学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆   作:夕凪の桜

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事件は終結へ

シルヴィアとオーフェリアと3人でデートをした翌日。朝から愛おしい二人の作る朝ご飯を食べてから学校に行くという、他の人間に知られたら嫉妬で殺されそうだ。特にシルヴィアのファンに。

 

アスタリスクは基本晴れる事が多いが今日は朝は少し曇っており、少し嫌な感じが否めなかった。雲は灰色だが、どちらかというと黒よりに見える。この様な天気だと昼間はかなり大雨となるだろう。朝から少し気が沈む結果となった。

 

 

予想通り昼間は大雨となったが、これがまた記録的な大雨となりより一層不安は募っていった。

放課後には晴れ、雲ひとつない快晴となったが、嫌な予感がヘドロの様に纏わりついて、灰の心を重くした。

その足取りで生徒会室に向かう。

 

扉を開けると先にいたクローディアが出迎えてくれた。

 

「あら?随分と浮かない顔をしていらっしゃいますね」

 

隠すことなく、沈んでいる顔をしているため、さすがにクローディアに心配された。あからさま過ぎて逆に誰もが心配する様な面持ちでクローディアの対面に座る。

 

「今日の雨、いつもより酷かったですよね?それが何となく嫌な感じがして」

 

クローディアも灰の言った事に同意するかの様に頷き返す。今日の大雨はみんなの気持ちを暗くする。新学期早々これだと、先行きが怪しいからだ。

 

「もしかしたら、今日、ユリスが襲われると?」

 

クローディアは自分の考えを灰に話す。

 

「正直なんとも………。ただ、その可能性はあるけど、まだ放課後直ぐだし、人も多いはず。もし襲うならもう少し後だと思うんです」

 

灰は昨日の一件で少し自分の中に疑念が生じていた。自分の行動が大切な人を本当に守れるのかと。あの時ユリスは直ぐ近くにいた。もし、あの時に気付けていればと。

 

「あなたが昨日のことで思い悩んでいるのはわかります。ユリスは貴方には心を開いているのは事実ですし………」

 

そう、ユリスにとって唯一とも言える友達が灰なのだ。

 

「ユリスにとって貴方は守るべき存在ではなく、対等な存在として見ています。まあ、分かっているとは思いますが……」

 

ユリスが友達を作らないのは、失うのを恐れるからだ。だが、灰は守られる様な存在ではないことをユリスは理解したのだ。だから灰には心を開いた。

 

「知っていますよ………自分が信頼されていることぐらい。でも、なんか気が乗らないんですよ」

「なら、書類の処理を手伝ってもらえませんか?ユリスが色々と破壊したせいで大変なんです」

 

クローディアからのちょっとした気遣いに灰は感謝する事にする。直ぐに作戦会議しないのは灰がより考え込んでしまうからだろう。

 

書類を手際よく処理していく。何回か手伝っていたので慣れたものだ。

その中で気になる書類が目に入る。

 

(………天霧綾斗の純星煌式武装の適性検査結果……『黒炉の魔剣』適合率97%か……なるほど、面白いやつだ)

 

『黒炉の魔剣』4色の魔剣のうちの一本。今までにそれを使用できたものはほとんどいない、強力な純星煌式武装。

おそらくアスタリスクの純星煌式武装の中で最強とも言えるのがこいつだ。それを手なずけたという事は、それに見合った実力があるという事だ。彼はもしかしたらアスタリスクに新しい風を吹かせてくれるかもしれない。

 

 

「私は少し届け物をしてきます。私が戻ってきたら作戦会議でよろしいでしょうか?」

 

書類の処理を30分程しているとクローディアが立ち上がり、届け物があるらしい。

 

「僕も大分落ち着いたので、それで大丈夫です」

 

書類を無心で片付けているとそれ以外の事を考えなくて済み、落ち着く事ができるのだ。灰が大丈夫だと判断し部屋から退出するクローディアの背中を見届ける。

 

(今はまだ星猟警備隊として動いている事になって色々と面倒な事になる……こういう時はこの肩書きは鬱陶しいものだ……)

 

放課後直ぐ起こった問題は学内の問題として処理される。つまり、今灰が動けば警備隊が学園に干渉したとなり問題となるのだ。

 

(…………この事をもし犯人の黒幕が利用して、僕を動けなくさせようとするなら、すでに犯行は始まっているはず………)

 

夜襲撃した場合、確実にユリスを潰しにかかっているとみて間違いはない。いくら自由に動けると言ってもさすがに反応は遅くなる。

逆に放課後はユリスを襲撃した事で灰が出てくる事によって、星導館を潰しにかかってきていると言って間違いない。

だが、どっちが狙いかなどわかるはずもなく、灰は考えるのをやめる。

 

(ほんと、最近は自分らしくないことばっかやっている気がする…………)

 

前まではただ天気が悪いだけで気落ちする事もなく、ただ、自分の道を進んでいた。その隣には誰も居なかったが今では二人。そして、ユリスも入る可能性すらある。すでに自分だけの人生ではないがためにここまで難しいのだろう。

 

(師匠達が大切な人を見つければより強くなれると言ってたけど…………いや、大切なものを守る力、確かに強いけど………)

 

 

シルヴィアとオーフェリアを守るためなら灰はどんな手を使っても絶対に守り抜くだろう。

だが、それは本当に強いものなのかは未だに理解していなかった。灰がこの力について理解するのはもう少し先の事になる………………

 

 

 

 

 

 

 

 

10分ほどして生徒会室の扉が乱暴に開けはなたれる。クローディアはそんな事しないため、誰か他の人が来たのだと思い振り返ると肩で息をしたクローディアがそこにいた。

 

「大変です!ユリスが一人で決着をつけに行ってしまいました!!!!」

「あの……バカ姫が………!!!」

 

最悪の事態だ。放課後直ぐにユリスが決着をつけに行ったとしたら、もうすでにかなりの時が経っているはず………

慌てて駆け出そうと扉に走っていくとクローディアに腕を掴まれる。

 

「待ってください」

「なんでですか!会長!!早くしないとユリスが!」

 

ユリスよりも移動スピードは速い灰だが、さすがにこれ程まで時間が空いてしまうと追付けるわけがない。

だが、今からでも何か出来ると信じて灰は行くのだ。

 

「これを、今のあなたには必要でしょう?」

 

そう言ってクローディアは生徒会に所属する印としてのバッチを渡す。

そう、これが唯一の抜け道。警備隊に所属している灰がユリスの現場に行ったとしても他学園からの糾弾を交わすことができる。

 

「私も後から行きます、先に行ってユリスと綾斗の安全の確保を。そして、黒幕の捕縛をお願いします」

 

待ってましたと言わんばかりにそれを受け取り、クローディアにうなずき返す。

 

生徒会室を飛び出し近くの外へ通じる扉から外へ飛び出す。およそ10階分の高さの扉から一気に飛び出す。5階にも屋上があるので、そこを足場にして更に飛ぶ。星辰量を使い一気に加速し再開発エリアに急ぐ。

 

 

再開発エリアに着くも見渡す限り廃墟しかなく、ユリスがどこに行ったかさっぱりわからない。

 

 

 

「くっそ……どこだ……ここじゃ手がかりがなさすぎる……」

 

すると突然莫大な星辰量が膨れ上がるのを感じる。

 

「この波長………天霧綾斗か…………これほどの星辰量を持っているのか……いや、それよりも彼がいるところにおそらくユリスもいるはず」

 

なぜ彼が星辰量を隠していたかはこの際どうでもよく、今はユリスの救出が先だ。

ここから星辰量を感じたところまでおよそ5分。間に合うかギリギリのラインだ。

 

 

あと少しで到着というところで空から当事者たるサイラスが落ちてきて、同時に先ほどまで感じた綾斗の星辰量が急激に小さくなっていることを感じる。

 

ユリスの悲鳴が聞こえてきたのでとりあえずユリスに任せる事にして、サイラスを片付ける事にした。

 

 

 

 

 




学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆をお読みくださりありがとうございます。夕凪の桜です。

後書きを書く時間がないので少しだけ………

次で一巻が終わり少し日常パートを挟んでから2巻に突入します!

誤字、感想、評価、ご指摘などありましたらお気軽にどぞ!!!!

それではまた次回、お会いしましょう。
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