学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆   作:夕凪の桜

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暑いんか寒いんかどっちやねん…………


序列戦2日目

1日目の序列戦が終わり、冒頭の十二人はその座を維持した。それより下の場合は少し変動があったらしい。

一位である灰の試合がなかったことから新入生達は尻込みして例年は二十人ほどの挑戦者が十三人に減っていた。

まあ、アスタリスクに来たばかりの学生が何人いても変わらないが、減ったことは大いにありがたい。早く終わるからだ。

 

 

灰の序列戦は二つに分かれており、前半戦は七人、後半戦は六人と二回に分かれている。

そして、その序列戦にあたり、灰は校章破壊によって試合を終わらせるつもりはなく、降参して貰うつもりでいた。校章、薄くてあってもなくても変わらないのが、新入生の場合、間一髪攻撃を回避した時に校章が破壊される可能性があるからだ。

そのため、不完全燃焼で終わらせないようにせめてもの配慮で校章破壊は狙わないようにするのだ。

 

前半戦七人。確かに名乗りをあげるだけあり、新入生にしてはレベルが高く、序列入りするかもしれない可能性があるのが二人ほどいた。

灰の前半戦七人抜きを皮切りに他の序列戦も開始された。新入生に遅れをとることなく皆順当に勝ち星を挙げた。

そして、本日最後の序列戦、灰の後半戦だ。残り六人中に刀藤流の使い手がいるらしいから少し楽しみだ。

 

一人、二人と試合を続け危なげなく勝利を収め、最後の一人、名前は刀藤綺凛。なるほど、彼女が刀藤流の使い手らしい。

 

試合開始位置に立ち、彼女の構えを見る。力み過ぎず程よいリラックス状態を保っている構え、今までの新入生達とは段違いの熟練度であった。

 

(会長から言われてたのはこの子か。初めてなのにここまで落ち着いて集中できるのは流石だな。その剣技楽しませてもらうよ)

 

灰も『雲雫』を構える。一見しっかりとは構えていないように見えるが、対戦相手はその隙の無さに圧倒されることだろう。

 

試合開始の合図がなるとすぐに灰に向かって一直線に突進して上から斜め下に刀を振り下ろす。なぜなら、灰は先手で攻撃してこないが、一瞬でも時間を与えれば絶対に攻撃は通らないからだ。

そして、灰は今までとは段違いの早さに驚く。だが、それだけだ。クローディアから事前に言われていたため何かあると思っていたからだ。

 

(速いだけじゃ、僕の間合いを切り崩すことなんて……出来ないよ!)

 

振り下ろされる剣を自らの刀で巻き取るようにして攻撃をいなし、今までやっていたように後の先を取る形でカウンターをする。

大抵の人間ならそこで試合は終わるがこの子は違った。

無理矢理刀の柄で灰の攻撃を受け止めたのだ。だが、灰の攻撃は速く、そして重い。まだ肉体が完全に成長しきっていない中学生では到底受け止めることはできない。

弾き飛ばされ、大きく距離を空けるがその距離を灰は一瞬にして詰めて、彼女がさっき刀を振り下ろした軌道と全く同じ軌道で刀を振り下ろす。さっきとは違い完全に体勢を崩している状態、決まるのはほぼ確定していたが、次の瞬間綺凛は先ほど灰が攻撃をいなしたと同じ方法で灰の攻撃をいなした。

 

体勢は崩れ、先ほどよりも重い攻撃に完璧にいなすことは出来ないが、それでも攻撃を回避し、灰の間合いから逃れたのだ。

そこで一旦体勢を整えることはせず、再び間合いを詰めて特殊な連続攻撃を繰り出してきた。

 

(これは………!『連鶴』……!まさか中1でこれほどの完成度とはさすが刀藤流の天才剣士か……)

 

連鶴は相手をどんどん確実に追い込んでいく技だが灰は一歩も引かず刀をはじき返す。後ろに下ることを前提に攻撃を繰り出したため間合いがズレてしまい技と技との繋ぎが崩れてしまう。その隙を見逃す灰ではなく、連鶴を完璧に途切れさせたが、予想外なことが一つあった。攻撃を受け止めたのだ。

彼女はわざと隙を見せて灰の攻撃を誘導したのだ。そして、その隙に差し込まれる灰の攻撃の軌道を先読みして防御を成功させたのだ。

 

 

(なるほど、自分の剣に過信することなく、そして、僕の強さを理解している。なるほど、一本取られたな)

 

綺凛からのカウンターをカウンターする攻撃を灰は受け止めることもできたが、自ら間合いを開け、距離をとる。

その瞬間会場がざわめいた。理由がわからない綺凛は困惑する。

 

「ここまで会場がざわめく理由がわからないようだね」

 

試合が始まって灰は初めて口を開く。他の新入生達には何も言う必要がなかったから、これが初めてとなる。

突然口を開いたことに綺凛は驚くが、無言で頷き返答する。

 

「僕は序列1位となってから何回も挑戦を受け、それを正面から、一歩も後退することなく勝ち続けた。でも、君は僕を後退させた。たまに絶対領域と呼ばれる僕の間合いは対戦相手をも支配して吞み込む。だが、その間合いを君は斬り崩したんだ」

 

攻撃は最大の防御と言われるように灰の間合い、絶対領域は踏み込んだ相手を支配し屈服させる圧倒的攻撃により絶対的防御を確立していた。しかし、それを綺凛は破ったのだ。そのことを知っている人間は皆驚く。

 

 

「だから、僕は君を一人の対等な剣士として認めよう」

 

最初までは手を抜いていたという事を認めたのだ。いや、言われなくても分かっていたのだろう。手加減が無ければ秒殺されるだろうと。

 

「行くよ」

 

綺凛は灰から感じる気配が変わったことに気づいた。目を瞑っている灰の剣気に気圧されたのだ。圧倒的と言える剣気は肌を突き刺すような感覚を綺凛に味あわせた。

灰は『雲雫』を納刀し抜刀術の構えを取る。そして、柄を順手ではなくて逆手に構える。これが鳴神流の抜刀術の特徴だ。

 

『鳴神流抜刀術『炎華』』

 

そう呟いた時、刀は神速で抜き放たれた。

『炎華』、16の抜刀術の中で最も重い攻撃を繰り出す技である。そのため、最も遅い攻撃となっている。だが、そうだとしても肉眼で捉えられるものはほとんどいない。灰は攻撃力を落とさず、速さを最大限加速させてこの抜刀術を放つ。

 

綺凛の構えていた刀を吹き飛ばす。そして、刀に振り回されることなく戻ってきた刀を喉元に突きつけられて綺凛は降参する。

こうして灰は序列戦を無敗で終えた。ステージから居なくなる前に灰は綺凛にこう言った。

 

「この後、少し君と話したいことがある。僕はこれからトレーニングルームで少しトレーニングするからそこに来てもらえると嬉しいかな」

 

この試合の時に感じた違和感を拭うために彼女に聞くことにしたが、さすがに大衆の前で公に聞くわけにもいかないので、トレーニングルームに来てもらうことにした。

 

(先にシルヴィとフィーアに遅くなるって伝えとくか、少し長話になりそうだ。もちろん、あの子が来てくれればの話だが………)

 

 




学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆をお読みくださりありがとうございます。夕凪の桜です。

遅くなってしまいすいません。ちょっと本格的に時間がなく、2日に一回ペースになるかもしれません………
自分自身で頑張ってコントロールしながら上手くやっていけたらいいのですが、難しく………

これからも頑張っていきたいと思いますので応援していただけたら幸いです。


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それではまた次の話で
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