いい勝負をかきたいと頑張った結果、こうなりました。
チャンピオンカップのセミファイナルトーナメント、その決勝戦。 そこで戦うのは、2人の少年。
「アスベル!」
「ホップ!」
まずは相手の名前を呼ぶ。 そして、少し沈黙をした後、互いに宣戦布告を行う。
「ここで勝って、チャンピオンになるのは……おれだぞ!」
「生憎だが、相手がお前であるからには、オレもお前に勝ちを譲りたくはない……! いくぞ!」
「ああ!」
今はただ、全力で目の前の相手とぶつかりたい。 その気持ちだけでアスベルとホップは互いに向かい合い、相手に向かって声を上げる。
「なんだか今までより、ずっとすごい気迫ったい!」
「2人とも、この瞬間を待ち望んでいたんだ!」
その試合を、マリィとマリオンもまた控え室からモニターで見る。 2人の思いが観客の熱気を呼び、歓声が上がる。
「さぁセミファイナルトーナメント、最後の試合が始まりました! 決勝戦で戦うのは、アスベル選手とホップ選手! どちらもチャンピオンが推薦したトレーナーです! 話によれば、彼らはともに育った……兄弟のような間柄だそうです!」
そう、2人の解説を交えた実況が始まり、アスベルとホップはそれぞれ一番手のポケモンを出す。
「いっくぞー! ウッウ!」
「頼む、ブラッキー!」
アスベルが出したのはブラッキー、一方のホップはウッウだ。 ウッウは先ほどのマリオンとの勝負の際、想像以上の攻撃力を見せたポケモンなので、油断は大敵だ。 まずはアスベルはブラッキーにでんこうせっかを指示して、先制ダメージを与える。
「ウッウ、はじきかえせ! ハイドロポンプ!」
それに耐えたウッウは、至近距離でハイドロポンプを放ち吹っ飛ばす。 かなりの距離をとばされたブラッキーだったが、アスベルがとっさの判断でシャドーボールを指示して壁に放ちその爆風により壁への衝突を免れ、ダメージはあるていど軽減された。
「大丈夫か!」
「ブラッキ!」
「……あのウッウはさっきの試合通りなら、とんでもないパワーを持っている……どうやら、ウソじゃないようだな……!」
アスベルは相手のウッウをみてそうつぶやくが、相手のウッウは攻撃の手を休めない。 はがねのつばさでつっこんできて、再びブラッキーに大きなダメージを与えた。 これにも耐えたブラッキーは、あくのはどうで反撃したものの、ウッウはこれに耐える。
「いっけー! ドリルくちばし!」
ドリルくちばしを、ブラッキーはその身に受ける。 これは効いただろうとホップがにらんだ直後、アスベルはブラッキーにある技を指示してきた。
「しっぺがえし!」
「ウッウ!」
自分が受けたダメージを倍返しする技、しっぺがえし。 これによりウッウは自分の攻撃力の倍のダメージを自分で受けることになってしまった。 これにより、ウッウは戦闘不能となる。
「どうだ」
「いいもん、くれるじゃーねか!」
ホップはウッウをボールに戻した後、アスベルに向かってにやっと笑い、次のポケモンを出す。
「次はお前の番だぞ、モスノウッ!」
ホップが次に出したのは、モスノウだった。 すぐにアスベルはブラッキーにつきのひかりで自分のダメージを回復させ、直後に放たれたむしのさざめきに耐え、反撃でシャドーボールをはなつ。
「いけ、あくのはどう!」
「ふぶき!」
続けてあくのはどうを放ったブラッキーだったが、同時にモスノウもふぶきを放つ。 このおしあいはモスノウが勝ち、ふぶきを浴びたブラッキーは凍りづけになってしまった。
「ブラッキー!」
「そこで決めろ、むしのさざめき!」
凍って動けないところにむしのさざめきをたたき込んだところで、ブラッキーは戦闘不能となった。
「やったぞ、いいぞモスノウ!」
「よくがんばったね、ブラッキー」
ホップはモスノウを褒め、アスベルはブラッキーをねぎらいつつ次のポケモンを構える。
「オレが次に出すは……マルヤクデだ!」
アスベルが次に出したのは、モスノウに有利なマルヤクデだ。 それにたいしホップはまずいかも、と顔をゆがめ、アスベルは容赦なくだいもんじを指示しようとしていた。
「とんぼがえりだモスノウ!」
大技がモスノウにヒットする前に、ホップはモスノウをさげて次のポケモンを出す。
「サダイジャ、いくぜ!」
ホップがモスノウと交代で出したのは、サダイジャだった。 だいもんじが空振りに終わったマルヤクデはサダイジャにたいし、ほのおのうずを放ち、炎でサダイジャを取り囲みほのおのムチを食らわせる。
「そこだ、だいもんじ!」
「甘いぞ! サダイジャ!」
そこに大技をたたき込もうとしたアスベルだったが、そのときサダイジャはすなあらしを起こしてマルヤクデの行動を妨害する。 どうやら先ほどほのおのムチを受けたことで特性が発動したようだ、そのすなあらしでダメージをじわじわと受けるマルヤクデにたいし、サダイジャはストーンエッジを放ってきた。
「マルヤクデッ!」
「マルヤクデ戦闘不能!」
なんと、そのストーンエッジの一撃の前にマルヤクデは一瞬で戦闘不能になってしまった。 相性の問題だったと気付いたアスベルは冷静にマルヤクデをボールに戻し、次のポケモンを出す。
「ゆけ、マンタイン!」
アスベルが次に出したのは、マンタインだった。 マンタインをみたホップはしっかりと相性抜群の技であるいわタイプの技を指示したが、マンタインはアクアリングで体力を回復させ、バブルこうせんを放って攻撃をする。 それにたいしサダイジャはがんせきふうじで攻撃したがマンタインはそれを回避、みずのはどうで攻撃して混乱状態にした後、ハイドロポンプを食らわせて、サダイジャを戦闘不能にする。
「サダイジャ、サンキュー! 次はお前だぞ、バチンウニ!」
サダイジャと交代でそこに現れたのは、でんきタイプのバチンウニだった。 アスベルは不利だと気付きマンタインを下げると、そこにドラパルトを出した。
「バチンウニ、でんじは!」
「まもるからの、ドラゴンアロー!」
バチンウニは相手を麻痺させようとしたがそれは妨げられ、かわりにドラパルトのドラゴンアローを受けた。 それにたいしバチンウニは10まんボルトで反撃し、反撃で飛んできたりゅうのはどうもほうでんで防ぎ、びりびりちくちくでドラパルトにダメージを与えた。
「ドラゴンダイブ!」
そこでアスベルはドラゴンダイブを指示して、バチンウニに大ダメージを与えた。 その一撃に対しバチンウニも再びびりびりちくちくで迎え撃とうとしていたが、ドラゴンダイブに威力負けをし、バチンウニは戦闘不能になった。
「もう一回いくぞ、モスノウ!」
バチンウニを戻したホップは、もう一度モスノウをそこにだした。 モスノウに対しドラパルトはシャドーボールを放って攻撃をしたが、モスノウはそれをむしのさざめきで打ち消す。
「モスノウ、ふぶき!」
そして、ふぶきを放ってドラパルトに大ダメージを与えて弱らせた。 すぐにりゅうのはどうで反撃をしたドラパルトだったが、モスノウはそれに耐えてから、今度はれいとうビームを食らわせて、ドラパルトを戦闘不能にした。
「アーマーガア!」
すぐにアスベルはドラパルトを下げ、かわりにアーマーガアをそこにだす。 それにたいしモスノウは、まずれいとうビームで凍り付けにする作戦にでた。 それをアーマーガアはラスターカノンで相殺し、はがねのつばさでモスノウにつっこんでいく。 元々体力があまりなかったモスノウは、その一撃を受けて戦闘不能になった。
「よし、いったん戻ってくれ!」
その後アスベルはいったんアーマーガアをさげて、かわりにマンタインを、再びそこに出した。
「頼んだぜ、バイウールーッ!」
そしてホップが出してきたのは、バイウールーだった。 マンタインはバイウールーに対しタネマシンガンを放ち、ダメージを与えるがバイウールーはそれをコットンガードで受け止め、すてみタックルでマンタインに攻撃をする。
「マンタイン、ハイドロポンプ!」
「かわせ!」
反撃で出てきたハイドロポンプは回避され、ホップは次に大技を繰り出してくる。
「いけ、ワイルドボルト!」
それはでんき技であるワイルドボルトだった。 その抜群の技を受けたマンタインは、戦闘不能になる。
「マンタイン!」
「マンタイン戦闘不能、バイウールーの勝ち!」
「ありがとうマンタイン、ゆっくり休んでいてくれ! アーマーガア、もう一度……頼むぞっ!」
アスベルはすぐさまマンタインをボールに戻し、かわりにアーマーガアを出す。 アーマーガアは目の前にいる相手をみたとたんに目つきを強くさせ、相手のバイウールーも目つきを変えた。
「はは、こいつらもやる気みたいだぞ!」
「そうだろうな」
バイウールーをみたホップはそう笑いながらいい、アーマーガアをみたアスベルも少し口角をあげた。 お互いに過ごした時間が長いためか、その変化にもすぐに気付くし考えていることもわかるのだろう。
「アーマーガア! ドリルくちばし!」
「かたきうちで迎え撃て!」
ドリルくちばしとかたきうちがぶつかる。 次にアーマーガアが距離を置いてからのラスターカノンを放てば、バイウールーはそれに耐えてアーマーガアに接近ししねんのずつきを食らわせてくる。 次にバイウールーがかたきうちを食らわせたら、アーマーガアははがねのつばさで攻撃をする。 まさに、力と力の激しいぶつかり合いだ。
「これで決める、てっていこうせん!」
アスベルはここでアーマーガアに、はがねタイプの大技を指示した。 これを食らえばバイウールーはひとたまりもない。 誰もがどうなるのだと息をのんだそのとき、バイウールーはホップの方をみてうなずく。
「ああ! つっこむぞバイウールー! ワイルドボルト!」
「ッ!」
ここで攻撃を仕掛けようとしているホップに対し、アスベルは目を丸くした。 バイウールーはワイルドボルトでアーマーガアにつっこんでいく。 そのときてっていこうせんを受けてはいたが、お構いなしだ。
「アーマーガアッ!」
「バイウールーッ!」
そのとき大爆発が起こり、バトルフィールド中に煙が舞い上がった。2人は同時に相手のポケモンの名前を呼ぶと煙がはれ、バトルフィールドには、2匹の倒れたポケモンの姿があった。
「おぉっと、アーマーガアを倒したバイウールーも戦闘不能になってしまったぁぁ!!」
「おぉぉぉぉ!」
「相打ちか!」
「へっ……ここまでやらねーと、お前のポケモンは倒せねぇだろ! 今のお前の面食らった顔も、最高だったしな!」
ホップのストレートな言葉に、アスベルは言ってくれるとつぶやく。 自分でそんな表情の変化に対し自覚がないから、なおさらだ。 いずれにせよ、自分たちのポケモンは、最後の一匹のみとなる。
「泣いても笑っても、ここが最後だ!」
「望むところだ!」
「いっけ! インテレオン!」
「頼む! ゴリランダー!」
ホップがくりだしたのはインテレオン、アスベルがくりだしたのはゴリランダーだ。 まずインテレオンがねらいうちでゴリランダーを攻撃し、ゴリランダーはドラムアタックで反撃をする。
「ドレインパンチ!」
「れいとうビーム!」
ゴリランダーが突っ込んできたところに、インテレオンはこおりの技を放ってゴリランダーの動きを封じる。 そこに、インテレオンは連続でアクロバットを食らわせていく。
「そこで、ワイドブレイカーッ!」
「ゴリランダー、いわくだき!」
いわくだきで氷を打ち砕いたゴリランダーは、いわくだきでインテレオンに反撃をする。 そして、ドラムアタックで攻撃をするとインテレオンはハイドロポンプでむかえうち、なんとか打ち消すことに成功する。
「……ふぅっ! そろそろ、頃合いだよな」
「ああ!」
2人は、タイミングを確信したようだ。 同時にポケモンをボールに戻すと、そのボールを巨大化させて再び繰り出す。 そこから現れたのは、ダイマックスしたゴリランダーとインテレオンだった。
「おおっと、ここで双方ともに、ポケモンをダイマックスさせたぞーっ!」
「おぉぉぉぉぉっ!!」
観客が一斉に盛り上がりを見せる。
「ダイナックルだ!」
そのなかでアスベルはゴリランダーにダイナックルを指示し、インテレオンを攻撃する。 それをインテレオンは受け、反撃にダイジェットを食らわしてくる。 そして、直後にダイソウゲンをゴリランダーは繰り出したが、それにたいしインテレオンはダイアイスを繰り出して打ち消してきた。
「ゴリランダーッ!」
「決めちゃうぞインテレオン、ダイストリームッ!」
ダイアイスによる氷により動きを制限されたところに、インテレオンはダイストリームを打ち込んでくる。 くさタイプでもその激しい水流に押し流されそうになるほどの威力だった。
「打ち砕け! ダイソウゲンッ!!」
そこでアスベルはダイマックス技で追い返すことにし、その技を指示した。 それをきいたゴリランダーはダイソウゲンを力ずくで繰り出して、氷を打ち砕き、ダイストリームを打ち消した。
「ここは、ダイジェットだ!」
「もう一度これで行くぞ、ダイソウゲン!」
ホップは相性抜群のダイマックス技を繰り出し、一方のアスベルはダイソウゲンを繰り出す。 二つのダイマックス技がぶつかったかと思えば、ダイソウゲンが押し勝ち、ダイソウゲンがインテレオンに襲いかかる。
「インテレオンッ……!」
戦闘不能になったインテレオンはダイマックスの状態からとかれ、元の大きさに戻った。 これで、この試合の結果は決まった。
「インテレオン、戦闘不能! ゴリランダーの勝ち! よって勝者は……アスベル選手!」
「おぉぉーっ!!!」
「ジムチャレンジをクリアしたポケモントレーナー達によるセミファイナルトーナメント! 勝ったのは……アスベル!」
勝敗がハッキリして、ホップは悔しそうにしながらも、アスベルに向かって笑いかけた。
「アスベル、サンキューな。 お前がいてくれてよかったぞ!」
「……ホップ……」
「ここまで勝ち進んだんだ、ここからも絶対に勝てよ! もちろん、アニキにもな!」
「ああ……! オレは、負けたりしない!」
アスベルは、ホップに向かって笑いかけ、握手を交わしたのだった。
そして、2人は控え室でいつもの服に着替え、ロビーに出た。 そこは騒がしくなっており、その理由が目の前にいる男性にあると2人はすぐに気付いた。
「ダンデさん!」
「アニキ!」
ダンデは例のポーズを決めており、まわりには彼のファンやカメラなどが大勢いて、それをスタッフが取り押さえている。 ダンデは、2人に歩み寄り、先ほどの試合の感想を口にする。
「アスベル。 感動した……正直に言えば、気付くと涙がこぼれていた。 思えば、森の近くでお前を見つけたときから、本当に大きくなってたんだな」
「……」
「同じ家で育ち、そして旅立ち……最高のメンバーをそろえ、お互いのすべてをぶつけ合う。 勝ちたい気持ち……負けたくない思いを込めた技。 あらゆる要素において、純粋な試合だった!」
アスベルはダンデの言葉に対し、冷静に返す。
「オレは、彼らが大事な存在なんです。 ……どんな理由があろうとも、彼らにただ全力を出して勝負をさせたかった……そこによけいな感情を入れたくなかった。 相手が相手だから、なおさら……本気で答えたいと思った。 それだけです」
「はは、お前達に推薦状を渡すのを迷っていた、トレーナーがいたとはな!」
「それ、アニキだぞ!」
ホップはすかさずダンデにそうツッコミを入れる。アスベルもうんうんと頷いており、ダンデはそれにたいし大きく笑うと、アスベルと試合をするための話をする。
「俺は俺自身と、チームメンバーすべての力を、チャレンジャーにぶつける! 俺の前にたつチャレンジャーが、アスベルであることを心から願うぜ!」
「そうそう、ここからが大変だからな!」
「……そうだな……」
今自分たちが行ったトーナメントは、あくまでチャレンジャーの中から一人だけ先へ進む権利を得るためのものにすぎない。 ここからは、チャンピオンへ挑戦するための権利を得るための戦いをする必要がある。 気を引き締めるアスベルに、ダンデはある提案をする。
「その前に、エネルギー補給だ! 3人で、なにか食いに行くとしよう!」
「え」
「いいけど……アニキ、味にこだわらないからな。 せっかくだからうまいもん頼むぜ!」
そうして、今日は3人で夕食にしようと言う話にまとまり約束をした。 そのときダンデは、ふとあることを思いだし、それもアスベルたちに伝える。
「そうそう! お前達の周辺の手配は、俺が委員長に頼んでおいたから、お前達はホテルのロビーでゆっくりやすんでくれ」
「そうか! アスベルはマスコミが大っ嫌いだからな!」
「ホップ!」
アスベルがマスコミ嫌いだというのを大声で言ったホップを、アスベルがあわてて止めようとする。 その直後にその場が一瞬で静寂に包まれ、アスベルはホップを引っ張ってその場を立ち去ろうとしていた。
「と、とりあえずダンデさん、後で会いましょう!」
「ああ!」
アスベルに対しダンデは笑いかける。 そして、人気のないところでホップを解放し、アスベルは眉をつり上げホップに注意をした。
「ホップ、あんな大声で言わなくたっていいだろ!」
「だってアスベル、昔マスコミに囲まれてすっごい怖い思いをしたんだろ」
「……………」
「お前にとってはそれを思い出すのもイヤだったはずだ、もし今お前にマスコミがよっていったら、あのトラウマがよみがえっちまうじゃん! せっかく活躍したところでトラウマを蘇らせちゃ、ダメだろ。 なによっりもお前、いま疲れてるはずだし! だから、そういうのに関わるのはイヤだって、キライだって、言っちゃったほうがいいぞっ!」
ホップはあくまでも悪意はなく、アスベルのことを考えてああいうことを堂々と言い切ったのだろう。 そんなホップの態度に対しアスベルはため息をつきつつ、彼の行動に対し感想を口にする。
「……まぁ、いいけどな。 もし囲まれたらさっさと逃げるつもりだったし……今頃、お前の発言にショックを受けているころだろうな」
「当分は、おまえに近づいてこないと思うぞ」
そう対話をしつつ、アスベルとホップはホテルのロビーでダンデがくるのを待っていた。 だが、いくらホップが兄を呼びながら空腹を訴えてもダンデが現れることなく、時間だけがむなしくすぎていった。
「おそい、おそすぎるぞ!」
「……ああ……いくらあの人が方向音痴でも、スタッフがいっぱいいるんだから、案内してもらえばいいだけだ。 第一、あの人が約束を破るとは思えない」
「そう! そもそもチャンピオンになったのだって、おれとの約束だったんだぞ!? メシの時間を守るくらい、全然余裕だよな!?」
「………」
「ノイジーなやろうですね」
そう、何時になってもこないダンデにたいし不信感を抱いていると、どこからか聞き覚えのある声がしてきた。 そちらを見てみると、そこにはスパイクタウンのジムリーダー、ネズの姿があった。
「ネズさん?」
「それだけ騒げるなら、試合でもっと全力を出せたよね?」
「悪そうな顔と格好で、まともなこと言わないでよ! ネズさん! こっちはマジメなの!」
「見た目で判断しているんじゃ、お前が勝てないのも納得です」
反論しようにもネズに言いくるめられ、ホップは眉間にしわを寄せる。 そんな2人のやりとりをアスベルは見ており、ネズはダンデの話をする。
「だいたい、チャンピオンならローズタワーにいきましたよ」
「なんだって?」
「どういうことですか?」
「さぁ? よくわかりませんが、モノレール乗り場で会いましたよ。 ローズタワーに行くため約束の時間に遅れると、貴方達に伝えてほしいと」
「ローズタワー……? いまさら、なんかあるのか?」
それも、そんなに急いで。 あまりにも急だし、時間だってかかりすぎている。 時計を見てアスベルは違和感を抱き、こちらをみてきたホップに対し頷く。
「アスベル」
「ああ」
「ネズさん、ついでだからおれ達をローズタワーに案内してよ」
そう、ホップはネズに頼む。 それをみたネズはあきれてため息をついた。
「ヤレヤレ……一言で言うと、人使いの荒い兄弟です」
「………すみません……ですが、オレ達はいかねばならないんです」
「……ま、ファイナルトーナメントがはじまらないと、おれも困りますし……なにより、おれに勝利した、きみ達はキライじゃないですしね」
そして、ネズはにやっと笑って言った。
「わかりました! エール団みんなで、遊びに行くとしましょうか! ローズタワーにっ!!」
「イエイ! ネズさんサイコー! みんなでガンガンいっちゃうぞ!」
そうして、全員でローズタワーへ向かうことになり、ホップもテンションがあがっている。 一方、アスベルはこのローズタワーへの突撃こそが、トーナメント以上の試練だと思うのだった。
「……イヤな予感が少しだけするんだ。 みんな、今日はもう少しだけ、オレに力を貸してくれ。 いいな」
こつん、とアスベルは眼帯に隠された目を自分のポケモンの入ったボールにあてて、そうつぶやいた。
まぁどこかで事件が必ず起きると思っていたから、この展開はある意味では想定内でしたけどね。
そのことについて言いたいことは、少しずつ伝えていきたいと思います。