今日は、海鳴にある温泉へ行こうということで、大人数で移動中です。
今回は高町家と月村家に加えて、アリサ、衛宮、俺で行動している。
車には男女で別れて、乗っているのだが俺は隣の奴が気になってしょうがない。別に、腐った意味ではないのであしからず。
俺の隣、そう衛宮は今にも吐きそうな顔色をしている。
何でも、車に関してはかなり弱いらしく30分程度なら問題ないがそれを超えると途端に酔ってしまうようだ。
現在、車に乗って出発してから2時間が経過しており、着くまでには後30分近く、かかるらしい。
途中で、休憩なんかできる場所なんかないため車内は緊張に満ちている。
正直、気が重い。何故なら、戦闘職の色が強い士郎さんと恭也さんがもっとも警戒しているからだ。
というか、この車内は俺を含めて4人しかいない。
この空気何とかならないだろうか?ならないよな。早く、できればこのまま何事もないまま着いてほしい。
結局、衛宮が車内で吐くことはなかった。旅館に着いた途端、トイレへ駈け込んで行ってたが。
そして、俺はみんなが温泉へ入ると言ってる中一人、部屋で休んでいた。さすがに、あんな緊張感の中に長く居れば疲れる。温泉へ行く気力も失せるほどに。
ちなみに、元凶と俺の疲労原因の二人、計三人は何事もなかったかのように温泉へ行った。
夜に一人で入ることにしよう。
そういえば、ユーノはどうなったんだろうか?アイツ、確か男じゃなかったけ。まあ、どうでもいいか。
みんなが温泉より帰ってきて、夕食をとることになった。普段、自炊している俺からすれば、かなりおいしく感じる。
今回の旅行はかなりいい休息になりそうだと思った。
まあ、俺の考えは甘かったわけだが。この時の俺が知るはずもない。
Side 衛宮
僕には温泉に入るときに、女湯へと連れて行かれるユーノ(念話で助けを求められた)を救えなかった。
志希は車で僕が迷惑をかけてしまったことにより、休憩中でどうしようもなかった。
温泉から戻ってきたユーノは、しばらく放心していた。
そんなこんながあって、僕たちは、夕食を取った後しばらくしてから眠ることになったのだが。
男女が一緒に寝るというのは倫理的にどうなのだろうか?
おかげで、緊張して眠るに眠れない。
そういえば、志希はどうしたのだろうか?食事の後から姿がみえない。まあ、彼なら大丈夫だろう。それを信用できるくらいには志希のことを知っている。
温泉から出て、なのは達と合流してから出会った女性のことについて相談したかったのだけど、いないのなら仕方ない。
彼女はいきなり、僕たちに絡んできたかと思うと念話で警告を残していった。ユーノが言うには、恐らく誰かの使い魔だということなんだけど。
僕には金髪の子の仲間のなのか、それとも第三勢力が出てきているのか判断がつかない。
[二代君、起きてる?]
[起きてるよ、どうかしたのかい?]
なのはから念話がきたので一時的に考え事を中断する。
[私ね、あの子のことが気になるの]
あの子というのは恐らく、なのはを気絶させた少女のことだろう。
[なんで?]
[どうして、あんな悲しそうな目をしてるのかなって]
なのはから見た彼女の印象は僕にはいまいち、彼女の目を直接、見たわけではないからわからないけど。なのはが言うのならそうなのだろう。
[今度あったら、聞けるといいね]
そう僕が答えた時、ジュエルシードの気配を感じた。
[なのは!二代!ジュエルシードだ]
ユーノが言ってくると同時に僕は行動を起こしていた。
アリサとすずかが静かに眠っているのを確認。起こさないように布団から出る。それと、同時に念話で志希に事態を告げる。
[志希!ジュエルシードが出てる!]
その念話に対して、僕となのは、ユーノに念話が返ってくる。
[気づいてる。だが、今回俺は無理だ]
この返答にはさすがに驚いた。
[どうしたの?]
なのはが尋ねるが、返ってきた答えは予想外のものだった。
[酔った士郎さんと桃子さんに捕まって延々と惚気話を聞かされている]
[はい?]
思わずこう返してしまうのは仕方ないだろう。
[だから、のろけられているんだ。]
[抜け出せないの?]
なのはがそう尋ねるが。
[無理だ。何度か試したが士郎さんに阻まれた。]
[大変だな]
[一瞬でも気を抜いたら、砂糖をkg単位で吐きそうだ]
どれだけ、甘い話を聞かされているのだろうか。とりあえず、自分でなくて良かったと思ってしまった。
[えっと、ごめんね?]
なのはが非常に申し訳なさそうに謝る。
[気にするな。やるべき事をやってくれ]
今、する事はジュエルシードの封印を行うことだ。彼に対する同情は後でもできるだろう。
そう思うと僕はなのはと共に旅館を出て現場に向かった。
Side 志希
二人から解放された時にはもうすべてが終わっていた。どうやら、フェイトが出てきて、なのはと戦闘。
ジュエルシードを懸けていたらしく、今回発動したものとは別にもう一個持っていかれたようだ。
衛宮の方はオオカミと再戦したが、時間稼ぎに会いなのはが負けると同時に撤退されたらしい。二人ともかなり落ち込んでいたから、フォローはしておいたが大丈夫だろうか?
そして俺はというとようやく温泉へと入っている。あんな甘い話をさんざん聞かされて簡単に眠れるわけもなく、気分転換も兼ねてこっちに来ている。
「露天風呂があるのか。一応、行ってみるか」
どうも、最近俺のうっかりが覚醒しているようだ。ついぞ、『混浴』と書いてあることに気付かなかった。
「意外と気持ちがいいな」
露天風呂の感想である。たまに吹く風がとても心地よい。
しばらく、浸かっていると露天風呂に通じているドアが開く音がした。
こんな時間に入る人がいるのか、珍しいな。いやまあ、俺もだけどさ。入ってきた人が湯に浸かって、こちらに向かってくる音がする。
誰かは湯煙でよくわからないが、挨拶ぐらいはした方がいいかもしれないと思っていたら、目の前に現れたのはフェイトだった。
「は?」
「え?」
え?なんで?どういう事だこれは?ここは男湯ではないのか?じゃあ、フェイトが間違えて入ってきたのか?それとも、俺が間違えて女湯に?それじゃあ、ただの犯罪者になっちまう!いや、待てよ。実はフェイトが男という確率も?さすがにそれはねぇよ!
思考が混乱している。フェイトの方は見事に俺を見て固まっている。とりあえず、現状を打破するために話しかけてみる。
「あ~俺が間違ったのか?」
この言葉にフェイトも我に返ったようだ。
「ううん、入ってくる時に『ここは混浴です』って注意があったから」
まじか。
「見落としてた」
若干、落ち込む。
「ごゆっくりどうぞ。俺は出る」
「別に出なくてもいいよ」
「なんでだ?」
「私も注意不足だったから」
「そうか」
「志希もここに来てたんだね」
「あいつらと一緒に来たんだよ」
「そうなんだ」
「……」
「……」
それっきり、互いに沈黙してしまう。尋ねた方がいいことはあるはずなのに言葉が出てこない。そのまま、数分が経過する。
「俺はもう出るよ」
「うん、それじゃあね」
「前にも言ったが、また会うことになるぞ」
「うん」
これを最後に俺は露天風呂を出て行った。
肝心な時に何も聞けない自分が嫌になるな。微妙に自己嫌悪する。
翌日、旅館から帰るときになのはが妙に元気がないのが気になった。
よくある展開パート2です。
こういう風な展開が嫌いな人もいると思いますが、勘弁してください。