学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆 作:夕凪の桜
開会式が終わり、ユリス、綾斗、綺凛、紗夜の四人と軽く話をしてから灰は星猟警備隊の仕事に戻った。
いくら人が足りないと言っても少し雑談の時間ぐらいは存在する。
灰は先に会場の外で待っているロイド一等警備正達に合流する。彼らの部隊はどちらかというと年齢の上の層が集まっている。
しかし、だからと言って強さは全盛期から維持していると言ってもいい熟練者達である。
そして、ロイド一等警備正。
本名はロイド・チャルス。
彼は鳳凰星武祭に二回、王竜星武祭に一回出場しており、どちらも好成績を残している。
鳳凰星武祭はベスト4と準優勝、王竜星武祭は準々決勝でヘルガと当たってしまい、負けしてまうもヘルガをかなり手こずらせたほどの実力者である。
青髪の偉丈夫でハルバートを片手で振り回す。二つ名は『
もともと彼は序列には興味がなく、ただ強くなることだけを目標に友人達と切磋琢磨していた。
だが、当時の序列三位に難癖をつけられて快勝、一躍注目の的となった。
その後星武祭に三回出場して界龍を卒業した後は星猟警備隊へ就職。また、彼と一緒に鳳凰星武祭を戦い抜いた戦友であり、彼と付き合っていた、シャーリー・カルテ。こちらは界龍の序列7位。『氷花艶撃』の二つ名を持っていた。彼女も彼と一緒に星猟警備隊に就職。今では彼と同じ一等警備正になっており、ヘルガの秘書役を務めている。
そして、彼女は今はヘルガと共に会場の警備に当たっている。
「すいません。お待たせしました。ロイドさん」
「なに、俺らも全員が集まったのはついさっきだから、気にしないでくれ灰くん」
灰は幹部という立場上一等警備正よりも階級が上であるが、年上の人たちを呼び捨てで話すのは抵抗があり、彼らも灰の懸念を理解していたのか、そこらへんはあまり注意することはなかった。
というよりか、灰は星猟警備隊の他の隊員たちも全て年上であるため一番下の階級の隊員でも呼び捨てで呼ぶことはない。
「さてと、僕たちは外縁部の見回りに行きますか」
全員が集まったことで、灰を先頭としてロイド達が後ろへと続く。十人でひとつの部隊としている星猟警備隊は部隊長として一等警備正、または二等警備正がつくことになっている。そして、ランダム配置で幹部が部隊長の上に着く。その場合十一人で一部隊となる。
有事の際、例えば翡翠の黄昏などの大規模テロ、の場合はまた別の部隊編成となる。
外縁部の見回り隊は六部隊配置されており、等間隔に並んでいる。
メインスタジアムのシリウスドームから外縁部へとまっすぐ続く道を進み、アルルカントの正門付近に六部隊の配置完了を待つ。
それから間もなくして六部隊の準備が完了し、灰達は外縁部を時計回りに周り始める。
各学園との間を約15分ほどかけてゆっくりと歩き進み、それを繰り返す。
ちょうど昼休憩を取る時は三部隊ずつ取り、45分間存在する。お
灰は初日の休憩は星導館の近くで取ることになる。
そして、その途中にある港湾部で灰は懐かしい後ろ姿を見つける。
アスタリスクでは珍しい浴衣を着ており、腰まである長い茶色の髪の毛は、灰のように軽くまとめてあるだけであり、その姿に灰は見覚えしかなかった。
「琴音……か?」
ここにいるはずもない、星脈世代の義理の妹の名前を灰は呼んだ。
だが、灰の小さな声は聞こえるはずもなかったが、灰のことをずっと慕ってきた琴音にはそのような小さな声も聴き逃すことはなかった。
キョロキョロと周りを見渡すと、ちょうど真後ろにいた灰の存在に気づくとこちらに駆け出してくる。
「兄様〜!!!」
そのまま灰に飛びつく。灰はしっかりと琴音を受け止める。
鳴神琴音。
灰の義理の妹で星脈世代。槍をメインに使うが、薙刀、小太刀、弓、など器用に色々と使える。現在は小6で来年にはアスタリスクに来ることになっている。
兄弟がいなかったが、灰が義理の兄となっては兄という頼もしさに惚れ込み、今では重度のブラコンとなっている。灰がグランドスラムを達成したことがさらに拍車をかけている。
髪型は灰の真似事をして軽く結ぶだけにしている。灰曰く、そんなことしないで自由な髪型にしたほうがより可愛くなるとか、
琴音だけがブラコンなわけではなく、灰も軽度ではあるがシスコンが入っている。
シルヴィアやオーフェリアと比べることができないほど大切な存在であり、琴音が小学校でいじめられた時(影で数人からであり、ほとんどの人間は知らない)その主犯格とその親を土下座させるまでに懲らしめたとか、なんとか、小学生相手に大人気ないかもしれないが、妹のためなら問題ないとのこと(シスコン補正)
普段は着物を着ている。なお、灰も実家では着物を着る。
そのため、今日、アスタリスクに来た時も和服ですぐにわかったのだ。
さて、話を現実に戻そうか。
琴音は灰に抱きついたままであるが、一応なりとも灰は仕事中であり、このままは色々とまずい。
灰をよく思わない連中は数あれど、灰に本人は興味すら湧かないが、琴音にそれが移るのはまずい。
「すまんな、琴音。一応なりとも今は仕事中だから、終わったら会いに行くから、それまで待っててもらえないか?」
「はわわ。すいません。兄様。そうですよね、星導館学園の制服を着ていらっしゃらないので、やはり、お仕事でしたか………」
シュンっと、項垂れて灰から離れようとする。大好きな兄の仕事を邪魔してしまったことに対する罪悪感のためであろう。
すると、そんな時、後ろから声がかかる。
「灰くん」
ロイド一等警備正であった。
「すいません。ロイドさん。仕事の最中なのに」
「なに、気にすることないよ。そこの嬢ちゃんも、久しぶりに君に会えてテンションが上がってしまったのだろう。それに、今日はまだ星武祭初日。問題なんてそうそう起こりゃしないさ。だから、久しぶりに兄妹の時間を楽しんできな」
するとそんなことを言ってきた。つまり、仕事は別にないから遊んできていいよということだ。
一応彼らの上司という立場である灰にとって、それはなんとも言えないものであったが、久しぶりに琴音と会えて、ゆっくりと過ごす時間をくれるというのであれば、甘えるしかないだろう。
「隊長には俺から上手くいっておくからさ、お前さんはまだ若いんだ、やりたいことりやるといい」
そう、ロイドは言った。
その言葉に、琴音はパッと目を輝かせる。
「なら、お言葉に甘えさせてもらいますね。ロイドさん」
「それじゃあ、また明日、会場前で」
そこで灰はロイドと別れ、取り出した帽子を目深く被り、カモフラージュをする。
さすがに、星猟警備隊の服のままは色々まずい。
「行こうか、琴音」
「はい!兄様!!」
琴音の嬉しそうな表情を見て、灰は嬉しく思うのだった。
学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆をお読みくださりありがとうございます
鳳凰星武祭に関してなんですが、そこまで注目せずに灰を主軸に話を進めていきます。書いたところでグダるのが目に見えてるので。
文章力が追いつかない………
そして、小説はのんびりと投稿していきますので、これからもよろしくお願いします。
コメント、評価、誤字報告など、お気軽にお願いします。 twitterもフォローよろしくお願いします!! @Yunagi_nozakura