ーリアードー
翌日、朝一でこのエルランドを旅立つ。思えば長く滞在したものだ、全てがブースカブー任せだったからな。拒否権がなかったからどうしようもなかったんだけれど、…まぁ今となっては来てよかったってところかね? チチと出会って都の人達と親交を深め、正規の主人公であるアンジェラを助けて行動を共にすることが決まった。…他にも細々としたイベントがあった、総じて濃いエルランド生活だったな。
エルランドで入手した魔物からのアイテム良し! 都で買ったり貰ったりした回復アイテム良し! チチから貰ったお返しのお守り良し! 頭上にラビ! 旅のパートナーであるアンジェラの準備も良し! …忘れ物はないようだ、さぁ定期船に乗り込もう!!
俺達を見送る為にチチも今日は早起きだ、定期船へ向かう道中はチチを抱き抱えて歩いている。眠そうな顔をしているが、無理をして起きているっぽい。その気持ちが俺としては嬉しく、チチに話し掛けて寝ないよう配慮する。寝落ちしたら後々大泣きしそうだしね、別れはきちんとしてやらないと。
定期船の前に着いた俺はチチを降ろす、ここでチチの眠気は完全になくなったようで、
「…もうおにいちゃんとらびはいっちゃうんだね? おねえちゃんもなかよくなれたのに…。」
としょんぼりしている。俺はしゃがみ込んでチチと目線を合わせ、
「…そうだな、今日でチチとはお別れになる。」
と言いながら頭を撫でる。チチの目が涙で潤んでいる、ついでにラビもビィビィ寂しがっている。もう少しここにいてやりたい気持ちはあるけれど、今日以外に旅立ちのチャンスがないからな。
頭を撫でながら、
「もう会えない訳ではないからな、今日は笑ってお別れをしよう。俺があげたお守りがあるだろう? 俺もチチから貰ったお守りがある。これがある限り、離れていてもずっと一緒だ。」
チチから貰ったお守りを見せてやれば、チチも俺があげたお守りを見せてくる。
「…うん、いっしょ。おにいちゃんとらびと、…おねえちゃんと。」
チチがそう言った時、俺の横にいたアンジェラがしゃがんでチチを抱き締めた。感極まった様子、…彼女も変わったなぁ。…というか、本来のアンジェラに戻りつつあるだけか?
チチの他にその家族、都の人達と別れの挨拶を交わす。それが終わり出航の時間が迫った為、俺達は惜しみながら定期船に乗り込む。船の上から波止場を見下ろせば、チチ以下都で親しくなった人達が並んでいた。こんなにも多くの人達と仲良くなったんだなぁ~、…感慨深いものがあるぜ。…とその時、
『船が出るぞぉぉぉぉぉっ!!!』
という声が波止場に響いた。
出航の合図が響き、定期船が徐々に動き出す。船が動き出したのと同時に、
「兄ちゃん、またなぁ~!!」
「元気でやれよぉ~!!」
「またエルランドへ来てねぇ~!!」
「雪像はちゃんと守るからなぁ~!!」
という都の人達からの声。その中でもよく聞こえたのが、
「おにいちゃんおねえちゃんらびぃ~! またきてねぇ~っ!!」
というチチの声。決して大きな声…叫びではないけれど、俺達には人一倍よく聞こえたような気がする。そんな声に応えて、
「チチ! みんな! 風邪をひくなよぉ~! …いずれまた行くからなぁ~!!」
「ビィ! ビィ!」
「またね、みんなぁ~!!」
俺達も手を振り声を張り上げて叫んだ、エルランドが見えなくなるまで手を振り続けた。
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エルランドが見えなくなった瞬間に猛吹雪、こりゃたまらんと船内に避難した。この悪天候で航海が出来るんか? と船員に聞いてみれば、航海の日数が少し増えるが問題ないとのこと。…プロの言葉を信じてのんびりするか、…ってなことでやることがないから部屋へと戻る。
頭上のラビを膝に乗せ、モフモフしながら何をしようかと考える。外は猛吹雪、俺は寒さを感じないが危険であるのは分かる。船内には当然のことながら娯楽的なモノはない、…となれば寝るしかなくね? と思っていたらアンジェラが絡んできた。
…実はアンジェラと同室なんだよね。最後の定期船ということで、客も荷物も多めになったそうで。結果…船室が足りなくなった、つーことで知り合い同士で相部屋となったのだ。俺的には未婚の男女が相部屋なんてダメだろうと主張したのだが、アンジェラが俺以外を信用しきれないとすがり付いてきたので渋々と了承したのだ。
ニコニコと俺の隣に座るアンジェラ、もしかしてお喋りっすか? …女って生き物はお喋りが好きだよねぇ。…アンジェラが知らん話といえば、火山島ブッカの話ぐらいしかないけれど良いのか?
………仕方がない、そこまで言うならば話してやるよ。話してやるからもうちょっとだけ離れてくんない? …ちょっと落ち着かない。
オープニングテーマを頭の中で流そう!