拳児の性に合っていない。拳児がいま街をぶらついているのは消去法的なところがあった。

 

 真夏の東京をあてもなく歩き回るというのは無謀とさえ言えるもので、さすがの拳児であっても歩きっぱなしというわけにはいかないようだった。昼食時に休憩こそ取ったものの、蓄積した疲労が全て吹き飛ぶわけでもない。拳児は東京に来た直後に病院を探したときのように、ファストフード店てひと息入れることを選んだ。

 

 

 自動ドアが開くと同時に体に悪そうなくらい冷やされた空気がぶつかってくる。店内を見渡すと長袖を羽織っている人までいる始末だ。拳児でさえそれはさすがに室内の温度を下げ過ぎではないかと思うほどだった。それでも外の気温と日光で熱された拳児の体には心地よかった。ひとつ鼻を鳴らして色鮮やかなメニューの並んだ天井付近を見やる。何とはなしに飲み物だけでは物足りなくなりそうだと感じた拳児は小腹も満たしていくことに決めた。

 

 注文した品をトレイに乗せて、次は座席を探す。人だらけの東京の夏休みのど真ん中だ、一階にある座席は当然のように全て埋まっていた。仕方なく階段を上がって空いている席を探すと、よく見知った顔が目に入った。偶然とはいえ、この人もモノも雑多な街でよくもまあこうも知り合いに出会うものである。たまたま彼女の視線も拳児が上がってきたところに向けられていたから、お互いに認識するのに時間はいらなかった。

 

 「お、妹さんじゃねーか」

 

 「あ、播磨さん……」

 

 八雲の座るテーブルには拳児の知らない顔もいた。もちろん拳児が八雲の交友関係など把握しているはずもなく、同じテーブルに着いている彼女たちを矢神の友人なのだろうと推測した。さすがの拳児といえど知り合いがひとりいるだけの集団に割り込むほど恥知らずではないため、挨拶もそこそこに席探しを再開しようとした。が、拳児の想像以上に世間の麻雀に対する関心は高く、また彼自身に対するそれが高いということを拳児はまだ正確に自覚できてはいなかった。八雲の友達が麻雀に興味を持っているわけではなかろうと思っていたところ、そうではなかったという話である。

 

 「わお、八雲ちゃんホントに播磨監督と知り合いだったんだね。疑ってたわけじゃないけどさ」

 

 頬に星の形のタトゥーシールを張り付けた少女がどこかにやにやとしながら言い放った。

 

 

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 気が付けば突然に姿を見せた拳児を同じテーブルに引き込んでからしばらく時間が経っていた。同席していた龍門渕の面々、透華と衣を除く、は八雲の知り合いということで拳児の外見に怯えることなく話をすることができていた。八雲自身、彼とゆっくり話をするのは本当に久しぶりのことで、充実した時間だったと言えるだろう。拳児はいつものように仏頂面ではあったが、席を立っていないところを見るにある程度は楽しめていただろうことが窺えた。

 

 外はまだまだ明るいが気温自体は最高潮のものと比べれば落ち着き始めているようだった。店を出て五人で固まって歩き始めない限りは気付けなかったに違いない。その場に行ってみないとわからないことなど山ほどある。八雲はちょっとだけ懐かしい気持ちを思い出していた。

 

 お昼のピーク時に比べればマシとはいえ大通りには人がまだ混み合っていて、慣れていない人にとっては気が遠くなりそうな感じを与える風景だった。同じ方向へ進む人もあれば逆へ向かう人もいて、八雲の地元である矢神と比べれば多くの点で天と地の差と言えそうだ。喧騒はたしかにそこにあって静かだとはお世辞にも言えそうになかったが、だからといって八雲は特別に不愉快に感じたわけではなかった。何が原因なのか、あるいは原因があるのかさえも彼女にはわからなかった。そういった点においてはやはり彼女は未熟と評さざるを得ないだろう。

 

 一座の話の中心は当然というべきか拳児で、主に一や純からの質問攻めに遭っていた。それでも彼女たちは決勝前ということで気を遣っていたのだろう、麻雀に関する質問をほとんどしなかった。その上できちんと話題を途切れさせないのだから大したものである。しかも時折きちんと口数の少ない八雲や智紀にも話を振ることさえ自然とやってのけた。どちらかといえばどころか間違いなく引っ込み思案に分類される八雲からすると、積極的に話を盛り上げることのできる彼女たちが少しうらやましかった。

 

 それぞれのホテルまでの道が途中まで同じだったから彼らは揃って歩いていたのだが、その途中で特徴的な髪型をした少女の後ろ姿が八雲の目に飛び込んできた。それは綺麗に流れた髪が肩を過ぎた辺りで外へとハネたもので、本来であれば拳児がいちばんに気付くべき人であった。八雲からすればテレビの向こうの存在ではあるが、熱心に観ている学校の一員であったためにすぐ認識することができたのだ。彼女のどこか足元の定まらない歩調は八雲を不安にさせた。そして八雲が声をかけようとしたその瞬間だった。

 

 「あー、済まねえ。ちょっと用事ができた。ここでお別れだ、じゃあな」

 

 八雲に一拍だけ遅れて拳児が絹恵に気付いた。一目で状態を看て取ったのだろう、拳児は返事を待つことなく駆け出した。深く考えることもない。彼は今、姫松高校の、麻雀部の、監督なのだ。八雲には彼を止める道理などなかった。どう屁理屈をつけても呼び止めるのは間違っていた。そして彼女には明らかに間違っている行動を選ぶことなどできなかった。少し遠くで “妹さん” と呼びかける声が聞こえてとっさにそちらを向いたが、その、傍から聞いていると心配しているようには聞こえない声は、八雲のほうを向いてはいなかった。

 

 ぐるぐると見たことのない感情が渦を巻いた。いろんなものがごちゃ混ぜになってできた()()はやり場のないもので、間違っても誰かにぶつける種類のものではなかった。道路を行くバイクの遠ざかる音がやけに耳に残った。

 

 

 

 

 

 


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