オーヴ地方のジムリーダー   作:雪見柚餅子

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使うか不明の裏設定
●本作においてスマホロトムは開発されて日が浅く、さらに安定供給が難しい段階のため、所持している人物はごく僅か。タキが所持しているスマホロトムは、元々所持していたロトムをスマホに入れたもの。


16話

「ーッ!!」

 

 最初に動いたのはツンデツンデだった。エレブーを沈めた、全身を硬化させて放つヘッドバットがサマヨールに向かって放たれる。

 

「避けてっ!」

 

 質量の大きいその一撃を受け止めるのは無理と判断し、サマヨールに回避させる。そしてツンデツンデの背後へと回る。

 

「シャドーパンチ!」

 

 そしてサマヨールは自身の腕から拳状の影で攻撃を放った。

 

「ーッ!」

 

 だがツンデツンデは全身を硬化させることによって、その攻撃を弾き返す。

 

「やっぱり、死角は無いね……」

 

 体の欠片一つ一つが生命体。それらが全て目としての役割を果たしているため、このポケモンに背後と言う概念は存在しない。

 

「ムウマージ、そっちはどう?」

 

 タキが声を掛けると、ムウマージは静かに首を横に振る。あのポケモンの情報を手に入れるべく、ムウマージには少し離れて、ビジョンを読み取ってもらおうとしていた。だが今のツンデツンデはかなり興奮状態にある。それに加えタキは知らないが、ツンデツンデはこことは異なる世界の生物。そのためムウマージはツンデツンデの思考を正確に読み取ることが出来なかった。

 

「分かった。まずはロトム、録画をお願い。あのポケモンの行動を撮影して」

 

 タキがバッグからスマホロトムを呼び出して指示を下すと、スマホロトムはツンデツンデの全身が写るように、カメラを向ける。

 

「行くよ、サマヨール、ムウマージ」

「ヨールッ!」

「マージィ!」

 

 改めてツンデツンデを見つめるタキ。ツンデツンデも闘争心が刺激されたのか、足で地面を何度も踏みしめる。

 

「ムウマージ、でんじは!」

「マージィ!」

 

 まずは動きを封じるためにムウマージが電撃を放った。ツンデツンデはそれを、体の構造を組み替えることにより、まるで取りぬけるように躱して見せる。

 

「シャドーパンチ!」

 

 今度はサマヨールがエネルギーの拳を再度向けるが、それもツンデツンデの硬い体には通じない。

 

「ーッ!」

 

 お返しとばかりにツンデツンデが猛スピードでタックルを放ってくる。しかし、闘争心に任せた大振りな攻撃が当たることは無く、ムウマージとサマヨールはやすやすと回避する。

 

「よし、ムウマージ。あのポケモンを囲むようにマジカルフレイム!」

 

 ムウマージがツンデツンデの頭上へと飛ぶと、口から火炎を放ち、炎の檻を形成する。これで動きは封じたようだが、ダメージは全くない。しかしこれは、次の攻撃のための布石に過ぎない。

 

「サマヨール、もう一度シャドーパンチ!」

 

 その炎の壁を貫いてツンデツンデを拳状の影が捉えた。炎がブラインドの役割を果たしていたため、ツンデツンデも反応が遅れ、その一撃をまともに受けよろめく。しかし……

 

「それほど効いて無いか……物理防御はかなり高いみたいだね」

 

 すぐに体勢を整えたツンデツンデに大きなダメージは見られない。サマヨール自身も決して甘い育て方はしていないが、それでも痛打にならないということから、目の前のポケモンのレベルも高いことがはっきりと感じ取れる。

 

「ーッ!」

「っムウマージ、たたりめ!」

 

 今度はツンデツンデが岩塊を連続で射出しだす。だがそれはムウマージが放ったエネルギーによって撃ち落とされた。

 さらにその隙を狙ってサマヨールがシャドーパンチを繰り出すが、寸前でツンデツンデは防御形態を取り、攻撃を防ぐ。

 一進一退の攻防。だが圧倒的にタキ達の方が有利である。二対一という状況に加え、ツンデツンデはスピードが遅く有効な攻撃手段に欠けている。時間を掛ければ掛けるほど、タキがより一層有利となるだろう。

 それをツンデツンデも本能で感じ取ったのか、突如として動きが変わる。複数の欠片が積みあがったその体が、ボロボロと崩れ始めたのだ。

 

「これはっ!?」

 

 あまりの出来事に言葉を失うが、すぐにその意図を理解する。崩れたその体は地面を這うかのように、草むらへと逃げ出したのだ。これが巨大な体を持っていたにも関わらず、中々見つからなかった理由。この分離した姿こそ、ツンデツンデの逃走形態なのだ。

 

「くっ。サマヨール、くろいまなざし!」

 

 逃がすものかとタキがサマヨールに指示を下す。どんなポケモンであろうと動きを封じる技。これでツンデツンデを捕らえる。そう考えていた。

 

「ヨルッ!?」

 

 だがそれに水を差すように、何かがサマヨールの頭に当たり、気が散ったサマヨールの技が失敗する。

 

「あっ!?」

 

 その隙にツンデツンデは多数の欠片となって、深い草むらの奥へと姿を消した。

 サマヨールの頭に当たった物。それは黄色い線が入った黒いボール。ハイパーボールと呼ばれる種類のモンスターボールだ。一体誰が投げたものかと辺りを見回すと、その主が姿を現す。

 

「くっ、逃げられたか!」

 

 それは白い独特な服を着た、緑色の髪をした集団。目にはゴーグルを掛けており、怪しい雰囲気を纏わせる。

 

「おい、トレーナーが居るぞ」

 

 彼らはタキの存在に今まで気づいて無かったようで、一人が指を差して言う。

 

「おい、ここは我々が調査を行っている。大人しくここから出ていけ!」

 

 不遜とも感じられる言葉に、タキは反感を覚える。

 

「……そんな怪しい恰好をしている貴方達こそ何者?」

「ふん、答える必要など無いが、敢えて教えてやろう」

 

 タキの質問に、彼らは大仰な身振りで返答する。

 

「我らこそ、新たな世界の扉を開く者。その名は()()()()()()!」

「ギンガ団……?」

 

 その名前には、どこか聞き覚えがある。だが何のことか思い出せず、タキは首を傾げる。そんな彼女を無視しながら、ネオギンガ団はさらに続けた。

 

「あのポケモンは、我らが手に入れる! 我々の計画に重要なピースとなるのだからなっ!」

 

 彼らの言葉にタキは不穏な気配を感じ取る。正体不明の組織。あの未知のポケモンを用いるという計画。きな臭い匂いしかしない。

 

「詳しいことを聞きたいから、付いてきて貰える?」

「ふんっ、お前にこれ以上教えることなど無い! さっさとどかないのなら、力尽くでっ!!」

 

 彼らはそう言うと、ボールからポケモンを繰り出す。

 

「さあ、行けっ!!」

 

 そして多数のポケモンがタキに襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼らの不幸は、ジムリーダーでも屈指の実力者であるタキを敵に回したことだろう。

 

「それじゃ、彼らの取り調べをお願いします」

 

 数十分後。倒れ伏したネオギンガ団は、タキによって警官に引き渡された。

 

「それじゃ、そういうことで……」

 

 警官への説明を終えたタキは、懐中時計を見る。移動に時間が掛かったため、もうすぐ夕暮れになるだろう。その前に、やらなくてはならないことがある。

 

「あまり柄じゃないけど……招集しないとね」

 

 今回の未確認のポケモンと、謎の集団。放っておいたら、重大な事件に繋がるかもしれない。

 タキは宙に浮かんでいたロトムを呼び寄せ、全シムリーダーへメッセージを一斉送信した。件名はシンプル。

 

『緊急のジムリーダー総会の開会要請』

 

 そしてタキは、謎のポケモンが消えた森の奥へ視線を送る。今日は逃がしてしまったが、次は必ず捕らえて見せる。そんな思いを心に秘めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、使えん奴らめっ!!」

 

 オーヴ地方にあるとある洞窟。そこは自然とはかけ離れた、未知の機械によって埋め尽くされ、ネオギンガ団を名乗る者達のアジトと化していた。

 

「まあ、落ち着けよ。まだマシンも完成していないんだ。焦ったって仕方ないさ」

「しかし、サンプルは早めに手に入れた方が良いだろっ!!」

 

 互いに言い争うメンバー。お世辞にも一体感は感じられない。だがその言い争いは突如として止まる。

 

「――――――――――」

「も、申し訳ありませんっ!」

 

 洞窟の奥。日の光が差さないため機械から漏れる僅かな光しかない場所から、ある人物が彼らを一喝した。

 

「――――――――――」

 

 その人物は、洞窟内に居るメンバーに指示を下しながら作業を行い続ける。多種多様なメンバーもその人物の指示には大人しく従う。

 

「――――――――――」

 

 暗闇の中で、その人物の目が怪しく輝く。そこには確かな、強い欲望が感じられた。




【メガシンカ紹介】
キリキザン
●あく・はがね ●テクニシャン
●65(0)-155(30)-130(30)-60(0)-85(15)-95(25)-590(100)
●攻撃が大きく上昇。メガギャラドスと同じ数値となった。また素早さも上昇している。
●特性はテクニシャンに変化。主にあくタイプの技やサブウエポンの威力上昇がメリット。反面、いかくなどに弱くなるほか、はがね技で恩恵を受けにくい。
●個人的にメガハッサムと戦わせた絵が見てみたい。
●見た目のイメージとして、両腕の刃が肥大化。頭部の刃も2本に倍増した姿。
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