ポケモンSWSH 黎明の瞳   作:彩波風衣

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前回のあらすじ。

アスベルは最初のジムリーダー・ヤローに挑んだ末に勝利を収めることに成功したのだった。


08~新しい仲間と~

 

 

 ターフスタジアムで最初のジムバッジをゲットしたアスベルは、つぎのジムリーダーであるみずポケモン使いのルリナがいるという、バウタウンを目指すことにした。

 

「さらに強くなるぞ………新しい仲間として、イーブイをゲットできたしな」

 

 そう言ってアスベルは、ターフタウン近辺で新たに仲間に加えたポケモンである、イーブイの入ったボールをみる。 イーブイは多くの進化の可能性を秘めたポケモンだ。 いつかは進化して、自分とともにさらに強い相手に立ち向かえるだろう。

 

「今から、どんなポケモンに進化させようか……考えるのも楽しいな」

 

 そういいつつ、アスベルはバウタウンを目指して歩き出した。 そのために橋を渡ろうとしていたがそこで、見覚えのある連中を発見する。

 

「ん、あれは……」

 

 橋の前にいたのは、少し血色の悪い男性と、エール団が数名。 彼らはなにか口論をしているようだ。

 

「あのねぇ…きみたち、スマホロトムも持ってないのに……自社製の自転車なんて乗れる訳ないでしょ」

「えぇい、なにがなんでも自転車をよこしなさい!」

「そうしてジムチャレンジャーを追いかけて、さらに先回りをして、もっともっと妨害をしてやるのです!!」

「なんてムチャクチャな!」

 

 どうやらあの男性は自転車を開発している者であり、エール団はその人物が所持している自転車を欲しているようだ。 そこで男性はアスベルの存在に気付くと彼にすがりついてきた。

 

「そこのジムチャレンジャーさん、彼らは自転車ドロボーです! どうか助けてください!」

「えっ」

 

 突然のことにアスベルは戸惑い、さらにアスベルがジムチャレンジャーであることを知ったエール団はアスベルに敵意を向ける。

 

「自転車ドロボーじゃないですよ!」

「ただ拝借して、ジムチャレンジャーをおいかけーる、そして妨害すーるのです!」

 

 そう訴えてくるエール団にたいし、アスベルはため息をつく。

 

「うーん…………メンドクサい人達だなぁ」

「メンドクサい!?」

「いずれにせよ、相手は断ったんだ……潔く身を引くべきだと思うぞ。 それでもしつこいようであれば……オレはお前達を、許すわけにはいかない」

 

 アスベルはそう言って、エール団をにらみつつボールを構える。 それにたいしエール団はつばを飲み込むが、すぐにメンチ切って対抗しようとする。

 

「邪魔をする我々の邪魔をするというならば!」

「ここで倒れていただくぞ!」

「まぁ、相手がその気なら仕方ないか」

 

 アスベルは、チャキリとボールを構え直すと、エール団と戦う体制に入った。

 

 

「クッソ! おぼえてろー!」

「………あっけないな」

 

 勝負はあっという間だった。 結果はアスベルの圧勝。 彼にボロ負けをしたエール団は立ち去っていく。 こうして男性は救われ、お礼にと自転車の引換券をくれた。

 

「この引換券を自転車屋に持って行けば、自転車をいただけますよ」

「ありがたく受け取っておきます。 さぁ、また襲われないうちにターフタウンへ向かってください。 町の中なら大丈夫でしょうし」

「なにからなにまで……ありがとうございます!」

 

 そうして、自転車屋の男性を見送ったアスベルはその橋を渡っていく。 そして、その橋を渡った先には、あの少女がいた。

 

「あ、アスベルだ」

「マリオン」

 

 マリオンはアスベルを発見すると歩み寄ってきた。

 

「よかったぁ、先に行ったのかと思っちゃってたよ」

「オレを探していたのか? ということは……オレになにか用でもあるのか?」

 

 アスベルが問いかけると、マリオンは頷き、彼に用件を打ち明けた。

 

「実は…ちょっとお願いがあるんだけどさ」

「ん?」

「ボクと……バトルしてくんない?」

 

 アスベルへのマリオンの用件それは、バトルの申し出だった。 まさかバトルしてほしいと頼まれるとは思っていなかったらしい、アスベルはきょとんとする。

 

「マリオンと?」

「うん。 ボクもキミも同じくさバッジを持ってるし……ライバルとして実力は確かめてみたいでしょ」

「そうか………そういうことならいいよ。 やろう」

「納得はやっ」

 

 なにはともあれ、アスベルはマリオンの勝負の申し出を受けてくれるようだ。 橋の上での勝負は燃える、といいながらマリオンは勝負の体制に入る。

 

「使用ポケモンは2体でいいか?」

「うん、いいよ」

 

 今回のバトルのルールは2対2。 どちらかのポケモンが2体とも戦闘不能になったら試合終了と言うことにした。

 

「じゃ、ボクの一番手は…この子だっ!」

「オレも、決めた」

 

 そう言って2人ともそれぞれ、モンスターボールを手にとってそこからポケモンを繰り出す。

 

「レッツゴーッ! チェリっち!」

「頼む、イーブイ!」

 

 マリオンが出したのは、彼女の幼なじみポケモンであるチェリンボ。 アスベルが出したのは、ゲットしたばかりのイーブイだ。

 

「マジカルリーフ!」

「スピードスター!」

 

 まずはマジカルリーフとスピードスターが衝突する。 その威力は互角であり、二つの技が弾け飛ぶ。

 

「そこから、たいあたり!」

 

 すかさずアスベルはたいあたりを指示し、イーブイはその声にあわせて動き出し、チェリンボに攻撃をしようとした。 そのたいあたり攻撃を受けたチェリンボは耐えてみせると、そこから反撃でたいあたりを繰り出して見せた。

 

「ブイッ!」

「イーブイ!」

「さらにいっくよー! マジカルリーフ!」

 

 マリオンは決して、攻撃の指示をやめたりはしない。 チェリンボはマジカルリーフを繰り出してイーブイに確実にダメージを与え、その中でたいあたりを繰り出す。 そのたいあたりを受けたイーブイはなんとか持ちこたえてみせるが、チェリンボは今度はエナジーボールを放ってきた。

 

「回避だ、イーブイ!」

 

 アスベルがそう指示を出すと、イーブイはエナジーボールを回避してでんこうせっかを繰り出してチェリンボは吹っ飛ばされる。 それにうまく持ちこたえるチェリンボは、反撃でたいあたりをしかけるが、イーブイが同じようにたいあたりを繰り出したことで押し切り、チェリンボは戦闘不能になった。

 

「ああ、チェリっち!」

 

 倒れてしまったチェリンボを、マリオンはすぐにボールに戻す。 そして、相手のイーブイの強さが気になり、つきあいはどれほどなのかを問いかける。

 

「やるねぇ…その子、どれだけ育てたの?」

「いや、最近ゲットしたばかりだ」

「うそっ!?」

 

 まだゲットして間もない、という事実を知ってマリオンは驚く。

 

 

「うん、その子強いね………バトルの才能アリアリかもだよ。 でもボクだって負けないんだから!」

 

 そう言ってマリオンは、次のポケモンを出す。 そのポケモンは、ヒバニーの進化系である、ラビフットだった。

 

「次はこの子だよ! バニっち!」

「オレの2番手は、キミにしよう! 頼むアオガラス!」

 

 アスベルが次に出したのは、先日のターフスタジアム戦で進化した、アオガラスだった。 そのアオガラスをみて、アスベルのココガラが進化したのだと悟ったマリオンはにやりと笑うと、ラビフットに技の指示を出す。

 

「ニトロチャージ!」

「つつく攻撃だ!」

 

 マリオンがとった作戦は、ニトロチャージで相手を攻撃しつつスピードを上げる作戦。 それにたいしアオガラスはつつく攻撃で迎え撃ち、距離を置いたところでついばむ攻撃を繰り出す。

 

「かわして、ひのこ!」

 

 先ほどのニトロチャージの恩恵だろうか、ついばむ攻撃を容易く回避することができ、アオガラスにそのままひのこを浴びせた。

 

「飛び上がれ!」

「逃がさないよ、もっとニトロチャージッ!」

 

 アスベルはラビフットの届かない上空に一時アオガラスを苦そうとするが、マリオンはそれを許しはしない。 ラビフットはニトロチャージでさらにスピードアップしてアオガラスの真上を一瞬でとり、そのままとっしんした。

 

「アオガラス!」

「ひのこ!」

「かげぶんしん!」

 

 アスベルは咄嗟に、かげぶんしんを指示してひのこを回避し、別のところからつつく攻撃を繰り出してラビフットに大ダメージを与えた。 その大ダメージの秘密に、マリオンはすぐに気付いた。

 

「きゅうしょにあたっちゃった!」

「そこだ、ついばむ攻撃!」

 

 アスベルはいっさい攻撃の手を緩めることはせず、その指示に従ったアオガラスはついばむ攻撃を繰り出して、ラビフットを攻撃する。

 

「バニっち!」

 

 その一撃が決まり、ラビフットは戦闘不能になった。

 

「よし、いいぞアオガラス!」

 

 アスベルはアオガラスを呼び寄せると、その腕にアオガラスを乗せ、そっと微笑みかけながら撫でる。

 

 

「………お疲れさま! 戦ってくれてありがとね、バニっち!」

 

 マリオンはラビフットをボールに戻すと、うなずいてアスベルの実力を認める。

 

「………やっぱアスベルは、強いなぁ」

「伊達にジムチャレンジには挑んでいないからな」

「うーん、それはボクも同じのつもりなんだけどな……」

 

 マリオンもジムチャレンジに挑む意欲が強く、その目的達成のために努力を怠ってはいない。 だが同時に、マリオンはあることを知っていた。

 

「………まぁ、ボクだけでなくアスベルも中々、バトルが好きだし……キミもなんだかんだで、チャンピオンに挑んでみたいって思ってるのも知ってるしね」

「……………」

 

 マリオンの話を聞いて、アスベルは少し恥ずかしそうに顔をうつむかせる。 そんなアスベルのリアクションをみてマリオンはクスリと笑うと、背伸びをした。

 

「もっと、ボクも気合いを入れなくちゃねっ。 幼なじみとしてキミやホップにおくれ、とりたくないもん」

 

 そうマリオンがアスベルに向かって言った、そのときだった。

 

「あれ、アスベルにマリオンじゃんか」

「ほ、ホップ!」

 

 そこにホップが合流してきた。 どうやらマリオンとアスベルが一緒にいたことが気になったようだ、アスベルは正直に、自分と彼女でポケモンバトルをしていたことを告げる。

 

「へぇ! んで、結果は?」

「それは……」

「アスベルの勝ち、だよ」

 

 アスベルが返答に困ったそのとき、勝負の結果を正直に伝えてきたのはマリオンだった。

 

「マリオン……」

「なに、その反応。 ボクは事実を言っただけだよ?」

「……もしかして、アスベル……マリオンが負けたことを気にしている、と思ってたりするのか?」

「ッ」

 

 その顔を見て図星だと気付いたホップは苦笑し、同じく図星だと気付いたマリオンは怒る。

 

「バカにしないでよね! 勝ちとか負けとか、そんなの受け入れられないような、ちっぽけな人間に育った覚えはない! 第一! これでもきみたちより、ボクの方が年上なんだからねっ!」

「……バカにしたつもりはないんだが……」

「まぁ、そうだよな」

 

 そう話をしていると、3人の腹の虫が同時に鳴いた。 それにより3人の間に沈黙が訪れるが、アスベルが最初に口を開く。

 

「…………とりあえず……今日はここでみんなでカレー作って、一緒に食べないか?」

「「さんせー」」

 

 マリオンとホップもそれに同意し、3人でカレーを作って食べた。 ちなみに今日のメニューは、あまくちヴルストカレーである。 出来映えとしてはマホミル級であり、3人も彼らのポケモンも、それをおいしく食べることができた。

 

「日が暮れてるね……」

「ああ、これ以上外で歩いてたら、おまわりさんに怒られるぞ」

「だね」

 

 気がつくと日は傾いており、これ以上出歩くのは危険な気がした。

 

「まぁいいや、今日はもうテントの中で寝ちゃおうぜ! というわけで、おやすみー!」

「ああ、おやすみ」

 

 そういってホップはさっさとテントを広げると、すぐに入って寝てしまった。 相変わらず行動が早い、とアスベルとマリオンは呟くと、それぞれでテントにはいろうとする。

 

「……じゃあ、ボクたちもねよ。 おやすみ、アスベル」

「おやすみ、マリオン」

 

 そうアスベルはホップとマリオンに告げると、自分もテントの中に入って眠りについた。 そのとき、ある夢を見る。

 

(………ここは、どこだろう………)

 

 アスベルは黒い渦の中に、一人いた。 その中には鋭い二つの光が、自分のいる黒い渦を切り裂こうとしているようだった。

 

「………アンコクノウズ、シズメン………」

 

 そんな声が、アスベルの頭の中に響いていた。 繰り返し繰り返し。

 

(…………誰だ、オレを呼ぶのは…………!?)

 

 アスベルは、届かぬ声を出して、問いかける。

 ずっと昔からみる暗闇の渦の夢、その中になにかの存在は見えるが、それがなにかは、幼き頃からその夢を見ている彼であれど、今もなお特定できない。

 

「………トキウゴク……ウンメイノトキ………ソノトキ、ナンジハオノレヲシル…………」

(オノレを…………?)

 

 その意識は、深い場所へとおちていく。

 

 




次回予告。

バウタウンに到着したアスベルはそこで、ローズ委員長と再会をする。
彼と少しの対話の後、アスベルはルリナとも出会い、試合をすることを決めるのであった。
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