放浪孤独のIARさん「もっど!」   作:りおんぬ

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1話当たり4000字での投稿が連続……?
これはまずい……(素面に戻った時の反動が)大きすぎる、修正が必要だ……。


2nd 一日一回感謝の銃連ガチャ

やあ。どんな因果かTS転生&ソロプレイの憂き目に現在進行形で遭っているIARさんだよ。マジで誰か理由と趣旨を説明して。

それはさておき、意気揚々と目覚めた場所を飛び出してから数日後。

見渡す限りに広がる平原を眺めながら、私はぽつりとつぶやいた。

 

「……迷った……」

 

見事な迷子だった。

そりゃそうだ、よく考えなくてもここが何処なのかさっぱりわからない。土地勘もへったくれもあったもんじゃない状態で地図すら持たずに歩き回ったとなれば、こうなるのはもう当然の帰結だった。でもあそこ地図なんて置いてなかったし……。

くう、と小さく鳴ったお腹に手を当てる。そういえば出発してから何も飲み食いしてなかった──戦術人形とやらの燃費の良さに感嘆しつつも、丁度よかったので施設で手に入れたレーションの袋を開ける。すると、そこには馬鹿でかい消しゴムのような塊がぎっしりと詰まっていた。ご丁寧に色も真っ白で、見事にこっちの食欲を削ってくるデザインだ。

試しに一口。

……。

……うーん、これは……。

 

「……おいしいおいしくない以前に全く味がしない……」

 

質感と相まって、まるで本当に消しゴムを食べているような気分になってきた。悲しいというかもはや空しい。軍人っていつもこんなの食べながら戦争してたんだね。すごいや。

ティーカップ片手に戦車を駆る某ブリテンアーミーの事を極力意識から外しながら、私はそんな風にあさっての方向へと思考を飛ばす。明日も晴れるといいな。なんか明らかに汚染がヤバいですみたいな感じの色してるけどね、空。なんかオーロラみたいな色合いした雲がかかってるぞなんだあれ。

そんな事を思いながら、てくてく歩いて時折それっぽく銃を構えてサイトを覗き込むことしばし。

私の眼鏡とサイト越しの視界が、土と草と空と蜃気楼以外のものを捉えた。

 

「ん? ──んう!?」

 

一瞬見間違いかと思ったが、慌ててもう一回サイトを覗いてみればあら不思議──そこには明らかにヤバそうな雰囲気を纏うメカと女の子たちの集団が。

なんだありゃ、と内心首をかしげていると、眼鏡のレンズの左上にこんな表記が浮かんできた。

 

□ □ □

 

【WARNING】

敵性反応を複数確認

 

【警告】敵性反応を複数確認

【推定物量】一個小隊相当

【脅威度判定】中:単騎での撃滅は困難

【対策】一撃離脱を推奨

 

□ □ □

 

「わお、意外なところに便利アイテム」

 

特に度が入ってる様子もないなぁと思ってたらそんな機能が。多分このボディが普通に起動してたら口頭で説明するつもりだったんだろうけど、説明書くらい置いててほしかったなぁ。

……ってそうじゃなくて!

確か映画だとこういう時ってだいたいその場に伏せてたよな、と思いながら慌ててしゃがみ込んで姿勢を低くする。

が、ここで思わぬ問題が発覚した。

 

「……胸がきつい……くるしい……」

 

視線を下に下げると猛烈に自己主張してくる2つの御山が、ここでも派手に主張してくれた。めっちゃきつい。胴体と折り曲げた足の間にでっかい胸が鎮座してるから、バランスと姿勢を維持するのがとんでもなく大変。これもしかしなくても伏せても邪魔になるな?

そんな事を考えながらわざと横にバランスを崩し、ごろんと転がりながら伏せた姿勢に入ってみると案の定だった。胸が邪魔して視点が否応なしに少し上になるし、おまけに息苦しい。恨むぞ設計者。

とにかくそんな状態でえっさほいさと近場の草むらまで移動し、もう一度銃を構えてサイトを覗き込む。

ええと、どれどれ……盾持ちハンドガンが5人、SMGっぽいの二丁持ちが10人、アサルトライフルみたいなの持った銀ヘルが5人? 便利メガネくんによると、それぞれGuard(盾持ち)Ripper(二丁持ち)Vessid(銀ヘル)というらしい。ほーん。

とにかく、一撃離脱って言ってたっけ? この体で走った事なんてないからどんくらい早いのか皆目見当もつかないけど、実際自分の脚力だけでそういうのって出来るもんなのかな? わっかんない。

 

「……やるだけやってみるかぁ?」

 

どの道、この場にいたらいつかはバレるだろうし。

だったら、やられる前にやるしかないんじゃないか……? そうだな、間違いない。

 

──やるか。

 

私は伏せた状態のまま体を少し起こし、片足を曲げて地面にかけた。イメージ的にはだいぶ姿勢の低いクラウチングスタートって感じだ。

そして、銃の様子を見る。ええと、セレクターはフルオートにセットされている。安全装置は外してあるな、よし。

 

──撃鉄起こせ(Auf die Plätze)

 

体に力を籠める。ここは光射す荒野。過去の遺物にして異物たる私の立つ初舞台。

無理してすぐに全員を殺そうとする必要はない。ただいの一番に頭をブチ抜いてさえしまえば、『集団』という名前の生物はあっという間に機能不全に陥るんだから──そこを狙えばいい。……多分だけど。

 

──構えろ(Einstellen)

 

さあ始めよう。向こうで、大量の鉄血兵(えもの)が手ぐすね引いて待っている。

戦争……そう、戦争だ。私が私を証明するための最高のステージが待っている。かつて少しばかり拗らせていた時に夢にまで見たあの戦争が、私を待っている!

少しばかりの怯えと焦りを蹴っ飛ばし、私は溢れ出る歓喜と共に勢いよく駆け出した。

 

「──戦闘開始(Offenes Feuer)ッ!!」

 


 

背が高く濃いめの草むらから飛び出し、一気に私は走り始める。

どんなスペックをしているのか、この体は私の想いに応えてあっというまにトップスピードへと到達した。前方から押し寄せてくる猛烈な風圧に、私は思わず零す。

 

「おっほ、早い……!?」

 

すぐ後ろに土煙をもうもうと巻き上げながら、一直線に突き進む。

どうやらRipperが真っ先に気付いたらしく、こちらへ向けて銃を構えたかと思えば事前通知なしでフルオート射撃をかましてきた。

それをボディのトンデモナイ動体視力と反射神経に任せてほとんど必要最低限の動きでかわし続けながら、私は一気に敵性集団へと肉薄した。

そして、

 

「──てめぇからだッ!!!」

 

私が目をつけたのは、少し遅れて私に気付いた盾持ち連中。思うに、あの手のタンクは守りを固められる前にどうにかしないと面倒なことになることが多いんだよね。オンゲーとかで習ったよ!

すでに盾を構えて万全に見えるが、私はそこに正気を見出していた。接敵する直前に両足をあげ、接触の瞬間に前方へと向けて全力で伸ばす。

 

「どっせーーい!!」

 

それはつまり、勢いに身を任せた強烈なドロップキック!!

恐らく想定外だったであろう一撃によってGuardの手から大盾が弾き飛ばされ、さらにそこへ私が銃を突きつける。

照準も精度も何もあったもんじゃないが、ほとんどゼロ距離と言っていい至近で撃つ以上それでもかまわない。

タタタタタン!! と小太鼓を叩くような音が響き、目の前で人型の存在が体中に穴をあけて崩れ落ちていく。

その光景にどうしようもない忌避感と罪悪感を覚えたが、しかしそれは殺らなければ殺られるという防衛本能で封殺した。

同時、カキンと甲高い音を立てて連射が止まった──弾切れだ。

すかさず空になった弾倉をリリース。空いたスロットに新しい弾倉を叩き込む。

そこへ、SMG持ちの鉄血兵──Ripperが複数突っ込んできた。

リロードは間に合うか? いや多分間に合わない。だけど──間に合わせる必要はない!

 

「なめるな!!」

 

空中に居た体勢から身をよじって一気に着地し、わざとコッキングせずに銃を構えて逆に懐へと突っ込んでいく。Vespidが私の方を狙って照準してくるが、突貫してくるRipperとわざと射線が被るようにして攻撃を阻害。

ドスッ、という鈍い感触と共に、銃剣が深々とRipperの腹に突き刺さる。そしてそのままレバーを引き、容赦なく体内で連射。

最初の方は相手もジタバタと抵抗していたが、やがてビクンビクンと痙攣し始め、すぐに動かなくなった。

死体を盾にしながら、私は次の獲物へと襲い掛かっていく。

次に目に入ったのは、怒涛の勢いでこちらに押し寄せてくるVespidとRipperの集団。

 

「分隊()()火器に何やらせてんのよこのScheißkerl(クソ共野郎)ッ!!」

 

先頭の一人に一気に肉薄し、ナイフで首をサックリ。

太陽の光が反射して血のような色合いに煌めくオイルをまき散らしながら崩れ落ちる。

 

「テメェら服従しろ!!」

 

銃剣に突き刺さったままの死体を蹴っ飛ばし、近場に居たもう一人へと叩きつける。その衝撃で相手はたたらを踏み、すぐ後ろで全力疾走していた後続を巻き込んであっという間に将棋倒しになった。

すかさずレバーを引き、転んだ人形どもを足蹴にして掃射していく。

 

「ハハハ、良いわね良いわね最ッ高よねぇ!!」

 

そんな言葉が口から洩れる。

なんか内なる闘争本能が変に目覚めた気がしないでもないが、これでRipperとVespidは全員ダウン。

残されたのはGuardのみとなった。……そういえば一撃離脱って言われてたの完無視してたな、まあいいや。

そんな風に考える私へとハンドガンの弾が幾つか迫るが、

 

「わたっ!? しまった!」

 

それらを避けようとして、地面を濡らすオイルで足がつるり。

そのまま盛大に尻もちをつき、急に姿勢が下がった事で獲物を獲り損なった弾丸はそのまま明後日の方向へと飛んでいった。

不格好丸出しの私へ向けて追撃を試みるGuardだが、やらせるかとばかりに私はたまたま手元にあったVespidの銃を投擲。

幸運なことにそれがほとんどの銃弾を防いでくれ、私に届いた弾も頬を薄く切るにとどまる。

 

「いっ……てぇなクソ野郎!!」

 

やらせはせんぞとばかりに私も反撃。

狙いなんぞ知ったこっちゃない横薙フルオートだが、盾に防御力を依存し過ぎたのが裏目に出たか一見それじゃあ死なんやろと言いたくなるような負傷でどんどん脱落していく。

最終的に残ったのはわずか一人だったが、

 

「──くたばれ!!」

 

その顔面目掛けてナイフを全力投擲。練習どころか知識すら覚束ないぶっつけ本番の一撃だったが、結果として最後のGuardは額からナイフの柄を生やした状態で崩れ落ちる。

こうして、私の生涯通して初の戦闘は幕を閉じたのだった。

 

 

──戦闘終了。

 

【推定命中率】75%

【推定撃破数】Ripper:10

       Vespid:5

       Guard:5

【自軍損害】 きわめて軽微

 

……戦闘評価『S』。

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