今思えば、何故このキャラが人気なのか…ちょっと理由がわからず最近混乱起こしてます。
ダンデ達との、ジムチャレンジを突破するという約束のため、アスベルは今日、最後のジムリーダーに挑もうと決めていた。
「……よし!」
アスベルはグローブをしっかりと手に装備し、眼帯がずれないようにややきつめにしめる。 そして、ナックルスタジアムを見上げる。 ここで待ち受けているジムリーダーの実力や人物を知っているため、アスベルはより緊張していたのだ。
「キバナさん、普段はいい人そうだけど……だからこそ、バトルの腕前もかなりのものに違いないからな。 みんな、気を引き締めて挑もう」
そう自分のポケモンにボールごしに声をかけ、アスベルはジムチャレンジの受付に向かう。
「あなたは、ジムチャレンジャーですね?」
「はい、アスベルです。 この通りジムバッジは7個すべてそろえました。 最後の砦である……このナックルスタジアムに挑戦させてください」
そう言いながらアスベルは、ここまで勝ち上がった証拠であるジムバッジを見せた。 それを確認した受付のジムトレーナーはアスベルの挑戦を許可し、ユニフォームに着替えるように更衣室に彼を導く。
「ん?」
その着替えの際、アスベルは自分の肌に覚えのない傷跡のようなものが出来ていることに気付き首を傾げる。 こんなところに傷を作った記憶はないし、さわってみても痛みはない。
「まぁ、放っておいて問題はないか……他人に見せる必要はないし」
と、呟きながらアスベルは今はその傷跡のことを気にしないことにし、ユニフォーム姿になって再び受付に向かう。 今となってはしっかりと肌になじみ戦う意志が芽生えてくるユニフォーム姿になったアスベルは、ジムトレーナーに言われ、ジムミッションが行われるという宝物庫へ向かった。
「宝物庫………」
その場所を聞いたとき、アスベルは胸の奥に引っかかるものを感じた。 とはいえ、それは以前も同じであり、ジムミッションにたいする緊張感とは別だとおもい宝物庫へ向かう。
「失礼します」
「……きたか……」
一応ことわりを入れながらアスベルは宝物庫に入ると、静かな声が聞こえてきた。 声のした方向を見るとそこには、スマホで情報をチェックしているキバナの姿があった。
「残っているジムチャレンジャーは……ほう? 10人もいないのかよ………」
「あんなにいたのに、もう……!」
厳しい世界だというのは、アスベルも重々承知していたことだった。 だが、そこでその現実を、ここまで残っているジムチャレンジャーの数で思い知らされる。 アスベルの記憶にある、印象に残るジムチャレンジャーは自分を含め、4人だ。 狭くなる世界に、アスベルはつばを飲み込む。
「さて、アスベル!」
「はい」
「キバナ様のジムミッション、説明させていただこう!」
そんなアスベルにキバナは、彼の方を身ながらジムミッションを説明する。
「ルールは、シンプル! オレが鍛えたジムトレーナー3人に、ダブルバトルで勝つだけ!」
それを聞いたアスベルは目を丸くし、戸惑う。 アスベルのそのリアクションをみたキバナは、このルールに怖じ気ついたのかと思っていると、アスベルの方から口を開いた。
「本気でやっていいんですか? タペストリーが壊れたりとかしそうなんですが……」
「そこの心配かよ。 問題はねぇぜ、しっかりとタペストリーはガードしてあるからよ」
バトルに関係のないことを気にしていると気付いたキバナは苦笑しつつ、タペストリーは大丈夫だと伝えつつ、ジムミッションのルールについて語る。
「ほら、ジムチャレンジってめちゃくちゃ厳しいだろ? 当然勝ち残るジムチャレンジャーも少ないんだよ……だからこそ! 勝ち残ったお前のポケモン達が繰り出すすげぇコンビネーションを、たっぷりじっくり見せてもらいたいのよ!」
「そうですか……わかりました」
そういい、アスベルはボールを手に取った。 その姿勢から、アスベルのやる気を感じたキバナはジムトレーナーの一人に声をかけ、彼を前に出しアスベルと試合をさせる。
「いきます! ペリッパー、ヌメイル!」
「頼む! ブラッキー、アーマーガア!」
相手は天候を雨にする戦い方で挑んできたが、アスベルは動じず冷静に勝負を繰り広げた。
「ふぅっ……!」
そうしてキバナのジムミッションを、アスベルはクリアした。 相手は天候でポケモンたちをサポートしつつ強化させ、自分たちを優位にさせていた。 だがアスベルはあくまでも冷静さを保ち、淡々とバトルをして3連勝を決め、ジムミッションをクリアさせたのである。
「次が本番か……」
ということは、だ。 次の相手が彼が戦い打ち倒すべき相手である、ジムリーダーとの勝負である。 ダブルバトルでくるであろうと読んだアスベルは、試合に出す2匹のポケモンを決める。
「じゃあオレの2匹は………うん、決めた!」
そうしてアスベルは、2個のボールを出しやすい位置におき、バトルコートに入場する。 彼と反対側の出入り口からは、キバナが現れ、コートの中心にたった2人は向かい合う。
「さてさて、ようやく戦えるジムチャレンジャーがお前とはな! さすがは、ダンデが見込んだポケモントレーナーということか!」
「……」
「ダンデに勝つ……それがどれだけ厳しいのか。 あいつのライバルである、キバナがたたき込むとしようか!」
そうキバナはアスベルにつげ、自分の戦い方も公表する。
「ジムリーダー・キバナは天候を操るだけでなく、2Vs2の戦いを望む! そう! あらゆる状況に対応できるか、見定める! お前の力、オレが直に試させていただくぞ!」
「……よろしく、お願いします!」
強気な姿勢のキバナにたいし、アスベルも負けじと強く彼を見つめ、そう返した。 そんなアスベルの表情をみたキバナは、鋭く笑うと自分の位置にたち、一気に目つきを変えてきた。
「いくぞ! フライゴン、ジュラルドン!」
「頼む! ゴリランダー、ドロンチ!」
キバナが出してきたのは、フライゴンとジュラルドン。 対するアスベルは、ゴリランダーとドロンチだ。
「さぁついに始まりました、ナックルスタジアムのジムリーダーバトル! ここに待ち受けているのは、ガラルのトップジムリーダー・キバナ! そんな彼に最初に立ち向かうのは…チャンピオン推薦のトレーナー・アスベル選手!」
「うぉぉぉぉ!」
「きゃーーっ!」
こころなしか、女性の黄色い声が多い気がするものの気にしないで勝負をする。
「ドロンチ! でんこうせっか!」
最初に動いたのはドロンチであり、先制攻撃をしかける。 そのダメージはフライゴンが受けたが、キバナは動じずにフライゴンに技の指示を出した。
「吹けよ風! 呼べよ……すなあらし!!」
そう叫ぶと同時にフライゴンはすなあらしを発生させ、それでバトルフィールドを包み込んだ。
「クッ……! やはりそうきたか……!」
キバナが天候を変えてくるのは、想定済みのことだったが、このすなあらしの威力は想定外だった。 その中で相手のジュラルドンがドロンチに向かってりゅうのはどうで攻撃してきたので、ドロンチも同じ技を放ち相殺する。
「フライゴン、ゴリランダーにはがねのつばさ!」
「ドラムアタックで阻め!」
はがねのつばさで向かってくるフライゴンをゴリランダーはドラムアタックで攻撃して阻みダメージを与え、そこにさらにはっぱカッターをたたき込もうとする。 だがそれは、体勢を立て直したフライゴンのかえんほうしゃにより焼き払われた。
「フライゴンはドロンチにかみくだく攻撃! ジュラルドンはゴリランダーにラスターカノン!」
「ドロンチはシャドーボール、ゴリランダーはドラムアタックでむかえうて!」
すなあらしが吹き荒れる中、アスベルとキバナの激戦はヒートアップしていった。 互いに技を衝突させあい、その技がバトルフィールドで弾け飛ぶ。
「まじかよ、あの2人……」
「初っぱなからとばしすぎっ!」
キバナにとってはこのバトルが、今年のジムチャレンジの最初の試合というだけあって気合いが入っている。 そしてアスベルも、ここがジムチャレンジの最後の勝負というだけあって、今まで以上の力を出そうとしているようだ。
「りゅうのはどう!」
「ワイドブレイカーで打ち払え!」
そこでアスベルはドロンチに技の指示を出して攻撃をしかけさせるが、キバナのフライゴンは竜の力を纏った尾を激しく振り回し、りゅうのはどうを打ち消すのみならず、そのままドロンチをも攻撃した。
「ドロンチ!」
「そこでドラゴンクロー!」」
キバナの指示に従うようにフライゴンは追撃のためにドロンチに突っ込み、ドラゴンクローを食らわせた。
「そのまま、りゅうのはどうだ!!」
「なっ!?」
ドラゴンクローが命中したことで戦闘不能になるかと思われた、次の瞬間。 アスベルはドロンチにりゅうのはどうを放つよう指示し、それを至近距離で受けたフライゴンは地に落ちた。
「ドロンチ!」
「フライゴン!」
「おおっと、ここで両者のポケモンがダブル・ノックアウトだぁぁぁーーーっ!!」
アスベルのドロンチ、キバナのフライゴンがここで同時に戦闘不能となる。 予想だにしていなかった展開に、キバナは驚く。
「相打ちにもちこみやがったか……!」
「ただやられるのは、ゴメンなので」
「ククク……いい度胸をしてるじゃあねぇか……! お前も、ポケモンも……!」
アスベルの言葉に対し、キバナはにやりと口角をあげた。 そしてフライゴンをボールに戻しお疲れさんと声をかけると、試合に意識を戻す。 一方のアスベルもドロンチを戻してありがとう、と声をかけていた。
「一匹だけになろうと、勝つのは困難じゃない!」
そう言いキバナは、ジュラルドンにラスターカノンを指示してゴリランダーを攻撃する。 ゴリランダーはそれを受けてダメージを受けるが、倒れることなくジュラルドンに接近してドレインパンチを食らわせる。 そこでジュラルドンはドラゴンクローで反撃し、それに耐えたゴリランダーがドラムアタックで攻撃した。
「ここは、あれで決着をつけようぜ」
「望むところです……!」
激しい勝負を繰り広げ、互いに残り一匹になったことでキバナはアスベルに、提案をする。 その提案に、アスベルはのる。 ここまできたらどう決着をつけるべきか、それを察した観客は一斉に盛り上がる。
「荒れ狂えよ、オレのパートナー! スタジアムごとヤツを吹っ飛ばす!! キョダイマックス!!」
「オレ達もいくぞ……ダイマックスだ、ゴリランダー!」
アスベルもキバナも、いったん自分のポケモンをボールに戻し、それぞれポケモンをダイマックスさせる。 ただし、アスベルのゴリランダーがふつうのダイマックスなのにたいし、キバナのジュラルドンはキョダイマックスである。
「ダイナックル!」
まずはスピードのあるゴリランダーが動き、ダイナックルでジュラルドンを攻撃する。 相性のいい技はジュラルドンに大ダメージを与えたが、それではジュラルドンは倒せない。
「いくぜ……」
相手のゴリランダーの力量を改めてはかったキバナは、鋭く相手をにらみつけ笑みを浮かべると、吠えるようにジュラルドンに指示を送る。
「竜よほえろ! 必殺、キョダイゲンスイ!!」
「!」
それはキョダイマックスしたジュラルドンだけが使える技、キョダイゲンスイだった。 激しい水流のようなエネルギーの流れが一気にゴリランダーに襲いかかる。 この一撃を受けてやられたのかと、アスベルはゴリランダーの名前を叫ぶが、ゴリランダーは大きく体力を削られはしたものの、そこにたっていた。
「おぉっと、ゴリランダー、もちこたえたぁ!」
「ほう……キョダイゲンスイに耐えるとはな……!」
「ゴリランダー、ダイソウゲンッ!」
「その実力を認めて……これで決めてやるぜ! もう一発、キョダイゲンスイ!」
耐えたゴリランダーの気持ちに答えようとアスベルはダイソウゲンを指示し、それでジュラルドンを攻撃するが、ジュラルドンはそれに耐え、再びキョダイゲンスイを放つ。
「ご、ゴリランダーッ!」
その攻撃に2度も耐えるのはムリだったようだ、ゴリランダーはダイマックスが解除されそこに倒れた。 これにより、アスベルが試合に選出したポケモンがすべて戦闘不能になり、両者の勝敗が決まった。
「ゴリランダー戦闘不能、ジュラルドンの勝ち! よって勝者は…ジムリーダー・キバナ!」
「おぉっと、ジムチャレンジャーのポケモンがここですべて戦闘不能になってしまったー! やはりトップジムリーダー・キバナは強かったぁぁぁ!」
「っしゃー!」
このジムバトルに勝利をしたキバナは高く吠えるように声を上げた。
「……クッ!」
その一方でアスベルは悔しげに、そう声を漏らしたのだった。
「今回はオレ様の勝ちだぜ」
「そうですね」
「潔いな」
「結果は結果です、それに文句を言ったって……なにもならないじゃないですか」
「おまけにリアリストかよ」
試合が終わり、アスベルはスタジアムを後にするために着替えた。 っその先でキバナに遭遇し、会話を交わす。 その中でキバナは、アスベルが思った以上にあっさりしていることに気付く。
「………でも、オレはここで倒れません。 リタイアするつもりもありません。 また鍛えて、挑みます!」
「ああ! オレ様ももう一度、お前と戦いたいからな! いつでもこい、相手になってやるぜ!」
「はい!」
それは、アスベルにはリベンジする意志があるからだった。 彼はどんなに追いつめられても、どんな現実をたたきつけられ結果がでても、自分の意志に対してあきらめの気持ちなど抱かない。 彼のそんな一面に気付いたキバナは、彼に対し笑いかけながら、彼が再び自分に挑むことを心待ちにすることにしたのだった。
「キバナさん、おれがきたぞ!」
「お、ついにきたな……ダンデの弟よ!」
「ホップ」
そんなときだった。 おそらく7番目のジムに勝利してきたであろうホップが彼らの前に現れた。 そして、ホップはそこにキバナだけでなくアスベルの姿があったのに気付き彼に声をかける。
「アスベル、お前もここに挑戦してたんだな! ということはトーゼン……」
そう言ってくるホップに対し、アスベルは首を横に振った。
「いや、負けたよ」
「え、アスベルが!? うそだろ!?」
「事実だ」
ホップは、この試合もアスベルが勝っているものだと信じて疑っていなかったらしい。 呆然としながらホップはアスベルに声をかける。
「あ、アスベル………」
「なにを気にしている、ホップ。 オレがリタイアするとでも思ったか?」
「絶対にないな」
「即答かよ」
ホップは、アスベルが簡単に心おれる人間でないことを知っている。 それを思い出したから、今回キバナに負けたからといって、そこでジムチャレンジをやめたりはしないとすぐに気づき、次は自分が挑むと宣言するのだった。
「よし、じゃあ今度はおれが、最後のジムバッジを先にゲットしてやるぞ!」
「はは、お前なら大丈夫だ。 オレも………がん……ばっ………!?」
「アスベル?」
がんばって修行しなきゃな、とアスベルは言いたかった。 だが言えなかった。 それは本人も予想だにしていなかった展開により妨げられてしまったのだから。
「………う、ぐ………っ!!」
「え、あ、あ……アスベル!?」
「おい、どうした!?」
自分のことを心配するホップとキバナの顔と声、そして周囲がどよめく音。 すべて見えてるし聞こえているが、アスベルの中ですべての感覚がゆがみ、狂っていく。 それもすべて頭に襲いかかる鈍器のような衝撃のため。
「……………あ、たま………い…た………ぃ………」
髪がくしゃくしゃになってしまうほどに強く頭を抱え、頭痛を訴えるアスベル。 その間にも彼を襲う頭痛はさらに激しくなっていく。 視界もぐにゃぐにゃとまがっており、正常な思考が働かない。
「……………ぅ…………」
やがてアスベルはその頭痛により意識を保てなくなり、瞼も重くなっていく。 そしてとうとう、彼は意識を手放してしまったのであった。
「アスベル、アスベルー!」
ホップの必死な叫びは、アスベルの耳にはすでに届いていなかった。
ここで負けさせたのは、今後のためです。
主人公だからって勝ちっぱなしが許されるのはゲームの中だけでいいので。
そしてアスベルに異変発生、ここで出す予定は当初からありました。
次回、一部の淑女が喜ぶ展開になります。 ご期待くださいませ。