「やれやれ」
さて、『覚悟はいいか?』なんて恰好つけたのはいいのだが自分が今やっていることを考えると情けなくなってくる。
時空跳躍攻撃を防ぎ、シオンでその攻撃場所の特定、その座標への転移まで一通りにこなしたのだが……
近寄ってきた人形を破壊しながら思う。
「……迷った」
この『時の庭園』、 内部構造がかなり複雑なうえにプレシア・テスタロッサがどこにいるのかわからないままに適当に動いたので、入り口すらどこにあったのか分からなくなっている。やはり、なのは達と同じタイミングで突入したほうがよかったかもしれない。
「参ったね、どうも」
周りには、俺に対して襲いかかってきた機械人形たちの残骸に溢れている。これだけ派手に暴れまわっているのだから、そろそろ何か動きがあって欲しいのだが何も起こらないままだ。さっきから同じことの繰り返しで人形が現れては俺に破壊され、残骸をまき散らすという光景が続いている。
「いっそのこと、壁とか床とかをぶち抜きながら進むか?」
危険な発想だが、この状況を打破するには一番いいアイデアのように思えてくる。この方法の利点を挙げていくと、現状の改善ぐらいしか思いつかないのはなんでだろうな?では、逆に問題点を挙げると、壁の先や床の下に何があるかわからない、今以上に人形たちを呼び寄せることになる、なにか重要なものがあっても気が付けない等でどうしよもない。
「やっぱり駄目じゃないか」
こんな思考をしている端でも人形をスクラップに変えている動きを止めない。というか止めたら、あっという間にこっちがスクラップにされる。さっきのを第1案としてこんなのはどうだろうか?
第2案『なのは達が来るのをおとなしく待つ』。これはいよいよもって駄目だろう。そもそも、来るかどうかわからないし、来たとしてもいつ来るかわからない。加えて、何をしていたか尋ねられるだろう。その時に、勝手に突入した挙句、迷ってましたでは話にすらならない。
「ん?」
唐突にだが、人形以外の気配が近づいてきていることが分かる。ようやく、動きがあったかと思う反面、その気配が人間っぽくないことも気にかかっている。人間なのに人間ではないという感じだ。
「まあ、実際に会えば分るだろう」
気配がする方に向かって行く。すると、
『ここら辺で暴れてるのは誰よ?』
という声が聞こえたのでそっちを向くと同時に驚愕した。
…
……
…………
………何だ!?アレ!?
Side 衛宮
志希が雷を防いでから、僕たちはアースラへと戻り、次に起こるであろう事態に備えて準備していた。けど、このままいけば、僕たちの出番はないだろう。アースラには武装局員が何人も詰めているし、既にプレシアのいる時の庭園の座標も分かっている。
「志希君はどこにいったのかしら?」
「わからないです」
リンディさんに尋ねられ、正直に答えた。いや、本当にどこで何をしているんだろう?一番大切な時に現場にいないような人間じゃないのに。ユーノやなのはにも視線を向けて尋ねるが、首を横に振られた。
「ふん、怖気づいて逃げたんだろう」
「武装局員、時の庭園に突入します」
エイミィさんからの言葉によって空気が一変する。緊張した空気が張り詰め、皆が志希のことを忘れ、ディスプレイに注目する。武装局員たちはほとんど何物にも邪魔されず、進んでいく。
「おかしいわね?もっと抵抗の様なものがあっていい筈なのに」
「それだけの余裕がなかったということでしょう」
確かに抵抗が少ないのは気になるが、クロノの言う通りかもしれないし、気にしても仕方ないだろう。
そして、隠されていた部屋を局員が見つけ、そこにあったものに全員が驚愕した。
そこにあったのは、フェイトとよく似た少女が生体ポッドに入れられて浮かんでいる光景だった。その直後、
「その子に近づかないでもらえるかしら」
という声と共に雷が局員を襲い、全滅させた。
「エイミィ!武装隊を今すぐこっちに転移させて!」
リンディさんの指示によって局員たちが画面から消える。その間にプレシアはポッドのほうに近づいていく。
「フェイト、あなたは『アリシア』の代わりなのよ」
突然の言葉に思考が停止しかける。全員がプレシアの言葉に呆気にとられ、呆然とする。
「私の最愛の娘、アリシアの
やめろ。
「だから、人形として使うことにしたの。ジュエルシードを集めるために」
やめてくれ。
「でも、もう要らないわ。役に立たない人形は必要がない」
それ以上言うな。
「さようなら、役立たずのお人形」
その言葉が放たれると同時にフェイトが崩れ落ちる。誰も何も言えなかった。あの上條でさえ、言葉を発していない。それほどの衝撃があった。だが、同時に僕は怒っていた。
役に立たないから棄てる?人間を?今まで、自分のために必死になっていた子を?それは許されない。そんなことが許されてはいけない。だから絶対に―――。
「私はアリシアと一緒にアルハザードに行くわ。アリシアのために」
その言葉に僕を押さえつけていた何かが焼き切れた。そして、その熱に促されるままに感情を露わに――
「「「「!?」」」」
――せずに驚愕した。
突然、プレシアの正面の壁が崩れ落ちたのだ。壁が崩れたことによって巻き上がった煙によって壁の向こう側は見えない。そして、その向こうからよく知っている声が聞こえてくる。
「『親の心、子知らず』とはよく言ったものだが、逆もまた然り、『子の心、親知らず』ってのも成り立つと思うんだよな、この状況は。ああ、つまりはこういうことだろう?
徐々に煙が薄れ、そこには僕たちの友人、遠坂志希が立っていた。
久々すぎる投稿パート2
申し訳ないです。
わかりやすく七夜成分を少しだけ混ぜてみました。銀髪が黙っている理由ですが、プレシアの迫力に完全に呑まれています。武装局員の妨害が少なかった理由は志希が迷って壊しまわっていたからです。