そして話の焦点は、どちらかといえばホップにあたってます。
そして、ここでもシールド限定であるはずのキャラクター登場。
土砂崩れにより一時的に行方不明になっていたホップは発見され、アスベルは彼の救出に成功した。 そのホップを連れてナックルシティに帰ってきてみると、アスベルを探していたというキバナに早速遭遇する。
「やれやれ……とんだムチャをしてくれたな。 もしお前達2人になにかあったら、オレ様がダンデにシバかれるところだったぜ……」
「すいません、キバナさん」
「……ま、お前達どっちも無事に帰ってきたことだし、今回は死人も0だからな。 お咎めなしにしてやるよ」
キバナには少し怒られたものの、ホップもアスベルも無事に帰ってきたことで丸くおさめてくれた。 ホップはすぐに病院へ連れていかれ、医者から適切な処置を受けた。
「これなら、3日間は安静にする必要がありますが……すぐによくなりますよ」
「ありがとうございます」
そう医者に告げ、ホップは病院で3日ほど世話になることになったものの、すぐに回復することがわかり、アスベルは安堵していた。
「大事に至らなくてよかったな」
「ああ……おれが助けたあの人も、無事だったってわかって……おれも安心したぞ」
しっかりと包帯を巻かれている足を見つめ、ホップは目を細める。 自分はこうしてけがをしてしまったが、それで誰かを助けられたのならそれでいい。 そう思っているのだ。
「ふっ……」
そんなホップにたいし、アスベルは小さく笑みをこぼした。 そのアスベルの小さな変化に気付いたホップは、首を傾げる。
「どうしたんだ?」
「……あのとき、オレ達も強くなれていたんだな………って感じられてよかったよ」
「たち?」
「そうだ、お前もだ」
アスベルはそう言いながら、ホップに確認をとるかのように問いかける。
「お前はあのとき……自分が弱いからといって、土砂崩れに巻き込まれそうになっていたあの人を、見捨ててたか?」
「……はぁ!? 見捨てるわけがないだろ! 目の前に困ってる人がいるのに、放っておけるかよ!」
「それでいいんだよ」
「…………」
ホップの迷いのない返事を聞いたアスベルは、さらに話を続けていく。
「この調子で、もしまたガラルに困っている人がいたら、助けていけたらいいだろ?」
「ああ! ジムチャレンジは続けるけど……それだけじゃ、困ってる人を見捨てる理由にはならないもんな!」
「それだ」
「え?」
「オレがジムチャレンジに挑んで………強くなりたいと思う理由。 最近になったけど、ハッキリしたんだ」
アスベルは、ジムチャレンジの中で強くなっていくことを決めた理由、そして今後の目標を口にした。
「……オレは、誰かを助けることを……自分の強さにしていきたいんだ。 オレは強くなることで、ほかの誰かを救う力を手にしたい。 かつて弱かったオレを……お前とダンデさんが、助けてくれたように………」
「………あ…………」
その言葉でホップは、思い出した。 10年前に自分と兄が助けた、あの細くて小柄で、傷だらけだったあの男の子の姿を。 その男の子が今、目の前で自分と同じ目線にたって向き合い、話をしていることを。
「………なぁ、アスベル」
「ん?」
そんなアスベルに背中をおされ、ホップも自分の気持ちを打ち明ける。 迷いながらもどこかで感じていた、自分の本当の願いを。
「おれもさ、段々とわかってきたんだ……おれは、ただ最強になるんじゃなくて……アニキと戦いたいって、そして……アニキを越えたいっていう夢が……あることに気付いたんだ……!」
「……ホップ……」
「だから……だから、さ!」
ぐ、とホップは握り拳に力を入れながら、これからどうするかをアスベルに打ち明けた。
「おれ、ケガを治したら……迷わずキルクスタウンを目指すよ。 そして、リベンジをする」
「………」
「それで、次にまた会えたら……おれと、バトルしてくれるか?」
ホップのこれからの道、そしてバトルの約束。 それを聞いたアスベルは力強くうなずいた。
「ああ、受けて立とう!」
「……ありがとう、アスベル」
そうして勝負の約束をしたアスベルは、一足先に進むため、一旦病室を出ることにした。
「じゃあ、オレはもう行くからな。 お前は、ケガをなおすことに集中しろ」
「ああ! がんばれよ」
ホップにそう言われるとアスベルは彼に微笑みかけた後、そこを出て行った。 そうして病室に一人になったホップは、ちらりと自分の側にいたウールーに目を向ける。
「ウールー」
「ぐめめ……」
「……アスベルから聞いたぞ……お前、おれを追ってきたんだな……今回も、おれを助けようとしてくれてたんだな……」
ぎゅ、とホップはウールーを抱きしめる。
「…………ごめん……そして、ありがとう……」
「ぐめめぇ」
「そもそもおれ、ポケモンがいないと……なんもできなかったんだって、思い知ったんだ……」
あの事故に遭遇して一人になった時、強く感じたこと。 自分独りだけになったときのの無力感、ポケモンがいることの頼もしさ。 彼らの存在が自分を進ませてくれていたのだと、ホップはあの瞬間に強く思ったのだ。 そして、今まで自分がウールーを手放していたことにたいする後悔も、彼を締め付けた。
「やっぱりおれ、お前と一緒じゃないと……ダメだよっ! お前と一緒じゃないと、ジムチャレンジに挑んだ意味がない……ウールーがいないと、相棒がいないとっ………」
ホップは旅立ち前の言葉を思い出し、その双眼からぼろぼろと涙をこぼす。
「一緒に頑張ろうとか相棒とか、色々言ってたくせに……ただ弱いって事実を突きつけられて、ボコボコに負けたからって……そんな大事な存在を……手放しちゃった。 そんな、最低なトレーナーになっちゃった……おれ、だけど……」
「……ぐめぇ………」
「そんな、おれでいいなら………また、一緒に頑張ってくれるか?」
ホップがそうウールーに問いかけると、ウールーの身にある異変が生じた。 それは、好意的な異変であり、それが答えであると知ったホップは、涙を流しながら笑みを浮かべ、そっと相棒を抱きしめたのだった。
そうしてアスベルはキバナに、ホップのことをすべて話した後、キルクスタウンを目指して歩き出した。 迷路のような道を登り下りしていき、先へ進む。 先へ進むにつれて、少しずつ冷えてきている気がするが、それで足を止めたりはしない。
「ドラメシヤ、そこででんこうせっか!」
このバトルはダブルバトルであり、相手のポケモンも自分のポケモンも2匹だ。 相手のポケモンはガントルとホシガリス、対するアスベルはゴリランダーとドラメシヤだった。 まずはガントルをゴリランダーでたおし、ホシガリスもサポートを受けながらドラメシヤが戦い、そして倒した。
「よし、初勝利だな」
この勝負がドラメシヤにとって、初めてのトレーナー戦だったのだが、それで勝利することができた。 このことがドラメシヤに自信を与えたらしい、その後のバトルも仲間のサポートを得ながらも勝利し続けていった。
「ドラメシヤ?」
そうしてバトルで連勝を重ねていたドラメシヤだったが、その結果がでたのだろうか。 その体から光を放ち、徐々に大きくなっていった。 そして光の中から、新しいポケモンが姿を現す。
「すごい、進化したんだな!」
目の前で姿を現したドラメシヤの進化系を、アスベルはポケモン図鑑ですぐに調べる。 そこにはせわやくポケモンのドロンチ、とかかれていた。
「ドロンチ、か……」
ドラメシヤと比べると大きくなったし、覚える技のレパートリーが増えた気がする。 これからどう育てていこうかとアスベルが考えていると、ドロンチは偶然自分達の側にいたトゲデマルをひろい、自分の頭に乗せていた。
「ちょっと待て! そいつは違うぞ!!」
「どろ?」
慌ててドロンチの頭からトゲデマルを取り外し、そのトゲデマルを野生に返した。 ドロンチの突然の奇行に驚きつつアスベルは、ドロンチの生態を図鑑で調べる。
「へぇ、ドロンチってドラメシヤだけでなく、小さいポケモンを乗せたがるのか……本当に世話好きなんだな」
「どろぉ」
「だけど、無差別はダメだからな……そのポケモンにも親がいるはず、彼らを困らせてはダメだ」
「………」
アスベルにしっかりと注意されたドロンチは、残念そうに顔を曇らせた。 やはり小さいポケモンと一緒じゃないと、不安で仕方ないようだ。 かといって、適当なポケモンを差し出すわけにも行かない。
「野生のドラメシヤなんて、滅多にいないらしいし……こまったな……もう一度……ワイルドエリアにいくしかないか?」
キルクスタウンにはすぐにでも行かなくてはいけないが、このままではドロンチも落ち着かないし、自分達がドロンチに振り回されそうだ。 どちらを優先すればいいか迷っている間に、ドロンチはまたどこかへ行ってしまった。
「ってあれ! いない!?」
「ウホホホ……」
「ゴリランダーも心配か? そうだろうな……」
また、適当なポケモンを拾って頭に乗せているのではないか。 そう思い心配しつつドロンチを探すと、ドロンチの方から姿を現した。
「ドロンチ! どこにいってたんだ? 探した……ぞ……?」
今のドロンチの姿を見て、アスベルは徐々に言葉を失い、ポカンとしていた。
「うそだろ……」
しっかりとドラメシヤを頭に乗せながら、ドロンチが現れたのだ。 ドロンチも、頭に乗せられたドラメシヤも上機嫌だ。 いったいどこから見つけてきたのかは不明だが、2匹とも機嫌がいいのならそれでいいか…とおもい、アスベルはそれ以上なにも言わなかった。
そうして仲間の進化を見届けたアスベルは、さらに先へ進んでいった。 気付けば日付ごと時間が変わっていたのだが、アスベルは気にせず進んでいた。
「さっむ」
8番道路に入ったとき、寒さがアスベルに襲いかかる。 周囲を見てみると雪が積もっていて、銀世界がそこに広がっていた。 その景色を見て、この地域には雪が降っているのだと知ったアスベルは、ポツリとつぶやく。
「………雪………雪、か…………」
「うほぉう?」
「……ん、いや……なんでもない」
ゴリランダーは、アスベルの様子がおかしいことに気付きアスベルの顔をのぞき込む。 そんなゴリランダーにたいし、そうほほえみながら返すと、アスベルは目の前に町が見えたのに気付き、そちらへ向かう。
「ここが、キルクスタウンか」
雪に覆われている町、キルクスタウン。 アスベルにとってはここが6番目の町だ。 そこでアスベルは、ホップから聞いた話を思い出す。
「確か、ホップが言っていたな……ここのスタジアムを任されたジムリーダーとたたかって、負けて……調整中にあの事故に巻き込まれたって………。 だから、ここのジムリーダーも強いだろうな……」
開会式の日に紹介されたジムリーダーの一人を思いだし、アスベルは対策を考えていた。 ここのジムリーダーはたしか、いわタイプの使い手だったはず。
「ん?」
タイプ相性で有利なポケモンはいるから、あとは戦略だ…と考えながら町を歩いていると、その視線の先でイベントが開催されていた。 数多くの女性が黄色い声を上げるその中心には、サングラスをかけた男性が彼女達に笑いかけていた。 その人物に、アスベルは見覚えがある。
「あれは確か、ジムリーダーの………」
「そ、このキルクスタウンが誇るジムリーダーの、マクワさ!」
「!?」
気付くと自分の隣に、白い服の女性がたっていた。 突然なんだだと首を傾げるアスベルにたいし、女性はマクワの方に呼びかける。
「マクワー! あんたに直接の客人だよ!」
「え、ええ!?」
「………客人?」
その女性に声をかけられたことが原因だろうか、マクワは少し声のトーンを落としつつ返事をした。 そして、女性の側にいるアスベルに気付き、彼がつけているチャレンジバンドに気付くと、呼ばれた理由に納得した。
「おや、それはチャレンジバンド……なるほど。 客人というのは、ジムチャレンジャーのことでしたか」
「ああ……初めまして、アスベル・マクリルです」
「アスベル・マクリル……。 そうか、あなたがチャンピオンの推薦したトレーナーですね。 ぼくがキルクスのジムリーダーのマクワです」
名乗りをあげたアスベルに対し、マクワも名乗る。 そして、アスベルがこの町にきた理由をいいあてる。
「まぁ……ここにきたということは、これからぼくにも挑むってことですよね?」
「ええ、もちろん。 できればでいいですが……今日の午後あたり……挑みにいっても大丈夫ですか?」
「今日の午後、ですか。 それなら問題ないですよ。 ちょうどそのころにはこのイベントも終わってますし、なによりも……ジムリーダーとして、チャレンジャーにはこたえないといけませんしね」
マクワはアスベルの挑戦を受けることにした。 彼の了承を得たアスベルは安堵し、改めて彼にじむバトルの申し出をする。
「では、そのときにお願いします」
「いいでしょう、あなたが来るのを待っていますよ」
そうアスベルには満面の笑顔で答えたマクワは、交流イベントに戻っていった。 そのとき、アスベルの側にいた女性が、マクワに向かって言う。
「きばっていきなさいよー!」
「…………」
ところが、マクワは彼女の言葉を無視していた。 そんなマクワの態度に対し女性はやれやれ、とあきれていると、2人のことが気になったアスベルは彼女に問いかける。
「あの、失礼ですが………貴女と彼ってなにかご関係が……?」
「ん、ああ……マクワはあたしの息子だよ」
「え」
「紹介が遅れたね、あたしはメロン。 元キルクスのジムリーダーさ。 今は身を引いて、息子にその座を譲ってるけど……まだバトルの腕は衰えていないよ」
アスベルに対し自信満々で答えるメロン。 その後も、メロンは自分はこおりタイプのポケモンを得意としていて、マクワは全然違ういわタイプを得意としていること。 そしてマクワはああいうイベントを定期的に開催してはファンとの交流を深めていることなどを話してきた。
「……というわけで、あんたも次のジムバトル……覚悟しておきなっ!」
「は、はい」
そう大きく笑ってアスベルの背中を強くたたき、激励を送ったメロン。 その後ろ姿を見送りつつ、アスベルは立ち尽くしつつ、午後からのジムバトルにたいし気を引き締めることにしたのだった。
「えーっと……とりあえず皆で、挑むか………キルクススタジアムに」
一方、ナックルシティでは、3日間の療養を終え怪我を治したホップが病院をでていた。
「よし、もういたくないぞ!」
医者にも許可をもらい、退院することができたのだ。 ただ、しばらくは足に強い負担をかけることだけはやってはいけない、とだけ強めに言われて。 ひとまず歩けるくらいには回復したので、ホップは町を歩いていく。 目的はもちろん、キルクスタウンだ。
「あれ、ホップ!?」
「マリオン!」
その先でホップは、マリオンと再会した。 彼女のことを知っているホップは、迷わずマリオンに駆け寄る。
「お前もここまできたのか」
「うん、ボクは今アラベスクスタジアムのフェアリーバッジをゲットしたところなんだ。 ホップはどう?」
「……ああ……実は、バッジの数はいま、お前と同じなんだよ」
ホップはマリオンに、今の自分の成績を正直に打ち明けた。 それをマリオンは、落ち着いて聞いた。
「そっか、キルクスのジムリーダーかぁ……たしか、マクワさんだったよね? いわタイプ使いの」
「ああ」
「話によれば、キルクスってジムチャレンジの鬼門なんだってね。 マクワさんは去年ジムリーダーになったばかりだけど、その立場に恥じないくらいに強いって話、ボクもサイトウちゃんから聞いたことがあるよ」
そう話をしていて、ホップはマリオンの立場を思い出す。
「ああ……お前、ジムリーダーがいとこだったな」
「事実を否定する気はないけど、今はそんなの関係ないよ。 ボクはボク……マリオン・ティムっていう一人の人間。 そこにどんなすごい親族がいたとしても、そこにはなんの影響もないよ」
「そっか」
親族の話になったマリオンはふと、顔を少し曇らせる。
「……でも、ボクはキミやアスベルがうらやましい……」
「え?」
「……ずっと前から、そう思ってたんだ。 キミには、普通に家族がいて一緒に暮らせていて……ダンデさんはいつも忙しいけど、いつだってキミを気にかけていた。 アスベルのことだって、キミの一家は家族の一人として迎えている……。 家族として完成されていて、その中にいるキミ達が……ボクにとってはそれだけで、あこがれだった………」
「……マリオン……」
マリオンは小さな頃から、両親が共働きで中々家にいなかった。 そのため基本的に周囲の大人の助けで生活は何とかなっていたが、いつも独りぼっちだったのだ。 その中で彼女が心のより所にしていたのが、幼なじみポケモンのチェリッち、そしてアスベルとホップなのである。
「だから、キミ達を冒涜する奴は……ボクが許さない。 たとえこの体が相手の血で汚れても、許すつもりはない……徹底的にぶっつぶしてやるよ」
「そこまでしなくていいぞ……。 というかまず、お前だと普通にできそうだから、やめてくれ」
マリオンの危険すぎる正義感に対しホップはツッコミを入れつつ、彼女にあることを告げる。
「それに……おれは、もう大丈夫だぞ」
「え?」
「お前にも、心配をかけさせたな……でも、もう気にすることはないぞ。 にしても、お前……結構おれのことを気にしてたんだな」
「ぼ、ボクは別に……! ボクはただ、キミが元気ないと、その……アスベルが不安になるなって思っただけで……」
慌ててホップの言葉を否定するマリオンに対し、ホップは笑っていた。 そのホップの笑いにたいしマリオンは不満げに頬をふくらませるが、ホップは気にしない。
「というわけだから、マリオン!」
「なにがというわけなのか、イミフなんだけど!?」
「早速、おれとポケモンバトルしようぜ!」
ホップはマリオンにそういうと、バトルしやすい広場へと走り出していった。 その足取りは、どこか軽やかだ。
「……ったく、しょうがないなぁ……。 この勝負、受けて立ってあげる!」
そんなホップの姿を見て、あきれて笑いつつマリオンは、彼のバトルの申し出を受けるために彼についていったのであった。
次回はキルクスジム戦をお届けしまーす。
正直、ジムミッションに苦戦して落ちまくりましたー。