ーリアードー
ブースカブーからの連絡を受け、俺は一人頭を抱えて唸る。雪の都エルランドへ連れてきた癖に、まさか置いていくとは思わんよ。どうすればいい? このままエルランドに留まるという選択肢はない。留まろうとしても、たぶん主人公の一人だから旅立たなければならない運命だと思う。現にブッカからここに来たわけだし、…アンジェラを助けて関わったわけだし。
…ブースカブーに頼れないとなれば、定期船に乗るしかないか? …確かあった筈だよな? 外は猛吹雪で極寒だから、本数はかなり少ないと思うけれど。港に確認しよう、いつ出航をするのかって。
聖都ウェンデルを目指す為には先ず、城塞都市ジャドに行かねばならない。このエルランドからジャド行きの定期船が出ていた筈、…前世の聖剣3知識でだけれど。現実となった今、その定期船はあるのだろうか? アンジェラがいる時点であるとは思うが、…どうだ?
エルランドージャド間の定期船はあった。けれど出航は二週間後、しかもこれを最後に当分は運航を停止させるようだ。理由は海面に浮かぶ流氷が多いことと、凍結をしている箇所が多く安全な航行が難しいこと。定期船のメンテナンスを十分にすれば、一度だけ氷の海を航行出来ると判断したようだ。二週間のメンテナンス後、直ぐ様出航するみたいだから乗り遅れないよう気を付けねば。
…何つーか危険な航海になると思うのだが、…大丈夫かね? 無理をして出航せんでもいいような? …俺としてはありがたいけれど。これも主人公補正というものか? 出航せねば物語が始まらんからな。…出航と同時に本当の旅が始まる、聖剣伝説3が始まるわけか…。本当に俺ってどういう存在なのか? …正直不安しかないよ。
チチの家へ戻る途中、アンジェラと会ったが緊張しているっぽい。何故に? と思ったら、アンジェラは聖都ウェンデルへ行くと決めたらしい。決めたはいいが無力な女一人旅は恐い、だから目的地が一緒の俺と共に行きたいとのこと。…なるほど、一緒には行けない…とアンジェラに言ったな俺。だからこそ緊張しながら言ってきたわけか、…断られる可能性が高いとみて。
しかしながら朗報ですぜ? ブースカブーに頼れんから船で行こうと思っていたし。更に船は二週間後に出航する1本のみ、旅立つと決めたのなら共に行くのは必然のこととなったのだ。よってこれも何かの縁、共に聖都ウェンデルへと旅立とうか!
…たぶんきっと強制力が働いている、この地に来たのもアンジェラに会ったのも全部必然だったんだよ。ああ、俺の人生はどんな道を辿るんだぁ~!?
一緒に行けることが嬉しいのか、アンジェラは不安な顔から一転してニコニコ笑顔。初対面の男に気を許しちゃいかんのでは? と思いつつ、美人なアンジェラに頼られている事実に喜ぶ俺がいる。そんなアンジェラと連れ立ってチチの家へ、二週間後に旅立つとお世話になっている家族へ伝えた。
伝えたら残念がられた、特にチチが大泣きした。行っちゃ嫌だとしがみ付いて離れない、…ここまで懐かれたことは嬉しい。嬉しいけれどこれは困った、チチの家族達も困り顔。…どうしようか? なぁ、どうすればいいと思う? ラビ。
悩んだ結果、旅立つ日までチチと行動を共にすると決めた。何をやるにもチチがいる、寝る時も一緒だ。ついでにアンジェラも付き合ってくれている、旅立つ前に俺との関係を深めたいようだ。まぁ旅のパートナーとなるわけだし、互いを知るのは良いことだと思う。
共に行動すると言っても基本は遊ぶだけ、それ以外は危険だからね。遊ぶにしても色々あるけれど、集中的にやっているのは雪像作り。雪像と言っても雪だるま風、チチや他の子供達と作っているからね。難しいものではないけれど、魂と願いを込めて作っているのさ。素材と形は違う、…がダークプリーストの村にあるトーテムポールを目指している。俺がいなくなっても天候が悪くならないように、そして都の人達を守ってくれるように。
旅立ちの前日に、雪だるま風のトーテムポールが出来上がった。真摯な祈りを皆でやった為、きっと雪の都エルランドを守ってくれるだろうと思う。チチには俺がブッカから持ってきていたお守りをあげた、凄く嬉しそうにしていたっけ。…勿論、最後の夜も一緒に寝てあげたさ。血の繋がりがない妹って感じ? チチのお陰で俺とラビは不自由なく過ごせた、感謝しかないよ。