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第2鉱山でジムリーダーのカブと出会ったアスベルは、その第2鉱山を抜けて少し進んだ先にある、エンジンシティに到着した。
「多分ホップのことだ、先にホテルに入って寝ちゃったんだろうな……」
ホップの姿がすでにないことから、今日は早寝早起きをして、明日の朝一番にエンジンスタジアムに向かい、カブに挑むつもりなのだろうと推測するアスベル。 とはいえ、自分も今日はもう他にやることはないので、とりあえずホテルにチェックインでもするためスボミーインに向かう。
「あんたは、アスベル選手だよね? 遅くまでがんばっとーね」
「んっ?」
そうしてホテルに入っていったアスベルは、声をかけられる。 声のしたほうをみると、そこにはジムチャレンジが始まったばかりの頃に出会った少女・マリィが立っていた。
「キミは……マリィだったね」
「あたしのこと、覚えててくれてたん?」
「これでも、記憶力には自信があるんだ」
そう簡単に言葉を交わすと、マリィはふとあることを思いつきアスベルにある提案をする。
「そうだ、あんたちょっと付き合ってよ」
「付き合う? なにに…?」
「ポケモンバトル」
まさかここでポケモンバトルの申し出をされると思っていなかったアスベルは、きょとんとした。 そんなアスベルに対し、マリィは自分が勝負を申し込む理由をアスベルに教える。
「あたしもこれから、カブさんに挑もうって思ってるんだ。 だからそこでも通じるかどうか、確かめてみたい」
「そういうことか」
マリィも、ジムチャレンジに挑むポケモントレーナーとして強くなりたい思いが強いのだろう。 彼女がバトルをしたい理由を知り納得したアスベルは頷き、その申し出を受けることにした。
「わかった、やろう」
「おお、やる気満々やね」
「オレも、自分の実力を確かめたいからね。 ルールはどうする?」
「使用するポケモンの数は、2匹。 入れ替えは自由」
「わかった」
そうしてアスベルとマリィはポケモンバトルを行うことにした。 ただその前に。
「じゃあ外にでよう、ここで勝負は迷惑になる」
「わぁっとるよ」
ホテルのロビーから、少し広い場所に移動をする必要があった。
そうして2人が向かったのは、ホテルのそばにある公用のバトルフィールド。 幸いにも今は誰も使ってないようであり、2人は問題なくそのバトルフィールドを利用することができた。 2人が所定の位置に着くと、どこからともなくエール団が現れたが、気にせず勝負を始める。
「負けると不機嫌になるからね………ま、あたしが負ける訳ないけど!」
「悪いが、勝負である以上……手は抜けないぞ」
そう声を掛け合い、アスベルとマリィは最初に出すポケモンが入っているモンスターボールを手に取り、それを投げてポケモンを繰り出す。
「ズルッグ・スタート!」
「オレの最初のポケモンはこいつだ! 頼む、タマンタ!」
マリィが繰り出したのは、あくとかくとうを併せ持つだっぴポケモンのズルッグ、対するアスベルは、道中で偶然ゲットしたタマンタ。
「ズルッグ、ずつき!」
まず動き出したのはズルッグであり、タマンタにたいし強烈なずつきを食らわせる。 その動きはみた目以上に素早く、バトルが始まってそうそうにタマンタに大きなダメージを与えてひるませた。 そんなタマンタにたいし、ズルッグは今度はだましうちを食らわせる。
「タマンタ、アクアリング!」
そこでアスベルはタマンタにアクアリングを指示し、その技の力で体力を徐々に回復させる作戦をとる。 その作戦のとおりにタマンタは自分のダメージを回復させつつ、バブルこうせんでズルッグを攻撃した。
「ズルッグ!」
「たいあたりだ!」
「ずつき!」
たいあたりとずつきが激しく衝突した。 直後にタマンタはバブルこうせんを再び放ってズルッグを攻撃したが、ズルッグはそれにも耐え抜き、だましうちで攻撃にかかった。 この試合どちらかといえば、マリィのズルッグが押している。
「クッ………やはりまだ慣れてないかっ……!」
タマンタは最近ゲットしたばかりであり、アスベルとの交流もともに戦った回数もさほど多くはない。 おまけに、ズルッグに有利であろう技も持っていない。 次のジムリーダーとの戦いでは有利にしておきたいからこのバトルに出してみたはいいものの、焦って見誤ってしまったのかと思ってしまう。
「ズルッグ、そこでずつき!」
「バブルこうせん!」
すぐに姿勢を整え、ズルッグに迎え撃とうと技を指示するが、バブルこうせんはかわされタマンタはずつきをまともに受けてしまう。 それによりタマンタはひるみ、そのままズルッグのだましうちを受けて戦闘不能になってしまった。
「よく頑張ったよ、タマンタ。 戻って休んでてくれ」
「ナイスだよ、ズルッグ」
この勝負では、相手のズルッグが勝利しタマンタが負けた。 アスベルはタマンタに声をかけてボールに戻し、マリィもズルッグを褒めながらボールに戻した。 そのとき、マリィの背後にいたエール団が歓声を上げる。
「強いな、キミは。 ここまできたのは伊達でない」
「当たり前ったい。 あたしだってジムチャレンジャーやけんね。 さぁ勝負を続けるったい」
「ああ」
まだ勝負が完全に終わったわけではない。 もう一つやるべき勝負が残っている。
「モルペコ!」
「バチンキー!」
続けてマリィが出してきたのは常に連れ歩いているポケモン、モルペコ。 たいするアスベルはバチンキーを出して、第2ラウンドが始まった。
「モルペコ、オーラぐるま!」
「うらららっ!」
「受け止めろ、バチンキー!」
オーラぐるまという技でつっこんできたモルペコをバチンキーは受け止め、モルペコをつかんで投げ飛ばすと、そこにえだづきを食らわせてくる。 モルペコの攻撃を受け止めさらに攻撃に発展させるという戦い方をみたマリィは驚く。
「すごいパワー! でも、これはどげんね?」
「?」
マリィがそう口にすると、モルペコに変化が起きる。 あのかわいらしい姿から一変し凶暴な姿に変貌したのだ。
「なんだ!?」
「そこであくのはどう!」
「はっぱカッターでむかえうて!」
突然の変貌に驚きながらもアスベルは冷静に、そのモルペコから放たれるあくのはどうをはっぱカッターで打ち消すようバチンキーに指示を出した。
「でんこうせっか!」
だが相手は攻撃の手をゆるめない。 でんこうせっかでバチンキーにダメージを与えてきたのだ。 その直後にモルペコは本来の姿に戻り、そこで10まんボルトを放ちバチンキーにさらにダメージを与えてくる。
「麻痺はなかったか……!」
「そこがねらいだったんだな……」
不意打ちついでに麻痺をねらって、バチンキーにでんき技を放ったのだろう。 そんなマリィの作戦に気付きつつアスベルはバチンキーに、えだづきを指示してダメージを確実に与える。
「そこだ、バチンキー! ダブルアタック!」
さらにバチンキーはダブルアタックを繰り出し、モルペコを攻撃する。 それによりモルペコは大きなダメージを受け、アスベルは今がチャンスだとにらみバチンキーにはっぱカッターを指示した。
「うらららっ!」
「モルペコッ」
そのはっぱカッターが決め手となったようであり、モルペコは戦闘不能。 この勝負はバチンキーの勝ちとなった。
「結構、やるじゃん……!」
「やったな、バチンキー」
マリィはモルペコにおつかれと声をかけながらボールに戻し、アスベルもバチンキーをほめてボールに戻した。 その直後。
「あっ!?」
「!?」
アスベルの眼帯めがけて泥団子が飛んできて、アスベルの顔の左半分が泥まみれになる。
「………あ、アスベル…………」
「………………」
「よくもマリィを負かしましたねっ!?」
「しかも片目かくして、ハンデあるけどがんばってますよアピールしちゃって! かっこつけてるんじゃないか!?」
「片目なんか隠してないで、堂々と両目あかして勝負をしろ!」
「あんたらっ」
やりすぎだと、マリィが注意をしようとしたそのときだった。 エール団に投げられたものをアスベルは投げ返して、それがエール団の一人の顔に命中した。
「なにをっ………」
「失せろっ!!」
「……ヒィッ……」
アスベルが鋭く睨みつけて、冷たい怒声を浴びせるとエール団は一斉に震え上がり、走って逃げていった。 しばらくエール団が立ち去っていった方向をにらみつけていたが、そばにいたマリィの存在と、彼女が呆然としている現実に気づき我に返る。
「あ……す、すまない………」
アスベルは、マリィにたいしすぐに謝った。
「…………」
「…………」
バトルで気まずい空気になってしまった、それはバトルの結果は関係なく、単純にエール団の存在が影響している。 特にマリィが顔をうつむかせているのは、勝敗よりもその存在のせいなところがあるだろう。
「…………えっと……せっかくだし、一緒に夕食を食べないか………?」
「………それもよかね………」
そんなマリィの心情を悟ったアスベルは、気晴らしになればと思いマリィを夕食に誘う。 その誘いにマリィものり、ホテルの近くにあったハンバーガーショップを2人で訪れた。
「人が多いな…」
「まわりをみると、お客いっぱいだし……席をとるのも難しそう。 相席したほうがいいね」
そういってマリィは自分の注文するものを頼もうと財布をとりだしたとき、アスベルがそれを静かに制止する。
「アスベル?」
「奢らせてくれ、さっき怖いところを見せた詫びに…」
「………」
そう申し訳なさげに告げられたアスベルの言葉に対し、マリィは黙ってうなずいた。 そうして二人でハンバーガーセットを購入すると、同じ席についてそれを食べ始めた。 食べ進めていく中で、マリィはアスベルに対し思っていたことを口にする。
「そういや……」
「ん?」
「あの、ホップって子とあんた………仲が随分といいね」
アスベルとホップが仲がいいことは、初めて会ったときから思っていた。 そのことを話題に出してみると、アスベルは小さく笑って語り出す。
「ああ、ホップはオレの親友だし、一緒に育った………義理の兄弟みたいなものなんだ」
「一緒に育った…?」
マリィにたいしアスベルはうん、と頷くと自分の過去をはなした。
「オレは………ずっと小さい頃…………死にかけの状態だったところを、ホップとダンデさんに見つけてもらって……そのまま手当を受けた。 その後、二人で自分のご両親にかけあってくれて……オレを家族に迎えてくれたんだ」
「そうだったの!?」
ここで初めて知った、アスベルの過去。 それにたいしマリィは驚きを隠せない。 アスベルは左目にそっと手を添えつつ、この左目について語る。
「この左目も、そのときに失明をしててね……今も傷跡が残っているんだ。 それは決して、他人には見せられない………だから、眼帯ははずせない」
「今は……痛まない?」
「ああ、もう傷がふさがってるからな。 とはいえ………さっきも言ったように、もう目としての機能は死んでいる………」
だからあのとき、眼帯にふれられることを激しくいやがったのだ。 彼があそこまで過敏になり、他者を敵と見なし拒絶し、睨みつけて抗議をする理由をマリィは知り、納得してしまった。
「この目の傷のせいで、オレは……死んでいたかもしれない。 もし彼らがオレを見つけ……救ってくれなかったらと思うと、今でもぞっとするんだ………」
「それは……誰でも怖いよ。 あんたは少しスケールが違うけど………」
「うん、そうかもしれないな」
マリィの言葉にアスベルは苦笑して返し、マリィはアスベルにとってダンデやホップがどれほど大きな存在であるかを知る。
「じゃあ……あんたは、あの子とチャンピオンのこと……ホントに大事に思ってるんだね」
「大事さ。 尊敬もしているし…感謝もしている。 2人ともオレの…大切な人だ」
そう言いアスベルは真剣な表情になりながら、ジムチャレンジへの思いをマリィに打ち明ける。
「だからこそ……オレは、このジムチャレンジで成績を残したいし………誰にも負けたくない。 彼らに報いるためにも、強くなりたいんだ………」
「…………慕える相手がいるって、ええことったいね」
「そうだな…」
マリィのその言葉にたいし、アスベルは穏やかに笑ってそう返す。
「さて…お互いにもう帰って寝て、休むとしよう。 明日、大事なジムバトルだからな」
「そうだね」
そう言葉を交わしつつ、アスベルは夜に女の子一人では危ないからといってホテルまで同行し、互いにチェックインして別々の部屋で寝ることになったのであった。
「アスベルにも、強くなる理由あるんね………本気で………大切なもののために、強くなりたいって思ってる……………。 …………そして、あたしも…………」
アスベルの思いを通して、マリィもまた、ジムチャレンジに挑む理由を思い出していたのだった。
次回は3番目のジム・カブさんとのバトルをお届けします。