学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆 作:夕凪の桜
夜ご飯も食べ終わり、灰が風呂に入った後、シルヴィアとオーフェリアは一緒に風呂に入る。シルヴィアが居ない時は灰とオーフェリアは一緒に入るわけではない。さすがにそれは二人とも恥ずかしいのだ。というか、三人全員の認識がそうなのだ。いつかは一緒に入りたいと思っている三人であったのだ。
ただ、シルヴィアとオーフェリアの髪の毛を梳かすのは灰の役割である。今日はシルヴィアから先にお風呂から上がってきたので、椅子に座ってもらい、綺麗な紫色の長い髪を丁寧に梳かす。ちゃんと手入れがされているため、櫛が簡単に通っていく。梳かし終わった後も、シルヴィアが満足するまで丁寧に梳かし続ける。この間シルヴィアはほとんど何も話さない。ただ、されるがままになって灰に身を委ねるのだ。シルヴィアは後ろ側から梳かしてもらうことが好きで、オーフェリアははまた違う形で髪を梳かしてもらうのを好んでいる。
オーフェリアが上がってきたため、シルヴィアは椅子から立ち上がりリビングのソファーに移動する。灰に髪を梳かしてもらえる役割は素直に譲るのがこの二人の間での半ばルールになっていた。オーフェリアは髪を梳かしてもらう場合、灰の膝の上に横向きに座って髪を梳かしてもらうのがお好みらしい。大体梳かしてもらう時は灰の心臓あたりに耳を当てて心臓の鼓動を聞くのが良いらしい。それはシルヴィアも同じだ。
二人は奇跡的なことに甘え方が分かれており、シルヴィアは寝るときに心臓の鼓動を聞きたい派であり、オーフェリアは寝る前に心臓の鼓動を聞き精神を安定させてから寝る派だ。もっとも、オーフェリアは髪を梳かしてもらった後はほとんど灰の右手から離れないため、ずっと精神安定状態に入っており、いつでも寝れる状態なのだ。たまにそのまま寝てしまうことがあるのはしょうがない。
お風呂も入り終わり、今はリビングで三人でくっつきながらテレビを見ている。お風呂入った後で体が熱いので、軽く手が触れる程度しかまだ密着していない。
だいたい1時間程すると体も冷めてくるのでだんだんと密着してくる。オーフェリアはいつも通り右手に密着してきて、わざとなのか天然なのか右腕を自らの胸の谷間に挟み込んでくる。シルヴィアと同じぐらいの確かな胸の膨らみがあるオーフェリアは今はパジャマに着替えているため、その感触をよりダイレクトに感じることになる。
灰はこれをされると毎回どういう反応をすれば良いか迷うのだが、大体はスルーすることにしている。
シルヴィアはというと、灰の膝の上に寝っ転がっている。シルヴィアの綺麗な紫色の横髪を丁寧に撫でる。
そろそろテレビのニュースも飽きてきたので、オーフェリアにユリスが今日襲撃されたことを教える。
「そういえばフィーア」
腕に抱きついている状態から顔だけあげて首をかしげる。
「今日、ユリスが屋外で決闘したときに何者かに襲撃されたんだよね」
オーフェリアが微かに驚いた顔をする。今は関わりがないとはいえ親友だった人物が襲撃されたにしては反応が薄い。
「でも、貴方がそう言うってことはちゃんと守ってくれたんでしょ?なら、何も心配ないわ」
オーフェリアはちゃんと信じてるということを強調するためか、さらに腕に抱きつく力を強くする。
「それはまあ、もちろんだけど………」
頭をかきたくなるが、両手が塞がっているので頭を掻くことを諦める。
たまにこういう話をするとオーフェリアはストレートにこういう言葉を言う為、人に信頼されるのがどうにも慣れない灰はこういう言葉に弱いのだ。だが、シルヴィアはそう言う言葉はほとんど言わず、行動で示すことが多い。例えば今、灰に膝枕されている時など、完全にオフモードのシルヴィアを見れるのは信頼されている証だろう。
「でも、リースフェルトさんって確か今回の鳳凰星武祭、優勝候補だったよね?」
シルヴィアが顔を上に向け、その時撫でるのを横髪から前髪に変える。
「うん、ある程度ちゃんとしたペアが見つかれば優勝は確実って言われてる」
星武祭に出場権のない灰と王竜星武祭にしか興味のない二人にとって、次の鳳凰星武祭の情報は最低限しか入ってこない。
「星導館内に外部の人間と取引している者がいるって僕は思ってる」
クローディアはレスターが怪しいと言っていたが、灰はそうは思わなかった。
あの時の星辰量の波長はレスターのものではなかった………。
「闇討ちとかはレヴォルフの領分だけど、今回のことは多分違うと思うわ」
そう、もしディルク・エーベルヴァインなら星武祭に出場させてから棄権させる手法を好むはずだからだ。
「ということは今回はアルルカントが星導館を新作の実験台にでもしたということか………」
三人の持つ様々な情報を組み合わせて今回の件の真相に少し近づく。
「んぅ〜〜〜〜」
するとシルヴィアが軽く伸びをする。
「シルヴィ、疲れてるのならもう寝る?」
灰の腕を堪能しているオーフェリアがシルヴィアに聞く。オーフェリアの表情は眠いのか眠くないのか分かりにくいが、経験上この時間だと若干眠いぐらいだろう。オーフェリアは早寝なのだ。
「うん……ちょっと今日はいつもより忙しかったから眠いかも………」
目を擦りながら小さく欠伸をする。連絡する時間もないほど忙しかったからということは余程の事だろう。
シルヴィアが疲れていることもあり、今日は早めに寝ることにする。時刻は11時前、いつもは12時に寝ている為1時間ほど早い。
ベッドに入ると移動する為に離れていたオーフェリアが再び右手に抱きつき、シルヴィアは頭を灰の胸の上に乗せる。
いつもはここで少しばかしイチャイチャしてるが、今日は二人とも早い。オーフェリアはいつも早いがシルヴィアも今日は早かった。なので、二人の寝顔を少しばかし堪能してから寝ることにする。
(アルルカント………生徒会長の左近洲馬はそこまで実行力のない人物だと聞く……。つまり、もしこのような事をするとしたら派閥のリーダー格の人物……朝、逃げる時の筋肉の動きが通常では考えられないような動きをした……。つまり人形のはず、人形使いの魔術師か魔女のうち星導館にはそのような人物がいないはず………)
クローディアから今回の事件について少しばかし話を聞いていたこととさっき三人で会話したこと、そして警備隊の情報局で見られる情報を照らし合わせ黒幕ではなくとりあえず実行犯を割り出すことにした。
(有力候補のランディーとレスターはまず怪しすぎるからほぼ実行犯ではないだろう。ランディーに関してはもしかしたら関与しているかもしれないが、逆に全く容疑がかかってないサイラス・ノーマン。奴が一番怪しいな………いや、ほぼ確定と言っても良いかもしれない)
心の中でため息をつくと、シルヴィアが少し身動ぎする。左手は空いてるので優しくシルヴィアの頭を撫でる。その寝顔がさらに落ち着いたものになり、安心する。
(守るものが増えるのは大変なことだよ、ほんと。彼女たちを守る為に僕は持てる全てを持って戦い抜こう)
オーフェリアの頭に自分の頭をくっつけ、シルヴィアの腰に手を置きより近くに抱きよせる。
灰も目を瞑り夢の世界に落ちていく。今日は良い夢を見れそうだ。
灰は6時に起きて7時までは早朝訓練をする。近接戦闘をしないオーフェリアは早朝訓練は参加しない。中衛として近距離と遠距離両方をこなす為、ツアーが終わった2日後の朝から訓練に参加している。その為今日はまだ帰ってきて直ぐなので参加はせず、オーフェリアと一緒に朝ごはんを作るのだ。
灰の早朝訓練は地下室で行われる。外に星辰量が漏れ出ないように特別な素材で作られている。上でまだ寝ている二人を起こさない為だ。
自分の体内の星辰量を意図的に暴走させてそれを完璧にコントロールする。単純な様に見えてかなり体に負担を強いるのがこの訓練だ。
最初の頃はほんの少しでもかなり消耗したが、今はそれからは成長したがそれでもまだ少ししか暴走させることはできない。灰はとりあえずこの訓練を続けることになるだろう。
そして、今日はシルヴィアもオーフェリアもいる。数少ない三人が揃う時間を大事にしようと思い1日が始まる。
学戦都市アスタリスク 凍氷の皇帝、歌姫と魔女の絆をお読みくださりありがとうございます。抱き枕に布団を占領されてる夕凪の桜です。
ギリギリ毎日投稿できました………。こういうシーン書くのも苦手で描写が難しい……(もともと描写自体少ないのですが……)
息抜き回を挟み次からは本編に戻る予定です。
そろそろ綾斗と灰が会話してくれるはず………!
明日から授業がオンラインで始まるかもしれないので、気が重いです………。
小説書いて息抜きになるのでこれは続けていく予定です。このペースだと何話ぐらいかかるんだろ鳳凰星武祭まで行くのに………
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