学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆 作:夕凪の桜
そしたら、投稿出来ませんでした、すいません。
そして、UA10000越えありがとうございます!!!!!!
「最後の最後で詰めが甘い、師匠達にもよく言われたな。だが、まあ、収穫はあったし、今日はこれぐらいでいいか」
収穫がなかった時の場合については誰も知らないが、知ったら絶望するだろうという事だけは言っておこう。
(あの女、魔女かと思ったら純星煌式武装の使い手か?いや、それにしてはそれっぽいものが無かったしどういう事だ?隊長に相談してみるか、それにフィーアにも)
灰はヘルガに相談したい事があると連絡し、オーフェリアには聞きたい事があると連絡した。
二人からはすぐに返事が返って来た。ヘルガは今は本部にいるらしく来てくれれば良いと。オーフェリアは家にいるからいつでも良いとのこと。
とりあえず、灰はヘルガの待つ警備隊本部に行く事にした。
ちょうど巡回警備中のため本部に人はほとんどいなかった。話に機密事項が含まれているため好都合であった。
「すいません。急に呼び出してしまって」
「ちょうど暇していたところだ。気にするな」
ヘルガはそう言って奥にある隊長室に案内してくれた。
(隊長って仕事の時はすごい怖いイメージあるけど、オフの時は普通に良い人なんだよな………)
ヘルガは一部では融通の利かない鬼だとか、言われているらしいが、それは人員の足りない警備隊の現状を加味すると仕方のない事だろう。いまでは灰が入隊してから歓楽街の仕事も減った。
灰は歓楽街で暴れている馬鹿を片っ端から叩きのめした。不良達は、ヘルガはすでに王竜星武祭を二連覇してから月日が流れ、すでにその実力も衰えたと勝手に思い込んでいるが、灰は現役で尚且つ、その圧倒的な力でグランドスラムを達成した事は記憶に新しく、同時に反抗する学生は容赦なく気絶させることから恐れている。そのため、歓楽街は大分落ち着いている。もちろん、マフィアも灰の言いなりなのもある。
だが、どこにいっても頭の悪い人間はいる。そのため、少なからず仕事はあるが、前に比べてかなり減っている。
「隊長。処刑刀について教えてくれませんか?」
灰が処刑刀について言った時、一瞬だけヘルガが目を細めたのを灰は見逃さなかった。つまり、それだけ危険で重要人物だという事だろう。
「もう少し詳しく説明してもらえないか?私も奴の情報は一つでも欲しい」
「わかりました」
灰は朝に会ったフードの女、そして、先ほどの戦闘について詳しく説明した。
「ありがとう。まさか、奴等二人を相手にしてほぼ無傷で生還するとは、流石たね」
ヘルガは優しく笑った。この人は灰の裏事情を知っていたとしても悪用はせず、親身になってくれるので、今回の事も心から心配してくれたのだろう。たとえ、灰が最強の星脈世代でもだ。
「君が言っているフードを被った女はおそらく、『ヴァルダ=ヴァオス』。精神干渉能力を持つ純星煌式武装だ。その中に認識阻害や忌避の能力もある」
『ヴァルダ=ヴァオス』、警備隊の情報システムにもその名は記されていたが、破壊されているとの事だったので完全に盲点であった。
「処刑刀については私の見解が多く混ざっているから、詳しくは話せない。君の権限で閲覧できる情報の中にあるものが全てで、もう少し待って欲しい。だが、少しだけなら話す事もできる」
ヘルガは処刑刀について、情報元となっている事柄を説明してくれた。それだけでかなりの数があるが、一つ一つから採取できる情報が少なく、なんとか情報をまとめているのが否めなかった。
「………これぐらいだな」
「わかりました。………隊長、フィーアを狙っている以上、僕も協力させては貰えませんか?」
彼女を狙う存在を野放しにするほど愚か者ではない。必ず捕まえる、そう灰は心に誓った。
「私としてもありがたい。だが、情報が少なすぎる上に認識阻害や忌避の能力を使われている以上簡単には見つからない。それに、今日君に接触してかなり痛い目を見た事だし、機会は当分ないと思う。すまないね」
「いや、突然の事だったので、大丈夫です。また何かあれば連絡します。長居するわけにもいかないので僕はこれで」
「そうだね、時間も時間だ。学生は体を休めたまえ」
灰がこのアスタリスクでの生活をスムーズに送れている要因の一つにヘルガの気遣いが大きい事は、本人がよく理解している。
灰の仕事も大分気を使って減らしてくれている。ヘルガには感謝しかなかった。
おそらく、ここから家に帰るまでにも時間はかかるため、家に着くのは7時ぐらいになるだろう。
灰は家に帰るまでの間に綺凛からきているメッセージを返信した。
内容は今日の決闘について、負けてしまったが、自分として新しい一歩を踏み出せた事を実感しているとの事。
また鋼一郎は失脚してしまったらしい。おそらく、クローディアが手を回したのだろう。母親を最高幹部に持っている彼女しかできない。
そして、一番最後に紗夜と一緒に星武祭に出る事になったらしい。
そのための訓練をつけて欲しいとのこと。もちろん、了承する。
綾斗とユリスの訓練もあるが、綺凛と紗夜は基礎訓練から始めないといけないので、少し荒削りになるが要所だけを抑える訓練をしようと思う。あとは実戦で成長してくれる事を祈るのみ。
その旨を綺凛にメッセージで伝える。
(なんか、万有天羅みたいな事をしてるのは気のせいだろうか……)
なぜ、このような事を思ったかというと、ネットの記事に『四代目万有天羅になるのは誰だ!』というようなタイトルで書かれていたので少し覗いてみたところ、灰の名前が一番上に上がっていたのを少し引きずっているのである。
実際に灰の教え方はわかりやすく、教えを受けている綺凛はものすごいスピードで成長している。綾斗に負けはしたものの純粋な剣技ではまだまだ綺凛の方が上だ。
「ただいまー」
『おかえりなさい』
上からオーフェリアの声が聞こえる。いつもは料理の途中でも降りてくるのだが、今回は降りてこないという事は、手が離せない状況なのだろう。
二階に上がり、キッチンをのぞいてみるとオーフェリアが炒飯を作っていた。タイミングが大事な炒飯なら手は離せないだろう。
制服を脱ぎ、私服に着替えてからオーフェリアの横に立ち、他の料理の手伝いをする。もちろん、息はピッタリ。
作るものさえ分かっていれば何も言わなくても、欲しいものを欲しいタイミングで渡す事ができる。
最近はメインをオーフェリアか、シルヴィに作ってもらう事は前と同じだが、サラダなどの小物は灰が作る事になっている。
さすがに全部任せるのは段々と気が引けてきたからだ。
食事を済ましてお風呂が沸くまでの間、今日の事をオーフェリアに話す事にした。
寝る前にこの話は空気が重くなる。
「それで、話って?」
こてん、と肩に頭を乗せてくる。綺麗な白髪が首にあたり、少しだけくすぐったいが、今ではその感覚も気持ちいものだ。
「処刑刀って知ってるか?」
「ええ、でも、私は何も知らないの。彼が誰で、何を目的としているか。あの頃の私はただ利用されているだけの存在だったから」
オーフェリアは申し訳なそうに言う。余り表情を表に出さない彼女だが、灰はなんとなく、落ち込んでいるかのように思えた。
これもずっと二人で暮らしているからこそ、分かった事である。
「なるほど………いや、気にするな。もともとそう簡単に尻尾をつかましてくれるとは思ってなかったし」
「……そう、なら良いのだけど」
慰めるためにも、灰は頭を乗せているオーフェリアに を軽く抱き寄せて、頭を優しく撫でる。
無言なのは、そのような無粋なものはいらないという事だろう。
学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆をお読みいただき有難うございます。夕凪です。
はい!という事で2巻分が終わりました!
次の投稿は6月3日と少し空いてしまいます。
間章を投稿する予定です。序章の少し後の話になるので、位置もそこになります。
3日の後は2日置きに投稿する予定です。
これからもよろしくお願いします。
感想評価、誤字指摘、などよろしくお願いします。
それでは次回!!