ポケモンSWSH 黎明の瞳   作:彩波風衣

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アスベル、ファイナルトーナメントに挑むの回。
今回戦うのは、あの少年です。


38~勝ち続ける意味~

 

 そして翌日の午後、ついにジムチャレンジのファイナルトーナメントが開催されようとしていた。 昨日の混乱の疲れは一晩寝て午前中に精神を統一させたことで回復させたアスベルは、ロビーでホップと対話していた。

 

「いよいよだな」

「ああ……ついにきたんだ。 オレが、ダンデさんと戦う時が!」

「おお! おまえ珍しく強気だな!」

「そういう姿勢でいけと言ったのは、お前だろ?」

「そうだっけ? ……ああ……試合をするのはお前なのに、何故かおれが緊張してるぞ……」

「なんでだよ」

 

 そんな会話をしていると、一人のリーグスタッフがアスベルの存在に気付き彼に声をかけてくる。

 

「アスベルさんですね」

「?」

「ファイナルトーナメント開催はもうすぐです、スタジアムまでご案内します」

 

 そのリーグスタッフの姿を見たホップは、昨日の出来事を思いだしたらしい、アスベルとスタッフの間に割ってはいってくる。

 

「おいお前! 昨日のこと忘れたのか? ホップさまと相棒のインテレオンがぶっとばすぞ」

「おいホップ」

「待ってください! 私はいいリーグスタッフです、自分で言うのもなんですが」

 

 喧嘩腰になっているホップに対し、スタッフはあわてて自分は安全だと告げる。 まだ少し警戒をしているホップをおさえつつアスベルは代わりに謝罪の言葉を口にした。

 

「すみません、こいつあくまでもオレのために言っているんです……許してください」

「大丈夫です、昨日の話は私も伺っております。 オリーヴさん、委員長のためならなんでもなさるところがありまして……そのための専用スタッフを極秘で抱えていたそうです……」

「……そんなことが……」

「ですが、本日はご安心を! 確かなスタッフばかりです!」

「……だってさ」

「だろうな」

 

 そうして丸く収まったところで、アスベルとホップはともにリーグスタッフの案内の元、シュートスタジアムまできた。 途中で彼らに取材を申し込もうとするリポーターがいたが、多くのスタッフがそれを制止してくれた。

 

「いよいよ、か」

「ガラル最高のシュートスタジアム……お前の最強の戦いで、世界を熱狂させるんだぞ!」

「ああ」

 

 そうホップの激励を受け、アスベルは更衣室に向かいユニフォームに着替える。 そして控え室でジムリーダー達に会い軽く挨拶を交わした後でコートに入場した。 開会宣言のために。

 

「改めて、名乗ろう! 俺はチャンピオンのダンデ! わけあってリーグ委員長の代わりをさせてもらう! ガラルのポケモントレーナーを、より高見に連れて行くために! なにより、俺のために最強のチャレンジャーを決めてくれ!」

 

 だがそこにいたのは、本来開会の挨拶をするローズ委員長ではなく、チャンピオンであるダンデだった。 彼の言葉で一同は、委員長は不在だと知る。 そんな彼らをよそに、ダンデはトーナメントの開催をここに宣言した。

 

「さぁ! 今ここに、宣言する! ファイナルトーナメント、開催だ!」

 

 その言葉とともに歓声が沸き上がり、選手達は一度控え室に引き返した。 そのときアスベルはじっとダンデをみていたので、気になったカブがどうしたんだいと声をかけると、アスベルは口を開いた。

 

「ダンデさん………」

「ん?」

「ちゃんとスタジアムにいた」

 

 アスベルのその言葉を聞いたジムリーダー一同は派手にずっこけた。 おそらく、アスベルはダンデが迷わずスタジアムにいるという事実にたいし言っているのだろうと思ったからだ。

 

「こいつ……やっぱり、天然入ってる……」

「義理とはいえ、ダンデの弟なのね」

 

 彼らは昨晩のことを多くは知らない。 ただ唯一知っているネズだけが黙っており、アスベルの言葉を聞き流していた。

 

 最初の試合にでるのは、アスベルだ。 トーナメント表が大きな画面に映し出され、アスベルは自分の最初の相手を確認し、スタジアムのコートにたった。

 

「まちなよ!!」

「!?」

 

 そのとき、スタジアムいっぱいに響いているのではないかと思われる声がその場に響きわたり、何事かと一同はどよめく。 そして、コートに一人の少年が現れる。

 

「なんだ?」

「誰だ?」

「お、え、えぇ!? き、キミはっ!!」

 

 思わずアスベルは、変な声を上げてしまう。 何故ならば彼は、この少年を知っているからだ。 薄い金色の癖のある髪に、紫色の瞳の少年。 ピンクと薄緑を基調としたユニフォームに関してはふれないでおくが、アスベルは確実にこの少年を知っている。

 

「みなさん、よろしいでしょうか! ボクを覚えているでしょうか! ジムチャレンジ無念のリタイアとなったビートです!」

「ビート!?」

「なんであいつがいんの!?」

「あんな人いたっけ?」

 

 彼のことを知っているホップとマリオンは驚き、マリィだけは無表情で首を傾げる。 関わりがなかったせいで、ビートが誰なのかを認識できていないようだ。

 

「ビートだ! ローズ委員長が推薦したジムチャレンジャーだ!」

「……ああ、そういえばそんな人おった気がするね」

「……マリィ……」

 

 噂程度でしか聞いたことがなかったマリィに、ホップはあきれたようにそういうと、コートにいるビートはアスベルに向かって言った。

 

「アスベル選手とは、浅からぬ因縁があります」

「い、因縁?」

「ルール違反は承知です、その上でお願いします! 選手生命をかけて、勝負をさせてください! 負けたら……トレーナー引退です!」

「ハァ、あいつなにいってんの!? 勝手なこというなーっ!!」

「落ち着けマリオンッ!」

 

 ビートの勝手な言い分に対し怒りを露わにし暴れるマリオンを、ホップとマリィが二人がかりで押さえこむ。 一方、ポケモンリーグスタッフや実況達は突然の乱入者に混乱している。 戸惑っているのは観客も同じでざわざわし、あのユニフォームをみたジムリーダー達も目を点にしている。

 

「な、なんというハプニング! ジムチャレンジャーだった、ビート選手の乱入だぁ! ビート選手について、こちらで審議しております!」

「というか、あのユニフォームって……」

「え、ええ……」

「スタジアムのみなさま、テレビの前のみなさま! しばらくお待ちください!」

 

 審議を開始しはじめる中、アスベルはビートをじっと見つめる。

 

「ビート……キミは……」

「ムチャクチャなのは、ボク自身がよくわかっているよ。 でも、言わないわけには……動かないわけにはいかないんだ!」

 

 ぎり、とビートはアスベルをにらみつける。

 

「あなたのせいでメチャクチャなんだ!」

「………」

「オリーヴさんに頼まれてローズ委員長のために願い星を集めていたのに、委員長には見捨てられるし! わけのわからないバアさんにフェアリータイプについて朝晩たたき込まれるし! わかりますか! ピンク色に囲まれて、フェアリータイプのポケモンでクイズと勝負の毎日!」

「……あいつ、そんなことしてたのか?」

「……」

「ああっ!! こんなに暑苦しく思いを語るなんて、ボクのキャラじゃないのに!!」

 

 思った以上に大きな声で語るビートの言葉にたいし、ホップとマリィとマリオンはポカンとしていた。 そして、ビートの言葉を近い距離で聞いていたアスベルはやがて意を決すると腹の底から声を出した。

 

「観客およびジムリーダーのみなさん! 彼の乱入を認め、オレと彼をここでバトルさせてください!」

「アスベル!?」

「このとおり、おねがいしますっ!」

 

 なんとアスベルは、ビートの挑戦を受け止めるため、多くの人々の前で頭を下げたのだ。 この場にて多くの人間を相手に堂々と頭を下げてまでお願い事をする者など、そうそういない。

 

「なんと、チャンピオンがビート選手の乱入を認めました!」

「おいぃぃぃっ!! アニキィィィィィ!!」

「アスベル選手の願いを受け止めたのでしょうか、試練でしょうか、それとも愛でしょうか!?」

「どんな愛だよっ!!!」

 

 最初につっこんだのはホップで、次につっこんだのはキバナである。 一方、まさか挑戦状をたたきつけられた本人が勝負を許してくれたことに、ビート自身が驚いていた。 彼との関係がよくないことを自覚しているから、なおさらだ。

 

「……アス、ベル……選手……?」

「……オレは、キミとのバトルをあのような結果のまま、終わらせたくはない……それだけだ。 そのためにもキミのすべて、オレは受けよう!」

 

 そう、力強く微笑むアスベルに対しビートは、ひとつ呼吸をおいた後で自分のポジジョンにたち、彼と向かい合って告げる。

 

「ボクのハートは、砕けてなんかいないんだ!」

 

 そして、二人のバトルははじまった。

 このファイナルトーナメントのルールは、フルバトルで行われるセミファイナルの時とは違い、3VS3で行われる。 ハイレベルな戦いを必要とされるからこそ、使用できるポケモンの数は少ないのだ。 勝ち進んで最後にチャンピオンと戦うときだけは、フルバトルだ。

 

「それではアスベルVSビート! 試合開始!!」

「最初は……ゆくのです、クチート!」

「頼む、ゴリランダー!」

 

 ビートが一番手として出してきたのはクチート、アスベルはゴリランダーだ。 まずゴリランダーがかわらわりで攻撃を仕掛けようとしたが、クチートはふいうちを繰り出してそれを妨げ最初にダメージを与えてくる。

 

「だいもんじ!」

 

 そこからさらに、クチートはだいもんじを繰り出して至近距離でゴリランダーにおいうちをかけていく。 効果抜群のほのおの技を受けたゴリランダーは一瞬弱ったように見せたが、次にクチートがほのおのキバで攻撃を仕掛けてきたのをかわらわりで迎え撃ち、直後にドラムアタックで反撃をした。

 

「再び、ほのおのキバ!」

「かわして、ドレインパンチ!」

 

 クチートは同じ技を連続で繰り出してきたが、ゴリランダーはそれを回避しドレインパンチを食らわせる。 攻撃と同時に体力を回復させたゴリランダーに、クチートはじゃれつく攻撃で反撃をした。 そして、再びだいもんじを繰り出してゴリランダーを追いつめようとしたが、その大技は命中精度があまりよくはなく、あっさりと回避されゴリランダーのドラムアタックを受けて戦闘不能となってしまった。

 

「あそこでだいもんじは悪手だったか……! ボクが判断を誤ってしまうなんて……! クチート、下がりなさい!」

「少しは自分の非を、素直に認めることができるようになったか」

 

 そう言ってアスベルは軽くビートを挑発した。 それをききビートは少し眉をつり上げたが、すぐにクチートにかわるポケモンをその場に出した。

 

「ゆくのです、ギャロップ!」

「ゴリランダー、引き続き頼む」

 

 ビートが出してきたのは、ガラルのすがたのギャロップだった。 アスベルは、ゴリランダーを続投させる。

 

「いけーアスベル! そのままビートに突っ込んでひねりつぶせぇぇぇ!!」

「そんな過激な応援はダメだぞマリオン! 第一これポケモンバトルだから、プロレスじゃないから!!」

 

 アスベルにやや危険な声援を送るマリオンを、ホップが必死にたしなめる。 そんな声援が送られる中でも、ギャロップとゴリランダーはバトルを続けている。 まずゴリランダーがはっぱカッターで攻撃を仕掛けるが、ギャロップはそれをサイコキネシスで止め、逆にそのはっぱカッターでゴリランダーを攻撃する。 反撃でゴリランダーははたきおとす攻撃でギャロップに大ダメージを与える。 そのままドラムアタックで追撃をしようとしたゴリランダーだったが、そこでギャロップがメガホーンでつっこんできて大ダメージを受けてしまった。

 

「ゴリランダーッ!」

「とどめだ、サイコカッター!」

 

 そこで繰り出されたサイコカッターがとどめの一撃となり、ゴリランダーは戦闘不能となった。

 

「ありがとう、ゴリランダー。 ゆっくり休んでいてくれ……!」

 

 アスベルはすぐにゴリランダーをボールに戻すと、次のポケモンであるブラッキーを繰り出した。

 

「次はキミで行く、ブラッキー!」

「ブラッキー……有利とも不利ともいえんポケモンばい」

 

 そのブラッキーにたいし、ギャロップはマジカルシャインを放ち大ダメージを与える。 それにブラッキーは耐えてバークアウトを放ち、立て続けにあやしいひかりを放ってギャロップを混乱状態にし、その隙につきのひかりで体力を回復させる。

 

「ギャロップ、しっかりしろ!」

「ブルッ!」

 

 ギャロップはビートのその声で我に返り、体勢を立て直してメガホーンを繰り出してブラッキーを攻撃する。 ブラッキーはそれを受け止めるとしっぺがえしを繰り出して、逆にギャロップに大ダメージを与える。

 

「そこだ、シャドーボールッ!」

 

 そして、シャドーボールを繰り出してそれをたたき込むことで、ギャロップを戦闘不能にする。

 

「まだ……まだボクは、戦う! 自分のプライドに、かけてでも!!  ブリムオン!」

 

 ビートは声を上げながら、ギャロップを下げてブリムオンを繰り出した。

 

「戻ってくれブラッキー! 最後はキミだ、頼むアーマーガア!」

 

 アスベルは一旦ブラッキーをさげ、次にアーマーガアを繰り出した。 アーマーガアをみたブリムオンは効果抜群の技であるマジカルフレイムを繰り出してきたが、アーマーガアはそれを空中で旋回して回避し、同じく効果抜群の技であるはがねのつばさを繰り出して、ブリムオンに大ダメージを与えた。 そしてアーマーガアは続けて繰り出したドリルくちばしに耐えたブリムオンのサイコカッターを、反撃として受ける。

 

「大いなるピンクを見せましょう! ブリムオン、キョダイマックスです!」

「おおいなるピンク?」

 

 アスベルはビートのその言葉を理解できないのでそう返しつつ、彼がキョダイマックスで来るのならと、自分もまたアーマーガアをキョダイマックスで迎え撃つ。

 

「ダイバーン!」

「キョダイフウゲキ!」

 

 ダイマックス技とキョダイマックス技が衝突し、弾け飛ぶ。 続けてブリムオンは自身のキョダイマックス技であるキョダイテンバツを繰り出すが、それはアーマーガアのキョダイフウゲキに阻まれる。 続けて繰り出されたダイアタックとダイフェアリーは、相打ちになる。

 

「……ダイバーンッ!!」

「ダイスチル!!」

 

 ダイマックスのタイムリミットがビートは、再びダイバーンを放ってアーマーガアを倒そうとしていた。 アスベルはあえてダイスチルを指示することで、ブリムオンを確実に倒そうとする。 その二つの技は互いにヒットする。

 

「ブリムオン!」

「アーマーガア!」

 

 そこで激しい爆発が起こり、二人は自分のポケモンを見上げる。 そして、最初に倒れたのが…ブリムオンであることに気付いた。

 

「……!」

 

 ブリムオンは戦闘不能となりダイマックスが解除されて倒れた。 勝負が終わったことでアーマーガアも元の大きさに戻り、少しよたつきながらもアスベルに寄りかかる。 アスベルは、静かにアーマーガアを受け止める。

 

「ブリムオン戦闘不能! アーマーガアの勝ち! よって勝者は……アスベル選手!」

「おぉぉぉーーーっ!」

 

 勝負がついたことで、その場は盛り上がる。

 

「ありがとう、アーマーガア」

 

 そう、アスベルはアーマーガアに優しく声をかけて微笑むと、アーマーガアをボールに戻した。

 

「負けて……終わった……!」

「……ビート……」

「ですが、みなさまにフェアリーの良さは伝えましたよ」

 

 そう語るビートの顔は、どこかすがすがしさを感じた。

 

 

 勝敗の結果を、実況が大々的に発表する。

 

「おっと! アスベル選手と自慢のチームメンバーが、ビート選手の挑戦をはねのけた!」

「おぉぉぉー!」

「……」

 

 ビートはこの勝負で負けたらトレーナーをやめると言っていた。 そのことにたいしアスベルは一言言おうとしたが、それより早く観客が口々に言い始めた。

 

「おい、ビート選手! 悪くない試合だったぞ!」

「引退したらもう一度デビューしろ!」

 

 それは、ビートに対する応援を含んだものだった。 観客はビートのバトルを賞賛していき、その様子をマリィ達もみてる。

 

「……みんな、ビートを認めてるみたいやね」

「えぇー?」

「いいんじゃないのか? みんな、楽しそうに言ってるんだし!」

 

 マリオンだけは不服そうだったが、ホップはニコニコ笑っていた。 一方、観客達から賞賛の声を浴びていたビートは、呟く。

 

「なんということだ……」

「え?」

「……あなたにリベンジできればOK! 負けても引退して、バアさんから逃げるはずだったのに……」

 

 そう呟いたあとで、ビートはアスベルと向かい合い彼に向かって怒鳴る。

 

「やっぱりあなたは迷惑だ!」

「なんでだ」

「みんなに認められたからには、フェアリータイプのジムリーダーを続けないといけない!」

 

 ビートはトレーナー引退を撤回したのだ。 それを悟ったアスベルはうん、と頷く。

 

「いいわけをしなくなった、それだけでもキミは大人になれたと思うぞ」

「まるでボクが言い訳ばかりするような子供だったみたいな言い方しないでください!」

「そう思っていたんだが」

 

 アスベルにざっくりとそう言われ、ビートは悔しそうに歯ぎしりをたてる。 そんなビートに対し、アスベルは笑いかけながら彼に言う。

 

「またいつでも、勝負をしよう! ライバルとして!」

「まぁボクの才能でしたら、ポプラさんなんかあっという間に越えますけどね」

 

 ビートは自信満々にそういうと、スタジアムは再び観客の歓声に満ちた。

 

「わぁぁぁあっ!!」

「スタジアムは2人の若者をたたえる声でいっぱいだぁぁぁ!」

 

 そして、歓声をあびながら二人は退場し、突然の出来事に巻き込まれたアスベルをスタッフやジムリーダーが気遣う。

 

「ビート選手の乱入、とんだハプニングでしたね」

「ええ」

「でも驚きました、貴方は彼のことを好いてはいないと思ったので………彼との試合を自ら望むなんて」

「ああ、そうか………貴女もあの場に居合わせてましたね」

 

 サイトウは、ビートがジムチャレンジ失格の現場に居合わせていた。 それだけでなく、ある意味では彼が失格になる原因に関わっている。 不正を許すわけにはいかないので、あの判断が間違ったものではないのだが。 そんなサイトウ及びジムリーダーにたいし、アスベルはビートに対する思いを口に出す。

 

「オレとビートは、似たもの同士ですからね………結局………」

「えっ?」

「彼が他人にたいする態度の悪さも、彼が犯した失態も、それは許されないし書き換えれるものではない。 でも……彼もオレも、自分を推薦した人に救ってもらって……恩を感じていて……その人のためになにかをしたいと思っていた………その事実もまた、かえられないのだから」

 

 それに、とアスベルはビートの失墜には、自分にも一因あるのではないかと語り出す。

 

「彼がリタイアするキッカケとなったあの事件も………オレがしっかりと止めていれば、と思ったことも……あったし……」

 

 自分がしっかりと怒っていれば、過ちは過ちであると反省させるためにハッキリ言うべきだったのでは。 と、アスベルは心の奥で気にしていた。 それに、彼がローズ委員長に失格にされ連れ去られるときも、アスベルは彼を一切助けようとしなかったしフォローをしようともしなかった。 様々な罪悪感を抱えていたからこそ、今ここで彼の挑戦を受け更正を喜ぶべきなのだと思ったようだ。

 

「まぁ、好きにすればいいわ」

「それできみ達が納得できるんなら、ぼく達も受け入れますよ」

「ただ、あのばあさんに付き合わされてるのは少し同情するぜ…あいつ」

「否定し切れません」

 

 そう、ジムリーダー一同がアスベルの思いを受け取り理解をした。 そして、アスベルのポケモンの体力が回復したところで、ようやく本当のファイナルトーナメントが行われることになり、最初の試合が今からはじまろうとしていた。 彼は本来最初に戦うことになっていたであろうジムリーダー・ルリナと向かい合う。

 

「最初の相手はルリナさん、ですね」

「ええ、遠慮はいらないわ! あのときのように本気できてね!」

「はい!」

 

 そう、アスベルは真剣な眼差しと共に返事をしたのだった。

 




改めて見返すと、アスベル少し甘い部分が出てますね。
まぁいいか、彼もはっきりものはいう男だし。
次回はジムリーダーとの戦い、再びです。
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