学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆 作:夕凪の桜
綺凛を弟子にしてから初めての休日となり灰は女装することになる。朝早くから起きてシルヴィアとオーフェリアに着せ替え人形にされている。着てもらいたい服があるらしかったが、そんなことはなく、二人の私服をどんどん着せられていく。胸の部分のサイズが合わないかと思ったが、そうでもなく目立つほど違和感はなかった。結局、シルヴィアが買ってきた服を着ることになった。
二人のあの満足げな表情を見る限り恐らくただ着せてみたい服をどんどん着せて行ったのだろう。
「よし!これで大丈夫かな」
「ええ、これなら灰だとは思わないわ」
まさか誰もあの鳴神灰が女装して歩いているなど思わないだろう。
二人が自分たちの私服を着せて遊んでいたことに関しては触れないでおく。触れたらいけない気がするのだ。
朝ご飯を食べて髪の色を変えて外に出る。灰は灰色から水色に。シルヴィアとオーフェリアは目立たぬように茶髪にし帽子を目部下にかぶる。灰の女装はまあ、普通の女の子の見た目となっている。
外に出ると3人は並んで歩く。さすがに腕を組むわけにはいかない。二人ならまだしも3人が並ぶとさすがに悪目立ちする。残念ながら二人は腕を組まず灰の近くを歩くことで満足していた。他人から見れば仲のいい3人に見えるだろう。
3人は昼食まではショッピングをして、昼食後は3人で甘いもの巡りなどをしている最中に見知った人物を見つけ、厄介ごとに巻き込まれるのだろうと予想する。
「次はどうしよっか〜」
休憩がてら入ったカフェの外にあるテーブルでのんびりとする。今日は快晴で日差しがちょうどいいため店の仲の席より店の外にある席の方が人がたくさんいる。
ちなみに灰は女装しているときは声を変えて声のトーンを上げている。さすがにいつものままだと、喋っている声が近くの人に聞かれた時に不審がられるからだ。そのため本当の女子のように振る舞うことができる。
まあ、その分ナンパされたが女子3人で恋人同士だとわかるとみんな居なくなった。
二人が口を揃えて『私たちはこの子にしか興味ないから残念でした』『私たち、この子以外はどうでもいいのよ』
などと、言うため聞いてるこっちが恥ずかしくなりそうだった。
「灰の服をもう少し買うとか、どう?」
なんかしれっとオーフェリアが怖いこと言っている気がするが気のせいだろう。うん。
「あ、いいかもね。私たちの服ばっかり買ってたから、今度は灰君の番だね」
もちろん、男物の服だよね?二人とも。そう目で訴えかけると二人とも笑って返してくれたので、一安心すらできなかった。
要は二人とも灰のことを女装させたいのだろう。まあ、女装も悪くない気がするけどなと、思い始めている灰であった。
次の方針が決まったので3人は席を立ち再びショッピングモールに向かう。このアスタリスクには学生が大量に買い物した場合、大型のショッピングモールなどは荷物を寮や自宅に配送してくれるサービスがあり、そのため、この二人は気兼ねなく買い物ができる。それはまあすごい、女子の私服は奥が深いのだ。
午前中に買ったショッピングモールで買い物をすることになり、灰は二人に着せ替え人形にされた。だいたい20から30ほど服を着せられた。そのうち半分以上買い、灰は買った枚数だけ女装させられると思った。まあ、秘密裏に外出する時などに利用させてもらうことになるなだろう。
買い物が終わり、自宅に配送してもらいショッピングモールの外に出るともう夕方になっていた。空は赤く染まり、休日のためたくさんの人が出歩いていたが、今はもうポツポツとしかいない為、二人は灰の腕にくっついている。まあ、人が少ない為灰も受け入れた。
「ふふふ、灰君がまた女装してくれるの楽しみにしてるね♪」
どうやら今日のデートはシルヴィア的には大満足だったらしい。
「最初は恥ずかしがってたのに途中から堂々として、満更でもなかったんじゃない?」
オーフェリアが鋭いところを突いてくる。まあ、確かに途中から慣れてきて若干楽しくなってきたのは絶対に二人には言わない。
「そ、そりゃ、堂々とでもしてないと店員さんに怪しまれるから、さ!」
頑張って怪しまれない様な言い訳をするが、逆にそれが明らかに言い訳してますと言っている様に思えて心配する。
「そう、ならいいわ」
「………………」
シルヴィアからの視線を感じて咄嗟に目線を逸らしてしまう。
(あ………やば、やらかした。これ女装するのが悪くなかったって言っている様なもんじゃん……まあ、いっか、楽しかったのは事実だし)
目を逸らし、二人からの視線がさらに鋭く灰に突き刺さるが頑張って耐える。男として負けられないのだ。
二人の無言の圧力に耐えきるとさっきまでが嘘かの様に、その圧力はなくなった。
(とりあえず、一安心……………すら、させてくれないねの。はぁ、めんどくさい)
「?どうしたの灰君」
「灰……?」
圧力はなくなり、3人で仲良く話していた頃にそれは起こった。
道路の反対側にある緑地公園の方角から何者かの殺気を感じた。自分たちに当てられたものではない為シルヴィアとオーフェリアは気づかなかったが、数多くの修羅場を経験している灰にとって、殺気というものが存在していれば対象が誰であれ感知することは容易だ。
(はあ…まあ、僕たちに危害を加えるつもりのないのであれば放置するか、当事者さんには申し訳ないけど………)
「ううん、なんでもない。勘違いだったみたい」
そう言ったが、二人はイマイチ納得していない様だ。灰が誤魔化す場合2パターンあり、一つは本当にどうでもいいこと。もう一つは二人を巻き込みたくない場合。両者もほぼ同じ様な反応をする為見分けがつかないのだ。
「大丈夫、今回は本当にどうでもいい事だから。安心して」
二人が納得していない様だったので、本当になんでもない事を告げる。
だが、この殺気の対象にユリスが入っていた事が分かり、少し後悔したのであった。
家に帰り、いつも通りの夜ご飯を食べてお風呂に入り、テレビを見ながらイチャイチャしてる頃、クローディアから電話が来る。
「会長?こんな時間になんでだろう。ちょっとごめん、出てくるね」
「はーーい」
「ん………」
二人に了承を取り、クローディアから電話を二階のベランダで出る。
たまに思うのがこの時のオーフェリアは本当に起きているのかが若干疑問に思う。
「会長なんですか?」
少しだけ待たせてしまったが、電話が切れる前に出る事ができた。
『ひとつだけ、あなたにご報告が。ユリスが今日も襲撃を受けました』
その言葉を聞いて歯ぎしりをする。
休日に関しては何も出来ないのがもどかしい。
そして、灰は夕方の緑地公園方向の殺気の対象がユリスなのではないかと予想する。
「会長。もしかしてユリスの襲撃場所って商業区の緑地公園ですか?」
『え、ええそうですが。なぜ分かったのですか?」
その時、一瞬だけクローディアの目が鋭くなったのを灰は見逃さなかった。もしかしたら自分の学園の序列1位が悪事に加担しているのではないかと。
「夕方、買い物の帰りに緑地公園から殺気を感じたので、もしかしたらと」
クローディアの眼差しが疑念を含んだものからいつものに変わり心の中で安心する。この生徒会長だけは敵に回したくないのだ。
「会長。サイラス・ノーマンが一番怪しいです。おそらくそろそろ大きな行動を起こすでしょう。その時に決着を」
『その時には、力をお借りすると思います。私はどうしても立場上動きづらいので』
生徒会長はいろいろな権力がある代わりに自ら色々と事を起こす事はできないため、どうしても力で何かをしなければいけない事があるのだ。その時に灰はよく動いている。
「明日、放課後生徒会室に行くので詳細はその時に」
その言葉でこの通話は終了する。
今日の夜空は少し星が少ない様に思えた。
ベランダから部屋に戻る。シルヴィアの肩に頭を乗せており、いつもとは違った光景で灰が戻ってきた事に気づいた二人は慌てて離れるが、顔は真っ赤であった。そんな可愛い二人と灰は今日も一緒に過ごす。至高の幸せとはこれの事だろう。
学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆をお読みくださりありがとうございます。夕凪の桜です。
女装がしてみたい。改めまして夕凪の桜です。
次回で一巻部分が終わり、2巻部分にはいれるとおもいます!!
毎日投稿、頑張って続けていきたいと思うので、どうか宜しくお願いします。
ちょっと短いですが後書きはこれで。
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