シーソー編、スタート!
ブラックナイトの騒動により、ジムチャレンジのファイナルトーナメント決勝戦は延期となった。 中止ではなく延期となったのは、他ならぬダンデの意志によるものだった。 日程は今のところ決まってはいないが、少なくともシュートスタジアムが修復されないことにはなにも始まらないようだ。
「シュートシティの損傷ってそんなにヒドいんですか?」
「ああ」
「……まぁ、無理もないでしょうね……オレも、大変なことになったし……」
シュートスタジアムから出てきた結晶に、アスベルは一度とらわれて身動きを封じられた。 すぐにダンデに救われて事なきを得たが、今思えばあの結晶は何だったのだろうか、何故アスベルだけがおそわれたのか。 疑問は募るばかりである。 いずれにせよ、もうあのような現象は起こらなかった。 だからあとは破壊されたバトルフィールドが完全に修復されるのを、まつだけだ。
「じゃ、オレ様はナックルスタジアムが心配だから一旦帰るわ。 アスベルも、ダンデとの試合に備えて鍛えておくといいぜ」
「は、はい」
「じゃあな!」
そういってキバナはフライゴンに乗って飛び去っていった。 他のジムリーダーも、それぞれのスタジアムに一旦帰還し、異常が起きていないかなどを調べているところだ。
「ふぅ……」
「静かに過ごせて、一安心だな」
「ああ」
そうホップと他愛のない会話をしつつ、スタッフからもらったアイスティーを飲むアスベル。 そんなとき、自分達のそばにはあのとき手に取った、例の朽ちた剣と盾があることに気付く。
「あ、剣と盾」
「そうだ、おれ達ずっとこれ借りたままじゃん! あの場所から!」
「そうだな……」
思えばムゲンダイナを封印できたのも、正面から戦えたのも、この盾と剣…ひいては、ザシアンとザマゼンタの力があってこそだ。 彼らには、感謝してもしきれない。
「もうムゲンダイナの封印は解かれないだろう、オレが解かない限り……そして、オレも解くつもりはない。 だから、彼らは再び安らかに眠るべきなのだろうな。 この剣と盾も、もうオレ達には必要のないものだから、彼らにかえさないと……」
「じゃあ、おれが返しに行ってくるよ!」
「まて、オレもいく」
剣と盾の返却に自ら名乗りを上げたホップに自分も同行すると言ったが、ホップは笑いながら言う。
「いいって! お前はアニキとの試合に備えて鋭気を養えよ! おれもお前を応援したいから……これくらい、協力させてくれよ!」
「あ、ホップ!」
そう告げて、ホップは走り去っていった。 シュートシティの町中で空飛ぶタクシーを拾い、故郷のハロンタウンに帰るとすぐにまどろみの森へ向かい突き進んでいく。
「ふぅ……ようやくついたぞ、祭壇!」
正直、道のわかるアスベルがいなくても大丈夫かと不安を覚えたホップだったが、不思議と迷わずに祭壇にたどり着くことができた。 伝説のポケモンが自分を導いてくれたのかな、とホップはおもい、なんだか嬉しくなってくる。
「ついで感覚でキレイな花が咲いてたから持ってきたけど、添えてもいいよな?」
道中でこっそりと摘んできた野の花を、祭壇にそっと置きながら話しかける。
「よう。 アスベルの分まで……剣と盾を返しにきたぞ」
ホップは、引き続き祭壇に話しかけ続ける。
「力を貸してくれてありがとうな。 ザシアン、ザマゼンタ。 お前達が力を貸してくれたおかげで、アスベルとおれはムゲンダイナに勝てて……ガラルのみんなを守ることができたぞ。 だから、これは返すよ」
そういいながら、ホップは本来盾と剣が飾られていたところにそれをかけてから、頭を下げてもう一度ありがとう、とお礼を言った。 だが、顔を上げたときホップは、どこか寂しそうな瞳をしていた。
「……」
「おやおやおや、このようなところにこのような祭壇があったとは……!」
「だ、誰だ!?」
そのとき。 ホップはどこからともなく聞こえてきた声に気付いて振り返る。 そこには二人の人間の陰が存在していて、その顔も目撃したのだが、直後に頭を強く殴られその場に崩れ落ちる。
「うぐっ……」
「この剣と盾と、ねがいぼしで……我々の正しさを証明し!」
「我らこそが気高き、真の英雄であることを示す!」
「……や、めろ……あぐぁ!」
なんとか痛みに耐えて立ち上がろうとしていたホップだったが、すぐに追い打ちを駆けられて崩れ落ちる。 意識を失う手前、彼が最後に目撃したのは、祭壇から奪われた剣と盾…そして、ホップが2匹のために摘んできた花が無惨にも踏みつぶされる光景だった。
「ア、スベル……ッ」
「うっ……!?」
「アスベル!?」
ホップが祭壇で何者かの奇襲を受けたその時、シュートシティでホップの帰りを待っていたアスベルは急に頭を抱えた。 それに、近くにいたマリオンが気付いて駆け寄る。
「アスベル、どうしたの!?」
「おやおやおや、ここにいたのですか……」
「!?」
不意に、声がしたのでそちらをみてみると、そこには二人の男の姿があった。 どちらも色素の薄い金髪で青い目をしているが、問題はその髪型にある。 どちらも特徴的すぎて、そっちにしか目を向けられないし、髪型だけでも明らかに不審者感丸出しである。
「な、なんだこいつら!?」
「お前達……なにを持っている……!」
「え!?」
「剣と盾、そこにあるんだろう!? オレには、わかっているぞ……!」
頭を抱えつつアスベルはその二人組をにらみつける。 それにたいし二人組はなんと、と不気味な笑みを浮かべながらこたえる。
「まさか、見抜くとは……やはり、得体の知れない少年というだけのことはある!」
「かの偽りの英雄とともに、我々を出し抜いてムゲンダイナを封じただけのことはあるようですね、兄者!」
「そうですな、我が弟よ! やはりこの少年は人間ではないようです!」
アスベルを侮辱している、と感じたマリオンは二人に向かって怒鳴る。
「得体の知れないとか言うな! 大体なんなんだよお前達は!? 」
「なんですか、この野蛮な小娘は?」
「うっせぇ、んなことはどうでもいいだろ! いいから名乗れ! 人前に自分達の方から現れて名乗らないなんて、失礼にもほどがあるんじゃないの!?」
マリオンの指摘を受けた二人組はやれやれといいながら、自分達の素性を打ち明ける。
「我こそはガラル王族の末裔兄弟! 兄のソッドと!」
「シルディ!」
「……!」
「王族ぅ?!」
二人組の正体を知ったマリオンは、伝え聞いたことのある歴史を思い出し、それをたどりつつ語り出す。 アスベルも、彼らがガラルの王族であることに気づきそちらをにらみつける。
「だけど、確かガラル王族って、大昔に……後継者がいないから王位を返上することになって、途絶えたハズなんじゃ……」
「そう、そう表では言われている! だが、血筋が途絶えたわけではない!」
ソッドは高々しくそう言うと、シルディが話を続けてきた。
「我々はこの誇り高き血を再び、王族として再建させようとしていたのです! 今まではあのローズがマクロコスモスを操りなかなか表にでられなかった……ローズのいない今こそチャンスだと思った! だが、今度はその少年が出しゃばり、ムゲンダイナを封じ込めてしまったことにより……我々は自分達こそが英雄の血族であることを主張できなくなってしまった!」
「だからこそ、今……そこの少年とザシアンとザマゼンタは英雄ではないことを証明するのです! すべては、王家の長年の悲願をかなえるため! この盾と剣を使わせていただく!!」
二人の計画を聞いたマリオンは、眉間にしわを寄せつつ、話を聞いた感想をポツリと漏らした。
「それってただの逆恨みのようなもんじゃん……」
「……」
「あ、あれ……アスベル……?」
「盾と、剣……!」
アスベルは頭痛から解放されたらしい、立ち上がりながらソッドとシルディに向かって怒鳴った。 その盾と剣を直にみたことで、アスベルはあの少年を脳裏に思い浮かべ、ソッドとシルディに向かって叫ぶ。
「その盾と剣は、ホップがあの2匹に感謝をするために返しに行ったはずなのに! 何故貴様等が持っている、ホップになにをした! なにをしたんだ!!」
「……アスベル……」
「あの少年ですか……特に大した存在でもないのにでしゃばってしまったが故に、我々の手を煩わせた……」
「なんだと……! 貴様等! それを返してもらうぞ!」
それを聞いたアスベルは怒りを露わにしながらモンスターボールを構える。 そんな彼に対し二人もまた、ボールを構えた。
「たてつこうというのなら、相手になりましょう」
「ここで、自分が英雄に足り得ないものだと教えましょう」
「……アスベル、ボクもやるよ」
自分もアスベルとともに戦うと名乗り出たマリオンにたいし、アスベルは横目で彼女をみてうなずいた。 そして、ソッドがニダンギル、シルディがネギガナイトを出す。
「アーマーガア!!」
「エレっち!」
アスベルはアーマーガア、マリオンはストリンダーを繰り出した。 相手のネギガナイトがつばめがえしを繰り出してもアーマーガアはそれを正面から受け止め、ドリルくちばしで反撃をする。 ニダンギルもシャドークローでストリンダーに攻撃を仕掛けるが、それにたいしストリンダーは至近距離で10まんボルトをはなって吹っ飛ばし、そこにアーマーガアがラスターカノンをはなってニダンギルに追撃、ネギガナイトにもつばめがえしでダメージを与える。
「いまだ、マリオン!」
「エレっち、オーバードライブ!!」
アスベルはアーマーガアに合図を出し高く飛び上がらせると、マリオンはそのタイミングに合わせてストリンダーに広範囲の電気技を指示した。 そして、そのオーバードライブを受けたネギガナイトとニダンギルは同時に戦闘不能になった。 その結果に対し二人は白目をむくほどにショックを受けた。
「こんな結果、セレブリティじゃありませんよ兄者!」
「クッ! だが安心しなさい弟よ! 我々の真の目的はここではなく、もっと大きいものです!」
「真の目的?」
「……そうですね……まだ我々は敗北していない! ここは退くことにしましょう! では、さらばです!!」
「アデュー!」
「まて!」
逃げ去ろうとした二人組を捕まえようとしがみついたアスベルだったが、煙幕の中であっさりと振り切られてしまった。 地面にたたきつけられたアスベルは悔しげに吐き捨てる。
「クソッ!」
「アスベル……」
「剣しか、取り戻せなかった……!」
だが、アスベルの手には確かに剣をつかんでいた。 彼はあの中で彼らの所持していた剣を握りしめたのだ。 だが、盾は未だに彼らが所持しているままである。
「……」
「どうするの、アスベル」
立ち上がるアスベルにマリオンがそう問いかけると、アスベルは立ち上がりつつ今もっとも気がかりなことを口に出す。
「ヤツらがなにをしでかすつもりかはわからんが、今はホップが心配だ。 オレは例の祭壇にいってみる」
「じゃあボクもいく。 ボクもホップが心配だもん!」
「わかった、一緒にいこう」
そう声をかけあい、アスベルとマリオンがホップのいるであろう祭壇のあるまどろみの森…その森のあるハロンタウンへ向かうため、空飛ぶタクシーに乗る。
「あれ、二人とも!」
「ソニアさん!」
そして、ハロンタウンには何かの資料をまとめているソニアに、二人は遭遇した。
「どうしたの? アスベルはてっきり、シュートシティ待機だと思ってたんだけど……」
「ちょっと緊急事態があって……ソニアさんのそれは」
ソニアの手にあるノートに気付いたアスベルが問いかけると、ソニアは嬉しそうに語った。
「今まで調べたガラル神話をまとめたものなのよ。 伝説の2匹のことや、この間のブラックナイト騒動からひもといた真実をまとめた資料! 本になることも決まったからね!」
「そうなんですか、出版したら買います!」
「ありがとう!」
「というわけで急いでいるので、失礼します!」
それだけを言って、アスベルとマリオンは走ってまどろみの森へ入っていった。 その姿からソニアは、今自分の知らないところでなにかが起ころうとしている予感を感じ取った。
「なんかあのあわてよう……心配だわ……!」
アスベルは2度ここに足を踏み入れているのに対し、マリオンは初めてだ。 なぜならこの森は、決して足を踏み入れてはいけないと言われていたからである。 足を踏み入れたとき、マリオンは濃霧に覆われた薄暗く入り組んだ森をみて、入ってはいけないと言われていた理由に納得する。 ダンデでなくても迷ってしまいそうだから。
「ホントに、こんな森の中を進むの!?」
「ああ、この奥にオレ達が伝説のポケモンと出会った祭壇がある。 オレなら迷わずいける……だからマリオン。 オレの手を絶対に離すな、いいな」
「う、うん!」
アスベルはこの森の道がわかっている、そのことにたいする疑問は残るがアスベルは信用できる。 だからマリオンはアスベルの伸ばした手を受け取り、その手を握り返しながら、共に森の中を突き進んでいく。
「この奥が祭壇……!」
そういってアスベルが橋を渡りその奥の開けた場所に足を踏み入れる。 そこは神秘的で美しさを覚える場所だった、マリオンは本来その場をじっくりと見つめたかったが、それを許さなかった。
「ホップ!!」
その祭壇のそばに、倒れたホップがいたからだ。 二人は迷わず彼に駆け寄り、アスベルはその体を抱き起こし名前を呼ぶ。
「ホップ、しっかりしろ! ホップ!!」
「う、うぅぅ……」
ホップは苦しそうな声を出しつつもかの筋肉を動かし、ゆっくり目を開けてその金色の瞳で自分を抱き抱える人物の顔を見る。
「ア、スベル……」
「ホップ……目を開けたな……よかった……」
「マリオン、もいるんだな」
「うん、いるよ!」
自分の頭に残る痛み、そしてそばにいるのが二人の幼なじみ。 ホップは気を失う前の記憶を瞬時に思い出し、ある二人組にたいする怒りも同時に思い出す。
「そうだ、あいつら!」
「あいつら……」
「もしかして、金髪で赤と青のスーツのやたらヘンな頭をした二人組?」
マリオンの言葉にホップはああ、と返しつつ悔しそうに歯ぎしりをたてた。
「あいつら、突然現れておれを攻撃して……そのまま、祭壇から剣と盾をとっていっちゃったんだ!」
「やっぱり、ここから盗まれたものだったのか……!」
「……お前達も、会ったんだな」
「ああ、オレ達とあの2匹を偽りの英雄だと言っていた……宣戦布告のようなものをされた」
現状を理解したホップは、アスベルの顔を見て眉をさげ、伝えてくる。 自分がなにもできなかったことに対する、謝罪の言葉を。
「……ごめんな、アスベル……おれが、迂闊だったせいで……大事な、剣と盾がとられた。 お前の分まで剣と盾を返しに行くって見栄を切ったのに……その剣も盾も、とられちまった……お前を裏切っちまった……」
「謝るなホップ。 お前はなにも悪くないし、オレも裏切られたとは微塵も思っていない。 剣だけではあるが、こうして取り戻したしな」
「……そう、なのか……やっぱりアスベルは強いぞ」
そう、ホップが悲しげに語る一方でマリオンは、祭壇の上でつぶれてしまっている花に気付いて拾い上げる。
「これ……花……」
「ああ……途中で見つけて、あの2匹にあげるつもりでそこにおいたんだよ。 キレイだったんだけど……あいつらにつぶされちまった………」
そう自嘲気味に伝えながら、ホップは再び目を閉じてしまった。 また、気絶をしてしまったのだろう。アスベルはホップを抱き抱え持ち上げる横で、マリオンはその花が何かに気づきつぶやく。
「ボクにはわかるよ、この花……思いやりの花言葉を持つ、きれいな花だよ……キミ達のような人に相応しい、この伝説のポケモンに送るに相応しい花……」
「……」
「それを踏みにじるなんて……あいつら、許せない!」
ぎゅ、とマリオンはつぶされた花を抱きしめ、怒りの言葉を口に出した。 そしてその花をそっとそこに置き戻し、3人は森をでてホップの家へ向かい、彼の母に事情を説明すると彼を寝室へと連れて行き、医者を呼んで診察してもらうことになった。
「ホップ、思っていたよりは大したケガじゃなくてよかったね」
「ああ」
医者に見せたところ、ホップは頭と背中を強く打たれはしたものの打撲程度にすみ、骨も折れておらずヒビもないので、命に別状はないとのことだ。 彼は今は自室のベッドで眠り、回復を待つのみとなった。
「まさか、伝説の剣と盾がもってかれるなんて……しかも、相手がガラル王族の末裔とか……」
そして、家を出たところでアスベルとマリオンはソニアにあい、彼女に事情を説明する。 あの二人がザシアンとザマゼンタを否定しそれにまつわる道具も奪われたのだから、彼女にも関係すると思ったのだ。
「今までずっと私達は、ガラルの英雄は二人の人間だと思っていた……だけどラテラルタウンの遺跡が発端となり、そして目の前でブラックナイトの騒動を目撃した。 もうこれを否定することはできない……現にアスベルとホップ、そしてザシアンとザマゼンタのおかげで騒動は収まり、犠牲もでなくてすんだ……平和が戻ってきた今の状況こそが何よりの証拠」
あの事件でけが人はでたし崩壊した建物もあるだろう、だが人もポケモンも死ぬことはなく、こうしてガラルにあるべき平和は帰ってきた。 まだ、シュートスタジアムは壊れたままだしダンデも集中治療のまっただ中だから、ポケモンリーグの祭典である試合が行われていないのだが、それでも平和であることには変わらない。
「なのに、なんでこの状況でわざわざ、それを否定するのかしら? プライド?」
「そんなプライド、ベトベターのエサにもならないよ」
マリオンはそう言い切ると、あの二人組の行方を気にし始めた。 彼らはあのまま立ち去るとは思えない、なにかをしでかすつもりなのだと、マリオンは直感で感じていたのだ。
「それよりもあいつら、どこにいっちゃったんだろ」
まずはあの二人組の行方を探さねば、なにもはじまらない。 そんな疑問を抱いていると、アスベルが頭を強く押さえた。
「うっ!」
「アスベル!?」
「……早く、残された盾を取り戻さないと、大変なことになる……そんな気がする……!」
そう言った後、アスベルは自分のポケモンを確認してマリオン達に告げる。
「オレ……あいつらを探しだし、盾を取り戻しにいく」
「待って、ボクもいくよ!! 今度こそ、アスベル達の力になりたい! 足手まといにならないから、お願い!」
「……ダメだ、と言っても……キミはくるのだろう?」
「その通り!」
堂々とそう返すマリオンに対しアスベルは苦笑しつつ、わかったよと返事を返す。 そのとき、別の声が聞こえてきた。
「おれもいくぞ!」
「ホップ!?」
いつのまに目を覚まして家を出たのだろう、そこにはホップの姿があった。 頭の包帯を隠すかのように帽子をかぶっている。 ダメだ、とアスベルが言う前にホップは口を開く。
「元はといえば、おれがちゃんとしなかったから……あいつらの気配に気付いて剣と盾をちゃんと守れてさえいればよかっただけのことなんだ! 自分の失敗は、自分で取り戻さないといけない! だから、アスベル! おれと一緒に戦ってくれ!」
「ちょ、ボクも忘れないでよ!?」
「……お前も、ダメだといっても強引についてくるんだろ」
「ああ!」
ホップもまた、堂々とそう答えた。 それにたいしアスベルはまた苦笑して、ホップの同行も許可した。 絶対に無理をするなとだけ注意をして。
「大変なことになっちゃったみたいね」
「ソニアさん」
「だけど、あんた達なら大丈夫な気もする。 だから、あたしもちょっと協力させてもらうね」
そういってソニアはある装置を取り出して、3人にそれを見せた。
「これって」
「パワースポット探しマシーン。 これによれば、今ターフタウンに並のパワースポットよりも強い力が集中しているみたいなの……タイミングが良すぎるし……あの二人に関係ありそうじゃない?」
このマシーンの反応が本当に関係しているかはわからないが、そこを示されたときにアスベルもなにか気付いたようでソニアの説を受け入れる。
「確かに、その方から強い力を感じる」
「じゃ、行く先は決まりだね」
彼らは最初の目的地を、ターフタウンに決める。
「みんなで、取り戻そう!」
「ああ!」
「うん!」
そうして、アスベルの指し示す方向に向かっていく。 3人で、あの二人組を追いかけることを決める。
次回から大激戦、再びです!
あの二人組はとことんなクズに描いてますので、ご了承を。