ポケモンSWSH 黎明の瞳   作:彩波風衣

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ずっと感じてた不穏な予感、ここででましたね。
もう登場人物が皆、やりたい放題ですw


36~陰現れつつある中に~

 

 セミファイナルトーナメントで試合をしたアスベルとホップは、ダンデと夕食をする約束をしていた。 だが、約束の時間になってもダンデはくることはなく、ネズが言うにはダンデはローズタワーに向かってしまったらしい。 なにか不穏な気配を感じたアスベルとホップは、ネズとともにそのローズタワーへ向かうことになったのだった。

 

「マリィ! マリオン!」

「アスベル、ホップ」

 

 そこにはネズが呼んだエール団のメンバーだけでなく、マリオンとマリィの姿もあった。

 

「激しい試合だったからいろいろくたびれとーのに……」

「エール団は、アスベルを応援すると決めたのですよ。 一緒に手伝ってください」

「うららっ」

 

 ネズの言葉に返事をしたのは、ノリノリなモルペコだった。 そんなモルペコにマリィも呆れながらも、仕方ないなと協力することにした。 その横で、マリオンもここにいる理由を語る。

 

「ボクもなんか気になったからきちゃったんだ。 大体の話はマリィから聞いたけど……ビックリしちゃったよ」

「……すまないな、キミまで巻き込んで」

「でも、キミ達をほっとくよりも、ボクも一緒に行った方が安心だからね。 手伝ってあげる!」

「サンキュー、マリオン!」

 

 マリオンの言葉に対しホップは礼の言葉をつげ、アスベルもほほえんで頷く。

 

「美しい兄弟愛、そして友情! ですが、必要はありません!」

 

 だがそのとき、鋭い声がそこに聞こえてきた。 全員がその声の方をむくと、そこには委員長の秘書を務める女性・オリーヴの姿があった。

 

「お、オリーヴさん?」

「ローズ委員長はチャンピオンと、大事な大事な打ち合わせの最中……誰にも邪魔をさせるわけにはいきません!」

「オレ達が用があるのはダンデさんのみです。 手荒なまねはしたくない……おとなしく、彼にあわせてください。 オレ達のことを、委員長に伝えてください」

「……話の分からない人なんですね、アスベル選手は」

 

 アスベルの言葉に対し、オリーヴは冷たいため息をつきつつそう言い放った。 目つきを鋭くさせるアスベルの横でマリオンが、どっちがだよとオリーヴの言葉にこたえる。

 

「もっとも、ローズタワーには関係者しかいけません。 だってモノレールでローズタワーにいくには、キーがいりますもの……。 つまり! ローズ委員長がいらっしゃるローズタワーには! 誰にもいけないのです!」

「……」

 

 アスベルはモンスターボールにふれた。 場合によってはアーマーガアで飛んでいこうと考えているのだ。 そんなとき、オリーヴはある提案をしてくる。

 

「モノレールのキーは、私が選んだリーグスタッフに渡しておきます」

「なんだって?」

「だってローズ委員長は、ちょっとしたお遊びが好きですもの。 普通のリーグスタッフと私のリーグスタッフ……あなたがたに見分けられるかしら?」

 

 それだけを言うと、オリーヴは彼らにきびすを返して立ち去っていった。 ホップは待ってくれと叫んでオリーヴを呼び止めようとしたが、彼女が彼の言葉に応えることはなかった。

 

「ふふふ……私を見つけられるかな!」

 

 そして、オリーヴに鍵を渡されたスタッフは、そう告げて立ち去っていってしまった。 すぐに捕まえようとはしたが、相手はけむりだまを使ったためにすぐにとらえることはできず、けむりが晴れたときはすでにスタッフの姿はなかった。

 

「どーするの?」

「いわゆるピンチですね、ですが、大丈夫です! オレ達エール団のエールで助けてやりますよ!」

「サイコーじゃん! よし、さがすぞー!」

 

 そう声を掛け合い、皆で手分けをして例のスタッフを捜す。 アスベルもそれに参加しようとしたが、マリオンが動かないことに疑問を抱いた。

 

「オレ達もいこう……って、マリオン? どうした?」

「……わっかんないなぁ」

「なにがだ?」

 

 マリオンは、腕を組みながら口を開く。

 

「いくら打ち合わせを邪魔させないためだからって、なんでここまでするんだよ……? 第一、このタイミングで打ち合わせをいれるとか……そんなに大事な話なら、もっと早めにやっとくべきじゃん。 そもそもダンデさんがアスベルやホップと約束をしているという話は、この状況からして完全にムシしてるよね、これ? ダンデさんの意志とかそういうのもあるし、こっちの話もきいてくれたっていいじゃん。 ここまで蚊帳の外にする必要、ある?」

 

 マリオンはこの状況に対する疑問と違和感を次々口に出していき、そしてふっと頭をよぎった結論をそのまま言葉にする。

 

「……ローズさんって、すっごいことをいっぱいやってて、頭はよさそうなんだけど……実際は一周回ってバカなんじゃないの?」

「お、言いますね」

 

 マリオンの言葉にネズがそう評価する横で、アスベルがマリオンの名前を呼びつつ、今やるべきことを伝える。

 

「真意は、この状況を打破してから確かめよう」

「……わかった」

 

 

 全員でスタッフを探していると、マリィが不審なスタッフを発見した。 マリィはすぐにアスベルに声をかけ、その顔のサングラスに注目をする。

 

「あのサングラス、怪しい」

「……確かに、ドス黒いな」

「ドス?」

「ドス」

 

 スタッフは基本的にサングラスをかけているが、スポーツタイプで色がかかっている。 だがあそこにいるスタッフだけが、黒いサングラスをかけていた。 確か、オリーヴが用意したスタッフもまた、黒いサングラスをかけていた。 これは間違いないと思ったアスベルは、ボールからドラパルトを出す。

 

「ドラパルト、ドラメシヤを」

「?」

 

 アスベルはなにを考えているのかよめないマリィは首を傾げる。 アスベルは小声でドラパルトに何かを告げるとドラパルトはうなずき、ドラパルトの角に収容されていたドラメシヤがにゅるりと出てきて、そっとスタッフに近づく。

 

「ぎゃあああああ!!?」

「!?」

 

 直後にそのスタッフは悲鳴をあげた。 何事かとホップが駆け寄ると、スタッフは顔を青ざめさせ身を震わせていた。

 

「なにしたんだ?」

「ドラメシヤはさわると冷たいから、ドラメシヤをこっそり背後から首に這わせて、冷たさで驚かせた」

「お前、やること鬼畜だぞ……」

 

 アスベルのとった作戦にたいしホップがジト目でそういうと、姿勢を取り戻したスタッフが立ち上がり、走り去っていってしまった。

 

「逃げるな、卑怯者!」

 

 アスベルはそう叫んで追いかけるが、途中でアスベル達に気付きインタビューをしようとしていた記者達に道をはばかられる。 そんな彼らをマリオンはココロモリのエスパー技で吹っ飛ばし、道を無理矢理あけてつっきる。 だが、それを振り切ったときはすでにそのスタッフの姿はなかった。

 

「くっそー! あのゴミレポーターどものせいであいつを見失ったー!」

「つーかおれ達のところにレポーターがインタビューをしにこないように、アニキが手配してくれたはずだろ!? なんでくるんだよっ!?」

「マスコミってのはそういうもんったい。 おとなしく言うことを聞いてくれるものじゃないったい」

「だから嫌いなんだよ……あいつら……」

 

 時と場所を選ばず相手の事情も知らずに突っ込んでくるならず者に対し怒りを覚えつつ、彼らは再び例のスタッフを探し始める。

 

「ん、どうしたんだ?」

「あのスタッフ、ずーっと背後をこちらに向けてて、こっちを見ようとしないんだよ」

「……なんかあやしいなぁ、それ」

 

 そんななかであるエール団の男が一人、ずっと壁をみて周囲に目を背けているスタッフに気がついた。 そんなスタッフに対し全員がいぶかしげな目線を送っていると、ホップがあることを思いついた。

 

「じゃ、おれ言ってみようかな」

「え」

「あれー! こんなところにモノレールカギがおちてるぞーっ!」

 

 なんとホップは、彼が持っているはずのカギが落とし物として見つかったと大きな声で言い出したのだ。 つまり、かまをかけたのである。

 

「んな単純なカマのかけかた……」

「なにぃ!?」

「つうじたーっ!!」

 

 通じるわけがない、とマリィが呆れてツッコミを入れた瞬間にスタッフが反応をして、またツッコミを入れることになった。 振り返ったスタッフは自分がだまされたと気付き、アスベルは笑いかけながら低い声でスタッフに言う。

 

「さて……少し、お仕置きというのが必要か?」

「アスベルの笑顔が少し強いったい」

「お仕置きなんて受けられるか!」

 

 そう叫ぶと、彼はアイアントを繰り出してきんぞくおんを使わせ、全員がその音に苦しんでいる間に逃げていった。 アイアントはすぐにマリオンが出したエースバーンがかえんボールの一撃を食らわせたことで倒され、きんぞくおんは解除された。

 

「どこへ……」

 

 再びスタッフを探そうとしたアスベルだったが、すぐにスタッフは発見された。 彼が発見された場所は…電話ボックスの中だったからだ。

 

「………よし、マルヤクデでいこう」

「ボクのバニっちも手伝おうか?」

 

 アスベルはマルヤクデをだし、マリオンもエースバーンを前に出す。 まずはマルヤクデが電話ボックスを包み込み、普段は安全のためにおさえている体温を上昇させる。 エースバーンも、そのまわりを走って熱気を増させる。

 

「あづいあづいあづいっ!!!」

「ヒュー、おっもしろーい」

 

 そうすることで、この暑さに耐えきれなくなったスタッフが扉を開けて出てきた。 そして、暑さの苦しみを呼吸をすることで乗り越えたスタッフは、必死に走る。

 

「もう逃げ場はない、カギを渡せ!」

「追い込まれても、オリーヴさんに怒られたくないから意地でもキーはわたさん! こうなれば、モノレールに乗ってしまえ!」

「なんだよ、大人げないぞおっさん!!」

 

 いつまでもカギを渡そうとしないスタッフに対し、ホップは大声で怒りをあらわにした。

 

 

 そうして、彼が向かったであろうモノレール駅に到着したとき。 数名のスタッフが道をふさいでいた。 奥には例のスタッフの姿もあり、道を塞ぐスタッフも、こちらの事情を知っているらしく道を譲る気配も見せない。

 

「どう!?」

「ダメ、数も多いし道もふさがれてるったい」

「くそっ!」

 

 道をふさがれ、ホップは悔しそうに声を上げる。 そのときマリオンは、ボールを構えて前に出ようとする。

 

「ボクが全部ぶっとばしてやる!」

「それはキケンったい! 周りに人がいっぱいいるけん、ここでバトルしたら必ず誰かが……!」

「クッ!」

 

 マリィに制止され、マリオンもまた悔しそうな声を漏らした。 マリオンは自分の力を使えば、あのスタッフを撃退できるかもと思ったが、それはまた別の意味で危険だと判断してあきらめる。

 

「こうなったら……オレの秘密のアレを……」

「まさか、グロテスクすぎて誰もが恐怖するという、お前のアレを……!? だ、ダメだぞ! あの人達泡吹いて倒れる、流石にかわいそうすぎるし、なによりお前自分でイヤなはずだろ、そこまでしなくていいぞ!」

「だがっ」

 

 アスベルが取ろうとした行動に対しホップが早口でつっこみながら制止をかける。 そんなとき、ネズがアスベルの肩に軽く手をおいた。

 

「ネズさん?」

「悪いリーグスタッフを追いつめるとは、よくやりましたよ……。 ゴキゲンなキミをたたえて、とびっきりの歌をプレゼントです」

 

 そういいながらネズは前に出てくる。

 

「……しがないシンガーにできることは、ささやかな歌を歌うことだけ……」

「?」

 

 なにをするつもりだ、とスタッフやアスベル達が疑問を抱いたそのときだった。 ネズはどこからかスタンドマイクを取り出して、歌い始めた。

 

「歌で誰かにエールをなんて! ホントはウソだよムリだよ! 歌で誰かを幸せになんて、オレにはムリだよできないよっ!! だけどそれでも歌うよ、ささやかな歌を歌うだけだよ!」

「ネズーッ!」

「ネズさーん!」

 

 そのネズの熱唱に、エール団がブブセラをふき歓声を上げる。 それに、この駅にいたほかの客が気付いた。

 

「あれ、ネズじゃん。 なんでストリートライブしてるんだ?」

「それをいうなら、ステーションライブだな」

「それより、もっと近くに行こうぜ!」

 

 そこにいた人たちは、ネズのことを知っているようだ。 そして、彼がライブを行うというのでそれを近くでみようとスマホで構えるものもいれば、直接降りてきて本当に近くでネズの歌を聴こうとする者もいた。 中には誰のポケモンかはわからないが、ジグザグマもいた。

 

「うぉぉぉぉお!!?」

 

 その人々の勢いに押されたスタッフは突き飛ばされく。 その様子にアスベル達は呆然としており、あるエール団が声を上げる。

 

「ネズさーん、キーは奪いました!」

「ローズタワーまでモノレールで行けますぜ!」

 

 これで先へ進めるようになった。 ネズは、アスベルとホップに向かって言う。

 

「アスベル、ホップ! いまだ、いけ! いきやがれこのやろー!」

「サンキューだぜ!」

「ありがとうございます!」

「あたしはアニキが心配だからここにいるけん、二人のことは……あんたに任せたよ、マリオン!」

「おっけー!」

 

 ネズは2人に激励を送り、マリィは2人の身を案じ彼らを守る役目をマリオンに託す。

 

 

 ネズとマリィの兄妹、そしてエール団の応援と協力を受けて、アスベルとホップとマリオンは、目的地であるローズタワーに到着したのだった。

 

「ローズタワー! てっぺんどこまでのびてんだ? 雲に隠れてみえないぞ!」

「……確かに……なぜ、こんなものを……」

「どうする? 今頃エール団、悪いリーグスタッフとバチバチやりあってるだろうけど」

「だってさ。 どうする、アスベル?」

 

 一応ホップは、アスベルにこれからどうするかを問いかける。 その答えはわかっているが。 そしてアスベルは、ホップが思っていたとおりの答えを口に出す。

 

「もちろん、先へ行く」

「そうこなくっちゃ!」

「サイコーだな! さっさとアニキを連れ戻そう! でないと、お前がチャンピオンに挑めないよな!」

「当然だ」

 

 ホップに対しアスベルはそう堂々と言い切ると、マリオンはオリーヴにたいし思っていたことを口に出す。

 

「にしてもさぁ、ホント、秘書の人も頭おっかしいよね。 委員長に喜んでもらうためにモノレールのキーを隠しちゃうなんて……なにを考えているんだよ……?」

「……その理由も、ダンデさんや委員長のところにたどりつけばわかるはずだ」

 

 そのアスベルの言葉に対しマリオンは少し考えたが、やがて首を縦にふり、ここで自分がすべきことを口に出す。

 

「ボク、ホップやアスベルほど強くはないけど……それでも、キミ達を守るから! それくらいの強さはあるはずだから、実行させて!」

「ああ、頼りにしているぞ!」

「まかせるぜ、マリオン!」

「うん、まかされたよっ!」

 

 アスベルとホップを守るために進むことを決めたマリオンは、にっこり笑い自分のその役目のために進むことを約束する。 そして、ローズタワーの中に入った。

 

「あれ……受付に誰もいない……」

「受付の人に話せば、わかってくれると思ってたが……甘かったか」

 

 本来ここには誰かいてもおかしくない、この中には委員長とチャンピオンがいるはずだから。 受付もいないとなれば、事情をはなして彼らを呼んでもらうことは不可能だ。

 

「エレベーターだ、これで上まで行くんだよ」

「いけるのかよ?」

 

 視界の先にある大きなエレベーターに気付き、それに乗って上へ向かうのだろうと気付く。 だが、それで本当に目的のフロアまでいけるのか。 3人が疑問を抱いていると、エレベーターが動きだし、そこから一人の男が現れた。

 

「なんか出てきた!」

「ここでお引き取り願うのだから、エレベーターのことは気にするな!」

 

 そう言ってきたのは、マクロコスモスの社員だった。 そこに、オリーヴの声で警報が鳴り響く。

 

「不審者がいます! 不審者がいます! スタッフはただちに不審者を追い返してください!」

「ちょっと、少なくともこっちの2人はチャンピオンのきょーだい! 不審者なんかじゃないっての!!」

 

 ホップとアスベルのことを侮辱されたと感じたマリオンが、2人にかわって怒声をあげる。 2人のことをないがしろにすることは、彼女にとって許せないことだから。

 

「オリーヴさんも、そうおっしゃっておられる! ここで不審者を追い払って、たんまりボーナスをいただくぜ!」

「そんなこと……させるもんか! ボクが、2人を先へ進ませるんだから!!」

 

 そういってマリオンが前に出て、マクロコスモスの社員とバトルを介した。 そのバトルはマリオンが圧勝し、3人はエレベーターにのる。 そのときだった。

 

「……ッ……!」

 

 ドクン、とアスベルは自分の心臓が大きく動いたのを感じたのだった。

 

 




次回も彼らは激しい一面を見せます。
そして、アスベルがちょっと怖いかも?
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